世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

● 今度はギリシャで“ブルー革命”でも起こすのだろうか 要注意!

2015年07月07日 | 日記

 

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● 今度はギリシャで“ブルー革命”でも起こすのだろうか 要注意!

以下の記事はブルームバーグの取材に答えたファンドマネージャーの話のようだが、何かを暗示でもしているのだろうか。本日は本業多忙、参考のコラムや記事を羅列しておくが、日本人の多くが、短絡的に、「ギリシャの国民は大多数公務員で、さっさとリタイヤして、現役世代の70%以上の年金生活をしている。

そんな国が、筆者でユーロ圏を牽引するドイツやフランスから金を借り、IMFからまで借金して、自分たちの生活を緊縮する気がない。そんな厚顔無恥な国民等、飢えてもいいのだ。そんな印象のみを持つ人々も多いだけに、将来のわが国でも起こりうる事なので、様々な角度から理解しておくべきだろう。本日のコラムは、その補助線だと思っていただきたい。

二つ目の高橋洋一氏のコラムが長いので、もっと多くを掲載するのはやめておくが、ギリシャを借金漬けにして、首を回らなくしたのは犯人は、実は欧米資本である。防衛安保上はアメリカの手回しによるNATO繋ぎ止めだ。まあ、対ロ及び対中防衛線の要と云う事だ。昔の、社会主義防衛線だった日本のようなものだ。防衛線として価値ある間は好きにさせる。しかし、利を得る以上、賄賂のような支出を合法的に要求される。それが、NATO加盟と、軍事費の大増大でもある。米英仏の軍産複合企業の製品をたんまり買わされ財政赤字も酷いものである。

高橋氏のコラムは、欧米の良いとこどりの結論だが、彼が言うように、都合よく、問題が解決することはない。地政上の問題もあるが、大きな歴史の中で、シルクロードにも引っかかるわけで、中露の誘惑もかなりのものだろう。ギリシャがNATO脱退を仄めかした時には、ブルームバーグの予測記事のような懸念も出てくる。ギリシャの借金など、長い目で見れば、中国共産党及びロシアにとって安い買い物に相違ない。世界の混乱と云うか、ギリシャ人のヤケクソと云うか、中々見るべきものがある。ギリシャと云う国はどっちに転んでも、最終的には存在するわけだ。歴史を抱いて臥薪嘗胆でも生きられるって考えただけでも、筆者は見事だと思う。

ロシアのプーチンは、この問題に深く頭を入れていないような姿勢を見せているが、裏では虎視眈々と状況を睨んでいるわけだ。EU・NATOもその事実を知っているだけに、問答無用で切り捨てることは、アメリカが今度は許さないと云う動きをするに違いない。ギリシャでの騒乱が、あまりにも見え見えだとすれば、トルコ辺りでひと騒動起こし、ギリシャNATO加盟継続を決心させるかもしれない。まあ、安倍の馬鹿政権の話をするよりも、頭の体操には間違いなくなる。


≪ ギリシャ、48時間以内に解決なければ暴動も-ヘッジファンド
 (ブルームバーグ):ギリシャのチプラス首相が48時間以内に債権団との対立を解消できなければ恐らく、現金自動預払機(ATM)の紙幣は底を突き暴動も起こりかねない-。ヘッジファンドのバリアズニー・アセット・マネジメントが指摘した。 5日のギリシャ国民投票では61%が緊縮拒否に票を投じ、同国がユーロ圏を離脱する公算が大きくなった。
 ファンド運用者らは債権者側とギリシャが合意に至れる可能性を疑問視している。 バリアズニーのシニアマネジングディレクター、コリン・ランカスター氏は「良い決着を間もなく見られるとは思えない」と電子メールでコメント。
 「欧州連合 (EU)が待ちの戦略を取るかどうかが大きな疑問だが、混乱が挙国一致内閣や政権交代につながるという希望はある」と続けた。 ランカスター氏によれば、バリアズニーはギリシャへの直接エクスポージャーを3週間前にゼロにした。 ヘッジファンドはギリシャ国民投票を前に、世界の株式に対して慎重姿勢を強めていた。ヘッジファンドのポジションのロング(買い持ち)とショート(売り持 ち)を比較したエバーコアISI指数は、1日までの1週間が50.5と6月初めの51.8を下回り、強気の後退を示していた。
  フランスの銀行ソシエテ・ジェネラル傘下で約100本のヘッジファンドに投資するリクソー・アセット・マネジメントの世界ストラテジスト、フィリップ・フェレイラ氏は、今やギリシャが債務再編を含まない案に合意する可能性はほとんどないと電子メールで指摘した。 原題:Greece 48 Hours Away From Unrest, Balyasny Hedge Fund Says (抜粋) ≫(ブルームバーグ)


