ガイア:ミルキウェイの最後の大きな衝突は驚くほど最近のことである
我々の銀河系は、その生涯の間に他の多くの銀河のシステムと衝突してきた。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のガイア宇宙望遠鏡は、これらの衝突のうち、最も最近の衝突が、考えていたよりも何十億年も遅れて起こったことを明らかにした。
ミルキウェイ銀河は、他の銀河が我々の銀河のシステムに接近し、衝突し、引き裂かれ、飲み込まれるにつれて、時とともに成長してきた。衝突のたびに皺が生じ、その皺は今でもさまざまな星のファミリーに波紋を広げ、宇宙空間での星の動きや振る舞いに影響を与えている。
ガイアの目的の一つは、これらの皺を調査することによってミルキウェイの歴史を解明することであり、それは、観測された約20億の天体のごく一部の、我々の星の近くにある10万個以上の星の位置と動きを特定することによって行うことである。
これらの銀河の皺は、2018年にガイアによって発見された。これは、観測結果と宇宙論的シミュレーションを比較することによって、その皺を寄せた衝突のタイミングを正確に決定した初めての調査である。
不可解な動き
ミルキウェイのハローには、珍しい軌道を持つ星の大きなグループがあり、その多くは、天文学者達が「最後の大きな合体(last major merger)」と呼ぶ出来事の間に我々の銀河システムに取り込まれたと考えられている。その名前が示すように、我々の銀河が他の銀河との重大な衝突を経験したのはこれが最後であり、我々の銀河の中心のすぐ近くを通過する星によってミルキウェイをあふれさせた、巨大な矮小銀河であると提起されている。
科学者達は、この合体を80億年から110億年前、ミルキウェイ銀河が揺籃期にあった頃と年代測定し、ガイア・ソーセージ・エンケラドゥス(GSE:Gaia-Sausage-Enceladus)として知られている。しかし、2022年にこの望遠鏡のデータ公表3の一部として公開されたガイアのデータは、別の合体が異常に動く星をもたらした可能性があることをも示唆している。
--- 以下略。
<ひとこと>: 右上のイメージの比較を見るには下記「出典」のリンクから。左のイメージのリンク先は動画 .mp4 、右下のイメージの大判はリンク先から。
<出典>: Gaia
<訳者追記>: ヨーロッパ宇宙機関のガイア(gaia)衛星は、ミルキウェイの中心の星の位置と動きの方向を、徹底的に調査することを目的として、2013年12月に打上げられた。その膨大な観測結果から得られたのは、ミルキウェイのハローを大きく飛び回る多数の星達であった。これらはミルキウェイの比較的近い段階での、他の銀河との衝突と併合に伴って残された、他の銀河の星達であると考えられている。
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