Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

映画「インビクタス・負けざる者たち」

2010-02-07 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 一昨日、私が生ごみ当番中に、カラスの大群にごみを漁られ、
道いっぱいに散らかされて1日中クサクサしていた。
 夜、二人の友達から、「おとうと」を見てきた、と感想メール
が届いた。偶然、別々に(たぶん違う時間帯)見に行かれたら
しい。

 昨日の土曜日もお茶は休み、相変わらず雪の日で寒い。
こんな日は、映画に限ると出かけることにした。「おとうと」は
まだまだ続くだろうから、「インビクタス・負けざる者たち」。
クリント・イーストウッド監督、ネルソン・マンデラの話だ。
「グラン・トリノ」の時も見ようと思っているうちにすぐ終わった。
これも早く打ち切られるかも。でも、土曜日だからか結構入って
いた。アカデミー賞の主演と助演男優賞にノミネートされたから
かも?

 アフリカのことはほとんど知らない。近年、「ナイロビの蜂」で
ケニアでの新薬実験の事実、「ブラッド・ダイアモンド」でシェラ
レオネの内乱について知り、驚いた。映画は遠い国の知らない
事を教えてくれる。

 ネルソン・マンデラ、南アフリカ共和国初の黒人大統領だった人、
についても、ただ名前を聞いて知っているに過ぎない。

 この映画は、ジョン・カーリン原作のノンフィクション小説を、
クリント・イーストウッド監督が映画化した、実際にあった出来事
である。マンデラを演ずるのは、「ミリオンダラーベビー」のモーガ
ン・フリーマン、ラグビーチームのキャプテンに「グッドウイル・ハ
ンティング/旅立ち」のマット・デイモンが扮する。

 1990年、マンデラが、「反アパルトヘイト(人種隔離政策)」の
反逆罪で27年間収容されていたロベン島刑務所を出る場面から
始まる。4年後、彼は、初の全人種参加による選挙で、南アフリカ
共和国大統領に選ばれる。

        

 最初の仕事は、前政権の白人の職員を引き留めること。「赦し
こそ、この国の未来となると信ずる」と語りかける。SPにも白人
4名が加わる。

 人種差別や経済格差など山積する問題の中、彼は、南アが1年
後にラグビー・ワールドカップの開催国に決まっていることに
注目し、同国代表が優勝することを目指す。全世界が見守る中
黒人と白人が融合する試合により国民の心を一つにしようと。

 南アでは、ラグビーは白人の競技で、代表チームのスプリング
ボクスもアパルトヘイトを意味する存在だった。緑のユニフォーム
や金のエンブレムを黒人達は嫌っていた。チームは弱く、負けて
ばかり。マンデラは、あらゆる政策に優先してラグビー強化に乗り
出す。その1年間を、映画は淡々と描く。

 スプリングボクスの主将、ピナール(マット・デイモン)をお茶に
呼んで語り合う時に口にするのが、タイトルの言葉「インビクタス」。
「征服されざる者、不屈」を意味するラテン語で4行詩の中に含ま
れる言葉。27年間の獄中での苦しい毎日にいつも読んでいたと、
ピナールの前で朗読する。

 ピナールは「今までに会ったことのない人だ」と妻に語る。そして、
練習を強化し、黒人居住地区で少年たちにラグビーを教え、チーム
みんなでロベン島収容所を訪ねる・・・。

           

 初戦でオーストラリアに勝ち・・・、決勝戦でニュージランドに
延長、延長で勝ち、頂点を極める試合は迫力がある。まさに体と
体のぶつかり合いだ。
 会場の大観衆はもちろん、外でテレビを見ている人達、ラジオを
聞いている黒人の子ども、白人の警備員、みんなが手を取り合い、
肩を抱き合って喜ぶ姿は感動的。

 フリーマンは、穏やかな笑顔を絶やさず、白人たちの中に平気で
入っていくマンデラその人のようだ。
 マンデラ氏は、1993年、当時の大統領デ・クラーク氏と共に
ノーベル平和賞を受賞。現在92歳で、国連ユネスコ大使を務めて
おられるだそうだ。