カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

ロンドンオリンピックの旅(6)~ピーターラビットを探しに

2012-08-13 18:34:20 | └・海外旅行
オリンピックも熱い戦いを終え閉会、
翌朝、私たちはまた旅に出た。

駅で買ったイングリッシュマフィンを朝食に食べながら、
車窓に映るイギリスの静かな田舎の風景を追う。

長い事、列車に揺られ、ようやく着いた湖水地方。
ここに来た理由は、ピーターラビットの世界を見たかったから。
さっそく船で湖の対岸に渡り、ピーターラビットの生まれた村ニア・ソーリーをめざす。
 
着いた先は林の中。
私の調べでは、散歩がてらに歩いて小一時間ほどで着くはず。
小さな標識を頼りに林を抜ける。

林を過ぎると開けるなだらかな丘陵、低くたれる雲、
大気は静かに留り、眠るような雰囲気の中で、静かに草を食む羊。
つられて静かに私も息をする、それは無理のない、生きとし生けるものの息
フワッと心がほどけていく。
 
 
手前の小さな村ファー・ソーリーを過ぎ、

小さな景色を通り過ごして先へ進む。

殺風景までに広がる野原の中、
私たちは羊のように静かに息をする。

降り出した小雨を雑木林に雨よけに歩き、
ほどなくニア・ソーリーに着いた。

ピーターラビットの作者ポターが暮らした家は予約制で、
私たちの順番が来るまでちょっと時間があったので
その間、村を散歩。
 
 
村にさえならないくらい小さい集落、
のどかで、しずかな佇まいに、
ほら、童話のどうぶつたちの話し声が聞こえてきそう。
 
あ、ほら、あのポストの横に!

ようやく私たちの番が近づいたので、
ヒル・トップのお庭へ。

あ!ピーター!

くー、ちっちゃあい。
かわいいーーー♡

母が私を語る時、この子はうさぎが大好きでね~、と言う。
子どもの頃うさぎを飼っている近所の家に入り浸って、日がなうさぎ小屋の前でうさぎを見ていたから。
でも私は、かわいいうさぎが好き、というメルヘンな子どもではなかった、
好きな本は冒険もの探偵もの、ピーターラビットの絵本など手にした事がなかったと思う。
あの時私は、うさぎ小屋の前でただずっとうさぎを見ていた。
よく動く耳、ふわふわと柔らかい毛、どこを見ているか分からない不思議な目、
葉っぱをあげると、ちいさな鼻をひくひくさせながらもしゃもしゃと葉を食べる。
飼っていた犬のように感情や強い意志は見受けられず、
ひょいひょいと飛ぶように跳ね、気ままに動く、動物。
その時の私は、私と動物との差に、強く興味を引かれ、
それが何か知りたいと思って見守っていただけだったのだと思う。
そこに私は初めて自然の成り行き、世界の深さを感じていた。
そして、小さな小屋で右往左往するうさぎのその平らな視線の奥に、
私には青い草原が見えるような気がした。
今ここにある野原ような。
そこに返してあげたかった。
  
 
うさぎの遊ぶポターの庭は、夏の花が涼やかに色を添える。
 
 
自然があるがままの美しさをそっと庭に映したような
イギリスの庭、好きだなぁ。。
 
 
ポターの家も静かでささやかなものだった。
歩くときしむ床の音にポターが住んだときの事を想像してみた。
きっと今日みたいに灰色の空が多いこの土地で、
窓辺に射す柔らかな光を望に、あれこれと思いを巡らしたのだろう。
野にいるうさぎの事、小川にあそぶあひるのこと、軒下のねこのこと。

子どもの頃、外で遊べない雨の日には私も
いつも窓辺に座って外の事に思いを巡らしてた。
心のうちがさわさわとくすぐったいような思い出、
幸せをしあわせと気付く前の、しあわせな思い出。
ここに来てみてよかったな。。

湖水地方を回る為に基点としたボウネスにもどってきた。
 
  
賑わう街の様子は静かなニアソーリーとはまた違ったよさ。
 

かわいいカフェに、おみやげもの屋さん。

さて、そろそろ日も暮れかけて、
今日はよく歩いたし夕飯。

ビーフシチューにパイ、この地方の料理らしい。
ロンドンで洗練されたおいしいものを食べて、イギリスおいしい!と思ってたけど、
きっとその昔はこんな素朴な感じだったんだろうな~。
でも疲れた体は癒してくれる食事はやっぱりありがたい。
知らない土地でその土地のものをいただいて、
ずいぶん遠くにきたもんだと、ふと思う夜なのでした。