Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

David T Walker @Billboard Tokyo 1/27 1st

2012-01-29 11:53:33 | その他のライブ
恵比寿『ブラウンシュガー』のマスターから「デビッド・T・ウォーカーはいいよ。」
と以前から聞いていた。
今回の来日、誘っていただいてご一緒することになる。

David T Walker、マリーナ・ショウのライヴで参加していた時に、
ビルボード、カジュアル席の後方から一度、観たことがある。
会場内で最もステージから遠い席、またヴォーカルのマリーナが中心だったので、
この時点で私はデビットの存在感に対して余り認識がなかった。

ステージに向かって左寄りの最前列。
ビルボードに来るのはいったい、いつ振りだろうかと考える。
昨年、夏のシャリル・リン以来だったと気づく。
開演30分前に入ったので食事は諦めようかと思っていたが、
ブルーノートとは違い、飲み物も食べ物もすぐに出てくる。
これから来日するアーティスト達のプロモ映像が映し出される。
ボビー・ウーマック、ベティー・ライト、
ほんとにあきらめちゃって良かったかなと動画を見ていると、
思えてくる。

初めてのアーティストのライヴを観るのはちょっと緊張する。
流れがわからないから。
ビールは一杯にしておく。
この席では途中で化粧室などとても失礼で立てないと思ったのだ。

デビッド・T・ウォーカー、
バンドのメンバー達と一緒にもったいつけることなく、
ステージに登場。

それにしても素敵な人だ。
俳優になれるような外見と雰囲気、オーラがある。
内輪で「森繁久弥」とも「仲代達也」に似ているとも噂していたが、
顔形は仲代でも、あの周囲をハッピーにさせる独特のカリスマは、
森繁に近いかもしれない。
後で経歴を読み返すとアフリカ系の父とチェロキーの母から生まれた、
と書かれていて納得。

ビートルズの「エリナー・リグビー」からライヴはスタートした。
ビートルズが「イエスタデイ」に続き、ストリングスを導入したことで、
知られるこの曲。
「心寂しい人達、皆どこから来たの?居場所はあるの?」
哀愁を帯びたギターの調べにステージ周りはあっという間に、
デビッドの作り出す世界に取り込まれる。

オリジナル曲が中心で知らない曲が多いのかと思ったら、
"The Look Of Love"
「あなたの瞳に愛を感じていた
あなたと二人になれるこの瞬間を待っていた」
大好きな曲なので思わず、一緒に口遊んでしまう。
クラレンス・マクドナルドはここでスタインウェイのピアノから、
正面のキーボードへと向かう。
絶えずデビッドを目で追いながら呼吸を合わせていく。
二人の息はぴったり合っている。

「世界は今、混沌としていて、
日本の人は特に大変な思いもしている。
こんな風に思っているかもしれない」
と前置きがあった曲、何を演奏するのかと思ったら、
"The Look Of Love"からそのまま"What's Going On"

この二曲の余韻に浸っていると、
次の曲、ベースのイントロを聴くうちに「ひょっとして?」
スライの曲でうちの(?!)エリックべネイもカヴァーしている
"If You Want Me To Stay"
思わずリズムに乗ってしまう。
そして続く"I'm Gonna Miss My Love"

インストだけのライヴ、これも数年前のアール・クルー以来かも知れないが、
こんなに大好きな曲ばかりで楽しめるとは予想もしなかった。
最もデビッド・T、私の好きなアーティスト達のアルバムに、
多くの楽曲でレコーディングに参加している。
馴染みの曲があって当然だったのだ。

その後「ちょっと失礼するよ。悪いね。」
とデビッドはステージを離れる。
その間、バンドは"What A Wonderful World"
クラレンスはピアノへと移動して演奏。

ピアニスト金子三勇士君の演奏を聴き込んできて5年余りになる。
お蔭様でいろいろな会場の様々なピアノの音色を聴いてきた。
ここの会場のスタインウェイはBタイプ、
こういう場合の演奏はスタインウェイよりもYAMAHAの方が適しているかな、
などと考えていると、横に座っていたビールをたくさん飲んだ夫は、
この時間を利用して化粧室へ直行。
そういう観客が多かったらしくて混み合っていたそうだ。
煙草タイムに席を立った人たちもいる。
こういう適度に緩い感じが何とも言えず良い。

デビッドが戻ってきた。
ピアノの前を通りかかるとクラレンスと何か話し合っている。
演奏についてかと思ったら、
次はクラレンスがステージを離れる。
どう考えてもトイレタイム、何か微笑ましい。
さてマイク前の椅子に腰を下ろしたデビッド。
日本語で「ごめんなさい」
そして「待たせる間、何か簡単な曲でも聴いてもらっているかな?」
とギターのソロ。
戻ってきたクラレンスに「お帰り」とこれも日本語。
私たちもクラレンスの正面なので"Welcome back!"と声を掛ける。

こういった一連の流れがすごく自然。
それでもショウは途切れない。
そしてこのゆったりとした感じが観客をとても寛がせる。

「さて一回、引っ込むけれどまたアンコールで戻ってくるからね。」
タイトルはわからないのだが、1920年代の曲と言っていた。
アップテンポな曲に場内はヒートアップする。

前列が立ち上がり始めると「いいよ。座っていて。」
と気遣って制止するデビッド。

ステージを降りていくデビッドに「素晴らしかった。どうもありがとう。」
と声を掛けると「いやいや、こちらこそ、来てくれてありがとう。」
と応えてくれた。

デビッド・T・ウォーカー、彼の作り出すスタイリッシュで温かいサウンド。
彼を支える息の合ったキーボードとドラムス。
一番若く三人に敬意を払いながら演奏していたベース。
生で聴く音の美しさ、紡ぎだすハーモニーの柔らかさ、
周りをハッピーにするデビッドの佇まい、
極上の時が過ぎていった。

デヴィッド T.ウォーカー / David T. Walker(Guitar)
クラレンス・マクドナルド / Clarence McDonald(Piano/Keyboards)
バイロン・ミラー / Byron Miller(Bass)
レオン・ンドゥグ・チャンクラー / Leon "Ndugu" Chancler(Drums)


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2 コメント

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素敵なライブレポ ありがとうございます (syu)
2012-01-29 16:50:52
デビ爺のライブにも、いらしたのですね。

バイロン・ミラーとンドゥグは、クルセイダーズのサポートしていた頃のメンバーですね。

ラリーが脱退後は、彼がクルセイダーズのギタリストと云っていいでしょうからね。

ンドゥグは、一時期 スティックス・フーパー脱退後のクルセイダーズ正式メンバーでしたし。

今では、デビ爺は、ドリカムファミリーですからんね。

中村正人さんが大ファンだったのが、縁らしいですよ。

行きたいと思うライブは、一緒みたいですね。

これからも素敵なライブレポを楽しみにしています。

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そうでしたか。 (AK)
2012-01-29 17:56:13
syuさん、詳しいことを教えてくださって、どうもありがとうございました。
いつも立ち上がって騒ぐライヴが多いので、こういう座ってしっとりと聴くサウンドが新鮮でしたよ。
返信する

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