万葉人と出会う音楽会
上野誠先生の万葉集のお話と中野振一郎氏(世界的なチェンバロ奏者)の演奏で大和の冬をつづるという機会に恵まれました。
行く秋やチェンバロの曲軽やかに Kが詠んだ一句です。
今までチェンバロの演奏を目の前で見たことがなく どんなものかと興味津々で出かけました。
外観はオルガンやピアノのようですが内部はお琴のように弦をはじいて音が出る楽器でチェンバロはドイツ語。
英語ではハープシコードというそうです。
〇 我が里に 大雪降れり 大原の 古りにし里に 降らまくは後
〇 我が岡の おかみに言ひて 降らしめし 雪の摧けし そこに散るけむ
〇 沫雪の ほどろほどろに 降り敷けば 奈良の都し 思ほゆるかも
〇 旅衣 八重着重ねて 寝ぬれども なほ肌寒し 妹にしあらねば
上野先生が一首朗詠されたあと その歌のイメージに合うチェンバロの曲(F.クープラ、JPh.ラモー、A.フォルクレ各作曲)を
中野氏が演奏されました。はじめて聴くチェンバロの音色は繊細で軽やか、時に激しく感情を吐露するかのような独特の雰囲気を
醸し出しうっとりと聴き入りました。万葉歌にあわせた選曲はとても大変だったと思いました。
特に 四首目の「防人の歌」は夫婦愛の様子がじ~んと心に沁みました。