1999/10/下旬 赤城・黒檜山
赤城はズバリ紅葉シ-ズンであった。
本来、10月中頃に訪れる予定が、「家族の集団風邪」によって、下旬に延期となったのだ。
それがかえって遅れ気味の紅葉とうまくマッチしたのである。
これ幸いと、大洞(国民宿舎緑風荘前)駐車場を出発し、20分ほど車道を歩くと 黒檜山への登山口に着く。
ちょうど良いウォ-ミングアップであった。
いきなり急登
黒檜山への登りはいきなりの急登 から始まる。樹林の登山道をひたすら登る。
意外と岩が多かった。
時々ひんやりとした風がシャツの中をすり抜ける。歩いていなければ寒いぐらいだ。
所々に霜が降りている。自身「今年の初霜だ!」と、お約束のようにサクサク 踏み潰して歩く。
猫岩から紅葉と地蔵岳
紅葉のピ-クは1500m付近まで降りてきていた。
登り始めて20分。猫岩付近がピ-クだろうか?
ここでようやく景色が開けてくる。
そこには大沼と地蔵岳が鎮座する。
紅色に色づいた葉と沼の青さが彩りの深みを増して目に焼付く。
賑わう黒檜山山頂
黄色い声がこだまする。
先行していた御婦人の声である。その声で山頂が近い事を知らされる。
もうすぐだ!その話をしていると分岐点に出た。そこから山頂へはつつじの合間を縫って5分と かからなかった。
黒檜山の山頂からは、
袈裟丸、皇海、奥白根、燧ケ岳、武尊、谷川、榛名、富士 ・・・
ぐるり360度の好展望が望める。なんだか嬉しくてたまらない。
私も思わず、黄色い声で山座同定。御婦人が黄色い声になるのも頷けるのだ。
気持ちの良さそうな稜線
真っ青な空の下、 山頂を駒ヶ岳方向へ下り始めると気持ちの良さそうな稜線が目に飛び込む。
笹原の一本道。私好みの登山道だ。
こういった道はのんびりてくてく歩くのが私の流儀である。
笹原の登山道を行く深い緑の笹原道から、ふと黒檜山を 振り返ると山の彩りが美しい。 黒檜山を振り替える
黄色、紅、茶、緑のなかに白い白樺の幹が良く 映えている。
真っ青な空もあいまって、思わずため息が出る。
自然の色彩はまるで絵画の鑑賞をしているようなのだ。
寝る子は育つ。
駒ケ岳山頂にて黄色いバンダナを取り出した。
この辺りで”おんぶ”していた子供がぐったりと寝てしまった。
頭がふらふらとしてどうにも重心が思わしくなく、頭をバンダナで固定しようと 言うわけだ。
どうにか歩き易くなったと思ったら、すぐに駒ケ岳山頂に着いた。
ザックをベット代わりに子供を寝かせ、大人はランチタイム。
早速おにぎりを広げたと思うと、なんと子供が起き出した。
臭覚が敏感に反応したのか?(笑)
ちょうど良い高さの鉄の階段
枯葉色に染められた山道と手すり付きの階段を 一気に下ると大洞の駐車場に着く。
ものすごい賑わいである。観光バスが数台、駐車場は満車状態。
?。車の人が私たちに手を振っている。??。
あぁ、そうか!私たちと逆コ-スで同じ大洞駐車場から出発した方々であった。
子供をおぶっている為、印象が強く残っていたのだろう。
出発時、山頂、下山後。3度お目にかかって挨拶程度しかお話していなかった事が 急に悔やまれてくる。
ボ-っと小沼湖畔を見つめる白い砂をサクサクと歩く。波打ち際に 近づくと細波がピチピチと小さな音を立てながら打ち寄せる。
早くも傾いてきたお日様に”晩秋”を感じながら 廻りの紅葉と湖面を見渡す。何とも気持ちの良い所である。
時間が止まっているような錯覚さえ感じる。
ココ、小沼はそんな気のする素晴らしいスポットだ。
思えば赤城は「気持ちの良い」ところが多かった。
深田久弥氏も赤城山を「暖かく我々を包容してくれるもの」と賞しているが なんともピタリな表現であると納得した。
さあ、本日の仕上げは「黄金色の赤城温泉」だ。
今日は一体いくつの「色」を感じただろう。
その鮮やかさは私たちの心にも彩りを添えてくれたに違いない。
sak