全トヨタ労働組合(ATU)

トヨタ自動車および関連企業で働く労働者の企業横断型労働組合です。一人でも加入できます。

会社の労務管理組織の一翼に組み込まれたトヨタ労組

2021年03月09日 11時42分03秒 | トヨタ自動車

「21ゆめW」…賃上げ要求の放棄

昨年9月の組合定期大会でトヨタ労組は、春闘「21ゆめW」に向けて次のような方針を打ち出した。「100年に一度の大変革期」の現在、「働きがいの向上に軸をおいて取り組む」と。この「働きがいの向上に軸をおいて」ということは、組合員全体の賃金の上昇は追求せず、経営陣と協議を重ねてきた「新賃金制度」を全面的に適用し組合員の中に圧倒的な賃金格差を付ける、ということなのである。「頑張った人」には賃上げで応え「働きがいを」実感させるが、「頑張った」とは見なせない人にはビタ一文の昇給もない、「パイ」は変えずこのような「ゆめW」にするという宣言なのである。

格差を拡大する新賃金制度

トヨタの労使は「19ゆめW」を起点にして新賃金制度について話しあいを始め既に合意に達している。職種別に分かれている賃金制度のうち事務・技術職のそれに絞って検討する。第一は賃上げ幅の拡大。従来は職能基準給(固定レート)と職能個人給(査定による格差がある)の2本立てだったものを「職能給」に一本化し全体を査定の対象にし、上下幅を拡大した。第二には賃上げゼロというD評価、E評価を明確に位置づけ強調している。(E評価については再雇用もないとしている)。そして一度D、E評価をされたなら職能資格も上がらず長きにわたって低賃金を強制される。このような脅しつけによって「期待を下回るもの」や「長期休職者」などの尻に火を付け、さらには退職にも追い込もうとしているのである。この賃金制度の改悪に積極的に加担してきたのがトヨタ労働組合に他ならない。昨年のゆめWで西野委員長は次のように言って会社の思惑を代弁した。「変わりきれていない組合員も守ってきたが、これからは変えていく」と。

トヨタによる「春闘」破壊

「100年に一度の大変革期」を乗り切っていくためには、トヨタを「モビリティ産業」に変えていかなければならないと思い込んでいる豊田章男は、そのためには労働組合そのものを換骨奪胎し戦前の産業報国会のような組織へと改変していかなければならないと考えている。この出発点をなしたのは「18ゆめW」であった。この時豊田章男は労組との間で合意した一般組合員(正規社員)の賃金改善額の公表を拒否し、非正規社員を含む全組合員の手当等も含めた昇給額を公表したに過ぎなかった。これは日本の賃上げ額の指標にされるトヨタの賃上げ額を隠すためであった。このことによって、曲がりなりにも残っている日本の賃金闘争としての春闘、これをぶち壊しそうとしたのである。そしてトヨタ労組・西野執行部はこの回答を許諾し春闘破壊の協力者となったのである。

自己中心の考え方

 自分さえ良ければよいとすると、格差社会を助長し荒廃した社会と進んでしまう。

労働組合の理念に「労働者の社会的地位の向上を図る」と明記しています。危惧しているのはトヨタ労組が資本側の思惑を見抜けず「新自由主義」の流れに乗っかっていることです。これは重大な問題です。

全体の底上げを実現する労働運動を

 私たちは時給1000円の早期実現とさらに1500円を目指しています。月給最低26万円の実現は「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」生存権に値するものです。

コメント (8)
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