世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●お馬鹿シーラカンスが生き残る国 発電コスト原発が安い?

2016年09月15日 | 日記
ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕
クリエーター情報なし
草思社



武器輸出大国ニッポンでいいのか
クリエーター情報なし
あけび書房


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●お馬鹿シーラカンスが生き残る国 発電コスト原発が安い?

 原子力発電の「廃炉」コストを電気料金に上乗せする話が、日本の政府や主要メディアでは、既成の事実のように語られている。原発誘致自治体への各種補助金も、これもコストだが、発電コストとして公表される“MWh当たり”の金額で示されるが、この額には、上記コストは除かれている。筆者の概算では、原子力発電に掛かる費用は、イニシャルコストと安全保全コスト、リスクコストの合算の方が、遥かに高い。つまり、それら総費用を合計したら、日本人も、日本の企業も莫大な、無駄銭を原発事業に注ぎ込んでいる。こんな体たらくでは、国際競争に勝てるものも勝てなくなる。

 政治好きで軍事オタクな人々は、核燃料及びプルトニウムを保有しておくことが、日本の核保有には欠かせない重大要素だ、などと言っているが、保有したければ、現在で言えば、アメリカの了承が不可欠なのだから、アメリカ様から譲って貰えば良いだけだ。筆者自身は、核の保有など、無駄以外の何者でもないと認識しているので、そもそも要らない。どこかの二国間で核戦争が起きてしまえば、核の応酬になるのが普通だから、地球に棲む人類そのものの、議論に至る。つまり、もう一般市民が四の五の言うレベルを超えている。戦争なんて言葉の意味さえ、異なる次元に至るのだから、日本の核保有論は一種の妄言だと言えるだろう。

 原発政策を未だに維持したがる政府や経産省の人々は、原子力発電所の建設運営が、経済的波及効果が大きいことや、永遠にやめられない、一種、莫大な産業だと位置付けている所為なのだろう。しかし、最終的決算においては、実は、莫大な損害を被っている。原子力発電に携わる、多くの業界、各種団体や各企業は、輪切りにした平面上で利を得るのだが、国家全体として、通年で俯瞰すれば、間違いなく、国も国民も損害を蒙っている。歌の文句ではないのだが“ワカッチャいるけどヤメラレナイ♪”そう云うことだ。面白くて衝撃的記事があったので貼りつけておく。


≪ 太陽光発電のコストは原子力発電よりも大幅に安い、一体なぜこうなったのか? 


 


2011年3月に福島第一原子力発電所事故が起きた後、日本では、今後も原子力発電を推進するのか、それとも再生可能エネルギーなどに転換を図るのか大きな議論が起きた。その際、原子力発電推進派は、再生可能エネルギーはコスト的に割高で、原子力発電を置換することはできないと主張した。

しかし、今月に入ってからチリ政府が行った電力確保のための入札では、もっとも安い金額を提示したのは、スペインの太陽光発電業者で、この業者は、天然ガス火力発電の発電コストの47ドル/MWhを大幅に下回る29.1ドル/MWhという価格で入札を行った。

29.1ドル/MWhという発電コストは、米国における原子力発電の90~130ドル/MWhの3分の1の金額ともなる。 ・現在、欧米ではまだ、太陽光発電の発電コストは、天然ガス火力発電などと比べるとやや割高となっているが、米国立研究所のシミュレーションによると、発電コストは米国においても早ければ2025年頃には、逆転するという試算もでている。

2011年に日本で起きた議論では、日本の原子力発電推進派は、再生可能エネルギーはコスト的に割高で、原子力発電に勝つことはできないと主張していたのにも関わらず、一体、この変化は何が原因で起きることとなったのだろうか?

この答えとなるのか上のグラフとなる。このグラフは、MWhあたりの太陽光パネルの導入コストを時系列でプロットしたものとなる。

このグラフを見てわかる通り、2011年に日本で議論が起きた際のコストは、(グラフの枠の外にあるため正確な数字は判らないが)少なくとも350/MWhはしたことが判る。この価格は、原子力発電のコストの4倍近いものであり、2011年当時には、日本の原子力推進派のいう通りに太陽光発電はコスト的には到底、原子力発電には打ち勝つことはできないものだったことが判る。

しかし、その後生じた、欧米各国による再生エネルギーブーム(皮肉なことにその契機を作ったのは日本で起きた原発事故)により、太陽光パネルの生産コストは急速に値下がりをし(あまりにに値下げりのペースが速すぎたため、多数のパネルメーカーは採算性を合せることができず、撤退や倒産まで生じた)、現在では、太陽光発電に適した条件を持つ国では既に、原子力発電のコストを大幅に下回るにまで低下しているのである。

太陽光発電のコストは今後も低下傾向が続くことが予想されているため、緯度が高い太陽光発電には最適ではない条件の地域でも、2020年代半ばには、太陽光発電のコストは、原子力発電を下回ることになるというのが、大方の読みとなる。

2011年に福島第一原子力発電所事故が起きた際には、日本だけでなく欧米諸国でも、原子力発電の是非が問われる結果となった。しかし、またしても皮肉なことに、あれほど甚大な被害が生じたのにも関わらず、日本は結局、原発廃止は行わず、原発全廃を決めたのは事故とは関係のないドイツとなっていた。

その後、生じた太陽光パネルの大幅な価格下落という状況を踏まえた上で、この両者の決定をもう一度振り返ると、明らかに日本人は、政策決定上の大きな失敗をしてしまった可能性が強いと言えるかもしれない。 いうまでもなく電力は産業の根幹を成しており、高い電力コストを支払わなければならないことは、日本の企業が国内生産を行う上での大きな障害となるからとなる。

一方、米国では、工場の国内回帰が最近になってから生まれ始めてきている。これまでは不可能だった製品生産の分野でもオートメーション化が可能となり、メキシコや中国の安い労働力を求めて、海外に工場を作る必要性がなくなってきたからとなる。

米国で生じている工場生産の国内回帰の動きは、欧州でも見られるところとなっているが、恐らくこの動きは、電力などの基幹のインフラコストがネックとなり日本では進まないだろう。
Brian Jones is contributing writer of the Business Newsline. Send your comment to the author  

≫(Business Newsline:Energy-by Brian Jones)

日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書)
クリエーター情報なし
平凡社



日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
クリエーター情報なし
集英社インターナショナル


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●安倍長期政権のメド 吉凶あい半ばする幹事長と官房長官

2016年09月14日 | 日記
左翼・右翼がわかる!―天皇制 西郷隆盛 三島由紀夫 日蓮 宮沢賢治 大本 オウム真理教 軍隊
クリエーター情報なし
金曜日


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●安倍長期政権のメド 吉凶あい半ばする幹事長と官房長官

 世論調査の結果を云々する気はないが、報道管制が敷かれた今となっては、内閣支持率が50%を超えてしまうのも、“致し方ない感”がある。小生が、こんな弱気でどうするのだ?と思う反面、あの民進党が野党第一党だと云うわけだから、“致し方ない感”が頭をもたげても、不思議ではないと、最近思うようになっている。無論、小生は、何処まで行っても「反安倍」を貫徹するが、勝算は殆どない。負け犬宣言のように聞こえるだろうが、時代の流れと云うものが、「反安倍」の流れをつくるまでは、“待てば海路の日和あり”の心持ちでいようと思う。精神衛生上、これに限る。

 今夜は、一睡もせず仕事に翻弄されていたので、この辺で、早々に失礼する。たまには、短いコラムも乙と云うものだ(笑)。まあ、以下の産経さんの憶測記事は、コップの中の嵐程度のことはあるかもしれないと示唆している。この記事を産経さんが書けた理由は、きっと週刊ポストの影響を受けた上でのもの、そう云うことだろう。筆者が興味のある政治家は、二階俊宏の方で、菅と云う政治家には、何も感じない。皆さまは、どう思われるか、コメント欄に、どしどし投稿して頂けると、小生の知恵にも磨きがかかるので、よろしく。


≪ 政界徒然草:
 「史上最大の暗闘」との見出しが踊った 菅義偉官房長官と二階俊博幹事長… 
安倍晋三政権に“2人の番頭”は並び立つのか?

 安倍晋三首相の“大番頭”として、他の閣僚や自民党幹部を圧倒してきた菅義偉官房長官の“独走”が、二階俊博幹事長の登場で揺らぎ始めている。秋の臨時国会の開会日をめぐっては、自民党側の主張通り、9月26日召集で決着。農業や観光、沖縄など、これまで菅氏が主導してきた政策でも二階氏の発言力 が増しており、今後、政策決定に大きな影響を与えるのは必至だ。安倍首相は“政高党低”からの変化を追い風にし、政権運営をより盤石にできるか。菅氏と二階氏という2人の女房役の動向が政権の行方を大きく左右しそうだ。

 「二階さんとけんかしていると書かれたからなあ」。8月29日午後6時 すぎ、自民党本部から出てきた菅氏は、二階氏との会談内容について記者団に聞かれると、満面の笑みを浮かべて答えた。同日発売された週刊ポスト(9月9日号)の表紙には「“総理の影”菅義偉VS二階俊博『史上最大の暗闘』全内幕」との見出しが躍っていた。

 この時の菅氏は、記者会見や担当記者との懇談など日頃メディアの前で一貫している「冷静」「仏頂面」「沈黙」の印象とは大きく異なっていた。自ら官邸から党本部に出向き、記者の前で上機嫌に振る舞ってまで二階氏との良好な関係をアピールする姿を目の当たりにして、逆に両氏の暗闘は根深いのかもしれない-と思わざるを得なかった。

 8月の内閣改造後、菅、二階両氏の対立を煽るような報道が目立つようになった。背景には、「最も政治的な技術を持った人」(安倍首相)である二階 氏の幹事長就任で、権力が集中してきた菅氏の“1強”が崩れるとの見立てがある。ともに農業県出身で、「地盤(組織)、看板(知名度)、かばん(資金)」 を持たず、自力で政権中枢まで上り詰めた“たたき上げ”だ。道路や港湾、航空行政に精通し、連立政権を組む公明党とのパイプが権力の源泉である点も似ているのも、好敵手とされるゆえんだ。

 実際、幹事長就任後の二階氏は菅氏のお株を奪うかのような動きを見せている。永田町で「菅VS二階の “第1ラウンド”」(自民党ベテラン議員)ともささやかれたのが、秋の臨時国会の召集日をめぐる攻防。官邸は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認・ 関連法案など重要法案を控え、審議時間を確保するため、9月13日や16日など早期開会を模索した。だが、15日に民進党代表選を控えた野党に配慮したい党側の要求に押し切られ、結局、26日に決定。官邸関係者は「幹事長が二階さんでなければ官邸が折れることはなかった」と打ち明ける。二階氏の下、国会日程を党が主導したことで、官邸と党のパワーバランスが谷垣禎一前幹事長時代から一変したことを印象づけた。

 菅氏が主導してきた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題でも、二階氏が存在感を示している。幹事長就任早々、沖縄県の翁長雄志知事と会談し、「沖縄の将来を考え、寄り添って歩んでいくことが大事だ」と述べ、沖縄県民との対話を重視する姿勢を示した。県民の強い反発を招くのを承知の上で、司法の最終決着を得て 辺野古移設の前進を目指す官邸の方針に逆らうかのような二階氏の対応に、「首相の側近である二階氏が翁長氏と親しくすれば、国の姿勢がぶれている印象を与える」(自民党沖縄県連関係者)との懸念がくすぶる。

 今後、菅氏と二階氏の思惑がぶつかるとすれば、今秋、大きな山場を迎える農業改革だろう。二階氏は農地の整備や土地改良事業を手がける全国土地改 良事業団体連合会の会長で、農業界に強い影響力を持つ。官邸はTPPをてこに農林水産物の海外輸出の拡大など“稼ぐ農業”への転換を目指すが、7月の参院選では、農業県で軒並み自民党候補者が野党候補に敗れた。地方での農政改革へのアレルギーは根強い。

 農家の長男に生まれ、出身地の秋田県のいちご生産・販売の“改革派”として知られた父を持つ菅氏は、高齢化と人口減少に伴い衰退の一途をたどる農業の立て直しに人一倍思い入れが強いといわれる。菅氏は、党農林部会長に幅広い国民に人気が高い小泉進次郎衆院議員を登用し、農水省次官に農協法改正を手がけた奥原正明前経営局長を起用するなど農政改革を後押ししてきた。一方、二階氏は“農林族”のドンであり、党の選挙結果に最終責任を持つ幹事長でもある。二階氏の動向次第では菅氏が思い描く農政改革が道半ばで頓挫する可能性もぬぐえない。

 利害が対立する両氏だが、共通しているのは安倍政権を支える姿勢に徹していることだ。菅氏と二階氏の間に噂される“暗闘”の背景には「内閣改造で熱望していた幹事長ポストを二階さんに取られ、菅さんは面白くないのだろう」と、安倍内閣の権力構造のきしみを指摘する声がある。菅氏の政治的野心は本人しかわからない。ただ、平成24年12月の政権発足から約3年9カ月、国内外で強いリーダーシップを示す安倍首相の側近だからこそ、官僚を掌握する菅氏の持ち味が最大限発揮できたのは明らかだろう。その点は二階氏も同じ。両氏は政権運営の両輪として最強コ ンビなのかもしれない。

 首相にとっては、官邸と党双方に有能な女房役を持ったともいえる。“海千山千”の菅、二階両氏を上司としてどう使いこなすか。政権の命運は、熟練の政治家を部下を持った首相の操縦術にかかっているといえそうだ。 ≫(産経新聞:政治部 小川真由美)

三島由紀夫と「天皇」 (天山文庫)
クリエーター情報なし
大陸書房


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●トランプ自制呼びかけ 咳込み、ふらつくヒラリーの「健康不安」

2016年09月13日 | 日記
株式会社の終焉
クリエーター情報なし
ディスカヴァー・トゥエンティワン


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●トランプ自制呼びかけ 咳込み、ふらつくヒラリーの「健康不安」 

 トランプ米大統領候補は、自らの陣営に対して、今後は、ヒラリー・クリントン候補の健康に関する攻撃は一切しないようにと、強く求めた。自らの陣営の人々に対して、彼女が“誹謗中傷”の類を叫んだとしても、報復的言動を慎むよう求めている。ヒラリー・クリントン候補の健康不安が、現実味を帯びてきた状況において、ジョン・ウェイン的西部魂(武士の情け?)を前面に出すつもりか。反トランプな既得権益勢の予測を裏切っておこうという戦略だろう。

≪ トランプ氏、自分の選挙事務所にヒラリー氏の病状を愚弄するなと禁ず
 共和党推薦のドナルド・トランプ米大統領候補は自身の補佐役らに対し、ヒラリー・クリントン氏の病状悪化に関する声明を表すことを禁じた。トランプ氏はこうした声明を表した場合、その人物を解雇するとまで宣言している。CNNが報じた。
 トランプ氏の代表者らは公にクリントン氏に対し、体調不良に関して「一日も早い快癒」を祈念し、「敬う態度を表す」構え。 トランプ氏自身と共和党のマイケル・ペンス副大統領候補はクリントン氏の病状についてはノーコメント。トランプ氏のSNSには現時点ではクリントン氏の病状については一切語られていない。  ≫(スプートニク日本)


≪クリントン氏、「嘆かわしい人の集まり」=トランプ氏支持者めぐり失言
【ワシントン時事】米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)が9日、共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)の支持者を「嘆かわしい人々の集まり」と表現する場面があった。10日になって「間違いだった」と軌道修正を図ったが、批判はくすぶりそうだ。
 クリントン氏は9日のニューヨークでの集会で「トランプ支持者の半分は嘆かわしい人々の集まり」と発言。例として「人種主義者、性差別主義者、同性愛者嫌い、外国人嫌い、イスラム嫌い」を挙げ、「救いようがない」と語った。
  これに対し、トランプ氏はツイッターで「数百万の勤勉な人々を侮辱している」と猛反発。米メディアで失言と報じられ、国民の間でも反感が強まる可能性が出てきたため、クリントン氏は10日になって声明を発表し、「後悔している。間違いだった」と発言を後退させた。 ≫(時事通信)


 当然、西側エスタブリッシュメント陣営は、トランプ陣営が、鬼の首を取ったように騒ぎ立てると予想した解説記事を流しているが、マッチョな西部男は、FOXニュースのインタビューに「なにが起きているのか判らないが、彼女が早く回復し、選挙戦に復帰して、討論会で会えることを望んでいる」と答えている。西側メディアスクラムで、トランプ叩きに徒党を組む連中も、機先を制された気分になっているだろう。トランプと云う人物、どこかの首相と違い、学習能力に長けているので、少しずつ、大統領候補としての振舞いが板についてきた。

 ヒラリー陣営は、同氏の「健康問題」は、トランプ陣営の「陰謀論」だと反論していたが、「現実論」と云う事を証明してしまったようだ。一時は10%近く開いていた世論調査の支持率も3%まで縮められていたが、これで支持率逆転まで見えてきている。たしか、パパブッシュが訪日中、宮澤喜一首相と会談中に卒倒した映像は記憶に残る。結局、あの時以降、パパブッシュの健康不安は、米大統領選におけるパパブッシュの支持を低下させ、ビル・クリントンを当選させた。クリントン夫妻が権力者として、入れ替わる時、デジャブが天に唾するようにブーメランするとは、神仏も予期しなかっただろう。

 軍産複合企業勢力とウォール街の手先で、戦争好きヒラリー候補の予期せぬ退場が、仮に起きるとなると、彼らは、次の手に着手する可能性もある。トランプを自分達の傀儡にする手段は、おそらく尽きているだろうから、彼を懐柔しようなどとは思わない。思うとすれば、“誰かが“暗殺”でもしてくれないだろうか?」と思う程度が関の山だ。いや、そのような手立てを打っている可能性もゼロではないだろう。共和党ネオコンは、ヒラリー支持に回っていたが、上述のような手段しか思いつかないのではないだろうか。トランプ候補は、身の安全には充分以上の注意が必要になる。

 そもそも、ネオコンの論理家として名高いロバルト・ケーガンの女房、ビクトリア・ヌーランドを米国務省に国務次官補に採用したのが、ヒラリーだ。このことからも、ヒラリーが、軍産複合企業勢力とウォール街、プラス米ネオコンの代理人であることは証明済みある。件のヌーランド国務次官補は、Wikipediaによると、
≪2014年2月、ジェフ・パイアット駐ウクライナ大使との通話内容がYoutubeに投稿された。そこでは2013年末からのウクライナの政情不安についての議論がなされ、ウクライナの今後の体制はアルセニー・ヤツェニュク政権の発足が望ましいものとされ、ビタリ・クリチコやオレグ・チャグニボクの排除が合意された。その場でヌーランドは国連によるウクライナへの介入を支持し、ヌーランドの意にそぐわないEUを「fuck EU(EUなんか、糞喰らえ)」と侮蔑する発言をした。これによりウクライナやロシアから、アメリカのウクライナに対する内政介入を批判する声が上がっている。米国務省のサキ報道官はこの会話内容が本物であることを認め、2月6日にヌーランドはEU側に謝罪したと発表した。また、2013年12月には、ウクライナを巡る会議において「米国は、ソ連崩壊時からウクライナの民主主義支援のため50億ドルを投資した。」と発言している≫
と紹介されように、ウクライナクーデターに深く関与していた、米国務省と云う構図も明らかだろう。

 また、別情報(ウィキリークスのメール公開において)だが、ヒラリー・クリントン候補が、2011年以降、パーキンソン病治療薬の情報を、側近の一人から受け取っていたメールが周知の事実となっている。ヒラリーが、同疾患の症状を呈しているかどうか、そこまでは判らないが、単純な「肺炎説」は、事態の沈静化用に用意された病名のように思える。パーキンソン病乃至はパーキンソン症候群の治療は、最近では初期からの薬物療法が有効になってきている。まあ、いずれにしても、ウィキリークスのヒラリー・メール公開において公開された一部であることは頭の片隅に置いておいても邪魔にはならない。

 アメリカ国内では、非公式なネット上においては、ヒラリーがドロップアウトした場合、民主党は、ヒラリーの副大統領候補に指名したジム・ケインなのか、或いはサンダース、バイデンの中から、選択を迫られるのだろうか?と云う話題で賑わっている。Ifで始まる議論だが、米大統領選の候補者の入れ替えが、米憲法上許されるのもかと云う、法律論までが展開されている。それはさておき、我々日本人としては、ドナルド・トランプ大統領候補に関して、もっと真剣に学ぶべき時が来ていると云う事実はある。個人的には「世界の警察なんかやっていられるか!」と云うトランプ候補に期待しているので、後は「未知の世界」を覗かせて貰う、好奇心の満足で充分であり、世界や日本の大混乱も、一服の清涼剤となるのでは?と、他人事のように思っている。

 ≪ クリントン氏 体調不良で訪問中止 選挙戦への影響は
 アメリカ大統領選挙の民主党のクリントン候補が同時多発テロ事件の追悼式典で体調不良を訴えたうえ、予定していたカリフォルニア州訪問を中止し、健康問題に関心が集まっていて、共和党のトランプ候補との選挙戦に影響を与えるのか注目されています。
 民主党のクリントン候補はアメリカの同時多発テロ事件から15年となった11日、ニューヨークの追悼式典に出席しましたが、体調不良を訴えて退席し、ふらついてスタッフに支えられながら車に乗り込む姿が撮影されました。
 その後、クリントン氏は報道陣の前に姿を現し、「気分はとてもいい」と笑顔で手を振って応えました。  これについて診察した医師は、クリントン氏が暑さで脱水症状を起こしたものの、順調に回復していると説明する一方、せきが長引き、先週9日に肺炎と診断されていたことを明らかにしました。
そして、クリントン氏の陣営は、12日と13日に選挙資金集めの会合などに出席するため予定していたカリフォルニア州訪問を中止すると発表しました。
 クリントン氏は、国務長官を務めていた4年前、頭部に血栓が見つかって入院したことなどから、健康に対する不安がくすぶっていましたが、アメリカメディアは、「クリントン氏の健康状態が現実的な問題となった」などと伝えています。
 共和党のトランプ候補は、今後、クリントン氏の健康問題を攻撃材料にするものとみられ、11月の投票日まで2か月を切る中、選挙戦に影響を与えるのか注目されています。

 ■これまでも健康不安の指摘
アメリカ大統領選挙の民主党のクリントン候補は現在68歳で、これまでも健康に対する不安が指摘されてきました。
 国務長官だった2012年には、ウイルス性の腸炎による脱水症状で一時、意識を失って倒れて脳しんとうを起こし、頭部に血栓が見つかり、入院して手当てを受けたことがあります。このため、大統領選挙への立候補を表明したあとの去年7月には、健康に問題はないとする医師の証明書を公表し、懸念の払拭(ふっしょく)に努めました。
 これに対して共和党のトランプ候補の陣営は、クリントン氏の健康には不安があると繰り返し主張して、大統領には不適格だと攻撃してきました。
 こうした中、クリントン氏は中西部オハイオ州で先週5日、演説中に何度もせき込む一幕もあり、今回の一件で改めてクリントン氏の健康問題に関心が高まっています。  ≫(NHK)



PS:
オマケだが、スプートニク日本に面白い情報が載っていた。
 ≪ ソーシャルネットワークでヒラリー・クリントン氏の影武者が話題に
 ヒラリー・クリントン氏が米同時多発テロの追悼式典で体調を崩し、ソーシャルネットワークでは、クリントン氏の代わりに影武者が使われているのだという陰謀説が広まった。「Metro」紙が報じた。
 同時多発テロ式典中にクリントン氏は体調を崩し倒れそうになり、片方の靴をなくしさえした。クリントン氏はホテルに送られ、休息をとった。 一方、2時間後にはクリントン氏はすでにホテルのドアの前に現れ、体調は万全だと述べた。
  ソーシャルネットワークでは式典中とホテル前のクリントン氏の写真が比較され、これは2つの別人だと断言されている。 主な論拠はクリントン氏の鼻だ。「本物」のクリントン氏の鼻はやや上向きだが、「影武者」の鼻はまっすぐだという。また、ホテル前の写真ではクリントン氏はいつもより均整が取れているように見えるとも指摘した。

 


以上 ≫(スプートニク日本)


ネイティブ・アメリカン―先住民社会の現在 (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●北朝鮮核実験“本物か?” 世界中が本物みたいに騒いでいるが

2016年09月12日 | 日記
ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕
クリエーター情報なし
草思社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●北朝鮮核実験“本物か?” 世界中が本物みたいに騒いでいるが

先ずは、北朝鮮と地続きであり、同一民族でもある韓国の反応を確認しておく必要がある。以下は、東洋経済onlineサイトにタイムリーに掲載された、今回の北朝鮮核実験における、韓国の反応を理解しておく。無論、真実が同記事通りであるかどうかは、別の話だ。

≪ 韓国大慌て、「まさか再び核実験を行うとは!」
北朝鮮の5回目の核実験に韓国は我慢の限界
9月9日、北朝鮮が8カ月ぶりに核実験を実施した。これにより、朝鮮半島を中心とする東アジア情勢は今後も大きな混乱を与えることになる。
北朝鮮は2016年1月に4回目の核実験を行い、その後も中・長距離ミサイルを相次いで発射するなど戦略的な挑発を続けていた中、今回5回目となる 核実験で緊張が最高度に高まった。国際社会から強力な経済制裁を受けていた北朝鮮が前回の核実験からわずか8カ月後に再び核実験を行ったため、国際社会はより強力で、軍事的挑発を遮断できるだけの追加制裁を考えなければならなくなった。

