今日、仕事の合間に銀行への用事で外出したとき、その近所の公園に藤の花が咲いているのが目に付いて見に行った。
藤棚の下から見上げると、淡い若紫色の花弁が房状に垂れ下がり、風にゆらゆらと揺れている。
吹く風の感触とともに、花からとてもよい香りが伝わってくる。
王朝和歌の世界では、桜が散った後は、山吹、躑躅、藤と、いくつもの花が咲いて、いつしか春は終わりを告げ、夏を迎える。(『古今和歌集』以降の和歌の歴史で、そういう様式が確立した。)風の強い一日だったが、日差しは強くまぶしく、しだいに夏に近づいていることを感じる。
藤棚にはひまつはれる花見れば長き春日(はるび)も飽かぬ色かな
藤の花盛りに咲けば吹く風も若紫の色ににほへる
藤の花盛りに咲けば吹く風も若紫の色ににほへる