世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

2014年秋、日中の火蓋が切られる懼れ 安倍官邸が本気で戦略を練っていた場合

2013年12月08日 | 日記
本多勝一の日本論―ロシア、アメリカとの関係を問う
クリエーター情報なし
新日本出版社


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●2014年秋、日中の火蓋が切られる懼れ 安倍官邸が本気で戦略を練っていた場合

 冒頭の見出しは少々物騒なものになっている。しかし、筆者の脳味噌の働く範囲で、飛躍的に論理を展開していくと起こり得る事件ではないかな?となる。特定秘密保護法が、強行であろうが、熟議されたであろうかに関係なく、一年後には施行されることになる。後の祭りだと不貞腐れる手もあるが、これだけの悪法だけに、記憶からあっさり消し去ることも難しい。そうなると、この秘密保護法が如何に国民生活に直接的被害を与えるか、ことある毎に考え、話しておく必要があると認識している。

 そもそも選挙公約にもなく、所信表明演説では“この臨時国会は、成長戦略の実効性が問われ国会である”とまで言い切った。特定秘密保護法案の“ほ”の字も見当たらない。何かに怯え、その恐怖に耐えがたく、“エイヤッ!”と前後の見境もないまま飛び込んだとしか思えない。経済政策は、日銀の黒田マタ―、成長戦略は竹中マタ―、TPPは甘利マタ―(甘利は療養期に入ったが)と丸投げしている色彩が強く感じられる。そうなると、安倍晋三は、俺のマタ―はなんだろう?という思いに至る。そこで、俺のマタ―は強い国「戦争する美しい国(積極平和主義)」と云う情緒からの声を聞く。

 日米の2プラス2が行われたことも目くらましに最適。この特定秘密保護法は、米国と共同戦略を行う上で、必須。当然、米国から要求されたものと、周囲は勘違いしてくれる。安倍晋三が、この法案の悪辣度をどこまで理解しているか、実はそれも大した問題ではなくなる。いずれ政治家の場合、政治の決定シーンから消え去る存在なのだから。この法律の効果を享受出来るのは、米軍以上に、官僚組織(国が滅びるまで継続性がある)にあることを忘れてはならない。ドサクサ紛れに、日米軍事共同作戦準拠である法律に、治安維持、共謀、破防、軍機、デモ抑制、言論封殺など法的要素を、時限爆弾風に織り込んだものを作ったのである。

 その、多くの紛れ込ませた法の効果がいつ出るか、それは紛れ込ませた当事者すら知らない。ただ、使いたいな、と思った時に、その条文が生きてくる環境整備が重要なのだろう。この降って湧いたような法律は、吟味すればするほど、色んな味のする法律で、残忍な悪法だが、上手く出来ている。故に、怖いのである。時がたてば、多くの人間が、法文に紛れ込まされた条文の解釈で、如何様にも暴力装置の餌食になることに気づくような建て付けになっている。運用面が、非常に慎重であるべき法律なのは間違いない。

 しかし、特定秘密のチェックを第三者の目で、と言っているのに、秘密の指定状況などをチェックする保全監視委員会を事務次官級で構成し、相互監視の体制を築く等と寝言を言っている。第三者の意味すら理解できていない。また、官僚の保全監視委とは別に、内閣府に情報保全監察室を新たに設け、内閣総理大臣が最終的に“秘密の妥当性をチェック”等と、重ねて言葉の意味すら理解できていない知力を露呈している。各省の事務次官、内閣府、首相、彼らこそが秘密指定の当事者であり、第三者であるわけがない。それが、一切理解できていない節があり、気が触れているのか、準禁治産者なのか、区別すら不可能だ。この人のアカウンタビリティの責任を追及しても徒労に終わるだけだ。

 この法文は坂田前内閣法制局長官によれば、法体系的に齟齬は見当たらないとなると、何処かに、醒めた頭脳とおぞましき目的持っている輩が存在することを意味する。官邸内にいる誰かかもしれないし、霞が関の誰かと云うことだろう。概ね外務官僚の息が強くかかっている点は、日米同盟関連から波及的に生まれた法案と理解することが出来る。まぁ、ある目的を持っているプランナー居たとして、その勢力の思惑通りに、法律が動くとは限らない。政治とは、歴史的にも証明されているように、八方破れなアクシデントが引金となり、戦争が起きることがある。