 ≪ 国民投票実施でも混乱は必至!
  ギリシャ経済危機「唯一の解決策」を教えよう

■混迷は避けられない
 本稿がアップされる月曜日の朝には、ギリシャの国民投票の体制が判明しているだろう。事前の予想では、賛否拮抗であるので、結果はどちらにせよ、きわどいものの可能性が高い。 国民投票は、ECB(欧州中央銀行、ユーロ圏)、EU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)のトロイカが金融支援の条件として提示する財政緊縮策を受け入 れるかどうかについてである。
 緊縮策に賛成多数であれば、緊縮案に反対するチプラス政権は退陣を示唆している。この場合、すんなり親ユーロ政権が誕生する のかどうか、政局混迷は避けられない。 緊縮策に反対多数であれば、トロイカとの再交渉になるが、それは難航し、ユーロ離脱までありえる。どちらの場合でも、当面の国際経済混乱は避けられないだろう。
 ギリシャはどんな選択をすべきか。本コラムでは、先を読み解くための予備知識を提供しよう。実はギリシャ問題は、国際金融、国際政治の絶好の”生きた教材”なのだ。この機会に、読者も学生時代に勉強した知識をブラッシュアップしたらいい。

■日本の新聞はあまりにマジメすぎる
まず、日本のマスコミでよく見られる論調を紹介しよう。
  「ギリシャは、公務員も多く、年金も大盤振る舞いである。財政再建もせずに、破綻した。一生懸命働かず、その一方で借金を返さないのは、国際常識に反しており、緊縮策を受け入れるべきだ。そうすれば、国際経済も混乱しなくなる」 このステレオタイプの意見を真に受ける人も多い。
 そうした人はよく新聞などを読んでいるマジメな人なので、まずは、意見を頭ごなしに否定せずに、やんわりといこう。 「そうですね。たしかに、かつてギリシャは4分の1が公務員。その給料は民間の1.5倍でした。年金も官民ともに、その水準は現役の給与と同じなので、みんな競って早期退職で年金生活に入っていたので、働き手がいなくなるという問題もありました」 と数字を上げて、否定しないでおこう。
 その次に、少しかまそう。
 「しかし、ギリシャは過去200年間で、2年に1回くらい、デフォルトを起こしてきました。そのたびに通貨ドラクマが下落して、対外調整を行ってきたのも事実です。ドラクマ安で観光業などが盛んになって、債務問題に対処してきたのです。
 ただし、今回は、ユーロ圏の一員でドラクマはないので、この手が使えな いのが本質的な問題です」 ここで、ちょっと国際金融の常識を披露しておこう。
 国際金融のトリレンマというもので、今のギリシャ問題の理解のためには格好のものである。筆者は、役に立つので、著作の中でもしばしば使うし、大学の講義でも必ず紹介している。実は、米プリンストン大学でクルーグマンの講義を聴講していた時、実際起こっている国際金融の諸問題に対して、とてもいい見通しを提供してくれたので、それ以来、しばしばお世話になっている。 アメリカのテキストでは、以下のような図で説明される。
*(図省略)
  トリレンマとは次の三つの政策を同時には実現できない、というものだ。その三つとは、1)固定為替制、2)独立した金融政策、3)自由な資本移動である。このうち二つは同時に実現できるが、三つを同時に実現するためには、どれか一つを諦めなければいけないのである。
 マスコミが理解していない重要な「法則」 例えば、3)自由な資本移動を認めるとすれば、1)固定為替制と2)独立した金融政策が両立できないことを示そう。 ここで、独立した金融政策があると、通貨の量を増やしたり、減らしたりを何も気兼ねせずにできるということだ。もしA国の金融政策の独自性があれば、A国の通貨を増やる。そうなると、A国の通貨は相対的にB国の通貨より増える。その場合、A国の通貨はB国の通貨に対する価値は低くなる。A国の通貨とB国の 通貨の交換比率である為替は、A国の通貨安となる。
  為替は、A国とB国の二国の通貨の交換比率である以上、独立した金融政策であれば、為替は変動せざるを得ず、固定為替制はできない。 逆に、固定為替制とすれば、為替を一定に固定させる以上、A国の金融政策とB国の金融政策はリンクせざるを得ず、どちらかの国の金融政策の独自性が失われる。
  この説明でわかるように、2)独立した金融政策と3)自由な資本移動をとる場合は、自国通貨の価値の変動を受け入れるしかない。
 つまり、1)固定為替制は成り立たないため、変動相場制に移行する必要がある、ということになる この状態は、上の三角形で、右横の状態「変動相場制、日本、アメリカなど」と書かれているところだ。 ユーロ圏はどこの状態になるかというと、左横の「有価統合、カレンシーボード、ユーロ、金本位制、香港」というところに該当する。
 三つのうち、1)固定為 替制と3)自由な資本移動で選び、2)独立した金融政策、を放棄したとわけだ。ユーロ圏の国にとって、単一通貨ユーロなので、金融政策はECB(欧州中央銀行)が行い、自国の経済状況に応じて行っていないという意味で、独立した金融政策の放棄になるわけだ。
 ついでにいっておくと、1)固定為替制と2)独立した金融政策を選び、3)自由な資本移動を放棄したものとして、戦後のブレトンウッズ体制がある。
 ユーロ圏の場合、各国ともに独自の通貨を持たないというのは、独立した金融政策を持たない、危機時に為替調整を行わないというのと、同義になる。このあたりをあまり理解しないで発言するマスコミも多いので、要注意である。
 例えば、ギリシャ問題を「ユーロの仕組みの問題」といいながら、日本でアベノミクス批判として金融政策を使うとハイパーインフレになる、国債が暴落するという論者は、思考のフレームワークで矛盾があるのに気がついていないのだろう。 こうして、ギリシャ問題が、独立した金融政策を使えないこと、つまり、変動相場制での為替調整が使えないことだとわかると、面白くなる。

