▼未曽有の大雨の被害が西日本で発生した7月。上川陽子法務大臣は、オウム真理教13人の絞首刑を執行した。・・・まるで「人間テルテル坊主」のように。
▼芥川賞作家の辺見 庸は、北海道新聞夕刊に「むごい夏」という見出しで、この異常な国家による殺人に自らのやり切れない心境を吐露している。
▼さらに、歌手ビリー・ホリデーが歌う「奇妙な果実」を引用し、死刑制度の在り方にも疑問を呈している。
▼♪南部の木々に奇妙な果実がある
葉は血に濡れ赤い血が根に滴っている
南部の風に揺れている黒い肉体
ポプラの木々からぶら下がっている奇妙な果実
雄大で美しい南部の牧歌的風景
飛び出した眼歪んだ口
木蓮の甘く爽やかな香り
そこに突然漂う焼けた肉の臭い
此処にもう一つカラスの餌食となる果実がある
雨に打たれ風に弄ばれ
太陽に焼かれ朽ちそして木からその果実は落ちる
此処にもう一つ苦い奇妙な果実がある♪
▼ふと私は、地域の禅寺のおばさんたちが歌う「13仏」の御詠歌を思い出した。
♪南無13体の仏の前にておれもせば
此処にいながら極楽の浄土参りの御請願・・・
▼【13仏】不動明王・釈迦牟尼仏・文殊菩薩・普賢菩薩・地蔵菩薩・弥勒菩薩・薬師如来・観世音菩薩・勢至菩薩・阿弥陀如来・阿閦如来・大日如来・虚空蔵菩薩。
▼【13体のオウム真理幹部の絞首刑・奇妙な果実・禅宗の13仏】。私にはビリー・ホリデーの歌声も御詠歌に聞こえてきた。
▼精神が破綻してたといわれるアサハラが、最期に『4』と言ったという。それを「4女に遺体を預けてくれ」と解釈し、4女も海に散骨することにしているようだ。アサハラは本当に言葉を発したのだろうか。
▼米国同時多発テロの首謀者とされるビンラディンを殺害した米軍は、彼の存在を完全に消去するため、海に散骨したという。近年、対米従属が激しすぎるアベ政権。まさか、散骨まで4女を通して指示させたのではないだろうか。
▼「死人に口なし」。我が国にはそんな言葉もあった。オウム真理教事件。これは我が国が抱える大きな病巣の一つでもある。
▼アサハラは語らず、13体は豪雨災害のおおぜいの死者たちの中に入り、2018年7月に浄土へと旅立った。
▼ビリー・ホリデーはクチナシの白い花が好きで、いつも髪に飾っていた。
▼辺見は最初に7人が処刑された後に、行きつけのカフェの窓越しに、クチナシの花が全て落ちていたのを見たという。それを「奇妙な果実」に連想し「むごい夏」とつぶやいた。
▼私と言えば、猛暑に脳みそまで沸騰させられ幻覚を起こし、「クチナシの花」に「死人に口なし」を重ね妄想に余念がなかった。
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