 ■日韓・米韓協調でより強力な制裁案を模索
日米韓3カ国は、今後も協調して北朝鮮に制裁を行っていくのと同時に、より強力な制裁を行う予定だ。韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と日本の岸田文雄外相は9日の電話会談で、北朝鮮の核問題へどのような協力ができるかについて話し合った。
 
韓国外交省関係者は「両国外相は今回の核実験で、追加的な経済制裁措置を考えていくことで意見が一致した」と述べた ・両国は昨年(2015)12月28日に従軍慰安婦問題の解決において合意した後、2016年1月の北朝鮮による4回目の核実験を契機に安保問題でも協力で きることを広げていこうとしている。9月7日の日韓首脳会談では、日韓軍事情報保護協定(GSOMIA、両国の軍事情報を提供し会う際に、第三者への漏洩 を防ぐための協定)締結を議論し、締結に向けてスピードが増すものと思われる。

今回の核実験後に韓米首脳も電話会談を行った。米国のオバマ大統領は、米国と同レベルの防衛力を同盟国に提供することを再度確認した。北朝鮮による 核の脅威が最高潮に達している中、米国はこの約束を履行するために米国が持つ戦略資源を総動員して、北朝鮮に対し武力による圧力をかける可能性が出てきた。ケリー国務長官は尹外相に対し、「金正恩は挑発的態度を変える可能性がとても低く、強力な制裁を加える必要がある」と述べている。

9月10から13日まで、北朝鮮の核問題を議論する6者協議における米国側首席代表であるソン・キム国務省対北政策特別代表が日韓両国を訪問する。 これを契機に、追加的な制裁案について集中的な議論を行う予定だ。また国連総会と来月に米国で行われる外交・国防相会議で、具体的な内容を議論するものと思われる。併せて、北朝鮮の核攻撃を防衛できる「高高度ミサイル防御システム(THAAD)」の配置作業も加速化するだろう。
 
今年3月にこれまでの制裁を大幅に強化していくことを求め、国連安全保障理事会で決議された「決議第2270号」が採択されてから6カ月経った。だ が、強力な制裁にもかかわらず北朝鮮が核実験を行ったことで、「国際社会対北朝鮮」の構図は今後も続くほかない状況だ。THAADの配備問題で米国と対立 している中国もまた、国連安保理の常任理事国として今後も対北朝鮮の経済制裁に参加していくものと思われる。

 ■追加制裁案には中国からの反発も
しかし、今後行われる追加制裁案に関する議論では、北朝鮮の民生経済にまで影響を与えうる、より強度な経済制裁案に同意するかどうかは未知数だ。中 国の理解と制裁案とそれを考慮した経済活動監視行動(セカンダリーボイコット)などの議論については、中国側は強く反発する可能性も高い。
 
米韓両国は中ロ両国が経済制裁に同調できるように誘導する計画だが、中国国内では米国主導の制裁に対する懐疑論が出てくる可能性もある。すでに半年も高感度な制裁を実施してきたが、北朝鮮が変化する兆しが見えないためだ。
 
この場合、再び朝鮮半島の非核化と米朝両国での平和協定締結を先にすべきだとの主張を中国側が出してくることもありうる。韓国・亜州(アジュ)大学政治外交学科のキム・フンギュ教授は「中国が朝鮮半島政策をどう調整するか熟考し始めるだろう」と指摘する。

今回の核実験で、朴槿恵政権が朝鮮半島の緊張状態を改善することは不可能だという意見が出てきた。韓国政府内では、今年1月の4回目の核実験で朝鮮半島情勢が硬直化した際に「南北関係はこれ以上悪くなることはない」という見方が支配的だった。

しかし、その期待は裏切られた。政府当局者は「南北関係がどん底にある状況での5回目の核実験に、韓国政府は我慢の限界に達している。現政権で南北 関係の改善を望むことは非常に厳しい」と言う。また、別の政府関係者は「国民の世論も現状では北朝鮮との対話に納得できないだろう」と打ち明ける。緊張は、これまでになく高まっている。  ≫(東洋経済オンライン>政治経済>韓国・北朝鮮:カン・ビョンチョル :「ソウル新聞」 記者 / ムン・ギョングン :「ソウル新聞」記者)


 現時点の北朝鮮核実験の放射能漏れは、日本では原子力規制委員会がモニタリングを実施しており、その数値が公表されているが、日本上空の放射能に、何ら変化は見られない。北朝鮮の核実験が地中深くの核実験場で行われているから、核爆発を起こしても、地上に放射能が漏れることはないので、測定しても出ないと云う解説もあるが、あれだけ乱暴狼藉をしている筈の北朝鮮が、放射能洩れだけは、東電以上に人類に配慮していると云う話を、「ああ、そうなんだ!トレビアン!!」そんな納得は出来ません(笑)。

【北朝鮮による核実験実施に対する放射能影響の観測結果について】

https://www.nsr.go.jp/activity/monitoring/monitoring5.html


 筆者の正直な気持ちを言えば、北朝鮮の核実験って「本当なの?」と云う疑念が拭えていない。その理由は多岐にわたるが、北朝鮮リスクの増大で、利益を得るのは誰なのか、それを考えると、釈然としない。自衛隊のイージス艦の数では、北朝鮮のミサイルですら対応不可能で、同時に4,5発撃ち込まれたら、3発くらいは日本の領土を直撃すると、煽りめいた解説記事に出遭う。子供騙しのようなパトリオットとか云うシロモノも、もっと増やそうと云う「世論」が形成される。韓国でも、「高高度ミサイル防御システム(THAAD)」の配置作業に反対などしてられないと云う「世論」が出来つつあるに違いない。

 しかし、これらの防衛装備の充実は、アメリカの軍産複合企業が製造をし、米政府が半ば販売をしているようなシステムなので、巡り巡って、米軍産複合企業とアメリカ政府が儲かると云うメカニズムがあるので、話は、とても複雑なのだと思う。今年1月の北朝鮮核実験の際には、韓国上空を米軍B52爆撃機が飛行したが、同じような飛行なのか、北朝鮮国境を越境して飛行するかは明確ではない。たぶん、韓国領内に限るのだろう。まあ、パフォーマンスとの認識の範囲だ。


≪ 米爆撃機、朝鮮半島出動へ=韓国メディア
【ソウル時事】聯合ニュースなど韓国メディアは11日、北朝鮮の5回目の核実験強行を受けて、米戦略爆撃機が早ければ12日にも、朝鮮半島に出動すると報じた。
 韓国防衛の決意を強調し、北朝鮮をけん制する狙いがあり、グアムのアンダーセン空軍基地に展開しているB1BかB52の可能性が高いという。
 北朝鮮の4回目の核実験直後の1月10日には、B52爆撃機1機が韓国上空を飛行した。  ≫(時事通信)


 このアメリカの、軍事産業に関する、既存の利益メカニズムに拘泥すると、アメリカと北朝鮮の間に、一定の暗黙と云うか、裏のルートによる、取引さえ疑おうと思えば疑える。中国政府やロシア政府の、対北朝鮮外交の思考経路も、一定程度に読めるわけだから、日米韓が、死に物狂いで「経済制裁」を加えても、その制裁で、北朝鮮国民が飢え死にするような事態にならないことが、あらかじめ読めるわけだから、北朝鮮・金政権は、北朝鮮国民同様に「生かさず殺さず状態」がキープできる。このような推測を拡大していくと、アメリカと金王朝の“マッチポンプ”と云う「劇画」を見せられているような気にもなる。

 その証拠と云うのは言い過ぎだろうが、中国もロシアも、まったく慌てている様子は見えない。「困ったものですね」くらいの外交辞令は口にするが、ただそれだけだ。もしかすると、彼らも、他の国との関係で、アメリカの手法と同じことをしていれば、互いに「知らなかった」で、国際社会は回るわけだから、米中露三カ国の軍事産業にとって、“八方丸くおさまる”って按配だったら、何だかな~~、と云うことになる。

 この問題で、主役はアメリカと北朝鮮であって、韓国でも、日本でもない。この日韓旅国は、脇役であり、且つ、「アメリカ・北朝鮮寸劇」のスポンサーと云う役周りと云う推量も成り立つ。特に、これが、“朝鮮半島の真実の姿”と見出しにしてしまうほど自信のない推論だが、2、3割確率のであり得る事実だとは言える気がする。キューバ、ベトナム、アフガン、イラク、ウクライナ、シリアへの、内戦勃発と、その経緯において、アメリカのCIAからNSA,民間軍事産業、ホワイトハウス等々の関与度をウォッチしていれば、朝鮮半島問題においても、同様の関与がなされていると、疑惑を持っておいても損ではない。

ヒラリー・クリントン ―その政策・信条・人脈― (新潮新書)
クリエーター情報なし
新潮社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●官僚出身政治の終焉 「宏池会」安倍に呑み込まれたのか?

2016年09月11日 | 日記
鎌倉文化の思想と芸術 武士・宗教・文学・美術
クリエーター情報なし
勉誠出版


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●官僚出身政治の終焉 「宏池会」安倍に呑み込まれたのか?

 菅義偉(官房長官)が、小渕派―古賀宏池会―無派閥と、風見鶏を繰り返していたのが象徴的だが、名門「宏池会」は、残念ながら、亡くなった加藤紘一氏で、終焉していたと云うことだ。池田勇人も、遠くなりにけりだが、宮澤喜一が、宏池会を破壊した政治家だと、筆者は理解している。有能な官僚が、国家の方向性を、死に物狂いで論じてきた時代の「遺物」だったのかな~、と云う感想を持つ。 最後尾に引用したWikipediaを読んで判ることだが、既に「宏池会」は胡散霧消の存在だったようで、影形を追いかけるのが、酷く面倒でギブアップしたくらいだ(笑)。

 「宏池会」は、池田勇人以来、大平正芳・鈴木善幸・宮沢喜一と4人の総理総裁を輩出している。安全保障では日米関係を重視しながらも、ややハト派的傾向(親中にも注力)が見られる。小泉政権以降、自民党の主流が保守化する中、異彩を放つべきだったが、異彩は谷垣ではなく、「鵺政治家」二階派の二階俊宏と云う守旧派型の政治経験者が、谷垣に代わって、幹事長になっている、現状は、安倍官邸の人事バランスによるものだろうが、現実は「砂上の楼閣」なのだろうが、微妙な力学で、現在の自民党は成り立っていることが良く判る。まあ、以下の情報等々などを読み、皆様も、これからの自民党が、「反中国路線」で最後まで走り切れるのかどうかなど、考えてみるのも面白い。

 池田勇人と同じ寺に墓所のある筆者としては、日本の官僚政治の頂点にあった、池田以降、大平正芳までは、見どころもあったようだが、宮澤喜一ですべてをご破算にした感がある。このような政治現象は、結局、霞が関官僚と云う組織が、組織の為に生きる組織となり、日本を牽引していく気力も能力も失ったことを示しているように思われる。しかし、腐っても鯛という譬えは不適当だが、自分らの既得権を守るために、我田引水的な法律作成能力だけには長けており、21世紀にとって不適切な方向性ばかり編み出す。おそらく、日本の政治をデモクラシー的なることの最大の阻害要因が霞が関と指摘しても間違いはない。

≪ 訃報:加藤紘一さん死去77歳…自民元幹事長「加藤の乱」
 山形県鶴岡市出身。東大法学部卒業後、外務省に入省した。1972年の衆院選で旧山形2区から自民党公認で初当選。故池田勇人元首相がおこした同党の名門派閥「宏池会」に所属し、早くから「プリンス」として期待された。衆院当選2回で大平内閣の官房副長官を務めた後、防衛庁長官、官房長官、党政調会長、 幹事長を歴任。91年に当時の竹下派支配打破や世代交代を目指し、山崎拓元副総裁、小泉純一郎元首相と「YKK」を結成して注目を浴びた。
 98年には宏池会の流れを継いで派閥の会長に就き、「首相の座に一番近い男」と言われた。しかし、2000年に森内閣打倒を目指し、野党提出の内閣不信任決議案への賛成を明言。「加藤の乱」と言われたが、不発に終わり、加藤派は分裂して存在感は落ちた。
 02年には自身の事務所代表による脱税事件の責任を取って自民党を離党後、議員辞職。03年の衆院選で再び当選し、自民党に復党した。党内ではハト派に位置し、親中派として日中友好協会会長を務めていた。12年12月の衆院選で落選し、三女の鮎子氏を後継に据えて政界を引退。14年5月には、集団的自衛権の行使容認について、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューで批判した。  ≫(毎日新聞)

≪ 加藤紘一さん死去:首相にあと一歩…リベラルの政策通
評伝
 外務官僚から政界に転じ、大平正芳首相の官房副長官を務めるなど早くから「自民党のプリンス」と言われた。その加藤紘一氏が最も輝いたのは自民党が社民、さきがけと連立を組んだ「自社さ」政権時代だったと思う。
 党内のリベラル派に位置する政策的なスタンスで、社さ両党とも話が通じ政調会長、幹事長として政権の中枢にいた。人心をわしづかみにするカリスマ政治家というよりは、平易でキャッチーな言葉を組み立て、議論によって周囲の共感を呼ぼうとするタイプ。政策的な関心の幅も広かったことから、政策新人類と言われた若手政治家の兄貴分的な存在にもなった。
 中曽根康弘元首相や梶山静六元官房長官らを旧世代と位置付け、「僕は軍歌は歌わない」などと当時、流行していた小室哲哉の曲を好んでカラオケで披露していた。
 橋本龍太郎氏、小渕恵三氏と続く「旧経世会」内閣後は、いよいよ加藤氏の時代とも言われた。しかし、小渕氏からの禅譲を期待する周囲の反対を押し切って同氏との総裁選に挑み、同氏が病に倒れた後は、党内力学から森喜朗氏に首相の座が回った。
 自民党の限界説が出る中、2000年秋に「加藤の乱」が起きた。不発に終わった後、加藤氏は支持を明確にしなかった派閥の先輩、宮沢喜一元首相への恨み節を吐露し、足元の派閥をまとめ切れなかった無念さはしばらく消えなかった。
 翌年、「YKK」の中では最も首相に遠いと思われた小泉純一郎氏が首相になり、その人気の陰で加藤氏の存在感は薄れていく。06年夏、首相の靖国参拝への批判的言動で、地元の自宅と事務所が放火され全焼する事件もあった。
 09年、自民党が下野した時に、加藤氏はその理由を「西側陣営が勝利し、欧米へのキャッチアップも果たした後、党は新たな国家目標を示せなかった」となめらかに分析してみせた。「評論家・加藤だな」と笑っていたが、では「加藤首相」ならば「失われた」という10年、20年にどう対峙(たいじ)したのだろうか。
 体調が許せば政界引退後も言論人としていくらでも活躍の場があったはずだ。憲法改正、集団的自衛権、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、消費税……。安倍晋三首相に対して、もう一度、加藤氏の発言が聞きたかった。【小菅洋人】  ≫(毎日新聞)


 ≪ 悼む声、政界から相次ぐ
 自民党内のリベラル派で中心的な存在だった加藤紘一氏の死去を惜しむ声が10日、政界から相次いで上がった。
山崎拓氏
 元自民党副総裁の山崎拓氏は「終生の畏友(いゆう)であった加藤紘一氏の訃報に接し、強烈な衝撃を受けた。比類なき英知の持ち主であり、政界同期の私ども友人に対し、国家と郷土の発展に身命を賭して働けと常に啓蒙(けいもう)啓発され、文字通り日本政界のトップリーダーの一人として活躍してきた。改めて 日本の政界がかけがえのない英知を失ったことを心より惜しむ次第だ」とコメントした。【吉住遊】

古賀誠氏
 加藤氏が「宏池会」会長だった時の側近で、「加藤の乱」でたもとを分かった古賀誠・元自民党幹事長は「加藤さんの生きざまを振り返ると、政界とはむごい世界だと、つくづく感じる。加藤総理・総裁を長年夢見ていたのに、『乱』がきっかけで分裂してしまった」と振り返った。2年前、2人でミャンマーを訪ねたのが最後になった。「加藤さんが『インパール作戦の現場へ行きたい』と言ったのがきっかけ。既に体調がすぐれなかったけれど、『絶対に行く』と。道中、いろいろな話をした。本当に残念」と悼んだ。【中澤雄大】

中谷元氏
 加藤氏の秘書だった中谷元(げん)前防衛相は「連合などと協議して自社さ政権で連立を成し遂げたが、結論が出なければ朝まで議論することもあった。政治とは丁寧に説得を繰り返してつくり上げるものだと教わった。経世会(旧竹下派)中心の政治を変える原動力になった方だった」としのんだ。【飼手勇介】

園田博之氏
 自社さ連立政権時代にさきがけ(当時)の幹事長を務めた自民党の園田博之衆院議員は「自社さ連立政権に加藤さんの貢献は大きかった。大変な政策通で見識も高かった」と語り、「間違いなく日本を代表する政治家。『加藤の乱』がなければなあと思う。とても残念だ」と惜しんだ。【野原大輔】
 ≫(毎日新聞)


 ■“宏池会”とは……(Wikipedia抜粋) 注:この項目では、池田派以来の宏池会について説明しています。分裂中の宏池会(加藤派~谷垣派)あるいは再分裂後の有隣会については「宏池会 (谷垣派)」を、分裂中の宏池会(堀内派~古賀派)については「宏池会 (古賀派)」をご覧ください。

★宏池会(こうちかい)は、自由民主党の派閥(宏池会系)。通称は岸田派。 流れとしては、池田派→前尾派→大平派→鈴木派→宮沢派→加藤派→(※二派閥分裂)→古賀派→岸田派。 ※2000年11月の加藤の乱に伴う派閥分裂中は、 加藤派→小里派→谷垣派 堀内派→丹羽・古賀派→古賀派 の二派閥に分かれていたが2008年5月13日、分裂していた二派閥が統一。

★概要 政策科学的機構としては、宏池政策研究会と定義される。創設者の池田勇人以来、大平正芳・鈴木善幸・宮沢喜一と4人の総理・総裁を輩出、野党時代にも河野洋平、谷垣禎一と2人の総裁を出しており、自他共に保守本流の名門派閥と見なされてきた。元来、池田を取り巻く官僚出身の議員やスタッフを中心に形成されたという沿革もあり、今日に至るまで政策に通じた議員が多く在籍する。しかし政策に明るいが政争に暗いと評され、「公家集団」と揶揄されることもしばしばみられる。 当初から離合集散を繰り返してきた自民党各派閥に比べて、各会長の下一致結束して派閥を継続してきたとされ、自民党草創期の名称を今日まで維持している唯一の派閥でもある。しかし1993年の野党転落を機に派の主導権争いが激化して以降は分派や合流を繰り返している。 政策面では、歴史的に明確な一貫性があるわけではないが、自民党内では中道派に属し、特に安全保障では日米関係を重視しながらも、ややハト派的傾向が見られる。小泉政権以降、自民党の主流が保守化する中、後述の宏池会再結集においては意識的にリベラル派の再結集をアピールした。 「宏池会」の名は、後漢の学者・馬融の「高崗の榭(うてな)に臥し、以って宏池に臨む」という一文(出典は『広成頌』)から、陽明学者安岡正篤が命名したものである。池田勇人の「池」の字、池田の出身地である広島の「ひろ」を「宏」に掛けているともいわれる。 創設以来、赤坂の日本自転車会館(赤坂貿易会館→日本短波放送会館を経て現在のビル名)1号館に事務所が置かれていたが、再開発によりビル取り壊しが決定したため、永田町の全国町村会館に移った[1]。 池田、前尾、宮澤、岸田ら、伝統的に酒豪のそろった派閥として知られ、会合や宴席では部外者が唖然とする光景が繰り広げられている[2]。


■宏池会 (古賀派) 宏池会(こうちかい)は、自由民主党の派閥。加藤の乱後に分裂した宏池会のひとつ。本記事では堀内派→旧堀内派→丹羽・古賀派→古賀派の通称で呼ばれた宏池会。

★沿革 堀内派時代 2000年11月、宏池会会長加藤紘一の第2次森内閣不信任決議案同調の動きに反発した宮澤喜一元首相、池田行彦、堀内光雄、丹羽雄哉ら反加藤グループが、2001年1月に堀内派を結成。第2次森改造内閣発足に伴う党役員人事では、野中広務幹事長の後任に国会対策委員長の古賀誠を送り込んだ。 2001年4月、森首相の退陣を受けた2001年自民党総裁選で、堀内派は小泉純一郎候補の対抗馬である橋本龍太郎元首相を支援。優勢が伝えられていた橋本が敗れたため堀内派は反主流派に転落するも、小泉執行部で堀内が党総務会長に就任する。 2003年総裁選では、堀内総務会長を中心とする親小泉派と、古賀元幹事長を中心とする反小泉派に分裂。また、同年11月の衆議院議員総選挙を前に、宮澤元首相が小泉総裁から直々の引退勧告を受け、政界引退となった。 2004年1月、堀内派幹部だった池田行彦が死去。7月にはかつて宏池会会長も務めた鈴木善幸元首相が死去した。9月に行われた党役員人事では堀内光雄が総務会長を解任され、内閣改造でも冷遇されて以降は反小泉色を強める。 2005年7月、堀内光雄が郵政国会で郵政民営化法案採決で反対票を投じるため、派閥会長を辞任。その後は後継会長を立てず、丹羽雄哉・古賀誠の主導で派閥運営が進められた。

★古賀派時代・中宏池会 の実現 2008年に入り谷垣派との合流論(中宏池会構想)が加速。同年1月16日には5月までの再合流を正式決定し、同年5月13日、東京都内のホテルで開かれた政治資金パーティで、正式に合流が実現した。会長には古賀誠、ナンバー2の代表世話人には谷垣禎一が就任。会長代行は太田誠一(旧古賀派)、事務総長には逢沢一郎(旧谷垣派)が就き、両派の均衡が図られた。また、派閥の事務所は旧古賀派の事務所に引き続き置かれることとなった。なお後に旧谷垣派は2012年総裁選への対応を発端として再び離脱している。  ≫(Wikipedia抜粋)

神社と政治 (角川新書)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/角川書店


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●日本人の思い上がりと法整備 移民は既に事実化している

2016年09月10日 | 日記
人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋

 

iPS細胞が医療をここまで変える (PHP新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●日本人の思い上がりと法整備 移民は既に事実化している

 以下に、「外国人技能実習制度」と云うトンデモナク頓珍漢な国際貢献制度と、「奨学金留学制度」と云う、これまたその場限りのご都合主義制度に支えられて、我が国の一部が構成されている現実は、おそらく、近々、限界に達するだろう。政府や役人、学者たち既得権者たちは、その場その場の都合に合わせた“屁理屈論”を並べ立てるが、真面目に、少子高齢化社会の日本が抱える問題に、本音で議論する時が来ているのは間違いがない。

 都会に住んでいると、外国人らしき労働者に出会うことは、いまや、日常茶飯事だ。日常的には、サービス業において顕著だ。コンビニの店員などは、繁華街では半数以上が外国人だ。限られた日本語でも対応は可能だし、後は、手振り身振りで、何とかなる。外食産業においも、同じような傾向がある。あまり、直接知ることはないが、農業や建設、漁業分野における、外国人労働力は、いまや、日本社会を回す上で、欠かせないものになっているのが、既に実態なのだ。

 本来、実態に則した法整備が必要になるのだが、政府も役人学者らも、建前論に終始して、事実に蓋をした状況が続いている。この「外国人労働力」の問題と「移民政策」と云う問題は、表裏一体な傾向はあるが、必ずしも「外国人労働力容認」と「移民容認」が、制度的に同じである必要はない。しかし、嘗ての、世界第二位の経済大国ではない。今後も、そのようになる可能性は、限りなくゼロであり、方向的には、下位に向かっているの事実を受け入れることが必要だ。だからと言って、何も、日本の文化価値が下がるわけではない。現在の日本の政党や大人たちが観念的に持っている「経済大国日本」ではない、価値を見出せば良いだけなので、特に嘆く問題ではない。

 それよりも、「日本は、外国人について、単純労働者は受け入れず、専門的・技術的労働者のみ受け入れる」という建前は、 一般の国民が知らないところで、既に大きく崩れている。多くの外国人単純労働者が懸命に働き、日本経済の下支えをしているのは事実であるし、日本人がやり たがらない仕事を引き受けているという事実だ。ただ、最近では、建設、漁業、農業分野、たぶん原発処理分野において、劣悪労働条件が固定化し、日本人労働者との間に軋轢が生じている事実も見逃さない方が良いだろう。

 今後、日本の少子高齢化社会の進捗は、税や社会保障費の負担主体が、見る見る減少するのは確定的なのだから、彼ら、外国人単純労働者に対しても、日本国内の社会保障を含む法的保護と、それに見合う負担を、前向きに考えていくのは当然だ。彼らの、日本への永住権を認めるか(実質的に移民受け入れ)、と同一土俵で論じなくても、この問題は解決する。「移民容認」と云う劇薬に向かう前に、段階的処方箋は、日本社会の準構成員になって貰うことだ。ただし、日本の国際的立場を、冷静沈着にジャッジする能力を、我々日本人が持っていないと、「ご都合主義日本」と評価されるだけで、いずれ、外国人労働力から見放されるに違いない。

 老々介護と大和魂で切り抜ける選択も否定はしない(笑)。遣れるものなら、やってみなはれ!と云うことだ。「AIが発達すると、2030年以降には人口の1割しか職にありつけない」なんて話もあるが、まあ、眉唾だ(笑)。AIとロボットが飛躍的に高度化することは、悪いことだとは思わない。iPS細胞を用いた再生医療や創薬研究なども、劇的に人間の生き方を変えるだろう。しかし、その劇薬的イノベーションを人類に役立たせるも、しないのも、人類の知恵である。筆者は、AI、ロボット、iPS細胞‥等の進捗に、酷く後れを取っている人類の知能、心が心配だ。


 ≪ 日本が外国人労働者に見捨てられる日 ――丹野清人・首都大学東京 都市教養学部教授に聞く
【 安く使え、必要なくなれば切り離せばいいという発想で企業に受け入れられてきた外国人労働者。しかし、日本を取り巻く環境は様変わりし、これまでのような安直な発想では、いずれ外国人労働者から見向きされない国になってしまうかもしれない。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)】
 ■日系人に代わって増える技能実習生 名目ばかりの「国際貢献」の弊害とは
――人口減少が本格化してくるなか、外国人労働者を受け入れて労働力を確保しようという動きが再び活発化しています。バブル期や2000年代のミニバブル時など、外国人労働者は長らく、雇用の調整弁としての役割を期待されてきました。

 まず、明確にしておかなければならないのは、日本はまだ「外国人労働者を受け入れていない」というスタンスを崩していないということです。しかし、現実に彼らは存在している。  
 どういうことなのかというと、まずは日系人に関しては、1990年の入国管理法改正を契機として、ブラジルを中心に、ペルーやアルゼンチンといった国から、大勢やってきました。彼らの多くが業務請負の、いわゆる派遣労働者として、自動車産業などを支えてきた。しかし、入管法改正は、あくまでも「定住者として認める」というスタンスで、「外国人の労働を認めます」とは言っていない。ただ、「定住するのだから、働くのも当然アリでしょう」というような、いわば黙認のかたちを取ったのです。
 2008年のリーマンショック後、大量の派遣切りが行われ、多くの日系人が母国へ帰りました。ブラジル人については、08年には約32万人が日本にいたのに、昨年末は18万人弱に減りました。激減した日系人に代わって増えているのが、技能実習生です。
 彼らは3年間、単身で日本にやってきて、指定された対象業務(農業、漁業、建設業など71職種130作業)に従事します。日系人と違って定住はできず、同じ業務での再入国も認められていません。最近、3年を5年に延長することなどが閣議決定され、人手不足解消に役立つのではないかと期待されていますが、そもそも、この「技能実習制度」というのは、「国際貢献」という名目なのです。
 つまり、日本の技術を実習生たちに教えて、自国で活躍してもらおうというのが、本来の趣旨なのです。にもかかわらず、いつの間にか人手不足解消の ためといって、実習制度が濫用されている。これは、実習生たちにとってのみならず、実は日本企業にとっても深刻な弊害があるのです。

――どういうことでしょうか?

