気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Escape by David Baldacci

2014-12-07 11:15:29 | 読書感想

軍刑務所があるカンザス州の一帯が嵐で停電になる。軍刑務所内は瞬時に自家発電装置が稼働する.
しかし、突然、その自家発電装置がストップ、所内は闇に包まれる。そんな中、停電時、自動的にロックされるはずの房の鍵が
逆に解除され囚人たちが独房から出てきて所内は騒然となる。
事態を鎮静化しようとした看守たちは銃声音と爆発音を聞く。彼らは銃を所持しておらず囚人が銃を持っていると信じた彼らは
数分の距離にある米軍基地に支援を要請。直ちに駆けつけた軍によって事態は鎮静化したと思われた。だが 囚人の点呼を行っ
た時、囚人の一人、国家に対する反逆行為で終身刑を言い渡されていたRobert Pullerがいないことが発見される、彼の独房内
に囚人でも看守でもない身元不明の死体を残して。

陸軍の軍人の犯罪を捜査するCIDに所属するJohn PullerはOklahoma州での任務を終え自宅で一休みしているとき、上司のWhite
から兄のRobertが軍刑務所から逃走したと告げられる。そして、この件に関与しないように命令される。
Johnは兄のRobertが脱走したことを受け入れることができなかった。それは兄が有罪であることを証明することになるから。
Johnは兄が軍事裁判を受けていたとき海外任務についており、帰国したときはすでに終身刑が確定しRobertは軍刑務所に入って
いた。軍人であるJohnは兄を国家反逆罪で有罪とした軍の決定を尊重していたが、心の中ではPuller家の血筋には国家を裏切る
ような者はいないと信じており終身刑を宣告した軍の決定を疑っていた。それだけに兄の脱走はショックだった。

またアルツハイマーで判断力が欠落しつつあるが、陸軍の英雄として尊敬されている元将軍の父親がこの情報から受ける動揺を
心配してJohnは父親が入院している病院を訪ねる。そこで彼は 同様に父親を訪ねてきた陸将のRinehart、空将のDaughtrey
そしてNSCのSchindlerと出会う。
彼らはJohnにRobertは2年前の情報とはいえ核戦略や国家機密の情報を持っており、万一、彼の持っている情報が第三国に漏れ
た場合、国家の安全が脅かされるとして兄の行方を追っていた。彼らはJohnにRobertからの連絡の有無を聞き、連絡があった場
合、直ちに報告するように命令する。Johnは彼らが兄であるRobertの捜索を暗に彼に求めているように感じる。

そして、夜、彼は上司の命令に反して密かに兄の逃走ルートを探るべく事件が起こった軍刑務所に向かう。
翌朝、刑務所周辺で事件についての聞き込みを始めた彼のもとにMPがやってきて彼は病院であった3人の将軍たちが待っている
場所へ案内される。彼らはJohnに正式にRobertの捜索を行うように命令する、彼らに逐次報告することを要件に。
JohnはRobertが国家安全に関する機密情報を持っていることから彼は脱走したのではなくその情報を得ようとする何者かによっ
て誘拐された可能性を彼らに指摘する。

脱走犯の身内である自分が捜査することに疑問を感じながらも、直ちに調査を開始したJohnは停電時の自家発電装置の故障は、
脱走を手助けした共犯者による破壊行為であると推理して当時所内にいた看守全員を捜査対象にすることを決める。そして彼が
刑務所内の監視カメラの映像を検討していた時、Veronica KnoxというINSCOM(United States Army's Intelligence and
Security Command)に所属する女性が現れ、上官からの命令で彼と協力してこの事件を調査するよう命令されたと彼に告げる。
彼は Knoxは彼が兄と密かに連絡するのを監視するために派遣されたと考え不愉快に思うが、彼女とともに調査を行うことに同
意する。そして共犯者を探るべく看守たちの事情聴取を行っていく。
その夜、一人モーテルに帰った彼は、彼の部屋で空将のTim Daughtreyが銃殺されているのを発見する。Daughtreyは彼の調査
に関連して、また彼に対する警告として殺されたとJohnは確信する。

Johnは兄のRobertが軍事法廷で裁かれた反逆罪の罪状の中身が分かれば兄を捜す手がかりを得られると思い、非公開となってい
る裁判資料を得ようとする。出来得れば兄の無実を証明できることを期待して。

次いで、Johnは独房内に残された男の死体の検死に行き、男が殺された手口からその男は兄が殺したと断定する。Johnは、
DaughtreyとRobertはSTRATCOMに所属していたことに注目する、RobertはSTRATCOMの元幹部、DaughtreyはRobertの後がまの
STRATCOMの空将。彼は、独房内で殺されていた男は元STRATCOMの兄を殺すために所内に侵入し、逆に兄に殺されたと考え、二つ
の事件はどちらもSTRATCOMに関連した犯行と確信する。二つの殺人事件と大量殺戮兵器の調査、戦略を練るSTRATCOMとの関わり
を発見して、彼は兄の脱走の背後に大きな陰謀の存在を感じはじめる。
そんな中、Johnは兄の命を狙ったと思われるグループの男たちに銃を突きつけられ拉致される。拉致した男たちはこの事件から
彼が手を引くように要求する。そして、彼らの要求を頑なに拒否するJohnの態度に業を煮やした男の一人は彼の頭に銃を突きつ
け引き金を引こうとするが・・・。


**************************************************************************************************

このシリーズ一巻目から読んでいる者としてはRobertがなぜ反逆罪などという罪を犯して終身刑を受けているのか気になってい
たが、この本でやっとそのことが取り上げられている。今回は、JohnだけではなくRobertも準主役となって自らの事件について
調査を始める。いままでRobertは刑務所に収監されていて自由に歩き回れない安楽椅子探偵として、面会に来るJohnに捜査への
アドバイスを与えるいうユニークな役割を果たしていた。その設定がおもしろいと思っていた僕としては、彼がまた刑務所に収
監されるほうがシリーズ上面白いと考えているのだが・・

Johnは相変わらず軍人魂に凝り固まっている。
上官やKnoxに身内である兄の捜査はやりづらいのでは、と問われると自分は軍人であるからRobertの所在を突き止めろという命
令を遂行するだけだと断言する。
しかし、兄の居所を突き止めたら迷わず軍刑務所に引き渡すべきかどうか?家族をとるか、軍の命令に従うか?心の中で葛藤す
る。Johnは兄に会ったらどうするのか、興味津々で読んでいった。

今回はRobertが持っている情報を巡っての争いで、情報機関は自国民にも嘘をつくことがあるとしてJohnも情報機関から派遣さ
れたKnoxを信頼して良いのかどうか、迷い、いらだつ様子が頻繁にある。


また、なかなか敵の正体が見えず、捜査が空回りしているようで読んでる僕もいらいら。だが、相手の正体が見えてからはクラ
イマックスに向かってどんどん盛り上がっていき、とてもおもしろく読めた。
また、Johnの終盤に見せる不器用さには思わず微笑んでしまう。

だが、STRATCOM、NSCなど多くのアメリカの国家情報機関などの略語が頻繁に出てきて読みづらかった、まぁ、それだけ国家機
関が多いというのは驚きでもあるけど。

★★★ 470ページ Kindle版

 


コメントを投稿