洗面台のない不自由な生活がやっと解消した。
電気のスイッチを一つ直してもらうことがきっかけで、けっこう
おおごとになってしまったけど、いずれ近いうちに交換することには
なっていたと思う。
25万円。
洗面台のない不自由な生活がやっと解消した。
電気のスイッチを一つ直してもらうことがきっかけで、けっこう
おおごとになってしまったけど、いずれ近いうちに交換することには
なっていたと思う。
25万円。
スーパーマーケットのレジで支払いをしていた。その私の背後を
高齢の女性がショッピングカートを押して通過して行く。
え、どこへ? その女性は私の次の番に並んでいたはずなのだが。
やがて空身で戻って来たので事情が分かった。レジの自分の番が
来る前に、とりあえずカートだけを所定の位置に戻しておこうと
考えたのだろう。
支払いを済ませ、その場を離れようとした私の耳にレジの女性の
声が飛び込んできた。
「お客さま、杖をお持ちではありませんでしたか」
そう、その女性客は杖をカートに引っ掛けて運んで行き、そのまま
戻ってきてしまったのだ。レジ係さんは素早く動いた。回収した杖を
お客に手渡す。
何と気のつくレジ担当者なんだろうとひたすら感心した。目の前の
商品をレジに入力しながらも、次のお客の様子をしっかり視野に
おさめているという、まさにプロの技を目撃した瞬間だった。
見かけは二つ折り携帯電話なんだけど、スマホの機能がちょっと
だけ盛り込まれている、いわゆる 「ガラホ」を使って早や3年。
つ いに LINE の配信が止まった。
去年の夏ぐらいから予告はされていたのだ。私のガラホの機種では
いずれ LINE サービスが停止になるってこと。だが手を打つことなく
何となく先延ばしにしていたら、その日は突然やって来た。
音訳もテニスも二胡も、今やLINEで連絡を取り合っているから
本当にその日から支障をきたしてしまう。慌ててauの店に飛んで
いき、スマホに機種変更した。
ついに私も、画面をスウィープする人たちの仲間入りである。
夏はやっぱりキュウリやナスのぬか漬けが美味しい。
ちょっと前までは、同じぬか床を繰り返し使っていた。何年も
かけて育てたぬか床。唐辛子、昆布、ゆずの皮なんかを入れたり
出したり、糠と塩を少しずつ補充しながら育ててきた。
だが、シーズンの終わりに塩蓋をして片付けてしまうと、翌年の
夏にそのぬか床を再び良いコンディションに戻すのは、実はとても
大変なのである。
最近はもうめんどくさくなっちゃって……それで、今は「河村さん
ちの鉄粉ぬか床」というのを使っている。水を加えてひと混ぜ
したらその日から美味しいぬか漬けが出来上がるという優れもの。
ぬか床の年越しはさっさと諦め、毎年新しい「河村さんちのぬか床」
を作り直すことにして、ストレスなしのぬか漬け生活を送っている。
5年前の調査で、インターネット回答システムなんてあったのかな。
私が郵送で回答したのは覚えているんだけど。
今回はネット回答にする。超~かんたん! えっ、これだけ?と拍子
抜けするほどだった。5分もかからない。年度によって設問内容に
違いがあったり、時代に応じて取りやめにした質問があったりするの
かもしれないね。
何年か前までの調査では、住居の広さを聞かれてすごくめんどくさか
ったけど、今回その質問はなかったし。
**********
そうだ、なぜ超簡単だったのかが分かった。私たちが「少しも仕事を
しなかった人」になったからだ。従業状態の記入はけっこう大変だっ
たもの。
【夏の記録7】8月29日
近所のパン屋さんで、買い物ごとにスタンプを1個押してもらう。
10個集めて「ジャンボくまさん」をもらえるのが楽しみ。そして
今日、ついに台紙が埋まったので景品の予約手続きをしてきた。
ただ、ちょっとした誤算が。
予約手続きの段階で初めてわかったんだけど「ジャンボくまさん」
って、実はクマの形に焼いたジャンボなパンのことだったのね。
私としたことが、とんだ早とちりである。てっきり "ジャンボなクマ
のヌイグルミ" がもらえるのだと勝手に思いこんでいたのだ。
改めてポスターをよく読んだら書いてあった。
「チョコクリーム入りの大きなクマさんのパン」
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たしかにジャンボなパン。直径20センチはある
【夏の記録6】8月22日
昨年亡くなった伯母(母の姉)の遺品の中に、小さな仏壇があった。
母たちの実家に置かれていたもので、コンパクトな上置きタイプ。
この仏壇は伯母が老人ホームに入居する際一緒に持っていき、亡く
なるまで部屋に置かれていた。
ホームを引き払うにあたっては、とりあえず私が引き取るしか
なかった。うちには夫の家の仏壇があるので、並べて置くわけ
にもいかず物置に保管である。
ずっと気にかかっていた。行き場のないこの仏壇、最終的には
どうなるんだろう。夫も私もいなくなった後、娘の手を煩わせる
のは避けたい。私が何とかしなくては!