 ■「借金踏み倒し論」は正しいのか
ギリシャ問題では、次のような意見も根強い。
  「ギリシャは、借りた金は返さなければ、いけない。それを返さないのだから、貸し手が緊縮財政を求めるのは当たり前である。緊縮財政して、借金を返済すべきだ」 これは、個人であれば文句のない言い分であるので、これをまともに否定するのは難しいだろう。ちょっと反論しようものなら、 「あなたは、踏み倒しを容認するのか」 と凄い剣幕で怒られるかも知れない。ちょっとひるむと、相手は、あたかも財務省の走狗になったように、「日本も債務が多いので、ギリシャのようにならないために、増税や歳出カットの緊縮財政が必要である。」 とたたみかけてくる。
 実際のギリシャへの緊縮財政の要求では、増税と歳出カットのほかにも、徴税システムの話もある。これは、日本に当てはめると、財務省が死ぬほど嫌う「歳入庁」である。この歳入庁につながる話をしないのは、かなり笑えるところだ。
 ただ、もっと本質的な問題がある。ギリシャは緊縮財政によって経済が成長せずに失業率が高まったのだ。ピケティでも誰でも普通の経済学者なら、成長なくして財政再建なしは常識だ。このため、ギリシャへの緊縮財政はそもそも批判になっている。 しかも、ギリシャ問題は国家間の話である。過去のデフォルト時でも、ドラクマが下落して、為替調整を行ってきた歴史もある。国家間の話では、返済というのは、為替調整もあり得るのだ。こんな手は個人間ではありえないが、国家間ではありえるのだ。

