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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 明治の港に、船は着く ~

2023-12-10 22:08:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぱふゥッ! おおたにィさァ~んッ!」

「がるる!ぐっるがるるるる!」(←訳:虎です!ビックビジネスだ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大谷翔平選手、ドジャースへの移籍が決定!

 2024年も西海岸での健闘を期待しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 日本美術の冒険者 ――

 

 

 著者は中野明(なかの・あきら)さん、2021年6月に発行されました。

 『THE ADVENTURER OF JAPANESE ART CHARLES LANG FREER』と英語題名が、

 『チャールズ・ラング・フリーアの生涯』と日本語副題が付されています。

 

 日本から遠く隔たった米国の西……じゃなくて、東海岸。

 ワシントンDCのスミソニアン博物館群の中に、

 ひとつの美術館があります。

 

 フリーア美術館。

 

 1923年、米国で初の国立美術館として開館した

 この美術館が収蔵するのは、

 チャールズ・ラング・フリーアさん(1854~1919)が収集した

 数千点の美術品です。

 

「とくにィ、ちゅうもくゥすべきなのはァ~」

「がるぐる!」(←訳:日本美術!)

 

 戦火のタネを抱えつつも、

 まだ世界大戦など影も形もなかった時代のこと、

 或る富豪さんが客船に乗って日本へやって来ました。

 

 その人物こそ、フリーアさん。

 事業に成功し、

 大富豪になっていた彼が

 明治の日本で“発見“したものは、

 数多の美。

 

「ぐすんッ、かなしいことにィ~」

「ぐるるがるるる!」(←訳:名品がザクザク!)

 

 旧体制が崩れた日本では、

 国宝級の美術品が売買されることも

 珍しくない状況であったと、

 今では知られていますが、

 フリーアさんが手に入れた美術品のリストを

 この御本の本文であらためて目にすると、

 ああもう、ヒステリーを起こしそうになりますよ。

 

 俵屋宗達さん、本阿弥光悦さん、

 尾形光琳さんに乾山さん、酒井抱一さん、

 北斎さん、広重さん、歌麿さん……

 

 本国アメリカにいた頃から

 浮世絵などの日本美術品を買い入れていたフリーアさん、

 “本場“の日本に到着して、

 いっそう美術愛と収集欲が刺激されちゃったようで。

 

「あれもッこれもッ!」

「がるるぐるがるるる!」(←訳:値切るのも忘れずに!)

 

 著者・中野さんは、

 フェノロサさんやホイッスラーさんたちの助言・提言を胸に、

 日本の文化の影響を受けつつ、

 美術品を収集してゆくフリーアさんの日本滞在の日々、

 そして、

 収集品を国家に寄贈する計画を進めてゆく帰国後の行動を

 悠々たる筆致で描きます。

 

「びじゅつかんッ、たてちゃいィまスかッ?」

「ぐるるるがるるるるる~?」(←訳:たくさん集めたんだね~?)

 

 実はフリーアさん、

 日本美術の収集家として有名なんですけれども、

 収集の対象は日本美術だけじゃなかったんです。

 

 亡くなった時点でフリーアさんが所有していたのは、

 友人・ホイッスラーさんの作品だけで千点超、

 米国人作家さんの作品や、

 中国の美術品、朝鮮半島の美術品、

 エジプトの美術品、

 中近東とインドの美術品、、

 バビロニア・ビザンチンその他の美術品、と

 総数15.434点……!

 

「あわわわゥ!」

「がるるるるぐるるるっる……!」(←訳:アメリカのお金持ちって……!)

 

 フリーア美術館の所蔵品は、門外不出。

 寄贈者の遺志に従い、

 外部への貸し出しは行っていません。

 21世紀となった今も。

 

 明治の日本で、

 フリーアさんは何を見、何に情熱を燃やしたのか。

 日本の美術の何が彼のこころをとらえたのか。

 ひとりの収集家さんの《美》に魅入られた生涯を、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