 たとえば、造船業界は今や、韓国や中国と熾烈な競争をしていますよね。これは、日本で技術を学んだ人たちが、自国の造船業を発展させたからなので す。米国のように、製造業を捨てて金融に力を入れる、というような流れになっているのならまだしも、日本はいまだに製造業で外貨を稼いでいる。人手不足だといって安易に実習生に頼れば、あちこちで造船業界のようなことが起きるのです。
 また、企業からすれば、同じ仕事を3年かけて教えて送り出し、次に来た人に、またイチから教えなければならない。これは非常に効率の悪いことなのではないでしょうか。
 本来、技能実習生は短期的に活用すべきものだと思います。しかし現状は、ある労働組合の幹部が言っていましたが「頼りすぎてやめられない、麻薬の ようなもの」となってしまっています。今、三大都市圏の野菜のほとんどは、中国人実習生が収穫しています。彼らがいっせいに日本からいなくなれば、われわれは明日から弁当も食べられないのです。
 さらに、実習生たちは現行制度なら3年、延長されても5年で帰国しますし、家族も伴わない単身勤務です。つまり、労働力としては一定の機能をしま すが、日本の人口は増えない。人口減少に対応したいのなら、日系人型、つまり移民受け入れ型の政策を考えていかなければなりません。

■外国人労働者を捨てた日本が 逆に見捨てられる日がくる

――実習生たちにとっても、劣悪な環境で働かされることが問題になっていますよね。

 劣悪な労働環境がしばしば社会問題となってきました。しかし、多くの日本人は「それでも彼らは自国で働くよりは、日本に来て外貨を稼ぎたいのだ」と理解しているのではないでしょうか。以前はその通りでした。しかし現在、状況は急速に変わり始めています。
 技能実習生の国籍トップ3は中国、ベトナム、インドネシア。次にフィリピン、タイと続きますが、いずれも急速に経済発展を遂げています。80年代なら、日本との賃金格差は30倍にも及びましたが、今はせいぜい10倍程度でしょう。それに加えて、昨年から急速に円安が進みました。日本で得られる仕事 は、最低賃金レベルのものばかりですから、彼らにとって賃金面の魅力は色あせてきているのです。
 加えて、イメージも落ちてきています。かつて、日本メーカーの家電製品や自動車がアジア各国でナンバーワンブランドとして君臨していた時代は、日 本に憧れる人が大勢いました。「夢の国・日本で、一度でいいから働きたい」と思ってもらえていたのです。しかし、今では日立や東芝は家電製品を縮小して重電分野に経営資源を特化し、代わりにサムスンやLGがアジアで活躍する時代となりました。“日本ブランド”の力も急速に衰えているのです。
 憧れも抱けず、カネも稼げないのなら、見向きされるはずもありません。日本人の多くは「外国人をこき使い、いらなくなったら見捨ててきた」と考えているでしょうが、実は、「われわれが外国人労働者から見捨てられる」時代がすぐそこまで来ているのです。

 ■受け入れ制度の充実度で 日本の先を行く韓国と台湾

――同じく少子化が進んでいる韓国や台湾も、外国人労働者の受け入れに力を入れています。

 技能実習制度は、人集め、いわゆるリクルーティングは現地の民間企業や政府系機関が担っており、来日後しか日本政府はタッチしません。一方、介護職は技能実習制度ではなく、2国間協定のEPAによって実施されているので、日本政府がリクルーティングにもからめます。
 韓国や台湾は、日本でいうところの介護職の方式、つまり政府がリクルーティングに関与する方式で進めています。こちらの方が、労働者にかかる負担 は少なくて済みます。というのも、現地でのリクルーティングにかかる費用は結局、労働者が負担することになる。民間企業などがあいだに入ると、その分イニシャルコストが跳ね上がるのです。また、滞在できる年数が日本より長いことも、労働者からすれば魅力でしょう。
 もっとも、政府が直接関与する方式は、現地との調整もあり、簡単にできるものではありません。韓国のケースでも、時間をかけてここまでの体制を作ったのです。いずれにしても、かつては圧倒的魅力を誇っていた日本ですが、現在は韓国や台湾に競り負ける状況になりつつあるということです。

 ■人材使い捨ての業界には いずれ外国人すら来なくなる

――日本は技能実習制度を改めるべきなのでしょうか?

 人口減少への対応という観点からは、やはり移民型を議論すべき時にきていると思います。ただ、労働力確保といった特定の問題解決ばかりにフォーカスすると、対応を誤るでしょう。
 これだけグローバル化が進んでいるなか、人を「人的資源」と考え、人が移動をした際、その人も受け入れた社会も双方がトクをする、という体制を考 えなければならない。ここをおざなりにすると、必ず失敗します。誰も、子育てもロクにできないような国には、行きたくないでしょう。これまでのような「使い捨て」の発想ではダメです。
 たとえば現在、人手不足が厳しい業種の1つに建設業界があります。建設業界は、ゼネコンをトップに重層下請け構造となっており、下請けの労働者た ちは社会保険すら入れていない人が大勢いる、というような状況がいまだに続いている。これでは外国人労働者うんぬん以前の問題で、業界構造そのものがおかしいと言わざるを得ない。短期的には外国人が来てくれても、しばらくすると誰も来なくなった、という事態になっても不思議ではありません。
 もちろん使い捨ては論外なのですが、だからと言って、いきなり戸籍まで与えろというのではなく、共存できる体制をつくることを念頭に、「どこまで外国人に依存するのか」「どの程度、受け入れるのか」を議論すべきなのです。
 そもそも、日系人にしても実習生にしても、「労働者を受け入れたわけではない」という建前がいまだに存在していること自体がおかしいですよね。実際に受け入れているのですから、どう受け入れるべきかという視点でこそ、真剣に議論されなければなりません。  ≫(ダイアモンドONLINE>経済・時事>シリーズ・日本のアジェンダ 崖っぷち「人口減少日本」の処方箋)


 ≪ 外国人労働者が絶望する「ニッポンのブラック工場」の実態 安すぎる給料、過酷な労働条件…
【日本の低賃金・重労働に絶望を募らせる外国人が増えている。外国人労働者の実態を取材した『ルポ ニッポン絶望工場』から、その一部を公開する――。】
■外国人労働者の悲鳴が聞こえる
・近年、外国人の働く姿を見かける機会がますます増えてきた。
・都会のコンビニエンスストアや飲食チェーン店では、外国人の店員が当たり前になった。建設現場でも、外国人作業員をよく見かける。田舎に行けば、農業や水産加工業などで外国人は貴重な戦力だ。
・外国人が増えていることは統計でも明らかだ。
・日本で暮らす外国人の数は昨年1年間で約11万人増え、過去最高の約223万人に達した。こうして増加した外国人の半分以上は「実習生」と「留学 生」として日本にやってきている。実習生は15パーセント増えて約19万3000人、留学生も同じく15パーセントの増加で約24万7000人となった。 私たちが普段見かける外国人労働者も、その多くは「実習生」や「留学生」として入国した人たちだ。
・実習生と聞けば、日本に技術を学びに来ている外国人のように思われるかもしれない。しかし、実態は短期の出稼ぎ労働者である。留学生にも、勉強よりも出稼ぎを目的とする者が多く含まれる。
・では、外国人の出稼ぎ労働者たちは、なぜ「労働者」ではなく、「実習生」や「留学生」として日本にやってくるのか。
・少子高齢化によって、日本の労働人口は減り続けている。とりわけ体力が必要で賃金の安い仕事は働き手が不足している。しかし、「単純労働」を目的に 外国人が入国することは法律で許されない。そこで「実習生」や「留学生」と偽って、実質的には単純労働者が受け入れられているのだ。
・私が「外国人労働者」をテーマに取材を始めたのは2007年、ある月刊誌で連載を始めたことがきっかけだった。すでに当時から、一部の職種で人手不足は深刻化しつつあった。外国人実習生の数は15万人を超えていた。実習生と同様、バブル期の人手不足によって 受け入れられ始めた日系ブラジル人の出稼ぎも、全国で30万人以上に上っていた。翌2008年には、東南アジア諸国から介護士・看護師の受け入れも開始されることになっていた。
・そうやって外国人労働者はどんどん増えているというのに、世の中の関心は現在にもまして低かった。 ・欧米諸国を見れば、外国人労働者や移民の受け入れは、国論を二分するテーマになっている。やがて日本でも、外国人労働者や移民の受け入れが大きな議論となるに違いない。そう考え、以来私は、10年にわたって外国人が働く現場を訪ね歩いてきた。

 ■生臭さが充満する職場で…
・私には今も忘れられない光景がある。外国人労働者の取材を始めた際、最初に訪れた北海道猿払村で目にした光景だ。
・猿払村は、日本最北端の宗谷岬からオホーツク海沿いに少し下った辺りにある。人口は3000人に満たないが、ホタテの水揚げ量で全国一を誇る「ホタテの町」だ。ホタテの殻を剥く作業には人手が要るが、地元では確保できなくなっていた。そこで村では、約100人の実習生を中国から受け入れ、人手不足を 補うことにした。
・実習生の働くホタテの加工場は、殺風景な海岸にポツンとあった。そこに足を踏み入れた瞬間、私は思わず息を止めた。加工場には潮の香りとホタテの生臭さが充満していて、むせ返りそうだったのだ。
・そんななか、中国人実習生たちは顔色ひとつ変えず、黙々とホタテの殻剥きに励んでいた。皆、20代の若い女性である。一緒に働く地元の日本人女性たちは60~70代で、作業のスピードは明らかに実習生たちのほうが早い。
・「実習生なしでは、この加工場、いや村はもうやっていけない」
・加工場の経営者が漏らした言葉に、私は軽い衝撃を受けた。外国人労働者なしでは「やっていけない」職場が、日本のあちこちで増えていくに違いないと悟ったからだ。少子化による人手不足は、なにも猿払村や水産加工業に限った話ではないのである。
・あのときの私の予感は現実のものとなった。コンビニや飲食チェーン店のような目につく職場だけではない。外国人頼みの現場は、むしろ私たちが普段、 目にしない場所に数多く存在する。コンビニやスーパーなどで売られる弁当やサンドイッチの製造工場、宅配便の仕分け現場、そして新聞配達……。いずれも日本人が嫌がる夜勤の肉体労働ばかりである。
・コンビニは24時間オープンしてもらいたい。
・弁当はできるだけ安く買いたい。
・宅配便は決まった時間にきちんと届けてもらいたい。
・新聞は毎朝毎夕決まった時間に配達してほしい。
・しかし、私たちが当たり前のように考えているそんな“便利な生活”は、もはや低賃金・重労働に耐えて働く外国人の存在がなければ成り立たなくなっている。いや、彼らがいなくなれば、たちまち立ちゆかなくなる。
・そうした実態は、日本人にほとんど知られていないのではなかろうか。

 ■「反日化」と「復讐」
・取材を続けながら、私が強く実感することがある。それは就労先としての「日本」という国の魅力が、年を追うごとに低下しているという現実だ。
・かつての日本は、世界第2位の経済大国として君臨していた。途上国の人々にとって日本は「夢の国」であり、その日本で働くことには憧れもあった。
・しかし近年、アジア諸国を中心として多くの途上国が急速な経済成長を遂げた。ひとことで言えば、経済格差が縮まったのである。日本は「夢の国」から 「安い国」へと転落し、カネを“稼ぐ”ための場所から“使う”ための国へと変わった。“爆買い”で有名になった中国人観光客を見れば、そのことがよくわかる。
・日本に出稼ぎにやってくる外国人の顔ぶれも大きく変化した。かつて実習生や留学生の7割を占めた中国人は減少が止まらない。中国の経済発展で賃金が上昇し、日本への出稼ぎ希望者が減ったからだ。そして日系ブラジル人も、ピーク時の半分近くまで激減している。
・代わって増えているのが、経済発展に乗り遅れた国の人々だ。
・たとえば、ベトナム人である。
・2010年末には約4万2000人に過ぎなかった在日ベトナム人の数は、わずか5年で約14万7000人と、10万人以上も急増した。ネパール人も 約1万8000人から約5万5000人へと増えている。さらには、ミャンマーやカンボジアといった国々の出身者も増加中だ。彼らが今、「実習生」や「留学生」として増えている外国人労働者の正体なのである。
・職業に貴賎はない。とはいえ、誰もがやりたがらない仕事はある。そうした最底辺の仕事を彼らが担っている。今後も、外国人頼みの職種は増えていくことだろう。老人の介護は外国人が担い、外国人の力なしにはビルや家も建たない時代が近づいている。
・日本人の嫌がる仕事を外国人に任せ、便利で快適な生活を維持していくのか。それとも不便さやコストの上昇をがまんしても、日本人だけでやっていくのか。私たちは今、まさにその選択の岐路にいる。
・貧しい国に生まれ育った外国人であろうと、彼らも同じ人間である。日本人にとって嫌な仕事は、彼らも本音ではやりたくない。これまで私は、日本に憧 れてやってきた若者たちが、やがて愛想を尽かして去っていく姿を何度となく目の当たりにしてきた。“親日”の外国人が、日本で暮らすうち“反日”に変わっていくのである。
・「実習生」や「留学生」だと称して外国人たちを日本へと誘い込む。そして都合よく利用し、さまざまな手段で食いものにする。そんな事実に気づいたと き、彼らは絶望し、日本への反感を募らせる。静かに日本から去っていく者もいれば、不法就労に走る者もいる。なかには凶悪な犯罪を起こす者すらいる。
・自分たちを食いものにしてきた日本社会に対し、彼らの“復讐”が今まさに始まろうとしているのだ。 ■“奴隷労働”が支える新聞配達
・「外国人技能実習制度」(実習制度)で来日した実習生が、日本でひどい待遇を受けているとの報道は多い。「実習」という名のもと低賃金・重労働の仕 事に就き、しかも残業代の未払いやパスポートの取り上げといった人権侵害を受け、悪い企業の餌食になっているというのだ。欧米の人権団体などには、日本の実習生を「現代の奴隷」と呼ぶところまである。
・しかし私に言わせれば、出稼ぎ目的の留学生たちが置かれた状況のほうが、実習生よりもずっとひどい。彼らは多額の借金を背負い入国し、実習生もやらない徹夜の重労働に明け暮れる。そうして稼いだアルバイト代も、留学先の日本語学校などに吸い上げられるのだ。
・現在、日本で最底辺の仕事に就き、最も悲惨な暮らしを強いられている外国人は、出稼ぎ目的の“偽装留学生”たちだと断言できる。
・実習制度の問題については頻繁に取り上げる新聞やテレビも、留学生の実態についてはほとんど報じない。確かに“偽装留学生”たちは「留学」と偽って 日本で働こうとしたかもしれない。だが、そんな彼らを餌食にしているタチの悪い輩が存在する。日本語学校は留学生たちからボッタクり、企業は“奴隷労働” を強いている。にもかかわらず、メディアは知らんぷりである。
・新聞やテレビが留学生問題に触れないのには理由がある。それは、そもそも新聞が、留学生たちの“奴隷労働”に支えられているからだ。
・新聞配達は、人手不足が最も進んだ職種の1つになっている。留学生の存在なしには、配達すらできない現場も少なくない。とりわけ都会では、配達員がすべて留学生という新聞販売所まであるほどだ。
・かつて都会の新聞配達といえば、地方出身の日本人苦学生によって成り立っていた。大手紙の新聞奨学生となれば、大学や専門学校の学費は負担してもら え、そのうえ衣食住も保証された。しかし、最近では希望者が激減している。新聞配達の仕事では、真夜中から早朝にかけて朝刊、加えて午後には夕刊の配達も待っている。人手不足でアルバイトなど選び放題の時代、若者に敬遠されるのも当然だろう。
・そうした日本人の働き手の減少を補っているのが、ベトナムをはじめとする途上国出身の留学生たちなのである。
・もちろん、留学生が新聞を配達しようと構わない。しかし、新聞配達の仕事は「週28時間以内」では終わらない。つまり、留学生たちは初めから違法就労を強いられることになる。
・こうした留学生の問題を紙面で取り上げれば、みずからの配達現場で横行する「違法就労」にも火の粉が及ぶ。そのことを恐れ、新聞は「留学生」がいく ら日本でひどい目に遭っていようが、記事にしようとはしない。そして、新聞社と資本関係のあるテレビ局も、新聞に気を遣い、留学生問題については触れな い。
・新聞配達の現場で今、何が起きているのか。私は東京都近郊の朝日新聞販売所の経営者と交渉し、ベトナム人留学生の新聞配達に密着取材させてもらうことにした――。

 ■ベトナム人が支える新聞販売所
・午前3時、シーンと静まり返った住宅街に原付バイクのエンジン音が響いていた。ハンドルを握るアン君(20代)は、1年前にベトナムから来日し、日本語学校に通いながら新聞配達を続けている。
・奨学生としての生活は厳しい。午前2時に起きて朝刊を配り終えた後、午前中は日本語学校で授業を受ける。そして午後から夕方にかけては夕刊の配達が ある。その後、アパートに戻って夕食を食べ、日本語学校の宿題と向き合う。睡眠時間は毎日3時間ほどだ。仕事が休みになるのは月4日と新聞休刊日だけで、 大晦日も元旦も配達があった。
・「スピード、大丈夫ですか?」
・バイクを後ろから自転車で追いかける私を気遣い、アン君がマスク越しに声をかけてきた。柄モノのマスクはベトナムに残した彼女からのプレゼントだ。
・気温は零度近くまで冷え込んでいた。アン君の顔はマスクとマフラー、ヘルメットで隠れている。新聞配達の姿を見ても、彼が外国人だとわかる人はほとんどいないだろう。
・配達する朝刊は約350部、夕刊が200部以上に及ぶ。外国人であっても、配達部数は日本人と変わらない。バイクのカゴと荷台に分けて積む新聞の重さは約20キロ。1回ではすべて積みきれず、配達の途中で販売所に戻って積み直さなくてはならない。
・「朝、起きるのは大丈夫です。でも、雨の日は大変。風の(強い)日も大変です」
・アン君はベトナムでも日本語学校に通っていたが、言葉はまだ流暢とは言いがたい。配達先の表札にも読めない漢字は多い。そのため仕事中は、いつも「順路帳」が手放せない。絵と記号を使って、配達の順路が記された帳面である。
・バイクを止めては前のカゴから新聞を抜き取り、配達先のポストに入れていく。そんな作業が延々と続く。 ・4時半頃になると、空が白んできた。しかし、道行く人は皆無だ。聞こえてくるのは、他紙の配達員が運転するバイクの音だけである。そんななか、1軒の配達を終えたアン君が、踵を返して私に尋ねてきた。
・「新聞配達がいちばん楽しい日は、いつか知っていますか?」

 ■日本人の友だちは1人もいない…
・答えに窮していると、彼は笑顔で言った。
・「雪の日です。配達に10時間もかかりました」
・最初は皮肉かと思ったが、配達を終えた後に話を聞いて理解した。
・アン君は以前、大雪のなかで配達したことがあった。ベトナムの故郷では、ほとんど雪は降らない。何度もバイクで転んでしまったが、それでも配達をしないわけにはいかない。仕方なく歩いて配達していると、見かねた近所の人たちが次々と手伝ってくれたのだという。
・日本にやってきてからずっと、アン君は販売所と日本語学校の往復だけの生活を送っている。接する機会のある日本人といえば販売所の従業員と日本語学 校の教師や職員くらいで、日本人の友だちも一人もいない。そんな彼にとって、思わぬかたちで経験することになった日本人のやさしさが身にしみたのだった。
・アン君が働く販売所では、数年前からベトナム人奨学生を受け入れてきた。販売所を経営する男性は、彼らの働きぶりに満足しているという。
・「ベトナム人の若者は皆、真面目です。不着(配達漏れ)もほとんどなく、むしろ日本人よりも優秀。ベトナム人抜きでは、うちの店はもう成り立ちません」
・男性の販売所には10の配達区域があるが、そのうち8つはベトナム人留学生の担当だ。確かに、ベトナム人抜きでは「成り立たない」状況である。
・アン君は、朝日新聞販売所に奨学生を送り込む「朝日奨学会」に採用された後、この販売所に配属された。朝日奨学会では、彼のような外国人奨学生のことを「招聘奨学生」と呼ぶ。招聘奨学生となると、日本人の奨学生と同様、学費を負担してもらえ、アパートも提供される。
・一方、販売所にとっては、日本人よりも外国人の奨学生を採用したほうが金銭的なメリットがある。日本人奨学生の場合、奨学金と給料、アパート代など で月25万~26万円程度の負担となるが、外国人だと月4万~5万円ほど少ない。外国人が通う日本語学校は、大学よりも学費が安いからだ。
・そもそも、最近では日本人の若者で新聞奨学生を希望する者は少ない。珍しく希望者がいて採用しても、仕事が嫌になって短期間で辞めてしまうケースが多い。販売所を逃げ出しても、ほかにアルバイトはいくらでもある。
・その点、外国人の場合は、途中で逃げ出す心配がない。人生をかけて来日している彼らは、簡単に日本を離れるわけにもいかない。販売所を辞めたところで、学費が免除され、しかも衣食住の心配もない新聞奨学生を上回るアルバイト先など、そうそう見つからないからだ。
・社会人の日本人を雇えば、奨学金の負担はなくなる。ただし、販売所の仕事はアパート付きが基本だ。フルタイムで一人雇えば、首都圏では最低でも月 30万円前後はかかってしまう。それでも日本人を雇いたい販売所は多いが、希望者は現れない。そのため仕方なく、外国人に頼る状況が生まれている。
・新聞販売所で働く外国人留学生のなかでも、際立って多いのがベトナム人だ。とりわけ朝日新聞の販売所では、ベトナム人頼みの状況が著しい。朝日奨学会東京事務局が、組織的にベトナム人を奨学生として採用しているからだ。この2~3年は毎年春と秋、100人単位での受け入れが続いている。ちなみに同事務局で採用する日本人奨学生は、1年で100人にも満たない。つまり、ベトナム人奨学生の数が日本人の2倍以上に達しているのだ。 「朝日奨学会」制度の功罪と、さらに過酷な新聞配達の実態に迫る後編はこちら
 ≫(現代ビジネス>社会>社会保障・雇用・労働:出井康博)

*以下、後編は文字制限のため掲載できず。以下URLにてお読みください。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49460


自治体がひらく日本の移民政策-人口減少時代の多文化共生への挑戦
クリエーター情報なし
明石書店



ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●トドノツマリ 国民に“ツケ回し”するのが既得権者の習わし

2016年09月09日 | 日記
脳は、なぜあなたをだますのか: 知覚心理学入門 (ちくま新書)
クリエーター情報なし
筑摩書房


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●トドノツマリ 国民に“ツケ回し”するのが既得権者の習わし

 あまりにも馬鹿々々しい話なので、コメントする気になれない。そういう気力が湧かない、政府や既得権者の横暴なのだ。原発発電が「何よりも安い」一点張りで、原発政策を国策として動かしてきた国や、電力会社(この場合、東京電力)が、ここにきて、原発に頼らない“新電力”から電気を購入するようになった国民からまで、「ノベタンで、浅く広く取っちまえ!」とNHK受信料を“ワンセグ携帯”からの徴収は当然と、「下級裁判所の決定なんか糞喰らえ」と籾井会長が言い放っているのと似ている。