 上述のアクシデントとは何か。それは、日々刻々目まぐるしい勢いで変化する、国内情勢、国際情勢によりので、どのような出来事がトリガーになるかどうか、予測は難しい。ただ言えることは、憲法に替わる万能力を隠し持った内容になっているので、抽斗だらけの法律だと言える。故に、日が経つにつれ、この法律の悪意度への批判は強まるだろう。根本的に、この法律が憲法に違反したものである事は、概ね自明だが、現在の法体系では憲法裁判所がないので、単独の違憲訴訟は起こせない。起こせるのは、この法律の違反で逮捕起訴された場合のみ、この法律自体が憲法違反だから、無効・無罪だと云う主張が可能になる。つまり、誰かが、この法律で裁かれる時、その時にだけ“憲法違反”を主張できる。おそらく、この法律を作った人間は、この法律の万能力を乱発したいとは思っていないだろう。核を保有するのと同様の効果が狙いで、抑止力なのだ。故に、考え、想像性豊かな人ほど、この抑止万能な法文に縛られる。

 以上、この法律の悪意度について述べた。それでは、安倍晋三と、この法律とが、どのように関わるかを想像してみる。その辺は、安倍の器量、或いは官邸内の知恵の想起により変わるのだろう。ただ、安倍政権が一定の評価を得ている原因が、金融緩和による円安誘導と、それに伴う株価上昇。そして、そのことに起因する“景気の好況感”だと言える。つまり、この評価の原因が逆さまになった時、当然のように内閣支持率は急落する。最近の朝日の内閣支持率は、意図的かもしれないが50%を切った。来年の4月以降、増税の悪影響が現実化し、支持率が30%レベルに急降下することは、充分予想できる。

 この時、なにが起きるかが、今日の発想のポイントだ。お人好しで、無知で、虚栄心の塊りの人物が、再び起死回生な手段を選択する可能性は大いに想像できる。経済・アベノミクス効果の幻想がバレタ以上、仮に政権を維持したければ、次の手を打つしかない。経済政策上打てる手、インパクト抜群の手段は残っていないので、違う局面が求められる。秘密裏に、核製造終了。核保有国宣言なんてことはなさそうなので、アナクロな手段で、自己を正当化しようと考える。その場合、一番効果がありそうなもので、有無を言わさない出来事は何だろう?もう一度原発事故を起こすのは、自滅の道だ。

 偶発的に、朝鮮半島で再戦が火蓋を切れば、それはそれで奇禍だが、如何にも他力本願で、何時のことか保証の限りではない。自らの、稚拙な信念に基づいて行動したことにはならない。憲法改正、国防軍、徴兵制など、“戦争の出来る美しい国”の実現、それは今だ、となる想像を阻むものはない。韓国やロシアと戦争の火蓋を切る筈もないから、残された国は中国だ。いま旬の話題、“防空識別圏”もあることだし、火蓋を切るには尖閣周辺での軍事衝突が、安倍首相が行ってきた強引な政権運営の意味合いを正当化させられる。日米同盟の真価も問われる。安倍晋三の米国依存姿勢は、必ずしも一面的依存症ではない点もあり、米国の本音を引き出す良い機会でもある。

 ここから先は、色んなシナリオがあるので、一概に特定のシナリオの予測は難しい。ベストなシナリオは、中国空海軍と小競合いの範囲の軍事衝突が起きる。双方、限定的戦争に突入。米国の必死の仲介行動を呼び込む。国民らには、中国が如何に危険な国家であるかを、徹底的に印象づける。世論は感情のフックに釣り上げられ、わけもわからずスーパー・ナショナリズムの虜になる。内閣支持率はうなぎ登り、80%台を叩き出し、“中国をやっつけろデモ”が国会を包囲する。その間に、集団的自衛権解釈改憲を行い、特定秘密保護法以前の法律で、不穏分子の摘発に乗り出す。もう、国民は誰ひとり、安倍政権にブー垂れる者はいなくなる。

石原慎太郎の『狂った果実』 (貧困なる精神25集)
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