フランチェスコの生家跡に建てられたヌォーバ教会
右端に見えるのは、フランチェスコの両親の銅像
アッシジの町に来て思うのは、イタリアの大きな観光都市も勿論素晴らしいのだけれど、地方のこんな町こそが訪れる者に歴史を語り掛け、深い感銘を与えるのだとくづく思います。それにしてもアッシジはどの場所もとても綺麗に清掃されていてチリ一つありません。山の中のカルチェリの庵でさえ、一葉の枯れ葉も落ちていない。それはもう不自然なほどに…
日本では、「もののあはれ」といって、綺麗に掃き清められた庭よりも、春ならそこに一~二輪の桜の花びらが、秋なら枯れ葉がひとひらふたひら舞い落ちている風情にこそ心を寄せられるものですが、あのカルチェリの庵にも冬枯れの落ち葉がはらはらと舞っていたならば、もっともっと深い思いに憑かれたかも知れません。もっともこれは日本人が持つ独特の美意識、あるいは無常観、死生観なのでしょうから、それを彼の地に求めるのは身勝手なことですが。
とはいっても町の中の清潔さは気持ちが良くて、次に訪れたフィレンツェの町がすっかりかすんで見えました。
フランチェスコの生家
真ん中の古いドアが当時の家のドア、しかもフランチェスコが最後にここから家を出たらしい
現在ここには人が住んでいるようなので、静かに静かに見て廻りました
さて、これからそのフィレンツェに向かうのですが、私が乗るのは普通電車です。一時間半後に出発する急行列車があるのですが、それよりもこの普通電車の方が目的地に早く着きます。小さな駅は、観光シーズンなら人で溢れるのでしょうが、この時期のプラットホームは閑散としています。それでも一人二人、旅行者は居て、知らない者同士だけれど、お互いほっとする空気が流れるのは面白いです。
閑散としたプラットホーム
そんな中、一人の女の子が私に声を掛けてきました。一瞬日本人かと思いましたが、どうも韓国の方のよう。左手で切符を見せて右手で私を指さしながら「フィレンツェ?」と言いました。私は思わず「Si(イタリア語で、ハイ)」と答えましたが彼女は目を丸くして、今度は「イタリアン?」と聞いてきました。「オイオイ私はパスタか~」みたいな軽い物言いでしたが、いやいや、イタリア語で返事をした為に、私をイタリア人かと思ったようです。
「まさか~同じ平たい顔族ではないですかぁ」と思いながら、英語もイタリア語も分からないという彼女と、互いに珍妙な会話をしましたが、聞けば、彼女も私と同じコースをたどり、これからフィレンツェに行くのだとか。フィレンツェでは、どうもお友達がグループで住んでいる所に泊まるのだそうで、荷物も小さな機内持ち込み用のキャリーバック一つ。なんとこれで二週間の旅行をするのだとか!やっぱり若者は身軽でいいなぁ。
フィレンツェまでの乗換駅/テロントーラ駅
そうそう、彼女はこの電車に乗りさえすればフィレンツェに直行すると思っていたそうで、乗り換えが必要なことを知りませんでした。私は件(くだん)の券売機を利用したお陰で、乗換駅も時刻も確認できたのでそのことを伝えると彼女はびっくり。私に出会えて良かったと感謝してくれました。
車内では、車掌さんが検札に回ってきて、それぞれ違う席に座っていた私達を見比べながら、『二人は友人か?この列車はフィレンツェには行かないよ。』と心配そうに何度も説明してくれました。彼女は返事できずにいたので、私が「私達は友人です。乗り換えが必要なことも知っています」と言いましたが、それを聞くと車掌さんはニッコリ笑って安心した様子で次の駅で交代の為に降りていきました。
列車の中は人も少なくてのんびり出来ましたが、旅の途中で出会った人とこうして一言でも二言でも話が出来たことは、のちに振り返るとその場面が鮮やかに甦ってきて思い出に花を添えるものですね。
お互いに写真の撮りっこをしました
彼女は韓国語で、「ハイっ笑ってぇ~」と言ったのだと思います。多分…^^;
彼女こと、ヒョン・ジュングさん、フィレンツェではお友達と楽しいひとときを過ごされたでしょうか。フィレンツェの駅で別れ際、「かずみさん、お元気で~」と日本語で言ってくれたあなたの明るい声が今でも耳に残っています。そして、あの時の車掌さん、黙ってやり過ごすことだって出来たのに、平たい顔族を心配して声を掛けて下さって嬉しかったです。