 原発由来の電力を忌避してでも、1割程度高い電力でも購入しようとした“自由市場”の選択を蔑ろにする「裏切り」は、安倍政権のどこを見て、「普遍的価値」重視する政策だと云うのだ。続けて参考掲載している、GPIFの運用損。或いは、来年末には、日銀黒田が、異次元金融緩和と、日経225の上場企業株式及びETFを通じた「官製相場」を継続すると、225企業の75%において「筆頭株主」になるようだ。つまり、自由主義経済世界とおさらば、社会主義国経済化乃至は中国共産党独裁国家と同じ構図になる。それでも、既得権者層に御利益があるのなら、イデオロギーなど「何でも構わん」という、驚きの「節操のなさ」と「矜持なき世界」である。

≪ 【報ステ】「廃炉費用を新電力も負担」政府が調整
 4月からスタートした電力自由化で、一般家庭への電力の小売りに新たな事業者が参入し、競争が働くことで電気料金の値下がりにもつながると期待されてきた。
しかし、東京電力が国に助けを求め、東京電力が負担するはずだった福島第一原発の廃炉費用を新電力にも負担させる新しい仕組みが政府内で浮上している。
廃炉費用を負担するとなると、新電力も電気料金を値上げせざるを得ないという。廃炉にかかる費用として東京電力は2兆円超の資金を用意している。
しかし、エネルギー政策に詳しい都留文科大学の高橋洋教授は「少なくとも4~6兆円で収まるような数字ではないだろう」と話す。事故から5年半経った今も廃炉の見通しは立っていないのが現状だ。高橋教授は「原子力はトータルで見れば“決して安くないのではないか”と認めざるを得ない状況になると思う。原子力政策も大きな分岐点に至っている」と指摘する。
 ≫(テレビ朝日系(ANN) 9月8日(木)23時30分配信)

 ≪ 新電力も負担、政府調整 料金に上乗せ






 政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが7日、 わかった。電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発の廃炉や原発事故の賠償にかかる巨額の費用を賄えなくなる可能性が あるためだ。だが、本来は大手電力が負担すべきコストを国民全体に求めることになり、議論を呼ぶのは必至だ。

 現行制度で原発の廃炉は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。福島第1原発事故の賠償は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、大手電力が負担金を同機構に納付している。

 政府が導入を検討している新制度は、原発を保有する大手9社だけでなく、新電力にも廃炉や福島原発の賠償費用を負担させる仕組み。新電力各社は電気料金 に上乗せして回収するため、契約者の負担が増すことになる。政府は事故を起こした福島第1原発のほか、全国の原発が廃炉になった場合の費用と、同機構を設 立する前にかかった福島原発事故の賠償費用の合計を約8兆円と試算。家族3人の標準家庭モデルで月額数十円から200円程度の負担を想定している。

 しかし、新電力の契約者に原発の廃炉や東電の賠償費用を負担させることは、大手電力と新電力との競争を促すことで料金引き下げにつなげる電力自由化の趣旨に反し、原発を抱える大手電力の事実上の救済策と言える。  政府は総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の下に小委員会を設け、新制度を議論し、年末までに一定の方向性を出した上で来年の通常国会に電気事業法の改正案を提出する。【川口雅浩】  ≫(毎日新聞)


≪ 大株主「日銀」、17年末に日経平均4分の1で筆頭-ETF増功罪
 ヤマハに加えて年内にはセコムやカシオで筆頭株主に 競争原理を体現する株式市場で一時的に「官製」の色合い強まる恐れ 追加の金融緩和策として上場投資信託(ETF)の買い入れ額を増やした日本銀行が、日本株市場への影響力を強めている。ETFの保有額から試算した結果、既に主要企業の実質的な大株主となっており、7月会合の方針に沿って今後買い進めば、筆頭株主・日銀の銘柄が急増する。

 ブルームバーグの集計によると、8月初旬時点で日経平均株価を構成する225銘柄のうち、75%で日銀が大株主上位10位以内に入っており、楽 器・音響のヤマハに至っては既に事実上の筆頭株主状態にある。日銀が今回、ETF購入枠を従来の約2倍へ拡大したことで、年内にはセコムやカシオ計算機で も筆頭株主化し、2017年末には55銘柄まで増加する見通しだ。  

 1980年代以降、日本では行財政改革や競争原理の導入による産業育 成の観点から、電電公社がNTT、国鉄がJR、専売公社がJT、日本郵政公社が日本郵政グループへと民営化し、社会全体として官から民への流れで進んでき た。しかし、競争原理を体現する株式市場では最近、中央銀行がETFを通じて日本株を保有、公的年金資金が国内株式の保有比率を上げるなど「官製」の色合 いが濃くなっている。

  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、「相場が下がったところで日銀が買い支え、投資 家に安心感を与える点では評価できる」とした半面、「長期間にわたって金額を増やし続けることが緩和になるのか。増やしてからは悪い面もあるのではない か、という見方も出てきている」と指摘した。

 日銀は7月29日の会合で、ETFの保有残高を年間約3兆3000億円から約6兆円増やすペースで買い入れることを決定。従来枠のETF買い入れ は、会合直前の1回当たり336億円から8月に入り707億円へ倍増した。10年に年間4500億円でETFの買い入れがスタートして以降、足元では過去 最高ペースで購入が進み、日経平均やTOPIXなど買い入れ対象指数の構成銘柄に対する存在感も増している。

  日銀はヤマハ株を実質 5.91%保有、保有率5.49%で筆頭株主のブラックロックを上回った。日銀以外の株主の比率が現状のままと仮定すれば、現時点で実質保有率が 5.31%のセコムや4.55%のカシオは年内、来年3月までにはエーザイや電通、安川電機、ニチレイなどでも日銀が筆頭株主化する。17年末にファナッ クや京セラ、テルモ、ダイキン工業、TDK、住友不動産、オリンパス、アドバンテスト、三越伊勢丹ホールディングスも加わると、日経平均構成銘柄の4分の 1を占め、18年末には82銘柄と全体の3分の1を上回る見込みだ。


 



 日本コムジェストのポートフォリオ・アドバイザー、リチャード・ケイ氏は「株式市場への資金流入という点でポジティブだが、あまり歓迎しない」と 言う。個別企業の選別や監視が行き届かない一律的な保有率の増加は、「ガバナンスを良くし、日本企業を抜本的に改善する動きではない。バリュエーション全 体を狂わせる動きになるかもしれない」と懸念を示す。  

 ブルームバーグの試算では、日銀は6月末時点で日本のETF全体の59.5%、8 兆9000億円を保有する。買い入れは指数の時価総額に比例して行っており、日経平均型がTOPIX型を上回る。日経平均型に資金がより流入する構図で、 15日午前は日経平均が小高くなった半面、TOPIXは軟調でNT倍率は一時12.8倍台と17年ぶりの高水準となった。日経平均の指数寄与度が大きい ファーストリテイリングの浮動株比率は25%だが、野村証券の試算ではそのうち半分を日銀が保有し、年末までには63%まで上昇する見込みという。

 SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、「浮動株を吸収し尽くしていくことが今後問題になる可能性はある」と指摘。流動性が低下 すれば、売買がしにくくなり、「どうしても買いたい投資家は価格をつり上げ、売りたい投資家は下値を大きく下げる。浮動株比率が低い銘柄は値動きが荒くな り、その銘柄のウエートが高いと、インデックスへの影響も大きくなる」と話す。

 また、日銀がETFの買い入れを増やせば増やすほど、出口政策のタイミングもますます難 しくなっていく。SMBC日興の伊藤氏は、「日銀もいつまでも持ち続けるわけにはいかない。どこかで出口戦略を考える時、指数ウエートの高い銘柄や保有比率の高い銘柄に思った以上に売り圧力がかかる可能性は考えなければならない」としている。  

 もっとも、日銀が多くの主要企業で実質筆頭株主になっても、弊害は少ないとの声も聞かれる。みずほ投信投資顧問の青木隆株式運用部長は、「日本企業の稼 ぐ力を回復させることと物価上昇率2%という政策の目標があり、うまく相乗効果をもたらすことが期待されている」と指摘。現在のETFの購入規模は、「政 策目標に合致した動きを期待できる範囲」と認識だ。日銀が買っても、ファンダメンタルズが悪ければ株価は下がるとし、「経営判断への影響はない」とみてい る。  

 日銀は、4日と10日に既存のETFを707億円購入した。これまでの1日当たりの買い入れ額の最高は2012年5月の397億円 で、これを大幅に更新するペースとなっている。購入枠増額を決める直前の7月28日の買い付け額は336億円だった。一方、設備・人材投資に積極的な企業 支援のためのETFは日々12億円の購入を継続している。  

 日銀が筆頭株主となる見通しについて、ファナックでは一般の株主と同様に捉えているとブルームバーグに回答。他の企業はノーコメントか、15日時点でまだ回答が得られていない。  

 日銀の保有株推計に際しては、日銀が公表しているETF購入額を6月末の時点でいったん時価評価し、投資信託協会のETFの60%を保有していると試 算。投信協会のETFが個別銘柄をどれだけ保有しているかをそれぞれ1銘柄ずつ算出し、その60%を日銀が保有していると推定した。その上で8月初旬時点 で再度時価評価し、日銀が年間6兆円のペースでETFを購入すればその比率がどう変化するかを予想した。  ≫(ブルームバーグ)


≪ 直近1年11兆円損失GPIFは安倍政権大失政
世界最大の年金運用資金。
それが、GPIF=年金積立金管理運用独立行政法人である。

・2015年6月末は残高が141兆1209億円だった。これが、本年6月末には129兆7012億円になった。1年間で11兆4197億円減少した。 8.1%の減少である。

・国民の老後の生活を支える年金資金。

・それが、1年間で11兆円も減ったのだ。笑って済ませられる問題でない。

・その理由は単純明快だ。

・安倍政権は年金運用改革の看板を掲げて、2014年10月末に年金資金運用の基本を大転換した。

・これまでは、年金資金は国民の大切な老後資金だから、できるだけ安全に運用することを基本に置いてきた。

・安全に運用するとは、リスクの大きい資産にはあまり資金を投入しないということだ。

・金融の世界でリスクの大きい資産とは、株と外貨資産だ。 だから、株と外貨資産への資金配分を抑制していた。

・ところが、2014年10月31日に、安倍政権は年金資金運用の基本を大転換した。株と外貨資産への資金配分比率を一気に引き上げたのだ。

・ところが、金融市場の潮流は2015年6月を境に大転換した。 それまでの円安=株高の基本構図が円高=株安の基本構図に転換した。

・ドルが上がるときには外貨資産を多く持てば大きな利益を得られる。株が上がるときには株式を多く持てば大きな利益を得られる。

・しかし、逆にドルが下がるときにドル資産を大量に保有していれば大きな損失が生まれ、株が下がるときに株式を大量に保有していれば大きな損失が生まれる。

・当たり前のことだ。

・したがって、年金資金の運用で大事なことは、
・金融変動の大局を正確に読んで、その金融変動に合わせて基本運用スタンスを変更することだ。

・しかし、金融変動を正確に読み抜くことは容易でない。

・私は中期の金融変動を予測することを仕事としている。他のプロフェッショナルに比べれば、予測精度は格段に高いと自負している。

・3ヵ月から1年の単位での経済金融変動を読み抜くことが私の実業としての仕事の中核だが、この分野での予測精度では他に類を見ない高いパフォーマンスを示してきたと言ってよいだろう。

・それでも、打率10割というわけにはいかない。完璧に予測し抜くことは不可能である。予測を正確にできないなら、運用は保守的にならざるを得ない。

・バブル崩壊の時代、株式を持ち続けた人は、平均すれば巨大な損失を蒙った。他方、一切運用をせず、現金のまま保管し続けた人は、損失ゼロである。

・GPIFが金融変動を読み抜く力を持たないなら、リスクを取る運用をやめるべきだ。

・運用は資金提供者のために行うもので、見通しを誤り、高いリスクを取って、巨大な損失を計上することは、資金委託者に対する背信行為である。

・民間の資金運用事業者が巨額損失を計上すれば、相応の責任を問われるし、場合によっては刑事責任さえ追及される。 GPIFは金融変動にそぐわない間違った運用を行い、巨大な損失を計上している。

・その一方で、許されないことは、GPIFが運用を委託している外資系を中心とする資金運用法人に法外な手数料を支払い続けていることだ。

・2015年度だけで、GPIFが支払った管理運用手数料は383億円である。こんな巨額の手数料が支払われながら、1年間で11兆円の損失を計上しているのだ。

・要するに、政府と金融機関の癒着なのだ。収益が出るか、損失が出るかは、相場次第だ。運用機関が高い運用技術を持っているわけではない。

・GPIFが一括して独自に運用すればいいのだ。結果は変わらない。

・要するに、政府と金融機関が癒着して巨大な手数料収入が「利権資金」として支払われているだけなのだ。

・安倍政権は失敗の責任を明らかにし、癒着金融機関への法外な手数料支払いを直ちに中止するべきだ。  ≫(植草一秀の『知られざる真実』より) *筆者による改行あり。

「自然の恵み」の伝え方―生物多様性とメディア
クリエーター情報なし
清水弘文堂書房


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●“永田町闘争も視野 小池百合子に立ちはだかるものは?

2016年09月08日 | 日記
金の切れ目で 日本から本当に米軍はいなくなる (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●“永田町闘争も視野 小池百合子に立ちはだかるものは?

 以下は日刊ゲンダイが、小池百合子東京都知事を、「権力亡者」の一面けで、手ひどく批判、疑念を持った記事を仕立てているが、相当に、一方的批判に終始し過ぎている。筆者は、敢えて小池百合子の腹の奥を、もう少し重厚長大な腹の中があるのかもしれないと云う立ち位置で、敢えて反論しておく。【 】内が、筆者の簡単な“突っ込みコメント”だ。また、小池知事は、都の「行財政改革」の一環として、知事報酬半減案を議会に提出する。おそらく狙いは、都議会議員の報酬の引き下げ、政務活動費の減額などと抱き合わせの案件かと思われる。以下の朝日の記事参照。

≪ 小池知事、報酬半減案を提出へ 9月議会に
 東京都の小池百合子知事は、自身の給与などを半減する条例案を、28日に開会予定の定例都議会に提出する方針を固めた。7月の知事選で「知事報酬の半減」を公約に掲げて当選しており、提出の時期などを検討していた。都議会各会派の対応が焦点になる。
 都によると、今年度の知事報酬は、月額約175万円の給与のほか、期末手当約800万円を合わせて年約2896万円。小池氏は、報酬全体を半減させる条例案を提出する考えで、可決されれば年1448万円になる見通しだ。小池氏は就任後、「これから行財政改革を進めると標榜(ひょうぼう)している。まず身を切る改革、その象徴として知事給与の半減を(知事選で)うたった」と述べていた。 
 ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 築地移転は権力闘争 政界風見鶏・小池百合子のしたたかさ

 小池百合子東京都知事が築地市場の豊洲への移転を延期したことについて、世論の評価は上々のようだ。JNNが2、3日に行った世論調査では、移転延期を 「評価する」と答えた人が63%、「評価しない」はわずか18%だった。小池の都政運営についても「評価する」が62%で、都民に限れば「評価する」が 71%に達した。

 冷静に考えれば、ただ「延期」しただけで、中止を決めたわけではないし、最終的に豊洲移転を認めるのなら、何のための延期かという話になる。いたずらに混乱を招いた責任を問われかねない。延期で生じる巨大なコストが都民の負担となれば、なおさらだ。

 【筆者:都の予算で見れば、大したコストにはならない!大袈裟なことを言わないの!】

 もちろん、そこは小池も分かっている。6日、日本記者クラブで会見を行い、知事就任から1カ月が経過した心境などを語ったが、その中で移転延期についても触れ、「混乱するのは既得権のある方」「豊洲新市場のモニタリングの結果を待たずして決めれば、私が記者でも、見出しに『見切り発車』と書くと思う」などと言って牽制していた。

 【筆者:事実、豊洲移転時期の前倒しは不自然なのだから、最低限の検証はやむを得ない】

 「移転延期自体は、ガス抜き程度の意味しかないでしょう。それより、都議会で主導権を握るためには、最初にガツンとやっておいた方がいいと判断したことが大きいのだと思う。対決姿勢を前面に出した方が、世論の支持を得られるからです。いずれ都議会自民党と協調路線に転じるにしろ、自民党の方からスリ寄らざるを得ないような体制を築いていく。その道具として、市場の移転延期を使ったということです」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

【筆者:既得権勢力と闘う為なら、何でも利用。マキャベリズム大いに結構】

移転延期はパフォーマンスでしかないから、年明けに豊洲市場用地の地下水汚染の有無を調べるモニタリング調査の結果が出たら、「安全性に問題はない」として移転を認めることは容易に想像がつく。小池にとって、話題になり、騒がれることが重要なのだ。

 【筆者:当面の話題作りとして、上々の課題だ】

■しょせんは醜悪な権力闘争
 小池は豊洲移転延期を決めた理由として、「安全性への懸念」「巨額かつ不透明な費用」「情報公開の不足」の3つを挙げた。今後は、1日に立ち上げた「都政改革本部」を使って、費用の検証などを行っていくという。それで税金のムダ遣いをあぶり出せば得点になる。よしんば“都議会のドン”こと内田茂都議らの利権を暴き、見せしめにでもすれば、都民は留飲を下げるだろう。

 【筆者:溜飲を下げると云うよりも、都民の税金の流出阻止であり、都議会各会派の汚職でも明るみに出れば、自民党政権にまで及ぶ、大疑獄事件という愉しみも残る】

 都議会や役人を敵に見立てて叩いていれば、小池に批判の矛先が向くことはなく、主導権を握り続けることができる。詰まるところ、移転延期は権力闘争の象徴なのである。

【筆者:政治は、国政も地方政治も権力闘争そのものなのだから、特に小池知事が突出して権力闘争していると云うのは、フェアな判断ではない】

「どうすれば有権者が拍手喝采するか、世論の反応を見て動く。口癖のように『都民ファースト』とアピールしていますが、実際は『都民に受けることファースト』です。確固たる目標やビジョンがあるわけではなく、世論を見ながら、自分の人気を落とさないために何をするか考える。小池都政は究極の曲芸ポピュリズム政治ですよ。都民ファーストは、議会運営で主導権を握るために有権者の支持を利用することでしかない。新党結成をチラつかせているのもその一環で、世論の動向を見ながら、自分にとってメリットが大きいかどうかを計算し、したたかに立ち回ることでしょう」(政治学者の五十嵐仁氏)

【筆者:五十嵐仁氏のジェラシー的発言が情けないねw】

 自分には世論の支持があるという強気の姿勢に都議会が反発すれば、小池にとって思うツボで、「じゃあ、不信任案を出してください」という話になる。知事選でも冒頭解散を掲げていたくらいだから、願ったりかなったりの展開である。そうなれば、小池新党だ。

 【筆者:その点は、都議会も百も承知、逆らう判断も、気力もないだろう】

■維新と連携して民進党を潰し自分を高く売る計算も
 6日の会見で、小池は「知事選で政治が身近に感じられたという人たちの受け皿になる、塾のようなものを開いてもいいのかなと考えている」と言っていた。大阪維新の会の橋下徹氏が新党結成にあたり、政治家育成を目的に設立した「維新政治塾」を彷彿させる。

 そもそも小池知事が誕生した瞬間から、維新との連携は囁かれていた。橋下が大阪府知事、大阪市長時代にブレーンを務めた上山信一慶大教授が、東京都の特別顧問に就任。「都政改革本部」のメンバーにも加わった。地域政党から始まり、国政に進出して影響力を発揮するプロセスを視野に入れての人選なのは間違いない。

「これまで小池氏がたどってきた道を見れば、異常なまでの上昇志向の強さは際立っています。細川護煕、小沢一郎、小泉純一郎といった時の権力者にスリ寄ることで重要ポストを手にし、のし上がってきた。彼女は決して都民の味方でも正義の政治家でもない。都政改革にしても、しょせんは権力闘争であり、利権争いでしかないということを忘れてはいけません。いかにして権力を掌握するか。この先、さまざまなオプションが考えられます」(五十嵐仁氏=前出)

【筆者:五十嵐氏も日刊ゲンダイも、あまりにも、近視眼な立ち位置にある。時と場合によると、都政から、国政を揺るがすモメントもありうるわけで、単に上昇志向だけで小池を評論するのは短絡的だろう】

 まずは、都議会で主導権を握ること。有権者の支持を得られるなら自民党との協調路線でもいいし、小池新党という選択肢ももちろんある。その場合、維新との連携は現実味のある話だ。

 【筆者:維新との連携が、永田町スズメの間で、実しやかに語られているが、おそらく、細川護煕、小沢一郎、小泉純一郎レベルとのつき合いを通じて、橋下徹レベルでは、相手に不足がある。自民党を割るレベルの大きな夢が含まれていると、筆者は感じている。石破、野田聖子、村上誠一郎等々。場合によると、小泉進次郎、岸田が加わる次元まで見えてくる。当然、ここに、小泉純一郎等々が加わる】

 民進党の代表選に立候補している前原誠司元外相は3日、京都市内のホテルで講演した際、小池新党について、こんなふうに話していた。
「小池新党と橋下徹さんが結びついて、人気が出て新党ブームになれば、民進党は埋没する」
「野党第1党の民進党という枕詞がなくなるような状況、危険性がある」

 【筆者:落ち目、前原誠司の被害妄想だw】

 ■「女性初の総理」を諦めていない
 前原の懸念はもっともで、小池新党と維新が組めば、都議選だけでなく、国政選挙でも躍進する可能性がある。野党ヅラして改革を掲げ、既得権益との対決を演出して支持を集めるのは得意とするところだ。東京と大阪を拠点にする地域政党が反自民の受け皿として勢力を拡大、民進党は駆逐されるだろう。今回の民進党代表選で蓮舫代表に決まれば、敗れた前原一派が、そこに加わる可能性すらある。国政が自民党と、自民の補完勢力に席巻される異常事態だ。

 【筆者:まあ、維新と前原Gまでは判るが、旬の過ぎた維新・橋下・松井・前原じゃあ、組むことで霞む可能性の方が高いじゃないかw】

「民進党を叩き潰すことに成功すれば、小池氏は自民党に対して、ますます自分を高く売ることができる。安倍自民との連携は当然のこと、野党勢力の一掃を手土産に国政に復帰して、ポスト安倍に名乗りを上げるというシナリオもあり得ます。彼女は、初の女性総理という野望をまだ諦めていないと思う。それだけ権力志向が強いから、これまで『政界渡り鳥』と批判されても生き残ってきたわけだし、政界を渡り歩いて学んできたことをすべて生かしている。劇場型政治の手法は小泉氏の直伝、選挙戦術は小沢氏に学び、裏の立ち回りなどは老獪な二階氏さながらです。そうやって培ってきた政治力を都政のためにいかんなく発揮し、文句のつけようがない知事になってもらえればいいですが、パフォーマンスだけで終われば、都民には何のメリットもありません。上っ面のパフォーマンスに気を取られている陰で、新たな利権争いが生まれ、より闇が深くなる可能性もある。権力闘争で都政がメチャクチャにされないよう監視することは、小池氏に期待して一票を投じた有権者の責任でもあります」(山田厚俊氏=前出)

 【筆者:上記のような懸念は、自民党の分党モメンタムが発動されない時の、保険として、第二、第三の選択肢にはあるだろうが、小池は、永田町論理から、一歩離れた位置で、政治家として、締めくくる「夢」があるのかもしれない?】

 上昇志向の塊で典型的な権力亡者。そういう本質が変わっていなければ、自らの野望のために、都政や有権者を利用することもいとわないだろう。都民もメディアも、そこは冷静に分析する必要がある。

 パフォーマンスに熱狂し、ジャンヌダルクだ、改革のヒロインだと持ち上げ過ぎると、バカを見ることになりかねない。

【筆者:たしかに、小池の上昇志向には、ウンザリと云う面もあるが、何も「ジャンヌダルク」まで引っ張り出すまでもない。しかし、日本の政治シーンに風穴を開けるとすれば、男社会の「立場主義」「予定調和社会」「忖度社会」をぶち壊すには、小池のような「女の意地とド根性」が、有効かもしれない。日刊ゲンダイも、小池に関して、近視眼のきらいがある。怨みでもあるのかな?w】

 ≫(日刊ゲンダイ)

武器輸出大国ニッポンでいいのか
クリエーター情報なし
あけび書房


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●フィリピン大統領の暴言 羨ましく感じた「糞ったれ」だが…

2016年09月07日 | 日記
中国の論理 - 歴史から解き明かす (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●フィリピン大統領の暴言 羨ましく感じた「糞ったれ」だが…

 前後の見境のない“無教養な発言”か、或いは、“一発パンチを喰らわせておく”、そのどちらなのか判らないが、日本の首相なら、腹で思っていても、言えないひと言を、アメリカ大統領を名指しで罵った(笑)。まあ、その後、「後悔している」と前言を取り消し、ことなきを得たようだが、おそらく、フィリピン人の本音が、そこにあるのだろう。経緯は、以下の通り。

