エクス・アン・プロバンスから電車に乗ってマルセイユに戻って来た。
今日はここに泊まるので早速ホテルにチェックイン。
フランス一治安が悪いときいたし、
建物も昔はきれいだったんだろうけどなんとなくくすんでるし、
ちょっとここの町に泊まるのは緊張してたけど、
狭い安宿の割には、なんかちゃんとしてそうな感じに一安心。
荷物を下ろして、エクスで買ったお菓子で一休み。
どちらもしっかりとした風味と素朴な甘さで疲れた体を癒してくれる。
ほんの少しの休憩後、私たちはまたソワソワと町に出かけた。
じっとしていられない性分の私たち。
まずは港へと向かう。
なんだか好きだなぁ、この港。
観光地ときれいに整備されているせいか、
港特有の、どこかしら隅のほうに巣食う仄暗い雰囲気がここには感じられない。
ただ青く、その先に道を開く、希望とまではいわないけど、そんな感じを受ける。
きっと何かを求めたくさんの人がその道をゆき、
またきっとたくさんの物がここへ届いたんだろう。
その軌跡が青い道のように見える。
さてさて、今夜はこの旅のメインイベント!
”マルセイユでブイヤベース!”
ブイヤベースはマルセイユの名物。
私は、ある小説を読んで以来、ずっとずっと憧れていたのだ。
ブイヤベースをウエイターに注文し、食べる、というだけの短編小説。
小説の内容ももちろん印象深く良いのだが、
なにぶんそこで描写されているブイヤベースのおいしそうなこと。。
いつか本場で食べたいと思っていた。
しかし、元は漁師が食べる郷土料理だったブイヤベースは、
そのおいしさから、今や高級料理に。
そしてなぜか2人前からしかオーダーできないお店が多く、
一人旅でそれを食べるのはなかなか難しい。
なんとなく南仏に旅行に行こうかなと思っていたところ、
たまたま友達が南仏を経由してスペインに旅行する計画だと知って、
じゃあ、予定をあわせて、二人でアレを食べにいこう!となったのだ。
期待に胸を躍らせてお店に向かった。
お店は港から小さな丘をひとつこえた小さな入り江にあった。
海に向いた広い窓ガラスがいい雰囲気のお店。
いちごのスパークリングワインの食前酒と突き出し。
ただのスパークリングワインでなくていちごってところがおしゃれ!
突き出しもおいしくって、気分も盛り上がる。
ブイヤベースに合うと言われているカシの白ワインも頼んで
よしこい、こちとら準備万端!
さて、とうとうやってきました”スープドポアソン”
ああ、どんな味がするんだろう。。
それは濃い深い、海中の魚を凝縮したような味。
おいしいけど、うーん、なんだか私の想像と違う。
小説を読んで、勝手にそれは澄んだ極上の野菜のブイヨンの魚版みたいなイメージでいたのだ。
そういう研ぎすまされた、洗練された一滴ではなく、
なんていうか、、こちらよりというか庶民的というか、
んー、全てを入れて溶かして凝縮しましたっ、的な感じ。
口の中にまったりとざらりと残る魚の旨味、
そしてその向こうに魚が生きてた頃の臭い、
深いというよりは広いものをギュッとしたしたようなスープ。
ふむむ、小説とは違う、というか私の想像が間違ってたけど、
でもこういうものであれば、これはこれで、おいしい。
パンを浸したり、アイオリソースをトッピングしたりしつつ
スープをたのしむ。
そしてひととおりスープを楽しんだ頃に出てくるコレ。
このスープを作るのに使ったお魚さんたち。
出汁は出きっているけど、そこにスープを絡めていただけば
それはまたおいしい。
噂にはきいてたけど、結構ボリューミー。
いつの間にか私たちは黙々と食べ進める事に専念。
それでも完食はむりだった。。
でもでもおいしかった!ごちそうさま。
こんなおいしい夜を共有してくれた友達に感謝。
夢が叶って満足満腹、
小さな入り江の美しい夜景に見送られながら帰路へついたのでした。
<ブイヤベースを食べたお店>
■Chez Fonfon
140 Vallon des Auffes, 13007 Marseille, France
04 91 52 14 38