自治体によっては、大型ゴミとして引き取ってくれるところも
あるらしいが、ここは違う。分解して「燃やすゴミ」にすること
も考えたが、果たしてそんなことしていいのだろうか。それに
位牌はどうする?
結局、仏壇と位牌を供養した上で解体処理をしてくれる業者に
頼むことにした。もちろん有料だけど妥当な金額だと判断。
一年越しの気がかりが解決してホッとしている。
気がつけば7月。今年はかなり引っ張ってここまで来た。
新型コロナのせいで、「これからやってくる夏」に
うんざりする余裕すらなかったのかもしれない。
だが、そろそろ限界。
今年は猛暑ですって? 秋は来るのだろうか。
私は緑内障なので、4,5ヶ月に一回眼科で診察を受ける。
先月その定期健診のためクリニックへ行ったのだが、待合室への
入室は人数制限がかかっていて、はみ出た患者は建物の外で待たなく
てはならなかった。
たまらんなあ、と思い、目薬の処方だけを頼んで帰ってきて
しまった。病院の方も、緊急の患者以外はできればパスしたいと
いうのが本音だったに違いない。
とはいえ、病気の進行をチェックしてもらう必要はあるから、
一ヶ月後再び出かけたのである。雨の日を狙ってね。思った通り
待合室はガラガラだった。看護師さんに発熱の有無を確認され
消毒薬で手を消毒。待合室の定員は4人ということで、二脚の
長椅子の四隅に患者がポツンポツンと座っている。
診察室に呼ばれる間隔が気のせいかいつもより長い。一人の診察
が終わるたびにあっちこっち消毒しているのかもねと想像する。
先生はどんな防護スタイルなのかな、マスクはもちろんゴーグル
にフェイスガードだったりしたら面白いんだけど、とちょっと
楽しみにしていたら、残念マスクだけだった。
次は半年後。追加の目薬をどっさりもらって帰りました。
『メンタリスト』というアメリカのテレビドラマが好きで、再放送を
飽きもせず何回も観ている。サイキックになりすまし、詐欺すれすれの
行為を生業としていた過去を持つ主人公がジェーンである。
演じるのはサイモン・ベイカー。
妻子を殺害した "レッドジョン" への復讐を果たすため、州警察のコン
サルタントとして働いている。卓越した記憶力と洞察力が彼の武器だ。
ただ、頭が良すぎる自分を持て余し、しばしば悪ふざけをして周囲を
怒らせるのが困ったちゃんであるところ。
***********
どの回も面白いのだが、中でも私が気に入っているエピソードのひとつは、
シリーズ3の第18話。生真面目な検視官Dr.シュタイナーとからむ話だ。
シュタイナーを気に入っているジェーンは好意の裏返しで、ドクターに
悪ふざけをしかけては怒らせる。
だが、あることに気がついてからは、ドクターの求めに応じて殺人事件の
捜査を協力して進めることになる。正直でまじめなドクターと、一から
十まで本心を見せずに人を食った言動に終始するジェーンとのコンビぶり
がとても愉快。
だがラスト、重病に罹り自分の余命が数ヶ月と知っているドクターは、
自ら命を終わらせる決心をする。ジェーンはドクターの望みを汲み、
その最後を静かに見守るのだ。
ジェーンの本質は、傷つきやすい優しさ。
夫の家のお墓へ行くのは4ヶ月ぶりだった。予想していた通り、
墓石の周囲には草がけっこう生えている。もうすぐ夏がやって
来るんだものね。
ざっと見渡した限り、周囲のお墓も同様にずいぶんと長いあいだ
人の手が入っていないように見えた。土のあるところには草が
茂り、花入れの花は例外なく枯れ切っている。
霊園全体の雰囲気も何となく荒れた感じがした。お墓区画以外の
通路や広場が草ぼうぼうというのは珍しい。ここは市営霊園だが、
行政もこの時世にお墓のことなんか構っていられないということ
なのか。
草を刈り花を入れ替え、すっきりとした我が家のお墓は、妙な感じ
に周りから浮いている。ひょっとして、お墓掃除は "不要不急"の
用事だったか。
湊かなえ『ポイズンドーターホーリーマザー』のドラマ版DVDをレンタル
して観終えたところ。オムニバスのどの作品も、まさにタイトル通りの
毒に満ちたものばかりだった。
どんな母にもどんな娘にも潜んでいる毒の部分を、拡大し突き詰めて
いけば犯罪に発展してしまうこともあるだろう。そういう意味では
リアリティのある面白いドラマだった。
***** 以下に5つ目の作品「優しい人」の結末を記しています *******
「誰にでも平等に優しく思いやりを持ちなさい」という一点のみで母親に