 ≪ フィリピン・ドゥテルテ大統領、オバマ氏をののしる「このくそったれが」⇒会談中止
・フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は9月5日、ラオスで開かれるASEAN首脳会議でバラク・オバマ大統領との会談が予定されていたが、オバマ大統領がフィリピンの超法規的殺害に対して異議を申し立てた場合には騒ぎを起こす、と挑発的な発言を繰り返したため、首脳会談が中止になった。
・AP通信によると、ドゥテルテ大統領はオバマ氏を「このくそったれが。ののしってやる」と恫喝した。 ・ドゥテルテ大統領は、就任以来2カ月で約1億人の人口を抱える島国に超法規的殺害が急増した理由を取材陣から問われると、興奮した口調で答えた。
・「私は独立国家フィリピンの大統領だ。植民地としての歴史はとっくに終わっている。フィリピン国民以外の誰からも支配を受けない。一人の例外もなくだ。私に対して敬意を払うべきだ。簡単に質問を投げかけるな。このプータン・イナ・モ(くそったれ)が。もし奴が話を持ち出したら会議でののしってやる」と、タガログ語の汚い言葉を使ってオバマ大統領を罵倒した。
・オバマ大統領は9月5日、フィリピン大統領のこうした挑発的な言葉に動じることはなかった。
・「過去にもかなり派手で興味深いコメントを耳にしているし、実際、彼は非常に個性的な人物だ」と、オバマ氏は語った。
・しかしオバマ大統領は、もしASEAN首脳会議でフィリピンの超法規的殺害について取り上げられた場合、その時は疑問を投げかけるだろうと述べた。
・「我々は麻薬取引はフィリピンではなく、世界中で大きな負担になっていることを認識している。麻薬密売組織との戦いは決して容易なことではない」と、オバマ氏は G20サミットで記者団に語った。
・「しかし我々は常に正当な法の手続きのもと、国際的規範と一致するやり方で麻薬取引と戦う必要がある」
・ドゥテルテ大統領は6月30日に就任して以来、国内の麻薬取引容疑者に対し、過激な取り締まりキャンペーンを始めている。それは、薬物犯罪者を「皆殺しにする」ものだ。
・アメリカの公共ラジオ放送「PRI」によると、8月、フィリピンの街路には何百もの死体が放置された。そのいくつかには生前の罪状が殴り書きで添えられていたという。
・人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、フィリピン国家警察のロナルド・デラ・ローザ長官は7月1日以降、殺害されたフィリピン国民は1700人以上に上ることを認めた。
・ドゥテルテ大統領は、就任以来警察に「これまでの倍の努力をするように。必要なら3倍でも」と語って取り締まりを奨励し、人権団体が「超法規的な処刑」と呼んで非難する街頭での殺戮を称賛してきた。
・ドゥテルテは9月5日になっても、批判の声に平然と答えた。
・「俺たちはやるべきことをやる。決して立ち止まらないし、俺のやることにとやかく言う奴がいようと関係ない」
【UPDATE 2016/09/06 16:50】
・ロサンゼルス・タイムズによると、ドゥテルテ大統領はオバマ氏への発言を「後悔している」と述べた。
・ドゥテルテ大統領の報道官は声明で、「報道陣の質問に強い表現のコメントをしたことで懸念と苦痛を生じさせた。また、アメリカ大統領に対する個人攻撃を下かのような印象を与えてしまったことに後悔している」と述べた。
・「我々は相互の国家的優先課題や見解から生じた相違を解決されることを望む。そしてお互いに責任を果たす形で課題に取り組むことを願う」と、報道官は付け加えた。  
 ≫(The Huffington Post | 執筆者: Kim Bellware )


 まあ、この発言の政治社会的背景は、以下のような顛末によるものだ。特に、オバマ大統領を名指しした「暴言」と云うよりは、普遍的価値を、わが物のように扱う西側諸国全体への、内政干渉への苛立ちついでなわけだ。どうも、独立国云々のナショナリズム的発言という水準には達していない点は、残念だ。しかし、フィリピンと云う国が、今ひとつ、ASEANの経済成長の波に乗り切れない、独立国であることを示したい、一事象だが、フィリピンを植民地化した、スペイン、アメリカ、日本、アメリカと云う国の責任も大きいのだろう。フィリピンは、1494年以降、上記宗主国に支配されてきた歴史があるだけに、フィリピン人への教育環境など、不十分であった事を考えると、現在のドゥテルテ大統領を選択したフィリピン人の感情も理解出来る。

 大小7,000に及ぶ諸島の国で、日本、中国、台湾、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどと海を隔てて接している。多民族国家で、主な民族だけでも30近い民族を出来る。公用語はフィリピン語と英語であるが、母語として使われる言語は、合計172言語に及ぶなど、単民族的な日本のように、簡単に中央集権統治など不可能な地理的、民族的問題を孕んでいる。単に、フィリピン人は、どうのこうのと言う前に、筆者も含めて、フィリピンを知っておく必要を、今夜は感じた。  


 ≪ 麻薬常習者は「人間ではない」 比大統領、超法規的殺人を正当化 8月29日 AFP】
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が、自身の推進する容赦ない犯罪撲滅作戦で大量の死者が出ていることについて、麻薬常習者は「人間ではない」と示唆して正当化していたことが分かった。
 フィリピンでは5月の大統領選でドゥテルテ氏が当選して以降、既に約2000人が殺害されており、国連(UN)は同国の人権状況に対する懸念を表明している。
 しかし、ドゥテルテ大統領は26日夜に軍の駐屯地を視察した際、兵士らに向かって「人道に対する罪だって? はっきり言えば、そもそも、やつらは人間なんだろうか? 人間の定義とは何だ?」と語っていたことが後に公開された演説原稿から明らかになった。
 ドゥテルテ大統領はさらに「人権? 脳みそがあるなら、正しい文脈で適切にこの言葉を使え。人を殺さずに戦争ができるか」と豪語し、多くの麻薬常用者は更生など到底できない連中だと主張した。さらに、国連をあざけり「私を刑務所に入れたいのか? あのばか者たちは、生きたまま私を捕らえられるとでも思っているのか。おお神よ、われわれは共に地獄に落ちるだろう」などと述べた。
 これに先立ち、潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長や複数の国連関係者は、ドゥテルテ大統領が超法規的処刑を支持しているとして非難していた。また、人権問題に関する国連特別報告者のアグネス・カラマード(Agnes Callamard)氏は今月、ドゥテルテ大統領の命令は「国際法に照らし合わせると、暴力、殺人、犯罪を誘因する行為だ」と指摘している。 ≫(AFP(c)AFP)


≪ フィリピン:警官らによる殺害1700人以上
【2016年9月 1日(アムネスティ)[国際事務局発表ニュース]国・地域:フィリピン】
・フィリピンの国家警察のデラ・ロサ長官は8月22日、上院での超法規的処刑疑惑の審理で、7月1日にドゥテルテ大統領が就任して以後、薬物関連の捜査で警察に712人が殺害され、1,067人が自警団員に殺害されたことを明らかにした。
・署長は、警察による超法規的処刑や殺人をすべて捜査すると約束した。アムネスティ・インターナショナルは、警察に対する申し立てを扱う独立委員会を設置するよう、当局に要請している。
・委員会は十分な人と資金のもとで、警察への苦情やその人権侵害の申し立てを受理し、申立人、被害者、証人の保護権限を与えられなければならない。同時に、その活動報告の開示を義務付けられるべきである。
・また当局は、薬物使用者の生存と健康を求める権利が尊重され、だれでも医療情報やサービスにアクセスできるように保障しなければならない。
・国連薬物犯罪事務所の調べでも明らかなように、同国は長年、複数の国にまたがる薬物使用や中毒を、力による強引な方法で取り締まる政策を取ってきたが、薬物使用の減少には結びついていない。
・それどころか、麻薬対策作戦などは逆効果をもたらし、薬物使用による弊害や関連リスクが高まり、暴力・人権侵害・虐待が深刻化している。
・薬物取引犯罪の容疑者は、起訴で裁判にかけるべきだ。また、公正な裁判の保障など、個人の自由と安全の権利の保護は、薬物関連の容疑者にも等しく適用されるべきだ。
・警察内部の命令・共謀・暗黙の了解にもとづく非合法で故意の殺害は、超法規的処刑にあたる。これは、国際法では犯罪である。
■背景情報
・ドゥテルテ大統領が6月30日に就任した以後の殺害のうち数件は、明らかに超法規的処刑に該当すると言われている。
・大統領は、選挙期間中や就任後に、薬物犯罪を撲滅する公約を繰り返し、法執行機関に「倍増の努力を、必要なら3倍にも増やせ」と求めてきた。 ≫(アムネスティ日本)


 ≪ ロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン大統領(Wikipedia抜粋)
1945年3月28日[1] - )は、フィリピンの政治家。現在、同国大統領(第16代)。ダバオ市市長を7期務めた。
 ★人物
レイテ島出身。父親は法律家、母は学校教師という家庭に育ち、幼少時にダバオ市に移った[2]。大学時代の恩師はフィリピン共産党の創設者ジョマ・シソンであ、シソンからは大統領選での支持も受けている。

また、共産党員を閣僚に起用する案を掲げるなど共産党との協力にも積極的である。大学卒業後はダバオの検察官として約10年働いた後、政界に進出。母方の祖母が華人であり、ドゥテルテ本人も中国語についても「聞いて分かる」と語っている。

★政治家として
ダバオ市長 1988年にダバオ市長に選出され、1992年と1995年に改選、3期務める。4期以降はフィリピン共和国憲法の多選禁止規定に引っかかるため、1998年にダバオ市初となる下院議員となり、2001年まで務める。2001年に再びダバオ市長に立候補して当選し、2004年と2007年に改選され3期、合計で市長職を6期務めた。
2010年のダバオ市長の改選では、憲法の多選禁止規定により、ドゥテルテ自身は立候補できず、娘のサラ・ドゥテルテを立候補させ当選、ロドリゴは副市長に就いた。2013年の市長選挙で再び出馬し当選、7期目の市長を務めることとなった。
ドゥテルテの執政下では、記録的な好況を実現し、ダバオ市は平和と、タクシーのボッタクリが無くなるなど、治安の改善を実現した。ダバオ市観光局は、フィリピンでも最悪の犯罪発生率を劇的に軽減させることに成功し、「東南アジアで最も平和な都市」を標榜している。
ダバオ市は、ドゥテルテの容認の下で「ダバオ・デス・スクワッド」と呼ばれる自警団組織が、犯罪者を超法規的措置により私刑で殺害しており、人権団体やアムネスティ・インターナショナルが、ドゥテルテの手法を批判している。
タイム誌は、ドゥテルテを「処刑人」と記述した。ドゥテルテは、このような不法な殺人について、自身のいかなる関与も否定しているが、2015年のクリスマス直前には、ビデオメッセージで「犯罪者たちよ、これがお前たち最後のメリークリスマスだ」と、フィリピン大統領選挙に向けて意気込みを語り、フィリピンで話題となった。

★フィリピン大統領
2016年の大統領選挙については、2015年10月の時点では不出馬を表明し、同時期に行われるダバオ市長選挙にも出ないとしていた。
しかし、同年11月には大統領選挙に出馬を表明。選挙戦中は、過激な発言を行う人物として、同時期に進行していた2016年アメリカ合衆国大統領予備選挙の共和党候補であるドナルド・トランプになぞらえ、「フィリピンのトランプ」とも揶揄された。
しかし、フィリピン共和国大統領選挙に勝利し、当選後の会見では「冗談であった」とするなど、選挙期間中の過激な発言を修正し始めている。その後、6月30日に大統領に就任した   ≫(Wikipedia抜粋)

日本より幸せな アメリカの下流老人 (朝日新書)
クリエーター情報なし
朝日新聞出版


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●戦中・戦後、日本のエリート達の闇 21世紀安倍のふところ?

2016年09月06日 | 日記
満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●戦中・戦後、日本のエリート達の闇 21世紀安倍のふところ?

 今夜は、例によって時間が限られている。“杭州G20”も終わった。オバマのタラップ騒動や、閉幕後の安倍・習会談など、細々とした話題はあるが、一番目立った事件は、北朝鮮が“杭州G20”を意識してかどうか別にして、日本の排他的経済水域着弾のミサイルをぶっ放したようだ。日本に向かって撃たれたのだから、日本を挑発していると受けとめても良いものだが、“杭州G20”開催を狙って撃った等との論評が多い。

 ところで、日本政府及び稲田防衛大臣は、ネトウヨが糠喜びするように、「北朝鮮ミサイル、自衛隊が常時迎撃態勢」と華々しく宣言したはずだが、あの宣言は、ただのアドバルーンだったと云うことなのかな?まあ、軍事的詳細は判らないのだが、新聞の情報を読む限り、日本の排他的経済水域(領土とも言える)にミサイルを撃ち込まれても、「着弾した模様」?こんなレベルで、常時迎撃態勢?こりゃあ、だいぶ印象が違う。この辺に言及している日本のメディアは、筆者の知る限り、現時点で存在しない。以下は、その稲田大臣が勇ましく宣言した時の記事だ。

 『事前にミサイル発射の情報が 得られなくても即応できるように常時、迎撃態勢をとる』けれど、今回はイージス艦がお休みで日本海上にいなかった?秋田沖に落ちるのは想定内なのだから、秋田にパトリオットを配備しなければ、その気はないという事なのだろう。軍国国民を歓ばせるだけの、リップサービスは自粛した方が良いのではないかな、稲田大臣?

≪ 北朝鮮ミサイル、自衛隊が常時迎撃態勢
 稲田朋美防衛相は8日、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、自衛隊にミサイル破壊措置命令を出した。北朝鮮が3日に事前通告なく撃った弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したのを受け、発射の兆候がなくても常にミサイルを迎撃できる態勢をつくる。
  自衛隊は8日夜、都内の防衛省で、地上から迎え撃てる地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の配備を始めた。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を 搭載したイージス艦も日本周辺の海域で展開する。自衛隊法ではミサイル破壊措置命令を期間を定めて発令すると規定している。当面3カ月間に区切って命令を出し、今後更新していく。
 北朝鮮は3日に中距離弾道ミサイル「ノドン」とみられるミサイルを発射し、秋田県沖のEEZ内に初めて弾頭部分を落とした。移動できる発射台付きの車両から撃っており、日本政府は事前に兆候をつかめず、破壊措置命令を出していなかった。事前にミサイル発射の情報が 得られなくても即応できるように常時、迎撃態勢をとる。
 ただ、弾道ミサイルに対処できるイージス艦は現在4隻だけ。日本全域をカバーするには3隻は必要になる。防衛省幹部は「整備や訓練を考えると、常に日本全体で迎撃態勢をとるのは難しい」と語る。 ≫(日経新聞)

 まあ、この話を長々しても始まらないが、迎撃する気はさらさらないと云うのが、現在の日本政府の立場なのだろう。米軍が協力しなければ、正直、出来ないようにシステム化されているようなので、風呂敷を広げておいた稲田さんと云うことでケリがつきそうだ(笑)。それよりも、今夜は久しぶりで、魚住昭氏の、岸信介氏に纏わる莫大な「麻薬資金の行方」のコラムを、3本、立て続けに参考引用しておく。“昭和の妖怪”と言えば聞こえが良いのだが、“昭和の怪盗”と云う称号も通用しそうな按配なのが面白い。日本と云う国は、戦前戦中戦後と、現在の21世紀においても、市民の知らないところで、此処まで酷くはないにしても、支配層において、アングラマネーが蠢いているのだろう。岸の孫に当たる安倍首相にも、幾ばくか残されたと、ゲスの勘繰りも頭に浮かぶが?(笑)。

≪ 闇に埋もれた戦前日本の対中「アヘン政策」~岸信介の金脈を暴く
それは公然の秘密であった

■最大のタブー
・前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49375)の最後にほんの少しだけご披露した文書について、もう少し詳しくお話ししたい。
・この文書は、終戦翌年の1946年5月、中国の南京高等法院からGHQ(連合国軍総司令部)に送られ、東京裁判の検察側証拠の一つになったものだ。
・日中戦争の開始以来、日本が中国を占領支配するのにアヘンをどう利用したか。その実態を南京政府(汪兆銘政権。日本の傀儡だった)の元幹部である梅思平(同年9月、死刑)らの供述などに基づいて告発している。
・その核心部をこれからご紹介しよう。なお、原文の片仮名表記は、読みやすくするために平仮名に変えてあることをあらかじめお断りしておく。
・〈中国に於ける阿片取引は二つの理由によつて、日本政府の系統的政策であつた。第一に、内蒙古占領に続いて日本人により立てられたる傀儡組織であつたところの蒙疆自治政府は、罌粟の栽培を習慣としてゐる内蒙古で阿片を購ふ事に依つて財政的不足を解決せんと努力した〉
・要するに、満州につづいて日本軍が占領支配した蒙疆(現在の内モンゴル自治区)政府の財政は、アヘンの売り上げで賄われていたということだ。
・これは1980年代、江口圭一・愛知大名誉教授(故人)が発見した日本側資料によって裏付けられた客観的な事実である。
・文書は、第二に日本政府自身も〈戦争に依る経済的困難〉を切り抜ける道としてアヘンに頼ったと指摘している。
・そのうえで〈阿片購入用として指定せられたる蒙疆傀儡政府の貸附金〉はまず東京の大蔵省に送られねばならず〈そこで全額の幾分かは保留された〉と記している
・正直言って、私にはこの「貸附金」が具体的に何を指すのかわからない。
・可能性として(1)蒙疆政府→農民がケシから採取したアヘンを集める業者団体への貸付(2)蒙疆政府→南京政府への貸付(3)南京政府→蒙疆政府への貸付などが考えられるが、いずれとも判断がつかない。
・しかし〈全額の幾分かは保留された〉というくだりは、アヘン購入資金が融資される段階で東京の大蔵省に利益をピンはねされたという意味であることは想像できる。文書はつづく。
・〈他方では上海並びに中国の都市に於て売られた阿片の売上金の大部分は東条内閣の補助資金、及議員への補助金に割当てられる為東京に送られた。それは公然の秘密であり、そして幾らかの本国内の日本人も又この東条内閣の名うての政策に反対して居た事は周知の事であつた〉
・問題はこの〈東条内閣の補助資金〉や〈議員への補助金〉が何を指すかだが、簿外の内閣機密費や国会議員に配る裏金の類と考えるのが普通だろう。
・ただ、梅思平ら「傀儡南京政府」旧幹部も金の行く先を特定する資料は持っていないらしく〈(宏済善堂の会計簿を捜索すれば、略々其の痕跡を発見し得可し)〉と付け加えている。

■日本と中国との「密約」
・宏済善堂とは、上海の「阿片王」里見甫が運営していたアヘン取引のための会社である。次に登場する盛文頤は、その里見のアヘン取引の中国側パートナーだ。文書はさらに興味深い事実を明らかにしていく。
・〈盛文頤の言に依れば、利益支配の状況は極秘にして、東京と直接の来往に依つたのであると。即ち在華日本側機関も又、其の詳細を知る由が無かつた。維新政府(=汪兆銘政権ができる前の日本の傀儡政権)は税款(=税金)の極少を得るのみ〉
・つまり文書が言わんとするのは、金の行く先はすべて東京で決められ、旧南京政府がアヘンで受けた利益は〈極少〉に過ぎなかったということだ。
・こうして中国のアヘン問題は1943年冬にいたるまでまったく改善されなかった。が、同年12月、南京、上海、杭州そのほかの都市で学生たちがアヘンを売る店やアヘン窟を打ち壊す示威運動を起こした。それを契機に中国国民の日本のアヘン政策に対する反発も強まった。
・文書は、このときの日本軍の対応をこう述べている。
・〈しかし日本の軍隊は敢へて之に干渉しなかつた。結果として、日本政府は、南京政府が、“阿片の利益は蒙疆自治政府の主なる財源である”といふ事実を考慮する条件の下に於ては、もし中国が戦前の阿片禁止法案を回復する事を望むならば、中国を助けるといふ意思を表示して経済顧問を南京政府へ派した〉
・要約すると、アヘンの利益で蒙疆政府の財源分だけ確保できるなら、中国側がアヘンの取り締まりを厳しくするのをサポートするというふうに日本側の態度が変わったということだ。
・文書はこの〈急変〉について〈三つの事実らしき理由が発見された〉としてこう述べる。
・〈第一に、東条内閣は秘密の目的又は政治的目的に阿片の利益を使用した事について、日本国内外の国民に依つて攻撃された。第二に、日本政府は中国国民の嫌悪を減少せんとした。第三の最も重要なる事実は当時の日本は中国の物資統制によつて阿片取引の十倍の収入を得てゐた〉
・そのため政治的・軍事的支出の支払いのための基金に困ることはなかったというのである。
・以上のような経過をたどって上海や南京のアヘン禍は次第におさまっていくのだが、ここで留意しておかねばならないのは、主な陳述者である梅思平が置かれた立場だ。彼は当時、日本に中国を売り渡した漢奸として責任を追及されていた。
・アヘン問題で東条内閣が行った悪事を強調すればするほど彼の責任は軽くなる。そういう事情があるから、彼の陳述を何の裏づけもなく、すべて信用するわけにはいかない。
・そこで東条政権とアヘンの関係について日本側で言及した文献はないかと探してみたら、あった。近衛文麿元首相の女婿で、秘書官でもあった細川護貞(細川護煕元首相の父)の『細川日記』(中公文庫)である。
・細川は戦時中、陸海軍や政界の要人らから集めた情報をこの日記に綴っていた。その記述を追っていくと、東条はむろんのこと、彼の内閣の一員だった岸信介の金脈に関する極秘情報に遭遇することになる。 *参考:『資料 日中戦争期阿片政策』(江口圭一編著・岩波書店刊)  ≫(文/魚住昭(ジャーナリスト)週刊現代掲載)


≪ 数百億のアヘンマネーが岸信介の懐に流れた!?〜戦前史「最大のタブー」その真相を辿る
鍵を握る二つの資料

■憂国からの極秘任務
・71年前まで公爵・近衛文麿の別邸だった荻外荘は、JR荻窪駅の南を流れる善福寺川のほとりにいまも残っている。
・古びた門ごしに中をのぞいてみると、砂利敷きのアプローチが30mほど先で右に折れ、奥の玄関へとつづいている。周りは鬱蒼とした林である。
・前回(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49404)ふれた細川護貞(細川護熙元首相の父)の『細川日記』(中公文庫)には、荻外荘の一室で護貞と近衛が密談する場面が何度も出てくる。護貞は近衛がかつて首相だったときの秘書官で、しかも女婿である。
・太平洋の戦局が悪化の一途をたどる1943(昭和18)年10月、護貞は近衛に秘密の任務を与えられた。その任務とは、政財界や軍の動向などについてのディープな情報を集め、高松宮(昭和天皇の弟)に報告することだ。
・近衛によれば、当時、戦争の見通しに関する正確な情報が昭和天皇にまったく届いていなかった。東条英機首相らが都合のいいことばかり上奏し、マイナスの情報を天皇の周囲からシャットアウトしていたからだ。
・このままでは国が滅びかねない。それを防ぐには高松宮の耳に誰かが正確な情報を入れ、宮の口から天皇に伝えてもらうしかない。宮も「方々駆け巡って 各方面の意見を聞いて来る者がいるといい」と希望したので、近衛は「年は若いが細川はいかがでしょう」と、当時31歳の護貞を推薦したという。
・こうして始まった護貞の情報収集活動の一部始終を記録したのが『細川日記』である。
・結局、東条内閣は翌'44(昭和19)年7月、内閣の一員だった岸信介の”叛乱”が決定打になって瓦解する。それから約2ヵ月後の9月4日の『細川日記』にこんな記述がある。
・〈伊沢多喜男(元警視総監)氏、父(細川護立)を訪問され、「岸は在任中、数千万円少し誇大に云へば億を以て数へる金を受けとりたる由、然もその参謀は皆鮎川(義介。日産財閥の総帥)にて、星野(直樹。東条内閣書記官長)も是に参画しあり。結局此の二人の利益分配がうまく行かぬことが、内閣瓦解の一つの原因でもあつた。これについてはさすが山千の藤原(銀次郎。東条内閣国務大臣)が自分の処で驚いて話した」と〉
・文中の〈此の二人〉が鮎川・星野を指すのか、岸・星野、あるいは岸・東条を指すのか、今一つ判然としない。が、いずれにせよ、岸が今の貨幣価値で数百億円相当の裏金を受け取ったという途方もない話である。
・戦後の1959(昭和34)年、衆院予算委で野党議員からこの話について追及された岸は憤然として反論している。
・「事実は全然そんなことありません。/私はいかにもそれが事実のごとく書かれておるということの良心を疑いたいと思う」
・私は岸の言を信じたい。国の存亡がかかった戦争の最中に巨額の裏金を懐にするような政治家がいるはずがない。が、『細川日記』をさらに読み進んでいくと、私の確信は揺らぎだす。護貞は、東条退陣から約3ヵ月後の10月14日の出来事を克明に記している。

 ■謎の多い裏金ルート
・この日、護貞は近衛、鳩山一郎(後の首相)、吉田茂(同)らとともに深川に〈海の猟〉に出かけた。風が強かったため猟はできず、地元の海産組合長の家で雑談して時を過ごし、その帰途、永田町の吉田茂邸に近衛、鳩山と3人で立ち寄った。
・そこでの雑談で鳩山が「白根宮内次官が東条を礼讃している」と言い出し、〈一体に宮内省奥向に東条礼讃者あるは、附け届けが極めて巧妙なりし為なり〉として具体例を挙げた。
・〈例へば秩父、高松両殿下に自動車を秘かに献上し、枢密顧問官には会毎に食物、衣服等の御土産あり、中に各顧問官夫々のイニシアル入りの万年筆等も交りありたりと。又牧野伯の所には、常に今も尚贈り物ある由〉
・そのうえで鳩山が〈東条の持てる金は十六億円なり〉と述べると、近衛は〈夫れは支那に於てさう云ひ居れり、主として阿片の密売による利益なり〉と言って共謀者の名まで挙げた。
・護貞は「自分も何かの会合で、東条は10億の政治資金を持つと聞いた。先日の海軍懇談会でも、ある大佐が昨今の東条の金遣いの荒さを語っていた。あるいは多少の誇張もあろうが、東条は多額の金をもっているようだ」という趣旨の感想を述べ、最後に鳩山の〈斯の如き有様なれば東条復活の危険多し〉という言葉を日記に書き留めている。
・この10月14日の記述は、かつての独裁者・東条がその権力の座を維持するために意外なほど濃やかな気配りをしていたことと、そのために湯水のように金を使ったことを物語っていると考えて差支えないだろう。
・では、その資金は、彼が自由に使えた内閣機密費ですべて賄われたのか。それとも別ルートからも調達されたのか。護貞は2日後の10月16日、さらに驚くべき情報を記す。
・〈朝、川崎豊君(帝国火災保険支配人)を訪問、談たまたま東条に及びたるに、彼は昨年中華航空にて現金を輸送せるを憲兵隊に挙げられたるも、直に重 役以下釈放となりたることあり、是はその金が東条のものなりしを以てなりとのことにて、以前より里見某なるアヘン密売者が、東条に屡々金品を送りたるを知り居るも、恐らく是ならんと〉
・つまり上海の「阿片王」里見甫から東条への秘密資金輸送が中華航空により行われていたというのである。事実とすれば禍々しき事態である。
・しかし、読者に留意していただきたいのは、『細川日記』の記載の大半は、情報源が政界や財界の要路にある者とはいえ、また聞きだということだ。もしかしたら間違いや誇張がたくさんあるかもしれない。
・そこで私は例によって『細川日記』の信憑性を判断する資料を探しに出かけた。それらしきものはすぐ見つかった。歴史学者の粟屋憲太郎さんらがまとめた『東京裁判資料 田中隆吉尋問調書』(大月書店)だ。
・田中は元陸軍省兵務局長。戦後、多くの旧軍人たちから「裏切り者」「日本のユダ」と罵られた男である。  ≫(文/魚住昭(ジャーナリスト)週刊現代掲載)


 ≪ 東条英機のアヘン資金疑惑 〜GHQに「日本のユダ」が語ったこと
陸軍の巨額の機密費はどこから?

