Aruiのスペース

自分の身の回りで起こったことの記録であったり、横浜での生活日記であったり・・・です。

奥の細道-2-

2007-10-09 16:15:35 | Weblog
奥の細道-2-                   2007-10-09

奥の細道は、その行間に、芭蕉の日本文学や歴史に関する
知識と蘊蓄が凝縮されていますと書きました。その一つに
室の八島と呼ばれる章が有ります。この章の名前は芭蕉の
原文には無く、後世の出版の際に研究者が付したものです。

  室の八嶋に詣す。同行曽良が曰、「此神は木の
  花さくや姫の神と申て富士一躰也。無戸室に入て
  焼給ふちかひのみ中に、火々出見のみこと生れ給
  ひしより室の八嶋と申。又煙を読習し侍もこの謂
  也」。将、このしろといふ魚を禁ず。縁記の旨世
  に伝ふ事も侍し。

室の八島は、現在の栃木県栃木市惣社町大神(おおみわ)
神社と言われているが、この場所についても異論が多い。
なにせ古事が日本書紀に由来し、年月が経っているところに
持ってきて、室の八島の地であると言われる場所が転々と
移動した(湿地帯であったために)。気候とか川の流れの変
遷に連れて移ったらしい。古くからの歌枕(歌に詠まれる名所)
であるが故に、多くの歌人が訪れて歌を詠み、千載集等に
載っているから、無碍に消し去ることもできない。
http://www.bashouan.com/pdBashouMY.htm

それで、何を言っているかと言うと:
  室の八島を参詣した。同行の曽良が言うには(曽良は
  神道を研究していたので、各地の神社の来歴に詳しい)、
  ここの神様は木花咲くや姫であり、富士山と同じです。
  戸の無い産屋に入って、それに火をつけて焼くと言う
  約束を実行している最中に(後述・日本書紀に由来する)
  火火出見の命が生まれて以来室の八島と言う。そして
  ここで詠む歌には煙を詠みこまなければならないことも、
  この故事に由来する。またこのしろ(コハダ)と言う魚を
  禁じているいわれも伝わっている(実際にはこの地方には
  生の、刺身のこのしろを食べない、必ず焼いて出す風習
  が伝わっているとか)。

日本書紀では、瓊々杵命の妃となった木花咲くや姫はすぐ懐妊
するが、命から自分の子では無いのではないかとの疑いをかけ
られる。その潔白を証明するために、戸も窓も無い産屋(無戸室)
に籠って出産する。そして出産の際に産屋に火をつけるように
命じ、もし生まれてくる子が瓊々杵命の子で無ければ焼け死ぬ
だろうと誓いを立てる。そして無事に生まれてきた子達が、
彦火火出見命(海幸彦)火遠理命(山幸彦)火明命であった。

これを知らないと、この章は、意味が充分には伝わらないことに
なる。事実、数多くあるweb siteの中には、この煙のことを全く
理解していないで、水から湧き上がる蒸気のことかなどと記して
いるものもある。


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7 コメント

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Unknown ()
2007-12-24 09:56:17
腑怨Йс絲絮宴сc㍾腓障羌腑ぞ鐚
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上記コメントについて (Arui)
2007-12-24 16:10:02
Unknown (名無し)

2007-12-24 09:56:17

「ここの神様は木花咲くや姫であり、富士山と同じです。」って、この神社も浅間神社(の分社)だったということでしょうか?

名無し様。はいこのくだりは、弟子の曽良が芭蕉に説明したことになっていて、曽良は富士山の神様と同じだと言っています。
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この神社は浅間神社(の分社)? (八島 守)
2008-01-06 14:55:01
ブーブー残念でした。この神社は浅間神社の分社ではなく親神社です。
浅間神社の祭神木花咲耶姫は室の八島出身です。

と、曽良は話しているのです。

[日本鹿子](日本賀濃子)(1691年刊)参照



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記紀神話? (八島 守)
2008-01-06 15:36:15
曽良が話したのは記紀神話ではなく、物語の筋も記紀神話どおりではありません。

無戸室神話の舞台が室の八島であるわけがないでしょう。

また無戸室で生まれたのは3神でなく火々出見のみこと1神だけだと曽良は言っているのです。火々出見のみことはこの神社の以前の祭神です。

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Unknown ()
2008-01-06 17:20:18
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無戸室から立ち昇る煙? (八島 守)
2008-01-06 19:37:51
室の八島の煙が燃える無戸室から立ち昇る煙だって、
こんな馬鹿げたことを言っているのは、後にも先にも[奥の細道](とその解説書)以外にありません。

[奥の細道]を読んだ江戸時代の俳人でさえ、そんなことを信じていないのです。
江戸時代の人は賢かったですね。

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コメント多謝 (Arui)
2008-01-07 14:07:42
八島 守さん
コメントいろいろ、有り難うございます。
居りに触れ、自分でも調べてみたいと思います。
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