気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Lock Artist(the) by Steve Hamilton

2012-01-04 11:24:38 | 読書感想

1990年8歳の時に起きたある出来事から、「the Miracle Boy」として全米のマスコミにとりあげられ多くの人から励ましの手紙を受け取った俺。
しかし、そのときから俺は言葉を発することができなくなった。俺を診察した医者は 肉体的にはなんの問題もないので精神的なものが原因だと考えているようだ。

1991年9歳 両親のいない俺はデトロイトの北西にあるMilfordという小さな町で酒屋を経営するLitoおじさんの世話になっていた。
ある日、おじさんがうまく動かなくなった錠を捨てたのを見た俺はそれを拾い分解したり組み立てたりするうちに 錠が締まるメカニズムに魅せられる。興味を持った俺は古道具屋から錠を購入し それらの分解、組立を何度も行っているうちに鍵なしでそれらの錠を開けることができるようになっていた。

しかし、俺が鍵なしで錠を開けることができることは 決して他人の前ではやっていけない、見せてはいけないことに 若かった俺は気づかなかった。
高校生になったある日、フットボールのスター選手Brian Hauserがロッカーの鍵を忘れて困っているのを見た俺は 皆の見ている前で その錠を開けてあげる。
そして、夏休みに入る前、いくつかのパーティをはしごしていた俺は 多くの学生が集まってにぎやかにパーティを楽しんでいたBrianの家へ寄る。
俺が錠前を開けることができることを知っている彼は フットボールのライバル校の花形選手Adam Marshの家へこっそり忍び込んで 彼のベッドに俺たちの高校の応援幕を置いてくるというイタヅラに協力してくれと俺に頼む。
承諾した俺は、Brianやその仲間たちと共にAdamのうちへ行き Marsh邸の裏口の錠を開けることに成功し、彼らを邸内に侵入させる。
初めてみた豪邸に興味を引かれた俺は仲間の忠告を無視して 各部屋の探索を行う、そして、おれは若い女性が住んでいると思われる部屋で 彼女の描いた絵に衝撃を覚える、その絵には俺の絵に欠けているものがあった、絵に魅せられた俺は仲間の急を告げる声を聞くことができず、気づいたらひとり警察に捕まってしまう。

裁判所の判事は 俺を刑務所か少年院に送る代わりに 家宅侵入したMarshさんの家での労働奉仕を命令した。仕事は庭でのプールづくりのための土の掘り起しという過酷な作業だったが 拒否すれば刑務所に入ることになるので俺はその作業を行うことにする。

そして、そこで俺は絵を描いた少女 Ameliaと出会う。MarshさんにAmeliaに近づくなと警告されている俺は 遠くからしか彼女を見ることができなかったが、彼女の美しさに惹かれた俺は 彼女と会うことを楽しみに毎日Marsh邸に通う。

そんなある日、Marshさんが鍵屋をともなって俺のそばにやってきて 裏口のカギを新しくしたから 俺が開けられるかどうかやってみろと話しかけてきた。実は Marshさんは 俺が裏口の鍵を開けて屋敷に入ったことを信じず、鍵屋立会いの下、俺に裏口の鍵を開けさせたことがある。

その錠は 俺が初めて見る形をしていた。そして、俺は初めて錠を開けることに失敗する。その錠のことが頭にこびりついて眠れない俺は深夜2時、こっそりとMarsh邸を訪ね、再度、裏口の錠を開けることに挑戦する。試行錯誤の末、開錠に成功した俺は、熟睡しているAmeliaの部屋に忍び込み,俺が描いた彼女の絵をドレッサーの上に置いてくる。翌日、俺はAmeliaが父親のMarshさんに 誰かが自分の部屋に忍び込んだことを話したのではと危惧していたが 彼女は何事もなかったかのようにふるまっていた。 

その夜もおれはAmeliaの部屋に忍び込み、俺と彼女の出会いを描いた絵を置いてくる。そして、その翌日、彼女からの俺に対する返信の絵をもらう。絵のやり取りを通じて、 俺とAmeliaは親密になっていきデートをするようになる。

やがて、 俺がAmeliaを愛していること、Marshさんに俺が錠を開けられることを見せたことが俺の人生、金庫破りとしての人生を俺に歩ませることになってしまう。

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わずか18歳で金庫破りのプロとして 犯罪組織の一員になってしまう男の物語。
ミステリーとしては 謎などがなくて物足りない。
でも この独特の語り口は 読みやすくどんどん読み進ませる力がある。
鍵を開けるまでの緊張感は 鍵の構造がよくわからないけれど 読むほうをドキドキさせる。
本人(俺)も言っているが 彼には金庫破りに対しての罪悪感が感じられない、錠を開けることだけに喜びを感じるだけで、周りで人が殺されてもほとんど無表情。
うーん、ドライ?虚無感?
読後感はさわやか。
MWA賞などを受賞したのはやはり 文体の力なのかな。

Kindle版 10.66ドル ★★★ 

 


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