オリンピックも熱い戦いを終え閉会、
翌朝、私たちはまた旅に出た。
駅で買ったイングリッシュマフィンを朝食に食べながら、
車窓に映るイギリスの静かな田舎の風景を追う。
長い事、列車に揺られ、ようやく着いた湖水地方。
ここに来た理由は、ピーターラビットの世界を見たかったから。
さっそく船で湖の対岸に渡り、ピーターラビットの生まれた村ニア・ソーリーをめざす。
着いた先は林の中。
私の調べでは、散歩がてらに歩いて小一時間ほどで着くはず。
小さな標識を頼りに林を抜ける。
林を過ぎると開けるなだらかな丘陵、低くたれる雲、
大気は静かに留り、眠るような雰囲気の中で、静かに草を食む羊。
つられて静かに私も息をする、それは無理のない、生きとし生けるものの息
フワッと心がほどけていく。
手前の小さな村ファー・ソーリーを過ぎ、
小さな景色を通り過ごして先へ進む。
殺風景までに広がる野原の中、
私たちは羊のように静かに息をする。
降り出した小雨を雑木林に雨よけに歩き、
ほどなくニア・ソーリーに着いた。
ピーターラビットの作者ポターが暮らした家は予約制で、
私たちの順番が来るまでちょっと時間があったので
その間、村を散歩。
村にさえならないくらい小さい集落、
のどかで、しずかな佇まいに、
ほら、童話のどうぶつたちの話し声が聞こえてきそう。
あ、ほら、あのポストの横に!
ようやく私たちの番が近づいたので、
ヒル・トップのお庭へ。
あ!ピーター!
くー、ちっちゃあい。
かわいいーーー♡
母が私を語る時、この子はうさぎが大好きでね~、と言う。
子どもの頃うさぎを飼っている近所の家に入り浸って、日がなうさぎ小屋の前でうさぎを見ていたから。
でも私は、かわいいうさぎが好き、というメルヘンな子どもではなかった、
好きな本は冒険もの探偵もの、ピーターラビットの絵本など手にした事がなかったと思う。
あの時私は、うさぎ小屋の前でただずっとうさぎを見ていた。
よく動く耳、ふわふわと柔らかい毛、どこを見ているか分からない不思議な目、
葉っぱをあげると、ちいさな鼻をひくひくさせながらもしゃもしゃと葉を食べる。
飼っていた犬のように感情や強い意志は見受けられず、
ひょいひょいと飛ぶように跳ね、気ままに動く、動物。
その時の私は、私と動物との差に、強く興味を引かれ、
それが何か知りたいと思って見守っていただけだったのだと思う。
そこに私は初めて自然の成り行き、世界の深さを感じていた。
そして、小さな小屋で右往左往するうさぎのその平らな視線の奥に、
私には青い草原が見えるような気がした。
今ここにある野原ような。
そこに返してあげたかった。
うさぎの遊ぶポターの庭は、夏の花が涼やかに色を添える。
自然があるがままの美しさをそっと庭に映したような
イギリスの庭、好きだなぁ。。
ポターの家も静かでささやかなものだった。
歩くときしむ床の音にポターが住んだときの事を想像してみた。
きっと今日みたいに灰色の空が多いこの土地で、
窓辺に射す柔らかな光を望に、あれこれと思いを巡らしたのだろう。
野にいるうさぎの事、小川にあそぶあひるのこと、軒下のねこのこと。
子どもの頃、外で遊べない雨の日には私も
いつも窓辺に座って外の事に思いを巡らしてた。
心のうちがさわさわとくすぐったいような思い出、
幸せをしあわせと気付く前の、しあわせな思い出。
ここに来てみてよかったな。。
湖水地方を回る為に基点としたボウネスにもどってきた。
賑わう街の様子は静かなニアソーリーとはまた違ったよさ。
かわいいカフェに、おみやげもの屋さん。
さて、そろそろ日も暮れかけて、
今日はよく歩いたし夕飯。
ビーフシチューにパイ、この地方の料理らしい。
ロンドンで洗練されたおいしいものを食べて、イギリスおいしい!と思ってたけど、
きっとその昔はこんな素朴な感じだったんだろうな~。
でも疲れた体は癒してくれる食事はやっぱりありがたい。
知らない土地でその土地のものをいただいて、
ずいぶん遠くにきたもんだと、ふと思う夜なのでした。
