ある会合の席で。
「べに丸さんは、Wさんの奥さまでしたっけ」
事務局の人が、私のことをW氏の配偶者と勘違いしたらしい。W氏も私も
そこでは新顔メンバーなので無理からぬことだった。耳を疑ったのは
それに対するW氏の返答。
「いやあ、違いますよ。うちのはこんなに歳とってませんよ」
何ですと? お連れ合いがどれほどお若い方なのかは知らないけれど、
その言い方はないんじゃない? その場にいた人たち、一瞬凍ったからね。
本人は、自分の失礼発言に全く気がついていない。むしろ、うまいことを
言ったくらいのどや顔である。
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会のリーダーがW氏のある行動を注意した。不服そうな彼は反論を試みる。
そこでメンバーの一人Bさんが、リーダーの注意内容を補完する発言をした。
それに対するW氏----
「Bさんは、私と同じ新しいメンバーですよね。あなたがそんな
ことを言う資格あるんですか。リーダーの言うことには従いますよ。
でも、あなたに従う気はないからね」
脚本のト書きなら 「一同あっけにとられて静まり返る」 とでも書かれる
ところだ。リーダーがとりなし、W氏も自分の誤りを一応認めた。
だけど私は聞いちゃったもんね。「Bさんなんかの言うことに納得したわけ
じゃないから」 という独り言を。どれだけ負けず嫌いなんだろう。
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そのくせ休憩時間になると、自分のお連れ合いのことをこんな風に言っ
たりするのだ。
「家内にはいつも怒られてばっかりですよ。『なんであなたは
そんなにバカなの』ってしょっちゅう言われてます。僕、バカ
なんですかねぇ」
「でも、いずれ介護してもらわなくちゃならないから、今は
ハイハイって言うなりですよ」
うかつに同意するわけにもいかないし、本人は気の利いた冗談を言って
いるつもりらしいから始末に困る。こういう男性と長年連れ添うのは大変
だろうなあ。奥様に同情してしまいます。
いやいや、余計なお世話ですね。