■軍の病理を突いた「日本のユダ」
・おさらいをさせてもらいたい。前回、細川護貞(もりさだ)の『細川日記』(中公文庫)をとりあげたのを覚えておいでだろうか。
・戦時中、高松宮の情報収集係をつとめた細川は、この日記に東条英機のアヘン資金疑惑を書き留めている。それを細川に伝えたのは、帝国火災保険の支配人・川崎豊である。
・川崎曰く。中華航空で〈現金を輸送せるを憲兵隊に挙げられたるも、直に重役以下釈放〉された。これはその金が〈東条のもの〉だったからで〈以前より里見某なるアヘン密売者が、東条に屡々(しばしば)金品を送りたるを知り居るも、恐らく是ならんと〉。
・この情報はホントだろうか。 ・信憑性を判断する材料を探すうちに田中隆吉に突き当たった。田中は日米開戦翌年まで陸軍省の兵務局長、つまり憲兵隊の総元締めだった男である。
・陸軍の謀略活動にも深くかかわり、「東洋のマタ・ハリ」といわれた川島芳子の情夫だったこともあるらしい。敗戦後は一転して陸軍の悪行を告発し、旧軍関係者らから「裏切り者」「日本のユダ」と罵られた。
・が、軍の病理に関する彼の指摘は鋭い。たとえば、こんなくだりが彼の著作『日本軍閥暗闘史』(長崎出版刊)にある。
・〈満洲事変の勃発とともに、それまで僅かに二百余万円に過ぎなかった陸軍の機密費は、 一躍一千万円に増加した。支那事変の勃発は更にこれを数倍にした。太平洋戦争への突入の前後に(略)正確な金額は全く表へ現れぬようになった。しかし当時 の陸軍の機密費が年額二億を超えていたことは確実であった〉
・2億円は今の1000億~2000億円に相当する。田中はさらに〈政治家、思想団体などにバラ撒かれた〉機密費は、彼の知る範囲だけでも相当額に上り、近衛文麿や平沼騏一郎など歴代内閣の機密費の相当額を陸軍が負担していたとしてこう綴っている。
・〈これらの内閣が陸軍の横車に対し、敢然と戦い得なかったのは私は全くこの機密費に原因していると信じている。それらの内閣は陸軍の支持を失えば直ちに倒壊した。(略)軍閥政治が実現した素因の一として、私はこの機密費の撒布が極めて大なる効果を挙げたことを否み得ない。東条内閣に到っては半ば公然とこの機密費をバラ撒いた〉
・田中は敗戦翌年から三十余回にわたってGHQ国際検察局の尋問を受けている。その時、作られた膨大な調書を日本文に訳したのが『東京裁判資料 田中隆吉尋問調書』(粟屋憲太郎ほか編・大月書店刊)である。
・それによると、宮中で天皇を補佐する内大臣の木戸幸一は政治活動に多額の金を使った。金の出所は日産コンツェルンの総帥・鮎川義介(木戸や岸と同じ長州出身)だった。
・そして鮎川の〈事業提携者〉の岸は東条内閣の商工〈大臣在任中に、財閥との有効な取り決めによってかなりの額の金を儲けた〉。
・田中によれば、木戸は内大臣の地位にあったため、1941~'45年の間、日本の政治を支配した。木戸は東条内閣の成立に直接に力を貸したが、'44年4月、木戸と東条の関係は悪化した。木戸が、東条首相では戦争に勝てないと思い、倒閣を策謀し始めたからである。
・東条はそれを知ると、元首相ら有力者を入れて内閣を改造しようとしたが〈岸は、それらのいずれが彼の後任者となることも頑として承知しなかった〉ので、これが東条内閣倒壊の直接的原因になったという。

 ■沈黙する「阿片王」
・田中の見解は、木戸・岸・鮎川の長州連合の寝返りが東条内閣の致命傷になったことを示唆していて、とても興味深い。
・田中の第3回尋問のメインテーマはアヘンである。彼は華北のアヘン売買を統括していた北京の興亜院華北連絡部(=占領地の行政機関)の長官心得・塩沢清宣中将についてこう語る。
・〈彼は、東条大将の一番のお気に入りの子分でした。彼は、里見の大の親友でもありまし た。塩沢は、北京から東条へしばしば資金を送っていました。戦争中であったため、上海地域で使用された阿片は、その量のすべてが北支から供給され、そのようにして、当然、多額の金が塩沢の手元に蓄えられました〉
・田中の言う北支に、アヘンの主産地である蒙疆地区(今の内モンゴル自治区)綏遠省が含まれると解すれば、彼の言に概ね間違いはない。興亜院華北連絡部がアヘンで巨利を得たことも事実と考えていいだろう。
・田中がつづける。
・〈塩沢のもとで、専田盛寿少将という私の友人が働いていました。彼は私に、塩沢は、しばしば飛行機を使って東条のもとに金を送った、と語り、そのことでひどく腹を立てていました。それが原因で専田は、興亜院の職を辞することを余儀なくされ ました。昨年九月に大阪で私が専田に会ったとき、彼は私に再び同じ話をして不満を表明しました〉
・GHQ国際検察局は東条のアヘン資金疑惑に強い関心を持ったらしい。それから約1年後の'47年3月21日、里見を召喚して1時間余にわたって事実関係を問いただしている。
・取調官は事前に里見が中華航空の顧問だったことや、東条の私設秘書と親密な関係にあったことを確認し、いわば外堀を埋めたうえでこう切り出した。
・「さて、ズバッと行こう。私は何らかの情報をあなたがくれるものと期待しているのだが、上海発東京行きの中華航空機で多額の金が東条に送られたことを知っているだろう?」
・里見の答えはそっけなかった。
・「知りません」
・「じゃ、中華航空による現金輸送が憲兵に摘発された件は?」
・「まったく何も知りません」
・国際検察局による東条のアヘン資金疑惑の捜査は、里見の沈黙の壁に突き当たり、思うように捗らなかった。
・私もここらで方向転換して岸と東条の不可解な関係を探ることにした。満州国首脳だった岸を日本に呼び戻して商工次官にし、その後、商工相に据えたのは東条だった。
・東条人脈の中心にいたはずの岸が、敗戦約1年前、突如東条に反旗を翻した真の理由は何だったのだろうか。 (つづく)  ≫(以上3本のコラム:現代ビジネス>社会>文/魚住昭(ジャーナリスト)週刊現代掲載中)

絢爛たる醜聞 岸信介伝 (幻冬舎文庫)
クリエーター情報なし
幻冬舎


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●“絶望的な民進党” 「連合」を切る勇気があるだろうか?

2016年09月05日 | 日記
戦争をしない国 明仁天皇メッセージ
クリエーター情報なし
小学館


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●“絶望的な民進党” 「連合」を切る勇気があるだろうか?

 既得権益内で不貞腐れている準与党化した「民進党」に、何か明るい兆しがあるのだろうか?鳩山由紀夫・小沢一郎路線の、旧民主党(本来の民主党)のシンパであった筆者としては、何とかなって貰えないかものかと、僅かな光を頼りに観察してきたが、この政党は、日本維新の会と合併しても、当然のことだが、「連合」と云う集票マシンの影がついて回る。根本的に、「連合」と云う組織は、日本社会のエリート層の末端にある組合組織であり、決して“弱者”ではないと云う現実である。原則、官公労、大企業製造業(経団連)の正社員によって組織されている労働組合であり、一部で、権力層と対立点は持っているが、同じ船に乗っている、生命共同体意識下においては、日本社会のエスタブリッシュメントの末端にある人々の組織である。つまり、準権力構造内の組織と云うことだ。である限り、民進党も権力政党内にある政党と見ることが出来る。

 全国5紙+東京新聞の民進党代表選に関する“社説”を読み比べてみた。日経新聞は、民進党代表選など歯牙にもかけないと、無視を決め込んでいる。完全に、馬鹿にされたも良いところである。が、しかし、筆者が社説担当の論説委員であっても、書かなかったかもしれない(笑)。理由は、上述の通りで、安倍自民党と、国民生活において、大差ないのだ。本人たちは、お猪口の中の嵐でも、大変な違いくらいに思い込んでいるが、見ず知らずの人間から見たら、同根から生えた枝ぶりの違い程度で、根こそぎ、その木を倒して薪にでもしてしまえば、同時に消えてゆく存在と云うことだ。これでは、野党ではないだろう?根本が同じで、その政策の強弱を“政権選択の争点”そんな、微細な差異を、日本の有権者が理解する筈もない。そんなことは、鼻糞ほじりながらでも判ることだ。

 毎日新聞が、岡田前代表が、東京都知事選投票の前夜に不出馬表明したことに触れて、民進党(旧民主党)の無責任体質に触れているが、ことは、そんな直近の無責任体質云々以前の問題が横たわっている。09年、国民の熱狂的支持、大いなる期待を背に、堂々登場した鳩山民主党政権が、1年も経ずに、瓦解し、もっと酷い奴らが、とっかえひっかえ出てきて、国民の期待の逆さまを演じたことに関して、真摯な「総括」も、血の出るような「反省」そして、「改革」を何ひとつせずに、あたら時間を経過させただけである。要は、ここの部分が有権者に伝わり、本気で、その生まれ変わった「政党」を、有権者に提示できるか、そのスタート時点を間違っているのだから、幾ら一番にテープを切っても、失格になるのだ。ビデオニュースドットコムのニュースコメンタリーは以下のように論じている。


 ≪ 民進党は政策論争をしている場合なのか  民進党の代表選挙が公示された。
 立候補した蓮舫参院議員、前原誠司衆院議員、玉木雄一郎衆院議員の3候補は、9月2日に行われた討論会で、「党の立て直し」を共通認識としてたうえで、野党共闘やTPPに対する姿勢やアベノミクスへの評価などの政策での違いをアピールした。
 台湾人の父を持つ女性候補者の蓮舫氏や、元財務官僚で当選3回の若手である玉木氏が、若手の自分らが代表になれば民進党が変わったことが証明でき るとアピールしたほか、民主党政権失敗の「戦犯」を自認する前原氏は、失敗を認めた上で土下座して出直すと語るなど、それぞれの立場から代表選への抱負を語った。
 候補者が出揃い、9月15日の投開票に向けて論戦を繰り広げることになるが、どうも世間の目は民進党に向いていない。それは一重に、民進党が有権者から、再び政権を担える政党に生まれ変わったとは思われていないからだ。
 過去3年あまり選挙に負け続けてきた旧民主党、そして民進党では、選挙に負けるたびに解党的出直しの必要性が叫ばれてきた。しかし、実際に解党的 な出直しが断行された様子は一向に見えてこない。酷な見方かもしれないが、ともすれば二大政党制を前提とする現在の選挙制度の下で、常勝ならぬ常敗野党としての地位に安住しているかのようにさえ見える。
 確かに今回の代表選は過去の民主党の代表選挙と比べると、新しい顔ぶれが目立ち、清新な印象が際立つ。鳩菅、小沢、岡田の時代から時計の針が大きく進んだ感は強い。3人の中では古顔に属する前原氏でさえ、まだ53歳だ。蓮舫氏は48歳、玉木氏は47歳だ。
 3候補はいずれも政策に通じているし、弁も立つ。しかし、どんなに素晴らしい政策を訴えても、それを信用してもらえなかったり、そもそも話を聞い てもらえなければ、何の意味もない。とすると民進党代表選の真の争点は、民進党が再び真に受けてもらえる政党になるために、新代表は何をするつもりなのかにかかっている。
 2日の記者会見でも、代表3候補は口を揃えて、民進党が安倍政権の対立勢力になれていないことへの悔しさを訴えた。しかし、では民進党が再び自民 党のオルタナティブになるために何が必要で、自分が代表になった時、それをいかに実現するかを明確に答えられた候補は、残念ながらいなかった。
 8年前の総選挙で日本は戦後初めて、選挙の投票による政権交代を実現させた。これは日本の民主主義にとっては歴史に残る快挙であり、また賭けでも あった。これまで日本という国の舵取りを自民党一党に任せてきた日本の有権者が、初めて全く別の勢力に日本を託した。その裏にはとても言葉では言い表せないほどの大きな期待と、そして不安があった。
 日本の有権者は、そのあまりにも大きな期待が裏切られた時の心の傷から回復できていない。民進党は有権者のその傷を癒し、日本の民主主義や政党政 治に対する自信を回復させる、とてつもなく重い責任がある。自分たちが再び信用されるように努力するなどと言っているだけではまったく不十分なのだ。
 その意味で民進党にとって致命的なのは、旧民主党政権の失敗の総括が不十分なことだ。政党名を変えただけで過去の失敗が洗い流されるわけではない。失敗を厳しく総括した上で、その失敗が起きた原因や構造を改めて問い直し、その背後にあるガバナンスの仕組みや組合依存体質といった党の構造を根本か ら変革する。それができて初めて解党的出直しとなる。
 この代表選挙で、少なくともその認識と方向性を見せることができるかどうか。それは誰が今回の代表選に勝つかなどという枝葉末節よりも、遥かに大きな、日本の民主主義の根幹に関わる問題だ。それが今、民進党に問われている。
 政権から転落して3年経った今も、まだ民進党が有権者の信頼を回復できない理由を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。  ≫(ビデオニュースドットコム>ニュースコメンタリー:神保哲也・宮台真司)

 安倍一強に歯向かう前に、民進党は、ホンマ物の「解党的出直し」をするのかしないのかと云う問題に、正面から挑まない限り、政権交代可能な野党としての存在感はゼロだろう。今回の代表選で、誰が勝つか負けるかなど、まさに枝葉末節だ。有権者の興味ある政治テーマは、景気・雇用、社会保障がメインであり、後は、その都度考える程度の有権者なのだ。まあ、多少の知識があり、真っ当な市民であっても、憲法改正、日米同盟、普天間基地、日米地位協定、安保法制、エネルギー問題(原発問題)、地方の活性化、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)における、安倍自民党政権との違い。対抗軸たり得る「政策論」を持っているのか?持っていない。

 辺野古移設を決定したのも「民主党」、消費増税を決めたのも「民主党」、TPPを持ちだし、道筋をつけたのも「民主党」、大犯罪企業・東京電力を救済したのも「民主党」、原子力規制委員会と云う鵺のような機関を作ったのも「民主党」、東日本大震災の復旧復興で、中央集権体制を強化したのも「民主党」、“コンクリートから人”の党是を、“人からコンクリート“に変えたのも「民主党」‥等。悪政の限りを尽くしたのが「民主党」。代表選に出ている顔ぶれも「民主党」。気がつけば、それら悪政の種まきを「民主党(現民進党)」が行い、国家主義を夢見る安倍自民党が仕上げをしているに過ぎない。つまり、悪の種を撒いたのが「民主党」で、水や化学肥料をふんだんに撒き散らして、育てているのが「自民党」なのである。ゆえに、面と向かった、安倍政権の政策に対抗軸を立てることが出来ないと云うことだ。

 上記のように、民進党(旧民主党)の根本問題を数え上げるとキリがない。これほど、酷い政策を断行し続けた「政党」が、仮に「解党的出直し」が出来たとして、有権者は、何を期待したら良いのだろう。現時点では、三候補から、目新しい党のビジョンは語られていない。99.99%今後も語られることはないだろう。つまりは、社交辞令で「頑張ってね」と言うのが関の山で、虚しい応援歌に過ぎない。筆者は、「民進党」に、これっぽッチも期待してない。むしろ、公明党や、自民党のリベラル勢力の蜂起(謀反)の方に期待する。場合によれば、共産党を中心にした「左派リベラル政党」の出現の方が、余程政権交代の可能性を感じる。

 上述のような政治的ダイナミックが起きるためには、「アベノミクス」の千年に一度の経済クラッシュ。朝鮮半島における戦争、南シナ海、東シナ海における紛争ぼっ発と自衛隊員の戦死。米露開戦に引き摺り込まれる自衛隊‥等だが、後者二つの場合、緊急事態発生を理由に、民主主義的手続きを一時停止して、その時現在の政権が、白紙委任的に“立憲主義の治外法権”に至るだろうから、好ましい選択をさせて貰えず、地獄がロックする。やはり、望ましい政治的ダイナミックは、「アベノミクス」の千年に一度の大クラッシュと云う事になるようだ(笑)。

 正直、各紙の社説等々も、これといった提言が書かれてはいなかった。わざわざ、参考引用するレベルのものは見当たらなかった。あぁ、全国紙ではないが、一社だけ、こんなボロ糞な「民進党(旧民主党)」に対し、愛情を感じる「社説」を載せていたのが、野党共闘で大きな成果を上げた、東北選挙区にある河北新報の社説だったので、参考引用しておく。


≪ 民進党代表選告示/土俵際の覚悟で再生論争を
 3月の結党後初となる民進党の代表選がきのう告示され、蓮舫代表代行(48)、前原誠司元外相(54)、玉木雄一郎国対副委員長(47)の三つどもえの争いになった。
 「アベノミクス」一本やりの安倍政治に、野党第1党としてどんな対立軸を構築していくのか。女性、ベテラン、新鋭が独自のビジョンを掲げて論戦を交わし、旧民主党政権の失政で地に落ちた国民の信頼を取り戻す機会にしなければならない。
 党を取り巻く情勢は極めて厳しい。民主党時代に下野して以降、支持率は10%前後に沈んだまま。現在の安倍政権に衆院選2回、参院選2回の4連敗を喫している。
 安倍政権は、その数の力で特定秘密保護法や安全保障関連法を押し通した。国民に強い懸念があったにもかかわらず、なぜ民意の受け皿になり得なかったのか。その猛省なくして再生の道はない。
 まず求められるのは、民主党時代から染みついた、旧態依然としたままの体質の変革である。選挙は風頼み。逆風が吹くと、路線対立が激化してごたごたした揚げ句、離合集散を繰り返す。こうした「寄り合い所帯」の悪弊から決別しなければならない。
 改憲勢力が衆参両院で、発議に必要な3分の2を確保した。今月召集の臨時国会の憲法審査会で、本格的な論議が始まる。問われるのは憲法改正に対するスタンスだ。
 3氏は9条などで温度差があるものの、改憲そのものには反対していないようだ。しかし、どこを見渡しても、経済・財政・外交の諸課題を後回しにして、今、緊急に手を付けなければならない憲法上の課題は見当たらない。
 安倍晋三首相の執念ともいえる改憲路線に歯止めをかけるのが、むしろ民進党の重要な役割ではないか。初めに改憲ありきのような「お試し改憲」の論議に、安易にくみするべきではない。
 岡田執行部がかじを切った野党共闘路線を踏襲するかどうかも争点の一つだ。  先の参院選では、32ある1人区全てに共産、社民、生活の3党と候補者を一本化。東北の5選挙区をはじめ11勝し、一定の効果を発揮した。ただ、党内や支援組織には保守層の離反への懸念や、政権選択につながる衆院選での共闘に疑問の声がある。
 こうした党内事情を反映して3氏は共産党との連立には否定的だ。共闘について蓮舫氏は4党の枠組みを維持する姿勢をにじませる。前原氏は「いったんリセットした方がいい」、玉木氏は「共産とは一線を画す」と距離を置く。
 いずれにしても、民進党の単独では与党の強固な壁を突き崩すには力不足。どのように政権を奪取していくのか、その道筋を明確にすべきだ。内向きの論理の説明では国民が納得すまい。
 今回の代表選は、土俵際に追い込まれた党の再生に向けて、最後のチャンスといっていいのではないか。
 「顔」を変えただけと受け止められる結果に終われば、次期衆院選でも、さらに厳しい民意を突き付けられるだろう。3氏はその覚悟を持って戦ってほしい。  ≫(河北新報社説9月3日付)

憲法という希望 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●日本会議と世論の板挟み 安倍晋三、公明を梃に出来るか?

2016年09月04日 | 日記
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●日本会議と世論の板挟み 安倍晋三、公明を梃に出来るか?

 田原総一朗と云う人は、筆者にとって、あまり相性のいい分類の言論人或いはジャーナリストではない。ただ、筑紫哲也が亡きあと、我が国に、過去、現在、未来に向けた真摯な目線を持つ人々が次々と亡くなって行く時代が到来している。最近では、大橋巨泉、永六輔、むのたけじ、の三氏が亡くなられた。筆者の記憶に残る土井たか子、菅原文太、愛川欣也氏らも、そのような人々であった。年々、戦争の記憶が、日本と云う国から、無理やり剥がされて行くような感覚さえある。無論、筆者には戦争の記憶はない。それ程、世界第二次大戦についても、知識を持ち合わせているわけではない。

 ただ、戦争を知っている世代の人々の、「戦争」に対する意見や体験談には、戦争が、如何に勇ましさよりも、悲惨さの連続であったかを知らせてくれる意味で、貴重な真実なのだと思う。日本会議の連中や、右派御用達作家の百田尚樹のような戦争美化ストーリーなど、読むに堪えられない代物はない。しかし、戦争を知っている世代が、次々物故者になって行くのは自然な現象だが、その人々の記憶を後世の人間が引き受けていかなと、日本会議のような連中が跋扈することになる。

 その意味で、今上天皇の存在は、非常に心強いのだが、天皇も人間である以上、年齢的制約から逃れることは出来ない。今回、問題となっている「生前退位(譲位)問題」、及び「女性天皇の可否、及び女系天皇の可否問題」‥等、日本書紀・藤原一族によって捻じ曲げた歴史観に、考古学無視で拘泥する日本会議勢力が、今後も日本の社会で勢力を伸ばすか、縮小するかの瀬戸際にあると云う認識している。筆者個人は、当然、日本書紀、古事記の否定派だ。あんな馬鹿げた作り話、信じろと云う方がオカシイに決まっている。日本昔ばなしは好きだがね。

 今夜は時間がないので、田原総一朗氏の公式ブログを引用することで、上述の問題を、それぞれに吟味していただきたい。安倍晋三も、皇室問題には及び腰で、ジャーナリスト最後の大物と目される田原氏との意見交換をとば口にして、「日本会議」と「日本社会」の接点を探ろうと、色々試みることになるのだろう。「日本会議」を強力な支持母体にせざるを得なかった権力者の葛藤、ジレンマが始まったのだ。つけ加えるなら、筆者は、「譲位」も「女性天皇」も、「女系天皇」も、一定の見識を持っている皇族内であれば、是とする。


≪ 安倍首相、田原総一朗氏と意見交換
 安倍晋三首相は31日、首相官邸でジャーナリストの田原総一朗氏と会い、天皇陛下の生前退位について意見交換した。田原氏によると、田原氏が「皇室典範 の改正は時間がかかる。特別立法でやっておいて、改めて皇室典範の話をやった方がいい」と提案したのに対し、首相は「それもありますね」と応じたという。 田原氏は記者団に「安倍さんは(生前退位について)異論はないみたいだった」と語った。
 ≫(毎日新聞)


≪ 田原総一朗 公式ブログ
 
■終戦記念日の天皇陛下のお言葉と安倍首相発言の「温度差」から見えるもの(2016年8月29日)
8月15日、今年も終戦記念日を迎えた。日本武道館では、全国戦没者追悼式が政府主催で開かれた。

正午の黙祷の後、安倍晋三首相が哀悼の意を表明した。「尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません」と。そ して、「戦争の惨禍を決して繰り返さない。これからも、この決然たる誓いを貫き、歴史と謙虚に向き合い、世界の平和と繁栄に貢献」すると宣言した。

安倍首相に続いて、天皇陛下が「さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」「深 い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の 一層の発展を祈ります」とお言葉を述べられた。
 
天皇陛下のお言葉と、安倍首相の哀悼の意に、「温度差」を感じたのは僕だけではないだろう。天皇陛下はさきの大戦について、「深い反省」との表現を 昨年に続いて使った。だが、安倍晋三首相は「反省」について触れていない。そのかわり、「世界の平和と繁栄に貢献する」と、「積極的平和主義」を示すよう な文言を入れているのだ。
 
