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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ オリーブの丘の上に ~

2023-05-16 22:08:38 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あちちちィ~!」

「がるる!ぐるがるぅ~??」(←訳:虎です!また真夏ぅ~??)

 

 こんにちは、ネーさです。

 またまたしても夏のような暑さがやって来ました……

 熱中症にならぬよう、涼しい場所に移動したら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― メディチ家の別荘と庭園 ――

 

 

 著者は松本典昭(まつもと・のりあき)さん、

 2023年2月に発行されました。

 『世界遺産の歴史を旅する』と副題が付されています。

 

 前回記事でご紹介しました『園芸のジャポニスム』の、

 19世紀末のパリから

 ぐぐぐ~っと時計の針を戻して、

 はい、到着したのは。

 

「はなのォ、ふィれんつェ!」

「ぐるるるるるがるぐる!」(←訳:ルネサンスの黄金時代!)

 

 14~16世紀のイタリア半島――

 ルネサンス(再生、復活などを意味するフランス語)運動の

 中心地となったのは、都市フィレンツエでした。

 

 そのフィレンツェに君臨した大富豪メディチ家の

 当主さんたちは考えます。

 

 休みたい。

 ややこしい政治や人間関係が渦巻く都市から離れて、

 ゆっくり休養したい。

 私にだって、プライベートな時間と空間が必要なんだ。

 

「ならばァ、つくりましょゥッ!」

「がるる!」(←訳:別荘を!)

 

 メディチ家は、

 合計36の別荘をトスカーナに所有していました。

 

 この御本では、2013年に

 『トスカーナにおけるメディチ家の別荘と庭園』として

 ユネスコ世界文化遺産に登録された

 12の別荘と2つの庭園が取り上げられています。

 

 イタリアの建築に見受けられる、

 外観はあまり飾り気がないけれども、

 一歩内部に踏み入れば。

 

   極彩色のフレスコ画、

   壁面には豪華なタペストリーと絵画、

   凝ったデザインの家具に絹のクッション、

 

 というような”別世界”が広がっているわけですね。

 

「うむゥ! どのべッそうゥもォ、いいけどォ~」

「ぐるるがるぐるるがる?」(←訳:らしさ全開なのはどこ?)

 

 トスカーナ丘陵の、

 緩斜面に並ぶオリーブの樹々。

 その向こうにはテラコッタ色の屋根の館があって、

 瀟洒な客間や当主さんの私室の壁には、

 ティツィアーノさん作の肖像画と

 カラヴァッジョさん作の『バッカス』像……。

 

 アート好きさんにとって

 まさに理想の空間と言えるのは、

 本分128ページの

 《アルティミーノの別荘》ですね。

 

「ふゥ! てんごくゥなのでスゥ~!」

「がるぐるる!」(←訳:眼福空間だ!)

 

 入念に修理修復され、

 観光客さんに人気の別荘とは反対に、

 残念ながら廃墟と化している別荘があるのも、

 時の流れの為すところ、でしょうか。

 

 著者・松本さんが

 『メディチ家の別荘・庭園の最高傑作』と推す

 《プラトリーノ庭園》は、

 並木道は土と枯葉で覆われ、

 池は形も判然とせず、

 往時の麗姿の多くが失われてしまいました。

 

 それでも、

 ミステリアスなグロッタ(人工洞窟)、

 庭園の彫像たちは健在ですよ。

 

「ちょッぴりィ~おばけやしきィ?」

「ぐるがるるぐる!」(←訳:綺麗すぎる廃墟!)

 

 糸杉が揺れるフィエーゾレの別荘。

 ボッティチェリさんの名作が飾られていたカステッロの別荘――

 かつてメディチ家が築いた

 ”憩いのための避難所”の、

 時を経た姿かたち。

 

 ジャポニスムな庭園とは大きく異なれど、

 ルネサンスの美を今も宿す14の別荘&庭園は、

 世界遺産にふさわしい芸術作品です。

 アート好きな方々はぜひ、

 建築好きな方々も、

 手に取ってじっくり読み、観賞してくださいね。

 歴史好きな活字マニアさんにも、おすすめですよ~♪