日本には“袖触れ合うも多生の縁”という諺がありますが、ささやかでもこんな一期一会があるから一人旅は止められないのです(^^)
この韓国のお嬢さん、kazuさんのおかげで問題なくフィレンツェに行けてよかったですね。イタリアは乗換えがやっかいで、駅にエレベータやエスカレータがなかったり、乗車案内が分かりにくかったりしますから……
袖の触れ合う出会いができて、よかったですね♪
このヌォーバキエーザの中から地下へ下りてこの古い扉のある場所に行けましたが、この教会は、なおこさんが釣り銭をごまかされたバール、あのコムーネ広場から目と鼻の先、マッツィーニ通りのすぐのところにあるのですよ。今フランチェスコの伝記を読んでおられるなおこさんなら、きっと感慨深く思われるでしょうね。教会の中には、フランチェスコが父親から閉じ込められた檻もありました。今度行かれることがあれば、私が気がつかなかったことなど沢山あると思いますので是非教えて下さい。
一人旅はのんびりといいのですが、どうかすると人と全く話すこともなく一日が終わることもあるので、こんな出会いがあると心に残ります。しかしほんとなおこさんの言われる通り、乗り換えがやっかいですね。この時も大きなスーツケース下げて地下通路を下りて、又上がって、一人旅は体力勝負です^^;
すっごくいいお話ですね♪
そんな巡り合い、とってもいいです。
アッシジで迷子になって助けていただいて、ここではアルママさんが助けてあげて・・
いいわぁ~
こんなことがあると、最高の思い出になりますね。
それにしても、結局どうやって意思疎通されたのかなぁ?
知りたいです!
それも平たい顔同士ってとこが安心感ありましたね(笑)
私だったら目力バッチリ、高い身長から見降ろされ、高い鼻をツンツン突き刺すように話されたりすると、チョット引いちゃうな(笑)
そうそう、ロンドンのミュージカル劇場でそんなことありました。
休憩のトイレ行列の時に、巨漢のおばさまが、他に現地のロンドン人(?)がたくさん居るでしょうに、よりによって私に「ちょっとー!トイレはここしかないの?!他には無いの?」とかなんとか
言ってきました。
私「へーぇ~ I don't no。」それしか言いようが無いでしょー。
私だって他にどこか無いものかと思っているのにぃ。
アルママさんの触れ合いとはチョット違うけど(笑)
韓国の彼女も今頃、ご自分のブログで優しい素敵な日本人マダムのお話を書いているかもしれませんね。
見つけられたら教えてください。
同じイタリアでもナポリの荒廃ぶりとは大違いの街でしたねぇ。
エスカレータもエレベータもない駅での乗換えが、特に荷物が重いと本当に大変なんですよね。お疲れさまでした。ちょうどいま、フランチェスコが檻に閉じ込められているところです。この本の筆者によると、聖フランチェスコは、十字軍遠征に繰り出す前からすでに、何度か神と出会い、かつ一体化した経験があり、十字軍遠征を放り出したのも、神に仕えようと満たされた心と喜びだったからとのことです。本当にひどくのんびり読んでいるのですが、いつか読み終えたら、ゆかりの場所をじっくりまわってみたいと思っています。
それにしてもsachiさんも旅先で沢山経験をしておられますね。お話が面白くてクスクス~情景が目に浮かぶようです。おばさまはどこでもそんな人がいるのだとは思うけどまさかイギリスのご婦人がそんなだとは。あっそっか紳士の国とはよくいうけど、淑女の国とは言いませんもね(笑)
それと、ローマからもアッシジへはバスが出ているらしいですね。乗り換えなくそのまま旧市街に到着するとか。もしかしたらアッシジからペルージャにバスで行けば、やはりペルージャの中心地にバスは着くのかしら。地方に行くのにバスが自由に乗りこなせたらいいなぁといつも思います。
えーと、まりこさんのブログのURLが分からないのですが、コメント欄のタイトルの下にURLを記入して頂けますか。お手数ですが、よろしくお願い致します。ブログを見せて頂くのを楽しみにしています。