Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

「スペンサー」シリーズのロバート・B・パーカー氏、ハードボイルドに死す

2010-01-22 10:54:30 | 私の日々
タイトルそのままの見出しを見つけてクリックすると下記の記事をみつけた。

1月21日10時50分配信 産経新聞
<死去の17日も、いつも通りに妻と朝食をとっていた。元気そうな様子だったという。
米マサチューセッツ州ケンブリッジの自宅。妻はジョギングに出かけ、1時間後に自宅に戻ったとき、
ロバート・B・パーカー氏はすでに亡くなっていた。
77歳だった。死因は不明。関係者らは突然の死に、一様に驚いている。

パーカー氏はマサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。
ノースイースタン大学で教(きよう)鞭(べん)をとるかたわら、
私立探偵スペンサーを主人公にした「ゴッドウルフの行方」で1973年にデビューした。
76年に発表した同シリーズの「約束の地」で米国推理作家クラブ最優秀長編賞を受賞し、
「米国のハードボイルド小説の復活に貢献した」と評された。

世界的な人気を集めた「スペンサー」シリーズは80年代に、米俳優ロバート・ユーリックが主演し、
テレビドラマ化された。
同シリーズは、従来の米国のハードボイルド作品と異なり、多様な人種や、同性愛者らが登場し、
幅広い読者層を開拓したと指摘される。

主人公のスペンサーは「美食家」「野球好き」「朝鮮戦争への従軍経験」など、
パーカー氏との共通点が多く、筆者自身がモデルともいわれた。

レイモンド・チャンドラーやフィリップ・マーローを称賛し、
自身、彼らの遺稿の完成や続編に挑戦したこともあった。
しかし、スペンサーと恋人スーザン、あるいはスペンサーと相棒ホークの洒脱な会話は、
パーカー氏以外に書き続けられる作家はいないだろう。>
(これ、そのままコピペしたのですが、今、良く読んでみると、
チャンドラーとマーローが2人の作家のように書かれてますね。
レイモンド・チャンドラーの小説の主人公がフィリップ・マーローです、念のため)

スペンサーシリーズのファンになったのは、80年代前半だった。
その後、新作の発売を楽しみにしてきた。
チャンドラーの未完の作品を完成させた書き下ろしや続編、その他の作品も読んだ。

確か87年だったと思うが、新作の発売と共に来日。
紀伊国屋ホールで講演会というかパネルディスカッションのようなインタビューがあり、これにも参加した。
ロバート・B・パーカーは集まったファンの多さに壇上でまずびっくり、喜んでいた。
また自分の話した言葉が同時通訳のイヤホーンを通し、一テンポ遅れて、
ジョークに聴衆が反応しているのを面白そうにして笑った。

ずっと翻訳を担当されてきた菊池光氏も客席から挨拶。
パーカーのような作家との出会いがあり、翻訳し続けることのできる幸運を心から感謝した。
外国書籍において翻訳者の貢献度は大きい。
パーカーにとっても菊池光との出会いは幸運だったのでは。

ファンの質問コーナーになると、マニアックな質問が飛び交った。
どの本の何ページに書かれていることは、どういう意味なのかとか、
登場人物で最近の著書に出てこない人物は今、何をどこでしているのか(設定なのか)

私は自分がファンであり作品を続けて読んでいると外国語であっても作者の語る言葉が簡潔に理解できる、
その時、そのことにも感動した。
ずっと読み続けてきた、読み返しても来た、原書にもトライしてみた(挫折したが)
私にとって作家の生の声を聴ける一時はまさにハイライトだった。

この頃は、人気月刊誌などでもパーカーは取り上げられていた。
ところが、ボストンから来たアメリカ人と話す機会があり、彼が近くの大学で職員をしていたにも係らず、
全く、スペンサーシリーズを知らないことに驚いた。
これは日本だけのブームだったのだろうか。

ハードボイルドの探偵なのに、朝、出かける前にベッドメークをしてこなかったことを気にしたり
(そのままにして出かけると帰ってきた時、嫌な気分になるそうだ)
車や料理を愛し、筋トレに励みつつも、
ホルスターの拳銃がジャケットのシルエットに出る影響を気にしたりする。
スペンサー自身ももちろんだが、出てくる人物たちのキャラクターが興味深く魅力的だった。

ある時からスペンサーシリーズ、私にとって輝きが失せてしまった。
スペンサーの恋人のスーザン、彼女の何もかもを、我儘を受け入れていくスペンサーの姿に、
かつて『ユダの山羊』の中で、
「その女がどういう女かということではなくて、自分がどういう人間かが問題なんだ。」
と言ったスペンサーの拘りが失われてしまったように感じた。
その後、スペンサーは作品中で変化を遂げたのだろうか。
そろそろ、またその後の作品を読み返してみたいと思っていたところだった。


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