「こんにちわッ、テディちゃでス!
あちちちィ~!」
「がるる!ぐるがるぅ~??」(←訳:虎です!また真夏ぅ~??)
こんにちは、ネーさです。
またまたしても夏のような暑さがやって来ました……
熱中症にならぬよう、涼しい場所に移動したら、
さあ、読書タイムですよ。
本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― メディチ家の別荘と庭園 ――
著者は松本典昭(まつもと・のりあき)さん、
2023年2月に発行されました。
『世界遺産の歴史を旅する』と副題が付されています。
前回記事でご紹介しました『園芸のジャポニスム』の、
19世紀末のパリから
ぐぐぐ~っと時計の針を戻して、
はい、到着したのは。
「はなのォ、ふィれんつェ!」
「ぐるるるるるがるぐる!」(←訳:ルネサンスの黄金時代!)
14~16世紀のイタリア半島――
ルネサンス(再生、復活などを意味するフランス語)運動の
中心地となったのは、都市フィレンツエでした。
そのフィレンツェに君臨した大富豪メディチ家の
当主さんたちは考えます。
休みたい。
ややこしい政治や人間関係が渦巻く都市から離れて、
ゆっくり休養したい。
私にだって、プライベートな時間と空間が必要なんだ。
「ならばァ、つくりましょゥッ!」
「がるる!」(←訳:別荘を!)
メディチ家は、
合計36の別荘をトスカーナに所有していました。
この御本では、2013年に
『トスカーナにおけるメディチ家の別荘と庭園』として
ユネスコ世界文化遺産に登録された
12の別荘と2つの庭園が取り上げられています。
イタリアの建築に見受けられる、
外観はあまり飾り気がないけれども、
一歩内部に踏み入れば。
極彩色のフレスコ画、
壁面には豪華なタペストリーと絵画、
凝ったデザインの家具に絹のクッション、
というような”別世界”が広がっているわけですね。
「うむゥ! どのべッそうゥもォ、いいけどォ~」
「ぐるるがるぐるるがる?」(←訳:らしさ全開なのはどこ?)
トスカーナ丘陵の、
緩斜面に並ぶオリーブの樹々。
その向こうにはテラコッタ色の屋根の館があって、
瀟洒な客間や当主さんの私室の壁には、
ティツィアーノさん作の肖像画と
カラヴァッジョさん作の『バッカス』像……。
アート好きさんにとって
まさに理想の空間と言えるのは、
本分128ページの
《アルティミーノの別荘》ですね。
「ふゥ! てんごくゥなのでスゥ~!」
「がるぐるる!」(←訳:眼福空間だ!)
入念に修理修復され、
観光客さんに人気の別荘とは反対に、
残念ながら廃墟と化している別荘があるのも、
時の流れの為すところ、でしょうか。
著者・松本さんが
『メディチ家の別荘・庭園の最高傑作』と推す
《プラトリーノ庭園》は、
並木道は土と枯葉で覆われ、
池は形も判然とせず、
往時の麗姿の多くが失われてしまいました。
それでも、
ミステリアスなグロッタ(人工洞窟)、
庭園の彫像たちは健在ですよ。
「ちょッぴりィ~おばけやしきィ?」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:綺麗すぎる廃墟!)
糸杉が揺れるフィエーゾレの別荘。
ボッティチェリさんの名作が飾られていたカステッロの別荘――
かつてメディチ家が築いた
”憩いのための避難所”の、
時を経た姿かたち。
ジャポニスムな庭園とは大きく異なれど、
ルネサンスの美を今も宿す14の別荘&庭園は、
世界遺産にふさわしい芸術作品です。
アート好きな方々はぜひ、
建築好きな方々も、
手に取ってじっくり読み、観賞してくださいね。
歴史好きな活字マニアさんにも、おすすめですよ~♪