俺を誰だと 2016ー01ー30
やくざ映画のセリフではない。妻
の放射線治療は毎日だが、土日は
休みなので今日はホッとしている。
昨日で27回目が終わり、来週水曜
日で1クールが終わる。患者は自分
の順番が来ると、待合コーナーか
ら着替え室に行き、検査着に着替
える。ロッカーの中に自分の荷物、
着て来たものを仕舞い、カギをか
け、そのカギを持って放射線照射
を受ける。終われば検査着を返し
自分の服を着て帰る。ロッカーに
カギをさしたままで、それを次の
患者が使う。
妻が名前を呼ばれ、彼女はコート
とマフラーと手袋と毛糸の帽子を
私の横に置いたまま着替え室に向
かおうとした。そこに看護師が
通りかかり、「荷物はロッカーに
入れて下さい」と言った。
妻は「お父さんが見てるので・・・」
と答えた。看護師はそこで私が、
そのお父さんであると気が付いた。
「失礼しました」と言って去って
いった。私は聞こえない振りをし
てiPadでインターネットをしてい
たが、心の中で「一体俺を誰だと
思ってるんだ!」と叫んだ。
でも本当のところ、私は妻の夫に
は見えない男らしい。毎日来てる
んだぞ、このー。