 ■「体育会系のしばき上げ論」を論破する
といっても、 「ギリシャは自堕落なので、緊縮財政でも課して、鍛えなければいけない」 とかいう”体育会系のしばき上げ論”もある。 そうしたら、今度は、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者マンデルによる「最適通貨圏」を持ち出すといい。
  「ギリシャは、ユーロの最適通貨圏から著しく逸脱しているのが問題だ。これを解決しないと、何回でもギリシャ危機は訪れる。抜本的な対応策はユーロ離脱だ」 この理論は、域内の経済変動と自国の経済変動がお互いに似ていれば同一通貨のメリットがあるし、あまり似ていなくても、自国の経済構造が柔軟で変化に対応できるなら、同一通貨のメリットが受けられるというものだ。
 そこで、今のユーロの加盟国でそれを簡単に数値化すると、下図になる。
*( 図省略 )
 縦の赤線より右側はとりあえず安泰である。ただし、赤線に近い、アイルランドとポルトガルは他の国より注意したほうがいい。赤線より左でも、赤の点線より 上ならまだいい。スロバキアもそこに入っているが、赤の点線の下のギリシャは一番ユーロにふさわしくない国だ。正直言えば、データの少ないバルト三国もややふさわしくない。ただし、バルト三国は安全保障上の理由でユーロに残留したいので、どんな構造改革案も受け入れる覚悟らしい。
  マンデルによる「最適通貨圏」を、ざっくりいうと、中心国はユーロに適しているが、周辺国になると不都合が出てくるのだ。 欧州連合(EU)とユーロ圏(EURO)の関係を整理しておけば、EU28ヵ国で、そのうち19ヵ国がユーロ圏だ。ベルギー、フランス、ドイツ、イタリ ア、オランダ、ポルトガル、スペインなどはEUであり、通貨をユーロとするユーロ圏だ。
 しかし、デンマーク、スウェーデン、イギリスなどはEU加盟国だが、ユーロ圏ではなく独自通貨を有している。 下図をみると、ギリシャが、ユーロ圏の中で、周辺国でも飛び地になっていることが一目瞭然だ。
 マンデルによる「最適通貨圏」によると、こうした国は、ユーロ圏から離脱した方がいいのだ。

 ■秘策は「ドラクマ復活」
なお、「最適通貨圏」はいろいろなことを教えてくれる。ドイツなどのユーロの中心国では、ギリシャなどの周辺国が増える「うまみ」もある。というのは、平均的なところでユーロが決定されるため、同じユーロ国でも、インフレ率が相対的に低いドイツの輸出製品価格は低く抑えられる一方、インフレ率の高い ギリシャなどの輸出製品や観光業は価格競争力を失い、相対的に不利である。
  その結果、ドイツなどの輸出は急増し、その果実を謳歌してきた。ギリシャ問題では、ドイツなどは援助国、ギリシャなどは非援助国という構図であるが、それまではドイツなどはユーロ拡大の最大の受益国であったことは忘れられている。
 経済的な観点から見れば、ギリシャもドラクマという独自通貨を復活させて、EUに残留すればいい。このポジションは、EU域内では関税なし、人・資本移動 が自由なので、かなりのメリットがある。
 その一方で、金融政策の自由度を持つので、ギリシャにとっては長期的には「いいとこ取り」のような合理的な選択である。 これが実現出来るかどうかが、当面の国民投票の結果がどうあっても、将来のギリシャにとって重要だろう。
 EUは共通通貨への道という一方通行で、そもそも ユーロ圏からの離脱規定すらない状態なので、ユーロ圏、EUとのタフな協議が必要になるだろうが、不可能なことではないはずだ。
 
■「ユーロ離脱」「EU残留」が正解
  仮にギリシャがユーロ離脱となっても、EUには残留すべだと、筆者は思っている。これは、経済的な理由というより、安全保障上の理由、ギリシャの地政学上の重要性だ。
 ギリシャは、ロシアがクリミアから黒海をへて、地中海に抜ける際、重要な戦略的位置になっている。このため、経済・政治統合のEU、安全保障の北大西洋条約機構(NATO)にギリシャは不可欠だ。 あるマスコミ報道で、ギリシャがユーロ離脱とともに、ロシアに向かうという報道があったが、それはまったく荒唐無稽である。
 実際、ギリシャはNATOメン バーであるので、ロシアの配下になるのは、NATOが許さないはずだ。実際、オバマ大統領は、ギリシャをEUから手放すなというメッセージを出している。 NATOとEUはかなりオーバーラップしている(下表)。
*(表省略)
 その意味で、ギリシャは引き続きNATOとEUに残る必要がある。
 ギリシャ問題への最終的な解をいえば、 「ギリシャは、最終的にはユーロ離脱、EU残留、NATO残留が望ましい」 となる。 これで、冒頭に述べた、ギリシャ問題は、国際金融、国際政治の絶好の”生きた教材”という意味がおわかりだろう。ちょっと、国際金融の基礎理論と地政学の 話を学んで、通説と異なるギリシャ問題を論じてはどうだろうか。また、国民投票でどっちが勝ったという滑った転んだの目先の議論ではなく、長期的に望まし い観点から、国民投票を評価するのもいいだろう。  ≫(現代ビジネス:ニュースの深層―高橋洋一)

日本の大問題 「10年後」を考える ─「本と新聞の大学」講義録 (集英社新書)
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