風林火山の時代考証 2007年4月27日
と言う講演を聴いてきました。演者は早稲田大学他で講師を
されている芝辻俊六先生でした。先生は武田氏研究会を主催
され信玄研究の第一人者でNHKドラマの時代考証の責任者で
いらっしゃいます。歴史学者らしくとつとつと話される内容
はとても含蓄があり、面白い講演でした。
内容は、私もこれを聞くまで知らなかったことですが、山本
勘助は生の資料が少ない人で、ある時期まで、架空の人物、
江戸時代の講談本で活躍し、講談師が面白可笑しく作った人
物であると信じていた学者が多かったそうです。現在、その
存在を証明した資料は2点あるのみで、1点は北海道の個人が
所蔵する信玄の書状に勘助のことを記した部分がある。もう
1点は、信玄の譜代の家臣駒井某が記した高白斎記なる年記
に勘助の貫高(給料)が800貫文と言う記述がある。そういう
人だそうです。知行地も不明、つまり何処を治めていたも判
らないとのこと。800貫はおよそ800石で、信玄の親類筋が、
3000貫文であったことを考えると低い。身分は足軽大将位で
とても軍師と言う身分ではなかったと推定されるとのこと。
井上靖の風林火山は200ページ余の小説であるのに比べて、
NHKの大河ドラマは49回の放送である。本は1冊の中に、山
と言うかドラマが3つ5つあれば良いが、NHKの大河ドラマ
は毎回ドラマが無いとやっていけない。それで今回の脚本家
は、或はNHKは、49回ドラマを作らなければならない。歴史
学者として、そういう話は有り得ないと思っても、判って
いる資料と決定的に矛盾する、間違っている場合以外は、まあ
良いでしょうと言うことになるそうです。
それに、架空の話、視聴者が面白いと思ってくれるドラマで
あっても、その話の中では矛盾があってはいけないから、話
の筋は通っている。そのように脚本作家も苦労して書いている。
そこで、一箇所、これは間違っていると指摘すると、話が
崩れてしまう場合が多いので、どうしても時代考証がドラマに
負けてしまう場合が多いようです。ですが、NHKも非常に
丁寧にこのドラマを作っており、関係者としても、見ていて
面白いそうです。私も面白いと思いながら見ています。
裏話:ドラマの中で手紙がupで出てくる場面がいくつも出て
来ますが、その場合、手紙は全て芝辻先生が、話の内容に合わ
せて作るそうです。そこらの古文書をチラっと映せば良いだ
ろうと思うんですが、upだと見る人は見るので、関係ない古
文書では見破られてしまうそうです。先生が当時の言葉で、
手紙の文をワープロで打ち、書家が巻紙に書くんだそうです。
偽手紙を何枚も書きましたと苦笑されていました。
撮影に入ってからも、現場から、「先生、今、戦いの場面です。
この軍団の紋どころは何にしたら良いですか」などと問い合わ
せが来ることもあるそうです。そんな場合、先生がなんでも知っ
てる訳でも無いので、研究者仲間でそういうことを知っている
人に電話で聞くこともあるそうです。川中島の合戦は、年末近
くになるようです。楽しみだ。
と言う講演を聴いてきました。演者は早稲田大学他で講師を
されている芝辻俊六先生でした。先生は武田氏研究会を主催
され信玄研究の第一人者でNHKドラマの時代考証の責任者で
いらっしゃいます。歴史学者らしくとつとつと話される内容
はとても含蓄があり、面白い講演でした。
内容は、私もこれを聞くまで知らなかったことですが、山本
勘助は生の資料が少ない人で、ある時期まで、架空の人物、
江戸時代の講談本で活躍し、講談師が面白可笑しく作った人
物であると信じていた学者が多かったそうです。現在、その
存在を証明した資料は2点あるのみで、1点は北海道の個人が
所蔵する信玄の書状に勘助のことを記した部分がある。もう
1点は、信玄の譜代の家臣駒井某が記した高白斎記なる年記
に勘助の貫高(給料)が800貫文と言う記述がある。そういう
人だそうです。知行地も不明、つまり何処を治めていたも判
らないとのこと。800貫はおよそ800石で、信玄の親類筋が、
3000貫文であったことを考えると低い。身分は足軽大将位で
とても軍師と言う身分ではなかったと推定されるとのこと。
井上靖の風林火山は200ページ余の小説であるのに比べて、
NHKの大河ドラマは49回の放送である。本は1冊の中に、山
と言うかドラマが3つ5つあれば良いが、NHKの大河ドラマ
は毎回ドラマが無いとやっていけない。それで今回の脚本家
は、或はNHKは、49回ドラマを作らなければならない。歴史
学者として、そういう話は有り得ないと思っても、判って
いる資料と決定的に矛盾する、間違っている場合以外は、まあ
良いでしょうと言うことになるそうです。
それに、架空の話、視聴者が面白いと思ってくれるドラマで
あっても、その話の中では矛盾があってはいけないから、話
の筋は通っている。そのように脚本作家も苦労して書いている。
そこで、一箇所、これは間違っていると指摘すると、話が
崩れてしまう場合が多いので、どうしても時代考証がドラマに
負けてしまう場合が多いようです。ですが、NHKも非常に
丁寧にこのドラマを作っており、関係者としても、見ていて
面白いそうです。私も面白いと思いながら見ています。
裏話:ドラマの中で手紙がupで出てくる場面がいくつも出て
来ますが、その場合、手紙は全て芝辻先生が、話の内容に合わ
せて作るそうです。そこらの古文書をチラっと映せば良いだ
ろうと思うんですが、upだと見る人は見るので、関係ない古
文書では見破られてしまうそうです。先生が当時の言葉で、
手紙の文をワープロで打ち、書家が巻紙に書くんだそうです。
偽手紙を何枚も書きましたと苦笑されていました。
撮影に入ってからも、現場から、「先生、今、戦いの場面です。
この軍団の紋どころは何にしたら良いですか」などと問い合わ
せが来ることもあるそうです。そんな場合、先生がなんでも知っ
てる訳でも無いので、研究者仲間でそういうことを知っている
人に電話で聞くこともあるそうです。川中島の合戦は、年末近
くになるようです。楽しみだ。