育てられた主人公の女性が、最後には殺人を犯してしまう。そこに至る
過程は歯がゆいほどに、あらかじめ敷かれていたレールの上を行くかの
ようであった。
彼女の勤め先にいるある男性社員は、清潔感に乏しく人づきあいが致命的
にダメなオタク的な人物。同僚や上司から疎まれ無視されている。だが
「分け隔てなく他人に優しい」主人公は、やがてその男性社員から好意
を持たれ始めるのである。
そして予想通り、主人公は困惑しながらも「優しい人」であり続ける。
彼女にはちゃんと恋人がいるにもかかわらずである。
勘違いをしたオタク社員の好意はやがてエスカレートした果てに、彼女の
恋人に対する悪意ある陰謀へと発展する。その事実を知った主人公は、
突発的にオタク社員を殺害してしまう。ドラマは、主人公がこの殺人罪で
起訴された裁判の場面を軸に進んでいくのだ。
***********
ドラマを見ながら私は焦っていた。その焦燥は、どうか弁護士が有能で
ありますようにという切実な思いから発している。主人公の成育歴や
そこから形成された人格が背景にあること、殺された被害者の行為
(盗聴やハッキングを繰り返していたのだ)の逐一が明らかにされる必要
があること。
これらを弁護側がきっちりと戦略化してほしい。その上で主人公の行為が
正当に裁かれてほしいと願ったのである。ミステリーが大好きなので、
納得のいく結末を求めてしまう。ドラマの趣旨とはちょっとずれてしまう
のだけれど。
もっとも、作中の他の登場人物と同様、私だってこの主人公にはイライラ
させられっ放し、心の中で警報を発し続けていた。「誰にでも優しくする
ってことは、むしろ仇となってしまうことにもなりかねないんだからね」
前回の美容院からずいぶんと日にちがたち、ショートヘアを維持する
者としてはもはや限界である。実に2か月半ぶりに、電車とバスを利用
する外出を決行した。
平日の午前、しかも下り電車だから空いていて乗客はシートにひとり
置きに座っていた。立っている人はいない。やがて駅に止まると人が
乗ってきた。だが、驚いたことに彼らはあいている席に座ろうとは
しない。ドアの脇に張り付くように立ったままだ。
次の駅で乗って来たお客も同じ。その次の駅に止まっても同じ現象。
えっ、なんで? 電車のシートは必ず一人置きに座ること。そんな約束
ってあったっけ?
自分が感染しないように、そして周囲の乗客がひょっとしたら迷惑に
思うかもしれない…そういう自主的な判断の結果なのだろうか。
混雑していれば、そんなことは言っていられないだろうけど、なまじ
空いている電車だと、妙な気を使ってしまうのかもね。
エアコンの無線式リモコン、最近乾電池の消耗が激しすぎること
に気がついた。何度新しい電池を入れても1ヶ月もしないうちに
残量ゼロになり、エアコンの操作もできなくなってしまうのだ。
メーカーの窓口に問い合わせたが、出てきた女性は私と一緒に
首をかしげるばかり。わかったことは「リモコンの修理はでき
ないので、新しいのを買うしかない」ということだけだった。
7年間も使っているエアコンだから、故障もするでしょう。
それはまあ仕方がないと諦めたが、ぜひとも知りたかったのは
なぜこういう現象が起こるのかという理由だった。でも、窓口
さんは「申し訳ありません」を繰り返すばかり。一刻も早く
電話を切りたい様子がありあり。
え、私クレーマーになってる?そんな心配が頭をよぎりながら
「説明のできる方をお願い」と伝えた。
****************
まもなく架かって来た折り返しの電話は、修理担当の男性だったが
やっぱり分からないのは同じだった。前例がないわけではないらし
いが、その原因は不明ですって。”無線式の多機能リモコンの場合
こんな可能性が考えられる” という程度の説明でよかったんだけど
なあ。
素人のおばさんに説明しても無駄、とか思われちゃったのかもね。
テニススクールは6月1日から再開する。二胡も6月のレッスン
から再開。細々と広報のみ続けていた音訳も、やはり6月には
フル稼働に入る予定。
冬眠状態から一転、活動の日々が戻ってくる。いろいろなものが
一度にワーッと押し寄せてくるようで、むしろ憂鬱な気分に陥っ
てしまっている私。基本的にインドアの人間なのだ。
日頃の私は引きこもりを避けるため、かなり頑張って外界との
交流を図っていたのかもしれない。この2ヶ月余りの 、何の予定
もない という”快適な” 暮らしの中で、そのことに気がついてしま
った。