「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
わおおゥ! ふッてくるでスゥ~!」
「がるる!ぐるるー!」(←訳:虎です!避難だー!)
こんにちは、ネーさです。
ええ、今年もこの季節がやって来ました。
イチョウの枝から熟した銀杏の実が降ってくる季節です。
ここ東京・八王子の、イチョウ並木の下を歩く予定がある御方は、
どうか頭上にご注意くださいね。
もちろん、踏んじゃったりしてもエラいことになりますので
足元、靴の裏にも注意しながら、
さあ、本日の読書タイムは
こちらを、どうぞ~♪

―― テロ ――
著者はフェルディナンド・フォン・シーラッハさん、
原著は2015年に、日本語版は2016年7月に発行されました。
2012年に『犯罪』で本屋大賞・翻訳賞悦部門第一位を受賞し、
日本の活字マニアさんにも広く知られることとなった著者・シーラッハさんの、
この御本は……
はたして小説作品といっていいのか、
賛否両論を呼んでいる新作です。
「むゥ~、むずかしィのでスゥ~…!」
「ぐるるるるがる?」(←訳:虚構なのか否か?)
“ストーリー”自体は、
いたってシンプルです。
そこは、ドイツの、とある法廷。
裁判長と、
検察官と弁護人、
そして被告人が揃い、
ちょうど審理が始まろうとしているところで、
検察官が起訴状を朗読します。
2013年7月26日、
被告人ラース・コッホは
ドイツ上空で旅客機を撃墜し、
乗客164人を死に至らしめた――
彼は有罪か、無罪か、
参審員であるあなたがた(=読み手)は
評決をせねばならない――
「だいじけんッでスよゥ!」
「がるるるる!」(←訳:どうしよう!)
そう、この事件には、
どうしよう、と悩まざるを得ない背景があるのです。
ベルリン発ミュンヘン行きのッルフトハンザ航空機は、
テロリストにハイジャックされ、
強制的に進路を変更させられたました。
テロリストの狙いは、
アリアンツ・アレーナ・スタジアム。
7万人の観客で満員となっている
ドイツ王者バイエルンのホームスタジアムに
旅客機を墜落させようとしていたのでした。
「そんなのォ、よくないィでスゥ!」
「ぐるがるっ!」(←訳:テロ反対っ!)
では、どうするか。
ドイツ空軍の戦闘機パイロットである被告人は、
選択を迫られます。
ハイジャックされた旅客機ををそのまま行かせるのか。
行かしたら、7万人の観客の生命は?
それとも、
旅客機を撃墜するのか。
撃墜したら、旅客機に乗っている164人の生命は?
そうして、被告人は、選びました。
旅客機を撃墜する方を。
「ええええェ~ッ!」
「がるるー!」
旅客機は、畑に墜落。
乗客164人に生存者なし。
一方で、スタジアムの観客7万人は無事でした。
7万人の生命を守るために、
164人の生命を見棄てた被告人の行為は
罪であるか、否か――
あなたの答えは?
「そッそんなことォ、いわれてもッ」
「ぐるるるるがるぐるっ?」(←訳:選ばないとダメなのっ?)
164人か、7万人か。
それはそもそも、選ぶなど許されることなのか?
数が多い少ないと、
天秤にかけていいものなのか、人命とは?
白熱する議論に、
読み手の私たちは何を思うべきなのか。
「こたえェ、だせないィでスゥ!」
「がるるるるるぅ!」(←訳:分からないよぉ!)
著者さんが読み手に突きつける命題を
冷静に判断することは可能でしょうか。
私たちはとうに、
現実がフィクションを追い越してしまったと痛感しています。
パリで、シリアで、イスタンブールで、ニースで、
起こった事々はフィクションではないと知っています。
その上で、
判断せねばならない被告人の《罪》とは、何なのか。
「むずかしィすぎまスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:誰か助けて!)
読み手にすべてをゆだねる“作品”です。
全活字マニアさん、ぜひ、一読を。
わおおゥ! ふッてくるでスゥ~!」
「がるる!ぐるるー!」(←訳:虎です!避難だー!)
