自分は糖尿病を抱えながら、二人の姉の世話に明け暮れ疲労が
限界に来ていた実家の母が、やっと入院した。糖尿病患者のための
「教育入院」だ。
入院して一週間がたつ。管理された三度三度の食事、規則正しい生活
時間、ストレスも過労もない穏やかな毎日。そのおかげで、母は
ようやく元気になったみたい。
病院を訪ねて、待ってましたとばかりに始まった母のおしゃべりに
3時間ほどつきあったけれど、まだ話し足りないみたいだったしね。
杖を使わずに歩いていたのにもびっくり。「だって、疲れるような
ことが何にもないのよね、栄養はばっちり取れるし、睡眠だって十分。
入院しているお姉さん(私の伯母ですね)がピンピン元気なはずだわ」
血糖値も血圧も危機的な数値を示していたから、インシュリンを打つこと
になってしまったとのことだが、却って母は覚悟を決めたようだった。
「私ね、今度という今度は思い知った。退院したら老人ホームに入る
からね。上げ膳据え膳で、のんびり暮らすことに決めた」
そうしてもらえたら私たちも安心だなあと思う。80歳を目前にした人が、
ひとりは認知症、ひとりは心臓病という2人の姉たちのめんどうを見続け
るなんて、土台無茶な話だったのだから。