夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

君と歩く世界(その1)

2013-04-14 23:31:50 | 映画

原題は“DE ROUILLE ET D'OS/RUST AND BONE”。直訳すると「錆と骨」だが、どういう意味なのか、まだわからない。タイトル同様、映画の内容のほうも、かなり抽象的であった。
事故で両脚を失い、絶望の淵に沈んでいた女性が、ある男性との出会いを通して、生きる力を回復し、生の意味、人を愛することの意味に初めて気づいていく物語。

さわりだけあらすじ

映画は、南仏のアンティーブ(海辺のリゾート地)に、アリが息子のサムを連れてやって来るところから始まる。アリはほとんど文無しらしく、アンティーブに来る電車内で食べ物をあさったり、ヒッチハイクをしたり、カメラを万引きしたりしている。詳しくは語られないが、妻とは別れ、息子を引き取って姉のアナが夫婦で住む家に、居候させてもらうことになったらしい。アリが姉と会うのは五年ぶり。以前、レスリングとムエタイなどの格闘技をしていた経験があるのを活かし、アネックスというナイトクラブで用心棒のアルバイトをすることを決める。

ある夜アリは、アネックスで酔っ払ってケンカし、殴られてケガをしたステファニーを助け、家までタクシーで送っていく。その途中でアリは、ステファニーの男を誘うような服装を見て、「まるで売春婦だ。」と率直に言い、彼女の怒りを買う。
ステファニーが彼氏と同棲しているアパートまで送り、部屋に上がると、彼女がシャチと一緒に映っている写真が壁に何枚も貼ってある。ステファニーは実は、地元のマリンランドでシャチの調教師をしていたのだ。

その翌日。ステファニーはいつものようにマリンランドでウェットスーツを着て、ショータイムに向かう。ところが、シャチがスライディングしているとき、ステージが崩れ、
「ステファニー、危ない!」
同僚の叫びもむなしく、事故に巻き込まれてしまう。

…ステファニーは病院で目覚め、体を起こそうとして、脚がないのに気づく。
「私の脚、どうしたの?どうなったの!」
と泣き叫ぶステファニー。
絶望で昼も夜も誰とも話さず、背を向けて寝るだけの日々。両脚はひざ上から切断され、ステファニーは生きる望みをなくしている。リハビリが始まっても表情はうつろで、戸外へも出たがらない。

その頃、息子を学校に預けながら、夜の警備の仕事をしていたアリに、ステファニーから電話がかかってくる。
彼女は今は退院して、アパートで一人暮らしをしており、手伝いで家事などをしに来てくれる人がいる。
アリは、ステファニーの事故のことはTVの報道で知っていたが、あの夜以来、彼女とはまったく連絡はとっていない。困惑を覚えながら、アリは夜勤明けに彼女のアパートへ向かうが…。