こんにちは、ネーさです。
ええ、今年もこの季節がやって来ました。
イチョウの枝から熟した銀杏の実が降ってくる季節です。
ここ東京・八王子の、イチョウ並木の下を歩く予定がある御方は、
どうか頭上にご注意くださいね。
もちろん、踏んじゃったりしてもエラいことになりますので
足元、靴の裏にも注意しながら、
さあ、本日の読書タイムは
こちらを、どうぞ~♪

―― テロ ――
著者はフェルディナンド・フォン・シーラッハさん、
原著は2015年に、日本語版は2016年7月に発行されました。
2012年に『犯罪』で本屋大賞・翻訳賞悦部門第一位を受賞し、
日本の活字マニアさんにも広く知られることとなった著者・シーラッハさんの、
この御本は……
はたして小説作品といっていいのか、
賛否両論を呼んでいる新作です。
「むゥ~、むずかしィのでスゥ~…!」
「ぐるるるるがる?」(←訳:虚構なのか否か?)
“ストーリー”自体は、
いたってシンプルです。
そこは、ドイツの、とある法廷。
裁判長と、
検察官と弁護人、
そして被告人が揃い、
ちょうど審理が始まろうとしているところで、
検察官が起訴状を朗読します。
2013年7月26日、
被告人ラース・コッホは
ドイツ上空で旅客機を撃墜し、
乗客164人を死に至らしめた――
彼は有罪か、無罪か、
参審員であるあなたがた(=読み手)は
評決をせねばならない――
「だいじけんッでスよゥ!」
「がるるるる!」(←訳:どうしよう!)
そう、この事件には、
どうしよう、と悩まざるを得ない背景があるのです。
ベルリン発ミュンヘン行きのッルフトハンザ航空機は、
テロリストにハイジャックされ、
強制的に進路を変更させられたました。
テロリストの狙いは、
アリアンツ・アレーナ・スタジアム。
7万人の観客で満員となっている
ドイツ王者バイエルンのホームスタジアムに
旅客機を墜落させようとしていたのでした。
「そんなのォ、よくないィでスゥ!」
「ぐるがるっ!」(←訳:テロ反対っ!)
では、どうするか。
ドイツ空軍の戦闘機パイロットである被告人は、
選択を迫られます。
ハイジャックされた旅客機ををそのまま行かせるのか。
行かしたら、7万人の観客の生命は?
それとも、
旅客機を撃墜するのか。
撃墜したら、旅客機に乗っている164人の生命は?
そうして、被告人は、選びました。
旅客機を撃墜する方を。
「ええええェ~ッ!」
「がるるー!」
旅客機は、畑に墜落。
乗客164人に生存者なし。
一方で、スタジアムの観客7万人は無事でした。
7万人の生命を守るために、
164人の生命を見棄てた被告人の行為は
罪であるか、否か――
あなたの答えは?
「そッそんなことォ、いわれてもッ」
「ぐるるるるがるぐるっ?」(←訳:選ばないとダメなのっ?)
164人か、7万人か。
それはそもそも、選ぶなど許されることなのか?
数が多い少ないと、
天秤にかけていいものなのか、人命とは?
白熱する議論に、
読み手の私たちは何を思うべきなのか。
「こたえェ、だせないィでスゥ!」
「がるるるるるぅ!」(←訳:分からないよぉ!)
著者さんが読み手に突きつける命題を
冷静に判断することは可能でしょうか。
私たちはとうに、
現実がフィクションを追い越してしまったと痛感しています。
パリで、シリアで、イスタンブールで、ニースで、
起こった事々はフィクションではないと知っています。
その上で、
判断せねばならない被告人の《罪》とは、何なのか。
「むずかしィすぎまスゥ!」
「ぐるがるる!」(←訳:誰か助けて!)
読み手にすべてをゆだねる“作品”です。
全活字マニアさん、ぜひ、一読を。