翌朝、私たちはまた旅に出た。
駅で買ったイングリッシュマフィンを朝食に食べながら、
車窓に映るイギリスの静かな田舎の風景を追う。
長い事、列車に揺られ、ようやく着いた湖水地方。
ここに来た理由は、ピーターラビットの世界を見たかったから。
さっそく船で湖の対岸に渡り、ピーターラビットの生まれた村ニア・ソーリーをめざす。
着いた先は林の中。
私の調べでは、散歩がてらに歩いて小一時間ほどで着くはず。
小さな標識を頼りに林を抜ける。
林を過ぎると開けるなだらかな丘陵、低くたれる雲、
大気は静かに留り、眠るような雰囲気の中で、静かに草を食む羊。
つられて静かに私も息をする、それは無理のない、生きとし生けるものの息
フワッと心がほどけていく。
手前の小さな村ファー・ソーリーを過ぎ、
小さな景色を通り過ごして先へ進む。
殺風景までに広がる野原の中、
私たちは羊のように静かに息をする。
降り出した小雨を雑木林に雨よけに歩き、
ほどなくニア・ソーリーに着いた。
ピーターラビットの作者ポターが暮らした家は予約制で、
私たちの順番が来るまでちょっと時間があったので
その間、村を散歩。
村にさえならないくらい小さい集落、
のどかで、しずかな佇まいに、
ほら、童話のどうぶつたちの話し声が聞こえてきそう。
あ、ほら、あのポストの横に!
ようやく私たちの番が近づいたので、
ヒル・トップのお庭へ。
あ!ピーター!
くー、ちっちゃあい。
かわいいーーー♡
母が私を語る時、この子はうさぎが大好きでね~、と言う。
子どもの頃うさぎを飼っている近所の家に入り浸って、日がなうさぎ小屋の前でうさぎを見ていたから。
でも私は、かわいいうさぎが好き、というメルヘンな子どもではなかった、
好きな本は冒険もの探偵もの、ピーターラビットの絵本など手にした事がなかったと思う。
あの時私は、うさぎ小屋の前でただずっとうさぎを見ていた。
よく動く耳、ふわふわと柔らかい毛、どこを見ているか分からない不思議な目、
葉っぱをあげると、ちいさな鼻をひくひくさせながらもしゃもしゃと葉を食べる。
飼っていた犬のように感情や強い意志は見受けられず、
ひょいひょいと飛ぶように跳ね、気ままに動く、動物。
その時の私は、私と動物との差に、強く興味を引かれ、
それが何か知りたいと思って見守っていただけだったのだと思う。
そこに私は初めて自然の成り行き、世界の深さを感じていた。
そして、小さな小屋で右往左往するうさぎのその平らな視線の奥に、
私には青い草原が見えるような気がした。
今ここにある野原ような。
そこに返してあげたかった。
うさぎの遊ぶポターの庭は、夏の花が涼やかに色を添える。
自然があるがままの美しさをそっと庭に映したような
イギリスの庭、好きだなぁ。。
ポターの家も静かでささやかなものだった。
歩くときしむ床の音にポターが住んだときの事を想像してみた。
きっと今日みたいに灰色の空が多いこの土地で、
窓辺に射す柔らかな光を望に、あれこれと思いを巡らしたのだろう。
野にいるうさぎの事、小川にあそぶあひるのこと、軒下のねこのこと。
子どもの頃、外で遊べない雨の日には私も
いつも窓辺に座って外の事に思いを巡らしてた。
心のうちがさわさわとくすぐったいような思い出、
幸せをしあわせと気付く前の、しあわせな思い出。
ここに来てみてよかったな。。
湖水地方を回る為に基点としたボウネスにもどってきた。
賑わう街の様子は静かなニアソーリーとはまた違ったよさ。
かわいいカフェに、おみやげもの屋さん。
さて、そろそろ日も暮れかけて、
今日はよく歩いたし夕飯。
ビーフシチューにパイ、この地方の料理らしい。
ロンドンで洗練されたおいしいものを食べて、イギリスおいしい!と思ってたけど、
きっとその昔はこんな素朴な感じだったんだろうな~。
でも疲れた体は癒してくれる食事はやっぱりありがたい。
知らない土地でその土地のものをいただいて、
ずいぶん遠くにきたもんだと、ふと思う夜なのでした。