表装
10年余前に「私と生徒の表装展」をご覧になった92歳の方(男性)が表装を習いたいと来られました。
そのYさんが先日104歳で大往生なさいました。
これは思い出にいただいた自作の色紙と団扇です。 団扇は扇面にかまきりと羽虫が描かれた和紙を裏打ちして貼られたもので
毎夏常用しています。
表装を始められから3年間でご自分の絵をつぎつぎと意欲的に軸装に仕立てられましたが、他の生徒の刺激になったと
思います。
92歳のときに息子さん夫妻の近くに引っ越してこられて以来、自分のことは自分でを信条に独り暮らしをなさっていました。
いつも背広をキチット着るなど身だしなみには気をつかっておられました。
また、生活姿勢は大変前向きで、死ぬかもしれないとか 先がないとかおっしゃったことがなく、お庭にはパンジーを種から育て
られるなど綺麗に手入れなさっていました。
100歳のお祝いに市長さんが来られた時には自作の掛軸をいっぱい部屋に並べて見ていただいたと嬉しそうになさっていました。
毎月定期診断には必ず行かれて日課の散歩も欠かさず食事もしっかり摂られ、亡くなる寸前までお元気で僅か1日半の
病院生活だったとお嫁さんから聞きました。息子さんご夫妻とも仲良くサポートされ理想の親子像でした。
Yさんが初めての土地で私の所に来ていただき一番先の友人となったとのことで、ご親戚の皆さんからお礼の言葉を聞き嬉しく
思いました。私はYさんから人生の先輩として沢山のことを学ばせていただいたことを感謝しています。
ご冥福を祈りつつ。