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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 魔術がはじける?パラレル冒険譚 ~

2023-03-12 21:40:37 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あううゥ~! つよいィ~」

「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!王者の強さ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 初防衛を遂げた藤井王将と羽生善治九段、

 お疲れさまでした……!

 熱戦を終えた御二方に心からの拍手を送った後は、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、将棋と同じように、

 頭脳労働が世界を組み立てるこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 明智卿死体検分 ――

 

 

 著者は小森収(こもり・おさむ)さん、

 2022年12月に発行されました。

 『Find the Onmyouji / Too Many Onmyoujis』

 と英語題名が付されています。

 

「ぱられるゥ!」

「ぐるーるがるる!」(←訳:スチームパンク!)

「みすてりィ~!」

 

 6巻から成るアンソロジー『短編ミステリの二百年』が

 日本推理作家協会賞(評論・研究部門)と

 本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を

 ダブルで受賞!

 ミステリファンさんからも大喝采!

 という偉業を達成した小森収さん。

 

 その小森さんが、

 アンソロジストではなく作家として

 送り出したこの御本は、

 ええ、そうなんです。

 

 舞台はパラレルワールド、

 時代的にはスチームパンク、

 登場人物はフィクションとノンフィクションをミックスした

 歴史上の偉人さんたち。

 

 という、壮大なエンタ作品になっていて、

 私ネーさ、驚かされました……!

 

 だってもう、

 探偵役を務めるのが、

 明智小壱郎光秀(あけち・こいちろう・みつひで)さん、ですよ?

 役職でいうなら、

 織田家家臣の、明智越前守(あけちえちぜんのかみ)であり、

 官職名は、権刑部卿(ごんのぎょうぶきょう)。

 

 しかも、

 明智さんの相棒役は、

 陰陽師の、阿部天晴(あべのてんせい)さん。

 

「うふふふッ!」

「がるぅるるぅぐる~♪」(←訳:めちゃくちゃです~♪)

 

 冗談なのかしら?と目を丸くしてしまう設定ですけれど、

 実は、綿密かつ入念な構想のもとに描き出されています。

 

 陰陽師(魔術師)さんたちが躍動する世界――

 この世界の“日本“にも

 “帝“はおれらますが、

 政治の在り様が、私たちの世界とは異なっていて。

 

 織田、羽柴、徳川、の3家が、

 将軍職を持ち回りして、国を統治運営している。

 

 というような形で。

 

「いまはァ、とくがわァさんッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:本拠地は東国!)

 

 現在は将軍職から外れている織田家。

 織田の家臣である明智卿は

 いささか肩身が狭い……はずなんですけれど。

 

 勅命です。

 “帝“直々の御指名によって、

 明智小壱郎さんは

 或る犯罪事件を解決するよう命じられたのです。

 

「ふァ? こッ、これはァ~??」

「がる!」(←訳:雪だ!)

 

 由緒ある屋敷の、

 四阿(あずまや)で

 雪に埋もれて亡くなっていたのは、誰か。

 

 いや、ちょっと待って?

 雪、って?

 四阿以外のどこにも雪なんてないし?

 雪に埋もれて、って

 埋もれちゃう前になぜ歩いて出てこなかったの?

 

「まじゅつゥ、でスかッ?」

「ぐるるる?」(←訳:陰陽の術?)

 

 いったい何が何だか?な不可能犯罪に、

 探偵・明智さんは敢然と挑みます。

 陰陽師・天晴さんの知識と経験、

 明智さん自身の理知の力をもって。

 

 はたして、雪の四阿の、カラクリは。

 

「わらいィありィ!」

「がるぐる!」(←訳:機智あり!)

 

 物語のあちこちにちりばめられているのは、

 古今の名作ミステリ&巨匠さんたちへのオマージュ。

 

 国内外のクラシックミステリや、

 中世史&近代史好きな方々には

 大いに愉しめること間違いなしの怪なる快作は、

 SF好きな方々にもおすすめですよ。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