選挙後見据え 与党内で「連立組み替え」論広がる
内閣支持率の急落などを受け参院選での与党過半数割れが現実味を帯びてきた。
衆参で多数派が異なる「ねじれ」の再現を見据え、選挙後の連立組み替えは避けられないとの認識が与党内で広がっている。
菅直人首相ら執行部は公明党やみんなの党などに秋波を送るが、国民新党の亀井静香代表は公明、新党改革の両党との連携を示唆するなど、駆け引きが始まっている。
民主党内では、小沢一郎前幹事長に近い議員らの間に「50議席を割れば政局だ」と消費税増税に言及した首相への責任論がくすぶる。
首相側はこうした動きに対抗するためにも、「ねじれ」を解消する連立組み替えに早期に動かざるをえなくなる可能性がある。
だが、選挙で戦った同士の早期の連立は簡単ではない。
8日、首相はみんなの党を念頭に「小さな党は他党と仲良く」と連携を呼びかけたが、郵政改革法案に反対する同党との連携には国民新党が反発。
自治労など民主党支持労組の抵抗感も強く、労組出身の参院幹部は「みんなの党と組めば党が混乱するかもしれない」とけん制する。
一方、公明党の山口那津男代表やみんなの党の渡辺喜美代表の側も、繰り返し民主党との連立を否定し、ハードルは高そうだ。
渡辺氏は9日、千葉県浦安市内の街頭演説で「大きな党と組まなくても我々のアジェンダ(政策課題)が提案できる」と連携に否定的な見解を改めて示した。
民主党執行部の一人は「自民党もいつまでも野党では苦しくなる。
引っ張れる可能性がある」と自民党にも手を伸ばす可能性に言及。
片や小沢氏周辺は「今の民主党執行部では連立工作を成功させるのは無理だ。
結局、じり貧になっていく」と連立組み替えを巡る党内の主導権争いも始まっている。
選挙後の臨時国会の召集時期と会期も焦点だ。
国会法の規定で、改選議員の任期が始まる26日から30日以内の8月24日までに政府は臨時国会を召集しなければならない。
だが、連立協議が整わず「ねじれ」のままでは国民新党が求める郵政改革法案も含めて、国会運営の見通しは立たない。
このため、7月末か8月上旬に臨時国会を召集し、新参院議長の選出などを行って短期間で閉会し、連立協議に必要な時間を稼いだうえで、9月の党代表選後を念頭に本格的な臨時国会を再度召集する案も浮上している。
だがこの場合、9月の党代表選での小沢氏側の動きが不安材料になる。