この1週間前の8月8日に天皇陛下は、「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」というお気持ちを表明している。具体的な文言を避けているが、「退位」の意向を示したのだ。

天皇陛下の「生前退位」への希望表明を、僕は安倍首相の憲法改正に対する、対抗なのではないか、と考えている。天皇陛下は政治に言及できない。しかし、現在の憲法を護りたい、と思っておられることは明らかだ。

ところが今回の参議院選挙で、自民党など改憲勢力が3分の2を超える議席を獲得してしまった。改憲の発議に必要な議席を確保したのだ。安倍首相のもとで改憲が行われることに、相当な危機感を持たれたのではないか。

もちろん、ご自分の健康への不安があるのは事実だろう。だが、「生前退位」を実現すべく、皇室典範の改正が必要になれば、安倍内閣は憲法改正に傾ける労力をそがれるのではないか――。こう考えるのは、うがちすぎだろうか。

僕は終戦記念日の式典を見て、改めて天皇の「密やかな抵抗」を感じたのである。


■天皇陛下の「生前退位」報道、僕はこう考える(2016年8月9日)

天皇陛下が「生前退位」の意向――。7月13日夜7時、NHKがニュースで報じた。メディアは大騒動になった。

天皇陛下は、現在82歳である。そのお年にもかかわらず、多くの公務をこなされている。だからではないが、今のうちに皇太子さまに引き継ぎたいというお気持ちなのだろう。

天皇陛下は、戦後60周年にサイパン、70周年にはパラオへの慰霊の旅をされた。ご自身のなかで一区切りついた、という思いもあるのかもしれない。

これがいち企業の経営者だったら、何の問題もない。だが、天皇陛下はそうはいかない。退位に関する規定が「皇室典範」にないのだ。だから騒動になっ た。「皇室典範」では、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」(第4条。皇嗣〈こうし〉=皇位継承者の第一順位にある者)と定めてあるだけなの だ。天皇陛下の生前退位を実現するためには、国会で「皇室典範」改正の議論が必要になる。

翌14日、宮内庁の風岡典之長官は「生前退位の意向」報道を否定した。 もし、天皇陛下が生前退位を望んでいるとすれば、「皇室典範」改正を望むことにつながる。「政治に関与した」と言われかねない。だから、宮内庁は否定せざるを得なかったのだろう。

ところが、同じ日の「毎日新聞」朝刊は、次のような報道をしていた。天皇の意向を受けた宮内庁の幹部たちが、生前退位について今年5月以降、水面下 で検討を進めていた、と。 この「幹部」には、もちろん風岡長官も入っている。風岡長官は報道を否定しながらも、水面下では調整を重ねていた、ということになる。

政府は、天皇陛下の意に沿うべく、なるべく早く国会審議を始めるべきだ、と僕は思っている。ただ、ひとつ、気にかかることもある。自民党をはじめとする右派は、生前退位を認める動きに反対しているのだ。かつての戦前の日本であったように、天皇の意見や姿勢が合わないという理由で、時の権力者が天皇に 譲位を強要する危険性があるというのが理由のようだ。そもそも彼らは、現在の日本国憲法が定めた「天皇制」に反対で、天皇の位置づけを変えていこうと考え ているのだ。

自民党が野党時代の2012年に発表した「日本国憲法改正草案」に、その思惑がうかがえる。現在の日本国憲法第7条では、「天皇は、内閣の助言と承 認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」とある。 一方、自民党の改正草案第7条には、「内閣の助言と承認により」という部分が、すっぽり削られていて、「天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行 為を行う」とあるだけだ。

・自民党の憲法改正草案は、天皇の政治的機能を高めようとしている。つまり、権力を強化しようとしていると言っていいだろう。このように考える人たちが、陛下の生前退位のご意思を否定しているわけだ。

だがしかし、天皇陛下がご高齢であることや健康状態を考えると、生前退位もやむを得ない。現在の象徴制のまま、「皇室典範」に条件をつけて生前退位を認めれば、何も問題はないのではないか。

元号について問題があるという声もある。それなら、大正時代の「摂政」のような役職を設ければいい。日本国憲法の理念を変えずに対応できる話だ、と僕は思う。

天皇陛下は、8月中にお気持ちを自ら公表されるという。一部の人々の思惑ではなく、天皇陛下のご意向が尊重されることをただ願う。


■永六輔さん、大橋巨泉さん逝去で僕が考えたこと(2016年8月1日)

永六輔さん、そして大橋巨泉さんが亡くなった。昭和のラジオ、テレビ界で活躍されたおふたりが、相次いで世を去った。同年代の僕としては、 たいへん感慨深い。彼らと僕には、考え方において細かい違いはあった。だが、共通点もあった。それは、「戦争を知る世代」として、平和は必ず守らねばなら ないという思いを貫いてきたことだ。

永さんは、憲法9条を守るべき、という信念を最後まで強くお持ちだった。一方、大橋さんは当時、民主党幹事長だった菅直人さんに依頼され、参議院選 挙に出馬。「小泉フィーバー」で自民党が圧勝するなか、見事に当選した。しかし、大橋さんは、アメリカ同時多発テロの際の国会決議で、「アメリカを支持す る」という一文を理由に、党で唯一反対に回った。自衛隊のインド洋派遣についても、事後承認に異議を唱え、結果的に議員を辞任することになる。おふたりと も、「絶対に戦争はダメだ」、その思いを貫いた信念の人だった。

先日、僕は黒柳徹子さんと、『トットちゃんとソウくんの戦争』という本を出した。終戦のとき、黒柳さんは12歳、僕は11歳だった。黒柳さんは父上が出征していた。そして終戦後、シベリアに抑留された。父上が帰国されたのは1949年のことだ。

帰国後の黒柳さんの父上は、以前と変わらずやさしかった。が、シベリアについては口をつぐんでいたという。シベリアでのつらい体験を、子どもたちに は聞かせたくなかったのだろう。「もし父がシベリアの地で死んでしまったら、(中略)私は父を死に追いやった誰かを憎みながら、その後の人生を生きること になっただろう」と、黒柳さんは書かれている。

僕の従兄弟は、海軍兵学校に通っていた。彼の立ち居振る舞いと白い制服に、僕は憧れた。当時、少年だった僕の夢は、海軍兵学校に入り、「名誉の戦死」を遂げることだった。見事な軍国少年だったのだ。
・そして、11歳で終戦を迎えた。玉音放送があった日のことを、よく憶えている。自分の夢が破れたことが悔しく、泣いて泣いて泣き疲れて眠ってしまっ た。しかし、夜になって目を覚ますと、街が明るい。前夜まで、空襲に備えて灯火管制が敷かれていた。それももう必要なくなったのだ。複雑な思いを残しなが らも、不思議な解放感が僕の心を照らしたのだ。

黒柳さんも僕も、あの戦争を肌身をもって体験している。ともにテレビという世界で生きていながら、立ち位置はだいぶ違うけれど、「平和を守る信念」と「テレビのもつ力」を信じているという点では、共通していると思う。

黒柳さんは、子どもの頃、スルメの足をもらえるというので、出征する兵士を旗を振って見送ったそうだ。そのことに、今でも罪悪感を持っているという。

また、俳優の芦田伸介さんがおっしゃった、「無力の罪」という言葉を、黒柳さんは深く記憶しているともいう。「戦争に向かう巨大な力の前では、私たちは無力だったかもしれないが、だからどうすることもできなかったではすまされない」と。

黒柳さんはその信念のもと、ユニセフ親善大使として、世界各国を、紛争地域もものともせず飛び回っている。大変なバイタリティだ。

僕も安穏としてはいられない。これからも生涯一ジャーナリストとして、日本が戦争ができる国にならないよう、しっかりと発言していくつもりだ。戦争を知っている世代が、どんどん少なくなっている。残された僕らにできることを、やり続けたい。


 ■参院選の勝利で改憲できる議席数を確保、安倍政権と日本会議の駆け引きが始まる(2016年7月14日)

参議院議員選挙の結果が出た。与党の自民党と公明党の勝利だった。民進党を中心とした野党の作戦は実らなかった。争点づくりに失敗したのだろう。

消費税率引き上げの再延について、安倍首相は、国民に信を問うと公言していた。ところが、民進党代表の岡田克也さんは、この先延ばしに賛成してし まった。もうひとつ、自民党が隠しに隠していた憲法改正だ。そもそも民進党は護憲政党ではない。実は、所属議員のほとんどが改憲賛成で、特に9条については改正を考えているのだ。しかし、共産党と共闘するため、「安倍政権下では改正反対」と、あいまいにしてしまった。明確な争点づくりに完全に失敗してしまったわけだ。

今回の選挙で、自民党、公明党、さらに改憲に前向きなおおさか維新の会などを加えた改憲勢力は、衆参両院それぞれで3分の2を超えた。では、今後はどうなるか。

まずは憲法の改正だ。安倍首相は憲法9条や98条の改正ではなく、公明党が賛成しやすい環境権などを持ち出すだろう。結果的に民進党も賛成しやすい 形にして、ともかく「憲法改正」を実現するのではないか。憲法改正は、自民党の立党以来の綱領に明記されながら、60年以上タブーであった。その憲法改正を何とか実現したいのだ。

一方、「日本会議」という団体が注目を浴びている。安倍内閣のほとんどの閣僚が参加しており、自民党の強力な支持母体でもある。日本会議が目指すの は、ひとつめは「緊急事態法の制定」、2つめが「家族制度の復権」、3つめが「憲法9条の改正」である。さらに、日本会議は明らかにしていないが、本来の目的は、「明治憲法の復元」、そして「東京裁判の否定」だ。

安倍首相は、まずは憲法第9条を避けて、なんとか憲法改正を実現しようとするだろう。改憲へ踏み出せる議席数が確保された今、日本会議は安倍首相をこの本音にどう引き込むのか。水面下の苛烈な駆け引きが行われるだろう。

 ≫(以上、コラム4本、田原総一朗公式ブログより)

http://www.taharasoichiro.com/cms/


≪ 田原総一朗「日本会議と公明党、安倍首相はどちらを選ぶのか」
 10日に行われた参院選で、自民党と公明党の与党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党など、改憲勢力の議席を合わせると162議席を確保し た。憲法改正の現実味を帯びた今、改正に慎重な姿勢を見せる公明党と憲法改正を訴える任意団体「日本会議」の存在がカギになるという。ジャーナリストの田 原総一朗氏が解説する。
*  *  *
 参院選は自民党、公明党、おおさか維新の会の改憲勢力が憲法改正の発議に必要な3分の2を確保する結果に終わった。安倍政権の勝利と言えるだろう。
 安倍政権は今回の選挙でも経済を前面に出し、憲法改正という真の争点を隠した。これまでも特定秘密保護法や安保関連法という争点を隠して選挙を行っており、いわば常套手段である。
 野党側は戦い方が下手だった。「憲法改正反対」を訴えたものの、民進党も実は護憲ではないため「安倍内閣での改憲に反対」という言い方になり、リアリティーがない。もっと具体的に、自民党が2012年に発表した憲法改正草案の問題点を突くべきだった。
  自民党の改憲案の本当の問題点は9条ではない。例えば現行憲法の21条では言論や集会、結社の自由が保障されているが、自民党案ではこれに「公益に反しない限り」という趣旨の条件がつけられている。家族を大切にすることを国民に義務づけてもいる。憲法とは政府を縛るものなのだが、自民党案は国民を縛るもの になっているのだ。野党は安全保障の問題にばかり注目して、こうした点の訴えが弱かった。
 改憲勢力で3分の2をとった以上、安倍首相は 任期中に悲願である憲法改正の実現を目指してくるはずだ。今後の焦点は、実際に憲法改正をしようという動きが出てきたとき、公明党がどこまで壁となれるか だ。かつての自民党ならば党内に非主流派や反主流派がいて歯止め役になっていた。自民党内に首相への対抗勢力がいなくなってしまった今、その役割を公明党 がどこまで担えるのか。
 逆に自民党としては、公明党がどうすれば憲法改正に乗ってくるかを一番に考えるだろう。最初に出してくる案は、おそらく9条の改正や、緊急事態条項を定 めた98、99条の新設ではない。例えば環境権といった新しい権利を定める項目を追加するといった話なら、公明党も乗らざるを得なくなるのではないか。
  1955年に自民党が結党したときの主目的は自主憲法の制定だ。だが、これまでは憲法改正を訴えることは一種のタブーであり、手がつけられなかった。環境 権の新設などで一度実績をつくれば、憲法改正に国民が慣れていき、もはやタブーではなくなる。本命の9条や21条に手をつけてくるのは、その後だ。
 もう一つ、私が注目するのは最近、話題になることが増えた「日本会議」だ。多くの閣僚が日本会議国会議員懇談会に所属し、安倍政権に強い影響力を持つとされる。
  日本会議は憲法改正を目指している。具体的には緊急事態条項の新設、家族保護条項の新設、そして9条の改正である。しかしそれだけでなく、東京裁判を否定し、首相の靖国神社参拝を求めてもいる。東京裁判を否定するとなると、これは反米である。安倍首相は親米路線をとっており、ここには水面下の確執があると 思われる。日本会議という船にどこまで安倍首相が乗っていくのかも、今後の見逃せないポイントだ。
 参院選後の内閣改造と党役員人事では、谷垣禎一幹事長の去就も気になる。谷垣氏はこれまで首相の抑え役となってきたが、軽減税率の導入と消費増税の2度目の先延ばしを巡って、安倍首相に半ば公然と反対した。私は幹事長交代の可能性もあると考えている。
 安倍首相を右派的な方向に導こうとする日本会議のような勢力と、ブレーキをかける谷垣幹事長や公明党などの勢力。果たして安倍首相はどちらの方向に進むのだろうか。
 ≫(dotサイトより ※週刊朝日 2016年7月22日号)

ヒト―異端のサルの1億年 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●糊代は残っているのか? 右旋回、ナベツネ化する朝日とテレ朝

2016年09月03日 | 日記
沖縄・憲法の及ばぬ島で
クリエーター情報なし
高文研


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●糊代は残っているのか? 右旋回、ナベツネ化する朝日とテレ朝

 古舘伊知郎と古賀茂明の「I am not Abe 」を巡るバトルが懐かしく思える昨今だが、局アナ・富永キャスターに変ったテレビ朝日の「報道ステーション」の権力迎合姿勢は、日々激しさを増している。日テレやフジを視聴しているのではないかと、チャンネルを確認しなければならないくらいに落ちぶれている。報道の自由度ランキングが世界72位と云う名誉ある地位を得ているのだが、更に下位を狙って驀進中のようだ。おそらく、2017年には、ランキングは100位と云う勲章まで手にする勢いに思える。

 テレ朝が作るニュース番組の根幹が、完全に毒饅頭食べたい、ぜひ食べさせてモードになっており、オス豚に餓えたメス豚同然の姿勢に終始している。報道ステーションにおいては、富永の体育会系番組進行係の横に座っている、悪名高き、後藤謙次の方がリベラルに見えたり、政権を批判する人に思えてくるくらい、酷い醜悪さを見せている。以上の感想は、8月から今月にかけての「報道ステーション」を視聴した、筆者の感想なのだが、どうも、朝日新聞系全体に、この感染症は、抗体を強くした麻疹や結核のように、急速に感染拡大の道を進んでいる模様だ。期せずして、現代ビジネスが、同趣旨のコラムを2本、立て続けに掲載した。先ずは、その内容を確認してみよう。


≪ 拝啓 朝日新聞さま。ジャーナリズムを捨てるのですか? 
  元朝日新聞記者の深い懸念
■「この原稿、リスクない?」
・朝日新聞社が迷走している。 ・現場は萎縮し、やる気のない記者が増えているという。
・いずれも2年前に起こった2つのトラブルが直接の原因だ。ジャーナリスト池上彰氏のコラム掲載を拒否した従軍慰安婦報道問題や、その存在をスクープ したものの表現手法が適切ではないとの批判を浴びた「吉田調書問題」に懲りて、ジャーナリズムを捨てようとしているようにも見える。
・その最たる例が、記者教育の変貌だ。
・端的に言うならば、「過剰な問題意識を持たない記者の育成」が行われているという。社内研修などでそうした指導が徹底されているそうだ。記者が問題意識を持って取材を行うと、政権などの権力や広告スポンサーの企業とトラブルを起こす、と上層部が判断しているからだろう。
・また、「部長やデスクの中には原稿を受け取ると、合言葉のように『この原稿、リスクない?』と尋ねてくる人も増えた。少しでもリスクがある原稿と思われれば、編集局内で多くの関係者がその原稿を輪読し、取材対象と摩擦を起こすリスクのある表現をどんどんカットしていき、結局は面白くない原稿にしてしまう」といった指摘も朝日関係者から出ている。
・こうした判断の延長線から、近いうちに記者職採用も止める計画だという。記者職として採用すると、広告や営業などの他の仕事を下に見てしまいがちになるため、総合職の「社員」として採用し、その後、配属先に振り分けていくという。会社の方針に忠実に従うサラリーマンを養成するのだろう。
・こうした採用手法は出版社やテレビなどの一部メディアでは行われている。その効用は本人の適性などによって配属先を決められるといったことであろう。しかし、新聞記者は「覚悟」のいる商売であり、こうした採用手法で果たして「覚悟」は醸成されるのであろうか。
 ■ジャーナリズムを放棄した?
・筆者も民間企業を経て27歳で朝日新聞社に記者職として転職し、約13年間勤務したが、その経験から言っても、最前線の新聞記者は間違いなく激務だ。 13年間のうち10年間ほど名古屋、東京、大阪の経済部に在籍していた経験から言うと、風邪でもひかない限りウイークデイは自宅で夕食をとったことはなく、その日のうちに帰ったこともない。平均睡眠時間は4~5時間程度だった。同僚もそんな感じだった。
・さらに、最近は読者の目も肥えているので、勉強しないと読み応えのある記事は書けない。また、ネット社会になって記者個人への攻撃も絶えない。 体力は消耗してストレスもたまって健康にも悪いし、スクープを「抜いた抜かれた」の緊張感もある。かつてのように給料も高くない。
・決して割のいい「商売」ではないが、自分が培ってきた問題意識をベースにニュースを発掘していく作業は実は楽しい。だから常に問題意識を持ち、それをアップデイトしていけるように、人と会い、現場に出向き、資料や文献を読み込む。
・問題意識を持つことが優れた記事を書くための第一歩であるこということは、多くの記者は否定しないだろう。しかし、朝日新聞の上層部はこれを否定しているようにみえる。
・この結果何が起こっているか。独立しても自分で食っていける一部の記者は会社を去り、残る記者は著しくモラルダウンして仕事をしない、という状況だ。ある地方の首長から最近こんな話を聞いた。
・「あなたの古巣の記者が一番仕事していないよ。現場にも出向かないで役所の提供写真を使ってばかり」
・しかも、提供写真に「提供」のクレジットさえ入れないこともあるそうだ。
 ■悪循環に陥りつつある
・モラルダウンに拍車をかけるのが、賃金カットと経費削減だ。
・朝日新聞社では取材対象とお茶をしたり、会食したりする経費はほとんど面倒を見てもらえず、「自腹」で対応ケースもかなりある。20年以上も前、朝日新聞の賃金が高いと言われていた頃、「給料に取材費込み」と筆者も教えられた。
・最近は賃金カットが続き、年収は筆者が在籍していた12年前に比べると、3割近くは落ちていると見られる。
・経営陣が最近、さらに3割の年収カットを労働組合に申し入れしたが、さすがに労組も堪忍袋の緒が切れたのか、交渉のテーブルにつくことを拒否したという。新たに年収を3割カットすることは、16年度から始まった中期経営計画の柱の一つだったが、早くも頓挫したようだ。
・もし、過度な問題意識を持たない記者教育を実施し、現場もモラルダウンが進めば、面白い新聞などできるはずもない。
・ネット媒体全盛の時代とはいえ、新聞にもまだ多くの読者が付いている。しかし、まともな記事がなければ読者に見放されて部数が落ち、それが影響力の低下につながり、さらにそれが広告減につながる「悪循環」が加速しつつあるのではないか。
・朝日新聞社2016年度の第一・四半期決算(同年4~6月)で売上高は前年同期比36億円減の637億円。広告収入や部数が予想以上に落ち込んだことなど が響いた。賃金カットなど営業支出を抑えることで何とか10億円の営業利益を確保したものの、営業利益率はわずか1.6%。赤字転落は目前の状況と言えるだろう。
・こうした局面にありながら、渡辺雅隆社長には経営を立て直す明確なビジョンと哲学がほとんどなく、目先の利益確保と業績が良い企業の物まねに走っているようにみえる。朝日社内には、渡辺社長は自分の頭で深く考えることを放棄しているのではないか、との指摘もあるという。
■どんどん普通になっていく
・さらに辛辣な批判もある。
・「『社長や上司がバカ』だと言う批判は、現場のことが分かっていないという意味でどの組織にもありがちだが、そういう意味ではなく、うちの渡辺社長は本当にひどい」(中堅幹部)
・たとえば、「渡辺社長は、民間企業がPDCAを回す経営をしていると最近知って喜び、真似して導入しようとしている」(同)そうだ。
・PDCAとは、プラン(P、計画立案)、ドゥー(D、計画実行)、チェック(C、計画通り実行できたかの確認)、アクション(A、確認して軌道修正)のこと。この「PDCAを回す」経営を徹底している企業がトヨタ自動車だ。
・トヨタでは会社の年度方針が示されると、それを受けて開発や営業などの各部門がその方針に基づいて実行すべきことや取り組むべき課題を決める。さらに、各 部門が決めたことを、部や室などの組織単位でブレークダウンしていく。最終的には個人単位にまで年度方針をブレークダウンしていく。
・P→D→C→Aの後にSが来ることはあまり知られていない。Sとはスタンダーダイゼーション(標準化)。結局、難しい課題解決が誰でもできるように仕事を標準化して効率化していくことに目的があるのだ。これには一定の効果があるものの、独創性が著しく低減する弊害も伴う。
・なぜなら、会社が指示した方針をベースに考えていくので、独自で斬新な発想を生み出す力が弱くなるからだ。新聞社の、特に編集現場のようなクリエイティブであるべき職場に似つかわしくない仕事の進め方が「PDCAを回す」ことなのである。
・渡辺社長は日産自動車のカルロス・ゴーン氏が行った改革も模範の一つにしており、「朝日版クロスファンクショナルチーム」も設置した。要は、渡辺社長がやろうとしていることは、「普通の企業」になるということである。
・新聞社が「普通の企業」になって、果たして社会に存在感を示すことができるのであろうか。誤解を恐れずに言えば、新聞社は「無頼集団」であるべきだ。今はやりのコンプライアンスも糞くらえだ。やってはいけない行為は読者を裏切ることだけ、と言っても過言ではない。
・新聞は「瓦版」であり、権力の悪口を書き、タブーに切り込んでなんぼである。怖がられる存在だから、広告も集まる。そんな基本的なことを忘れてはならない。
 ≫(現代ビジネス>政治>メディア・マスコミ・井上久男)


 上記のコラムを読んで、暗澹たる気持ちになるのは、筆者だけではないだろう。目端の利く新聞記者などいらない、記者クラブ全体が一丸となり、「この原稿、リスクないよね」が上司の枕詞になっている現状、自ら、報道の自由を捨てに行こうとする姿勢、何と表現すべきか、適切な言葉が見当たらない。営業も販売も総務も記者も“一緒くた?”「総合職」が聞いて呆れる。“羹に懲りて膾を吹く”と云う言葉を笑えない朝日新聞の実態のようだ。親会社がこの調子では、子会社の「テレ朝」が、ああなっても、何ら不思議ではないようだ。一番消えてなくなる新聞社が、「朝日新聞」に思えてきた。日本には、産経、日経、東京新聞、そして、日刊ゲンダイと夕刊ウジで充分と云うことか。読売、朝日、毎日は不要なメディアかもしれない(笑)。


≪ 原発「大本営」報道の反省はどこに?  
  懲りない新聞の権力依存体質
  ニュースは記者クラブの外にある
日経と朝日、朝刊1面で7割以上が発表報道
・福島第一原発事故以降、マスコミ不信が高まった。政府や東京電力が発信する情報をそのまま横流しする「発表報道」が横行し、「新聞・テレビは真実を伝えていない」という見方が広がったためだ。
・上智大学の田島康彦教授は、当時緊急出版した『調査報道がジャーナリズムを変える』の中で、「福島原発報道はまさに発表報道のオンパレード」としたうえで、「かつての『大本営発表』報道とどこが違うのか」と手厳しく指摘していた。
・あれから5年余りが経過し、大手メディアの報道姿勢は変わっただろうか?
・主要紙の朝刊1面を見る限り、残念ながら何も変わっていない。新聞によって程度の差はあっても、記事の6割以上は発表報道で占められていたのだ。
・私が分析対象にしたのは全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日本経済、産経)と東京新聞。6~8月の3ヵ月間にわたって各紙朝刊1面に載った記事をすべて点検し、発表報道に該当する記事を抜き出したうえで、全体に占める割合を算出してみた。
・すると、日経(73%)、朝日(70%)、読売(68%)、毎日(67%)、産経と東京(共に60%)という順番になった。日経と朝日の場合は7割以上が発表報道である一方で、発表報道への依存度が比較的低いのが東京と産経の2紙というわけだ。






