夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

春の嵐

2013-04-03 23:30:36 | 日記

朝、新聞で天気図を見たら、台風並みの勢力に発達した低気圧が本州付近にあったので、覚悟して家を出た。今日も実家から国文研に行く。外は激しい雨風で、駅まで歩いて行くのも往生した。

「花に嵐」とはよく言ったものだ。駅前の桜の木も、強風にあおられ、花はとても持ちこたえられそうにない。この風雨がなくても、花の盛りは短く、やがて色褪せて散ってしまうことは分かっているが、よりにもよってこの時期に来なくてもいいだろうにと思う。

  しばしだに春の嵐はたゆまなむ年ひとたびの花にも飽かぬに

午後になって雨はやみ、調べものを終えて夕方、国文研を出るが、まだ風が強い。昨日見た桜並木は、木の下に一面に花びらが散り敷き、また風に折られた枝が転がっていたりして、春の嵐がどれだけ猛威をふるったかを感じさせる。

気がつくと、所々に大きな水たまりができていて、そこに花びらが浮かび、桜の姿が映っているのがとてもきれいだった。花を散らした嵐は恨めしいが、そのおかげでこんな光景も見られたのかもしれないと思った。

  木(こ)の下(もと)に花の姿をみづかがみ風のなごりのさざなみぞたつ