(古今和歌集 巻第十二(本阿弥切)伝小野道風筆 京都国立博物館)
今日はあまり時間がとれないので、私の好きな歌の紹介。
小野小町の夢の歌三首として知られる、『古今和歌集』恋二の巻頭部分(歌番号は、552~554番)。
「題知らず」(詠歌事情の分からない歌)として、
思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらん夢と知りせば覚めざらましを
うたた寝に恋しき人を見てしより夢といふものは頼み初(そ)めてき
いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る
うたた寝に恋しき人を見てしより夢といふものは頼み初(そ)めてき
いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣をかへしてぞ着る
の三首を連続して収める。
以前、東京国立博物館に「和様の書」展を観に行ったとき、私の大好きなこの歌が、料紙・筆跡共に美しく書かれているのに出会えて嬉しくなった。
解説によれば、夾竹桃の型文様を雲母(きら)で摺り出した優美な舶載の唐紙(からかみ)を用いているのだという。
歌の内容に相応しく、繊細で可憐な文字・意匠で書写・装飾されており、貴重な美術品だと思う。
私としては最初の歌がいちばん好きだが、最後の歌もおもしろい。当時は、衣を裏返しに着て寝ると、恋しい人を夢に見るという俗信があったのだという。
三首共に切ない片思いの情を詠んだ秀歌であるが、わずか三十一文字で人間の感情の最も微妙で美しい部分をすくい取ることができることに、また千百年もの時を超えてタイムカプセルのように感動を伝えてくれることに、和歌という文学形式のはかり知れない力を思い知らされる気がする。
時空を超えて詠む者に訴えかけるような素敵な歌ですね(笑)
「いつの世も変わらぬ恋心・・・」
恋の切なさよ・・・
恋する者のなんとも心憂い・・・情感を掻き立てるよう大変美しい歌であります・・・
もうこちらはちかさださんの専門分野でございますが(笑)
和歌とは非常に簡潔でありながら・・・
それでいてハッとさせられるような「核心」を衝いている・・・
いつの時代でも人間の本質とは変わらないものですね(笑)
和歌は言われるとおり文が流麗で音楽的と言いましょうか・・・
美しいハーモニーを感じさせます
日本における素晴らしい文学だと思います。