・当コラムを読んでいる方なら既視感があるのではないか。7月8日公開のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49132)で紹介したように、経済誌プレジデントが外国人記者の評価に基づいてマスコミ信頼度ランキングを実施したところ、東京新聞が断トツの1位に選ばれ、2位には朝日と並んで産経が登場した。
・ここには「発表報道に依存しない=信頼度が高い」という構図がありそうだ。
・田島教授が指摘したように、発表報道に傾斜しすぎると戦前の「大本営発表」と変わらなくなる。
・政府や大企業など権力側が用意するプレスリリース(報道機関向け資料)を読みやすく加工するだけでは「プレスリリース原稿」であり、こうした原稿で紙面が埋まれば実質的に「政府広報紙」「企業広報紙」になる。分析を加えずに事実だけ報じているからといって「客観報道」というわけではない。
■エゴスクープも発表報道
・発表報道に該当するのは、記者会見やプレスリリース、イベントなどの公式発表を基にした記事に限らない。・公式発表を先取りしていち早く報じる「エゴスクープ」も発表報道である。権力側がメディア側に報じてもらいたいニュースを報じている点では、公式発表に基づいた記事と同じだからだ。
・日経が発表報道への依存度で頭一つ抜けた一因もエゴスクープにある。
・これまで当コラムで何度も触れてきたように、エゴスクープはニューヨーク大学(NYU)のジェイ・ローゼン教授の造語であり、「放っておいてもいずれ明らかになるニュース」をすっぱ抜く点に特徴がある。日経はエゴスクープで突出しているのだ(7月15日公開のコラム参照 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49182)。
・6~8月の3ヵ月間で見ると、日経朝刊1面に載ったエゴスクープは合計100本以上に上る。日経に次いでエゴスクープが多い読売の2倍以上だ。コラムや読み物を除いたニュース記事全体に占める割合で見ると4割に達し、2割以下の他紙と比べて際立っている。
・典型例は8月30日付の日経朝刊。1面に5本の記事が載り、読み物「働く力再興」を除く4本のニュース記事がそろってエゴスクープだった。見出しを列挙すると以下のようになる。
●自民税調会長 配偶者控除見直し検討
●国交省国内線着陸料1~5割減
●東京都知事意向築地移転延期へ
●JX・東燃ゼネ新会社 JXの内田氏社長に起用
・記事はそれぞれ自民党、国交省、東京都、JXホールディングス・東燃ゼネラル石油を主語にしており、記事の冒頭では「見直しを検討」「意向を固めた」といった表現を使っている。権力側がいずれ発表するニュースを先取りしているためだ。
・JX・東燃ゼネの記事は「人事を固めた」に続いて「31日に発表する」と書いている。プレスリリースを1日早くすっぱ抜いた格好だ。
■社会的弱者を主人公にする東京新聞
・では、どんな記事が発表報道に依存しない記事なのか。
・8月28~30日付の東京新聞朝刊1面のトップ記事を見てみると、すべて発表報道とは無関係の独自記事だった。見出しは以下の通りだ。
●学校つらい子へ「大丈夫」 もうすぐ新学期 居場所必ずある(8月28日)
●初のバリアフリー映画館シネマ目で耳で せりふに字幕 情景を音声で(8月29日)
●ホーム駅員増やして地下鉄転落事故現場 識者と歩く(8月30日)
記事は政府や大企業など権力側を主語にしていないし、いずれ記者クラブで発表されるニュースでもない。
・記事の主人公は「学校つらい子へ」では子ども、「初のバリアフリー映画館」では耳が聞こえない人と目の見えない人、「ホーム駅員増やして」では視覚障害者である。いずれも社会的弱者ということだ。
・「学校つらい子へ」は、新学期を前にして通学がつらい子どもに居場所を無料開放する動きに焦点を当てている。フリースクールの関係者に取材し、学校以外にも居場所があることを伝えている。主人公である子どもにも直接取材してあれば理想的だったが、それは望み過ぎか。
・ちなみに、28~30日の3日間に限ると、東京新聞朝刊1面には発表モノやエゴスクープは1本も見当たらなかった。ニュース解説やコラム、ルポ、調査報道などのほかは、台風10号接近などの発生モノだった。
・事故や事件などの発生モノは速報ニュースという点で発表モノと同じだが、発表報道とは区別して集計した。
■ニュースは記者クラブの外にある
・発表報道の一大拠点は記者クラブである。記者クラブは戦時中に権力側のプロパガンダに組み込まれ、戦争を美化する「大本営発表」で失態を演じたことから、GHQ(連合国軍総司令部)から解散するよう警告を受けたこともある。
・記者クラブは霞が関や永田町などもっぱら権力側に配置されているため、権力側と一体化しがちだ。例えば官邸記者クラブはあっても有権者記者クラブはないし、財務省記者クラブはあっても納税者記者クラブはない。
・もちろん国民にとって重要なニュースはいくらでもあり、権力側が発信する情報はほんの一部にすぎない。権力側が発信する情報で新聞紙面の大半が埋まっていたら、権力迎合型報道になり、むしろ問題である。その意味から記者クラブに依存しない報道が求められている。
・例えばPTAはどうだろうか。個人的には日米で地元公立学校へ子どもを通わせ、どちらでもPTAと接点を持った。日本ではPTA会長も務めた。その経験をきっかけにして、PTAはニュースの宝庫でありながらほとんど取材されることがない「未開拓分野」であると思うようになった。
・公立学校へ子どもを通わせる家庭や地域コミュニティにとってPTAは重要なテーマだ。PTAは行政機関の下請け的な役割を負わされていないか、専業主婦の無償労働提供によってどれだけ行政コストが浮いているのか、本家である米国ではPTAは日本とはぜんぜん違う機能を果たしているのではないか――。
・日ごろ新聞やテレビを見ているだけでは何も分からない。
・理由は明らかである。記者クラブに所属する記者は官庁や企業が流す情報を処理するのに忙しく、記者クラブとは無関係の世界に関心を持ちにくいからだ。PTAはボランティア組織であり、記者クラブで会見したりプレスリリースを配布したりすることはほとんどない。
・半世紀以上も昔、米経済紙ウォールストリート・ジャーナルは米国の新聞報道に革命を起こした。「過去24時間以内に起きた出来事を簡潔に伝えるだけ ではジャーナリズムの使命を果たしていない」と結論し、ルポやニュース解説、調査報道などで1面の大半を埋める方針を打ち出した。いわば「脱発表報道」を宣言したのである。
・その結果、ウォールストリート・ジャーナルの1面トップは「なぜ」「どうして」に力点を置いて掘り下げたフィーチャー記事(読み物)の指定席になった。発表モノは、過去24時間に起きたニュースを一覧にして見せる新設欄「ホワッツ・ニュース」にひとまとめにされるようになった。
・ウォールストリート・ジャーナルは発表報道と一線を画すことで「ウォール街のゴシップ紙」を脱皮し、一流紙の仲間入りを果たした。
・福島原発事故報道で失った信頼を取り戻すためにも、日本でも「脱発表報道」を宣言する新聞が出てこないものか。
 ≫(現代ビジネス>経済/企業>メディア・マスコミ・牧野洋)


 ほう!“全国紙5紙(読売、朝日、毎日、日本経済、産経)と東京新聞”と云う比較論で、産経新聞と東京新聞が、内容は別にして、独自報道姿勢評価が高い。筆者の選択は、企業動向をいち早く知りたいので、日経新聞+東京新聞+時々日刊ゲンダイがメインだ。朝日、読売、毎日、産経はネットの見出しで充分だろう。日経新聞の場合、エゴスクープが断トツに多いと指摘されているが、実は、その昔から、企業側が、公式な会社発表や、報道機関への各社投げ込みの前に、ニュースバリューが高いうちに、スッパ抜いて欲しい思惑が働く。

 一応、上場企業の広報責任者だったから判るのだが、大企業以外の企業広報としては、日経に特ダネ化させることで、ベタ記事で済まされるところ、一面扱いされたりと、自社の企業イメージアップなど、メリットに繋がるわけだ。日経や日経産業新聞には、よく数日前に情報をリークしたものだ(笑)。3回に2回は一面扱いされる。企業の実力以上の株価を維持する秘伝は、「エゴスクープ」して貰うことだった(笑)。そんな内情もあるので、日経の意志だけで起きている現象ではなく、官邸、自民党、各省庁、各企業にとっても、メリットがあるので、持ちつ持たれつの腐れ縁的である。もう、フリーになって20年になるが、あの頃の悪たれ広報は、今は、弱者の味方ぶって、ひなが一日を過ごしている。

「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
クリエーター情報なし
青弓社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●泉田知事撤退の真実 “さもありなん”という噂だが・・・

2016年09月02日 | 日記
闇ウェブ (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●泉田知事撤退の真実 “さもありなん”という噂だが…

 以下は、「気弱な地上げ屋さん」のブログの一節だが、この方の情報、相当の確度があるだけに、筆者も、そう云うことなら、突如の撤退宣言もありだなと納得した。残念であるが、不注意だったと云うことになる。政治家の場合、国政に限らず、知事や市長たちも、政治資金は喉から手が出るほど欲しいだろうし、行政権力も持っているだけに、タイトロープなことは、時に犯してしまうのだろう。泉田知事の撤退理由が、あまりにもピント外れで、奇妙奇天烈だったわけだが、知事としては、余りにも不用意な行いをしてしまったようだ。無論、この事実が明るみに出るかどうか、現時点でハッキリはしない。公表するのなら「文春」が最右翼だが、記事を揉み潰すことも、盗電(東電)なら、出来るのかもしれない。今夜は、相当にガックリ、これにて失礼。


 ≪ 前文略……

今回の・・新潟県知事選。
現職知事の知事選出馬断念。
見事な陰謀でしたね。 (苦笑)

半年も前に知事選出馬を表明して・・選挙事務所も準備して・・ 選対の幹部会開いた翌々日に・・? 撤退表明?

あり得ないハナシです。

明るみにされると、よほど困る弱みを・・逃電に、握られちゃったのでしょう、 泉田さん。 (苦笑)

それでは! 本日は・・イヤに多いのですが 仕方ありません。 (笑) 田中真紀子後援会に放つ! 草のモノに・・、伝えてもらいましょう。 (笑)

「 泉田さんの知事選撤退? 驚いたねぇ。 どの調査見たって・・長岡市長に勝てる結果だったし。 3セクの問題? あんなのが断念理由だなんて・・信じてるヤツいるの?
船が思ったより遅かった・・なんてのは、どうでもいいハナシ。 ホントの理由? もしかしたら・・来月辺り、文春あたりが書くかも知れないけど・・地元の消息筋で囁かれてるのは・・あのパチンコ屋の件。
県内じゃかなり大きいあのパチンコ屋。
社長と知事が個人的に親しい関係で、いままでもパーティー券なんかでお付き合いしてたみたいだけど・・そんなのは数十万の範囲。
不正ロムって言うの? オレはやらないから良く知らないけど・・摘発されると、トップが逮捕されるくらいの不正らしいね。
あの会社は、この不正を全社的にやってた疑いで、一昨年だったかな? 強制捜査された。 確か、子会社の社長もガラ持っていかれたよ。 全部で10人くらい逮捕されたんじゃないかな?
この件でね・・県警は、トップまで登ろうと気勢上げてた。
ところが? 子会社の社長の逮捕で打ち止め。 何か見えないチカラが働いたんじゃないかって・・当時から言われてたんだ。
ところが・・見えないチカラどころか・・目瞑っても見えちゃうような権力の介入があったってワケ。
パチンコ屋の社長から知事へは・・レンガが2~3個は行ったってハナシ。 そしてこの社長が・・今回寝返ったってこと。
県内だったら・・知事だって周りの目があるから警戒しただろうけど・・どうやら、レンガの受け渡しは、都内の料理屋。 つい安心しちゃったんだろうけど、何でもこの・・レンガ受け渡しのビデオもあるらしい。
パチンコ屋の社長にしてみれば・・何かあったときの保険のつもりだったんでしょ?
このことを原発マフィアが嗅ぎつけたんだから・・もうアウト。
問題はね・・誰がこのことを原発マフィアに売ったかってこと。 ユダは誰か?
多分・・後援会幹部のHだよ。 逃電労組と太いパイプあるしね。
まぁ逃電を敵に回すと・・命までは取られないかも知れないけど・・その寸前まではやられるってことよ。 」

泉田新潟県知事。 どうやら・・、脇がとっても甘かった・・ようです。
霞ヶ関から知事になった人というのは、どうにもこう・・、脇の甘いところが・・ありますね。 (苦笑)

しかしです!
ここで一番悪いのは・・ 逃電でしょ。

なんですか? 福島原発の凍土壁というのは?
「壁なんて呼んでいるけれど・・これは最終的に壁になるのか? 壁じゃなくて”すだれ”のようなものでは?」
原子力寄生委員からでさえ こんな意見言われちゃってます。

壁が出来れば? 「間違いなく減ります!」 こんなこと言ってた地下水のくみ上げ。
工事前と現在で、ほとんど変わっていないのですよ。
そのうえこの会社。 汚染水処理装置の保守管理費だの、賠償相談のコールセンター運営費なんて名目で、これまで、2200億円以上も、電気料金に上乗せして、消費者に負担させてるのです。

更に言うと・・、除染やら損害賠償などの費用。 国民の負担額をご存知ですか? 昨年度末まででも・・、既に支払い済みもおカネだけで4兆2600億円を超えてます。
国民1人あたり・・厄3万3000円です。
そんなの・・払いたくない?
もう・・払っちゃってます。 (苦笑)

 ≫(ラ・ターシュに魅せられて・気弱な地上げ屋さんブログより抜粋 )  *一部筆者改行

地域再生の失敗学 (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●何が起きたのか? 泉田「自殺しません。遺書があっても…」

2016年09月01日 | 日記
日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書)
クリエーター情報なし
平凡社


応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

●何が起きたのか? 泉田「自殺しません。遺書があっても…」

 奇妙奇天烈な政治シーンが、新潟県泉田知事を中心に突然のように起きた。ほぼ4選確実と見られていた泉田知事が、後援会のホームページ上に、10月16日投開票の知事選への立候補を撤回すると、突如表明した。新潟日報と泉田知事は、県第三セクター「新潟国際海運」のフェリー問題を厳しく追求するルポ記事を報じていたようだが、筆者は寡聞にして、そのバトルそのものは、まったく知らなかった。日刊ゲンダイの記事及び泉田氏の主張、新潟日報の主張を先ずは確認したい。


 ≪ 反原発のシンボル 泉田新潟知事が突然「出馬撤回」の背景
 原子力ムラはニンマリだろう。4選出馬を表明していた泉田裕彦新潟県知事(53)が30日、突如文書で“出馬撤回”を明らかにした。柏崎刈羽原発の「再稼働」を認めず、“反原発”のシンボルになっていた泉田知事に何が起こったのか。
 この半年間、泉田知事は新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリー購入をめぐり地元紙の「新潟日報」と対立。泉田知事は、出馬撤回の理由を「臆測記事や事実に反する報道が続いた。このような環境の中では十分に訴えを県民に届けることは難しい」としている。
 地元紙からの攻撃だけでなく、新潟県内では“泉田包囲網”が出来上がっていたという。 「新潟日報は今年に入ってフェリー問題をしつこく批判していました。新潟日報は泉田さんの政治手腕に疑問を持っていたようで、社内には“泉田嫌い”が蔓延していたといいます。新潟日報には東電が広告を出していた。さらに、今月には泉田さんと近い自民党県議が県連会長を辞任している。泉田さんは嫌気が差したようです」(新潟県庁関係者)
 泉田知事の出馬撤回によって10月に行われる新潟県知事選は、すでに出馬を表明している全国市長会長の森民夫長岡市長(67)の当選が濃厚となっている。安倍官邸と近い森市長が知事に就いたら柏崎刈羽原発を再稼働させるのは間違いない。
 泉田知事という“反原発”のシンボルを失った「反原発派」からは、森市長の対抗馬として地元出身の森裕子参院議員や田中真紀子元外相の出馬に期待する声も上がっているらしいが、肝心の民進党は対立候補を立てるつもりがないようだ。
 原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏は言う。 「泉田知事と同じ経産省出身の古賀茂明さんにも待望論が出ていると聞いています。いずれの候補を出すにしろ、野党が協力しなければ勝つことは難しい。ここで協力できなければ何のための野党かと批判されても仕方がありません」
 東電の高笑いが聞こえてくるようだ。  ≫(日刊ゲンダイ)


≪ 泉田裕彦・新潟県知事が4選出馬を撤回。新潟日報批判で「東電との関係」に言及(UPDATE)
・新潟県の泉田裕彦知事(53)は8月30日、次の知事選(10月16日投開票)への立候補を撤回すると、後援会のホームページで明らかにした。
・泉田氏はホームページに掲げた文書の中で、地元紙・新潟日報社の報道を強く批判した。最も強調したのは、「日本海横断航路」に関する内容だった。
・新潟県が出資する第三セクター「新潟国際海運」は、新潟と極東ロシアを結ぶ航路を開設するため、韓国の企業からフェリーを購入する契約を結んだ。しかし、船の整備状態に問題があるなどの理由で、三セク側が受け取りを拒否。韓国の企業から残金約1億6000万円の支払いを求められるなどのトラブルになっていた。
・泉田氏はフェリー購入の判断について「事前に県側に報告はなかった」と議会などで答弁しているが、新潟日報は7月から8月にかけて、県側が購入判断に関与していた可能性を報じていた。県側は計9回の申し入れや抗議文を新潟日報に送っている。
・これについて泉田氏は文書の中で「再三の申し入れにもかかわらず、訂正や説明もなく、最近まで県から申し入れがあった事実も報道してもらえませんでした。 (中略)このため、県が組織的に虚偽答弁をしているのではないか等の誤った印象が形成されている」と新潟日報を強く非難した。
■福島第一原発「メルトダウン隠し」東電に厳しい姿勢
・泉田氏は経済産業省職員を経て、2004年に自民、公明の推薦を受けて知事選に初当選し、現在3期目。
・大きく注目を浴びたのは、福島第一原発のメルトダウンを巡る、東京電力への厳しい姿勢だった。東電が求める県内の柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田氏は「福島の事故の検証と総括が先だ」と認めてこなかった。
・その発端になったのは、福島第一原発事故から7日後の2011年3月18日。泉田氏は柏崎刈羽原発の関係者を呼んで福島の状況説明を受けたが、メルトダウンについて「可能性を含めて認めなかった」ことを問題視した。新潟県は独自に「技術委員会」と呼ばれる有識者会議で福島の事故の検証を続け、技術委は東電に再調査を要求。東電は当初、メルトダウンについて「定義されていなかった」と説明していたが、2016年6月、「メルトダウンの判定基準が社内マニュアルに明記されていたが、5年間その存在に気づかなかった」と発表し、謝罪した。
・泉田氏の8月30日の文書では、新潟日報社の原発報道を巡る姿勢も批判している。
・東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、国の原子力防災会議でも問題が認識されている原子力防災については、例えば、県が指摘している現在の指針に従えば避難が必要になったときにはUPZ圏内の住民40万人強を2時間で避難させなければならなくなる問題等県民の生命・健康を守るうえで重要な論点の報道はありません。このような環境の中では、十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しいと考えています。(いずみだ裕彦 後援会Webより 2016/08/30)

・新潟日報は1942年誕生の地元新聞社。朝刊発行部数は約50万部、新潟県内の普及率は約63%で県内トップとしている。ハフポスト日本版は、新潟日報社に見解を求めた。 【UPDATE】2016/08/30 18:55
・新潟日報社は8月30日、「明日の紙面で明らかにします」とのコメントを出した。新潟県外に住む人に向けての対応を求めたところ、担当者は「今日の時点では、これ以上でも、これ以下でもありません」と回答した。  ≫(The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎 )


 ≪ 新潟日報「正当な記事へ圧力」 泉田裕彦知事に反論【全文】
・新潟県の泉田裕彦知事(53)が8月30日、次の知事選(10月16日投開票)の立候補を撤回することを表明した。泉田知事が出馬しない理由の中で、県出資の第三セクター事業を巡る地元紙・新潟日報社の報道を強く批判したことに対し、同社は31日付朝刊に反論を掲載した。
・新潟日報は「正当な記事へ圧力」とのタイトルで、服部誠司編集局長名で見解を表明。「新潟日報社の社会的信用・評価をおとしめる行為であり、断固として抗議します」と真っ向から反論している。次に全文を紹介する。

 ≪≪正当な記事へ圧力
本社執行役員編集局長 服部誠司
服部誠司本社執行役員編集局長の見解

・泉田裕彦知事が知事選から撤退する理由として本社の報道を挙げたことは、報道機関に対する圧力にも等しく、許しがたい行為と言うほかはありません。県が主導する日本海横断航路計画問題に関する一連の報道は、綿密な取材と事実に基づくものです。これらの正当な記事に対し、知事や県はあたかも誤報であるかのような印象を抱かせる一方的見解を公的機関である県のホームページ等で公表してきました。新潟日報社の社会的信用・評価をおとしめる行為であり、断固として抗議します。

・知事は今回、本紙原発報道に対しても県民の生命・健康を守る上で重要な論点の報道はないと批判しましたが、これも全くの事実無根です。新潟日報社の原発報道は一貫して県民の安全を最優先に取り組んでいます。

・新潟日報社の基本姿勢は紙面を通じて県民、読者に真実を明らかにすることです。知事は県民に対し、知事選から撤退する真の理由をきちんと説明すべきです。新潟日報社は、横断航路問題や福祉・医療4計画未策定問題も含め、県民のために真相を解明するため、県に徹底した情報公開を求めていきます。  (正当な記事へ圧力 新潟日報モアより 2016/08/31 09:00) ≫≫

・新潟日報はこれまで、県出資の第三セクター「日本海横断航路」で使うフェリーの購入を巡り、第三セクター側と売り手の韓国企業の間で起きた売買契約 のトラブルについて、泉田知事が「船の選考作業が進展している事実は把握していた」などと報道してきた。これに対し、県は「知事には契約後に報告があった」と再三同社に訂正を申し入れ、泉田知事も会見などで批判していた。

・泉田知事は30日に記者団の取材に応じ、新潟日報の報道について「事実と異なる報道の修正を求めてきたが、残念ながら訂正も説明もしてもらえなかった」と述べた。さらに「県からの情報が出ていかない環境のなかで、県民の皆さんに正確な訴えを届けるのが難しいと判断した。県の職員にも大きな影響が生じるので、立候補を取り下げたい」と述べた。

・産経ニュースは、泉田知事の立候補取りやめの理由が異例とし、さらに「報道への不満を出馬の撤回につなげるという現職知事の前代未聞の行動は、さまざまな議論を呼びそうだ」と伝えている。
 ≫(The Huffington Post | 執筆者: 中野渉 )


 正直、新潟日報の県第三セクターのフェリー購入の失敗。そしてその損失額や、県側が事前に知っていた、知っていなかったと云う“押し問答”の一種なわけだが、県政レベルでは重要な問題であるかもしれないが、全国レベルでは、「どうでも良いじゃないのか?そんなこと」、と云う印象があるので、余計に違和感が残る、泉田知事の出馬取りやめだ。全国レベルで把握する限り、泉田新潟県知事は、“反原発のシンボル”と云う評価があっただけに、反原発な考え方の人々から見れば、県第三セクターのフェリー購入の失敗云々で、侃々諤々になること自体、奇妙に思えてくる。まあ、泉田知事にとっては、名誉の問題があるとしても、全国レベルでは埒外の、立候補取りやめに思える。

 事実、筆者も、たかが、第三セクターのフェリー購入云々の経緯など、あざ笑えば良いのではないかと思うが、県レベルでは、重要な問題であったのかもしれない。また、福島原発メルトダウン以降の、泉田知事の反原発姿勢は、再稼働をもくろむ、東京電力と安倍官邸にとっては、泉田新潟県知事は、“獅子身中の虫”のような存在でもあっただろう。鹿児島県知事に三反園氏が当選したこととも相俟って、新潟、鹿児島から「反原発運動の再点火」などが起きることは、電力会社全体も、総裁任期延長を企てる安倍官邸にとっても、邪魔以外の何者でもない泉田知事であっただろうことは、想像に難くない。

 泉田知事は、多くのネットメディアの寵児でさえあった。反原発のシンボルでもあり、発言の中には「僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない……」と云う、キナ臭い発言をもろともしない、武闘派的色彩まで帯びた知事だった記憶がある。あの知事が、“第三セクターのフェリー購入云々”に対しての、新潟日報の“ネガキャン”くらいで根を上げると云うのは、かなり納得出来ない。正直な感想は、もっと裏があると云うことになる。絶対に、他の理由が存在する。一番、疑わしいのが、裏社会からの具体性を伴った生命を脅かすような恫喝があったのでは、と云うことだ。電力業界と云う国策産業には、当然のように、モロな暴力装置が“もれなくツイている”のだから、現実的だ。

 もう一つ考えられるのは、新潟県内においては、泉田県政に対して、原発問題以外の、他の県政における行政手腕に疑問符がついていた可能性だ。この場合、あらゆる分野から、「泉田知事は、もう沢山だ」と云う機運が生まれ、所謂「泉田包囲網」が、銭金、時間、権力を通じて、構築されていった可能性だ。もしかすると、前者と後者の事情が重なりあい、複合的な逆風が、泉田知事に襲い掛かっていたと云う事も考えられる。まあ、現時点では、これ以上の推測を重ねても、あまり意味がない。しかしだ、出来ることなら、「安倍官邸」「経団連」「原発村」や「経産省」に立ち向かう“反原発な候補者”が出てきてくれることを祈ろう。安倍官邸お墨付き男の、無投票当選は阻止したいものだ(笑)。

巨大地震はなぜ連鎖するのか―活断層と日本列島 (NHK出版新書 491)
クリエーター情報なし
NHK出版


 応援に感謝、励みになります!
にほんブログ村 政治ブログへ

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よろしくお願い

https://blogimg.goo.ne.jp/img/static/admin/top/bnr_blogmura_w108.gif