テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 見るたび、読むたび、深くなる ~

2020-03-20 22:17:02 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちょッとだけェ、さきましたでス!」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!気温で開花~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ここ東京・八王子でも、ソメイヨシノが
 ちらほらと咲き始めましたよ~♪
 昨日はまだ気配もなかったのに、
 今日は一分咲き……ということは、
 満開になるのは来週末あたりかしら?
 出来ればゆっくりゆっくり咲き進んでおくれと願いつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの新書作品を、どうぞ~♫

  



       ―― 欲望の名画 ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、
 2019年8月に発行されました。
 月刊誌『文藝春秋』のカラーページ連載
 《中野京子の名画が語る西洋史》の中から
 26作分を選び、
 改題の上、加筆修正して完成したのが
 ↑この御本です。

「げんざいィもォ、れんさいィちゅゥでスよゥ!」
「ぐるがるるる!」(←訳:好評なのです!)

 『文藝春秋』誌での発表時とはやや内容を変え、
 本文は、

 第1章『愛欲』
 第2章『知的欲求』
 第3章『生存本能』
 第4章『物欲』
 第5章『権力欲』

 という5つの章と、
 エピローグに相当する

 『欲望の果てに』

 の章から構成されています。

「ふァいッ! これェ、ゆうめいィでス!」
「がるるぐるるる!」(←訳:画集の常連さん!)

 著者・中野さんが取り上げているのは、
 アングルさん作『グランド・オダリスク』、
 ミレイさん作『オフィーリア』、
 ビアズリーさん作『踊り手の褒美』、
 ドラクロワさん作『民衆を導く自由の女神』など、
 所蔵する美術館の看板となっている
 超有名な作品たち。

 これらの作品には、
 章の題名からも察せられように、

 恋人を失いたくない、
 この世の理を知りたい、
 財産が欲しい、
 権力の頂点に立ちたい!

 ……そんな《欲望》《願望》が
 描き込まれています。

「ううゥ! それはァ、こわいィ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:怖くて切ない!)

 さまざまな《欲望》が並ぶ中で、
 いちばん切なくて、哀しくて、
 背筋にヒヤリとしたものが走るのは、
 『生存本能』の章でしょうか。

 生きる、生き延びる。
 ギリギリの境界線上で、
 生きてゆくすべを探す人々の姿を浮かび上がらせる
 レーピンさん作『ヴォルガの船曳き』。

 世界を覆う影に沈む
 カリエールさん作『病気のこども』。

 どちらも、
 物欲や権力欲をテーマにした作品より、
 ずしりと、重みを感じさせる作品です。
 
 おっと、
 暗くなっちゃいましたけど、
 御本の終盤には、
 思わず笑い出しちゃう不思議な作品も
 掲載されていますよ。

「わわッ? これはッ?」
「がるるぐる??」(←訳:何なのこれ??)

 ルソーさん作『フットボールをする人々』は……

 はぁ?
 これフットボール(ラグビー)なの?
 明治か大正時代の水泳着でしょ?
 笑えっちゃうしかないヘンテコ画なんだけど?

 しかし、著者・中野さんは
 笑いとヘンテコフットボールの背後に
 《欲望》を読み取ります。

 ルソーさんは、この作品に
 どんな思いを込めたのか――

「わほほゥ!」
「ぐるるっるがる!」(←訳:そうだったのか!)

 見るたび、
 読むたび、
 絵画からこぼれおちる物語の数々を、
 アート好きな方々も、
 歴史好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、探してみてくださいね。
 おすすめですよ~♪
 
  
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