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機動戦士ガンダム00(ダブルオー) 第25話 「刹那」 感想

2008-03-29 22:08:15 | ガンダム00(ダブルオー)
武力による紛争の根絶という矛盾したテーマを持つガンダム00(ダブルオー)第1期の最終話。
「刹那」が求めた答えの行く先は……。

ソレスタルビーイングが引いた世界変革の引き金は、4年後地の球連邦平和維持軍の設立へとつながり、第1期の幕が降りました。

求めた答えは出ないまま、さらに模索しろと告げるように半年後の第2期へ。

底の見えないリボンズ率いるイノベーター、王留美が開発を進める00(ダブルオー)ガンダム、生き残っていたライバルたち。
第1期というのは、このダブルオーガンダムを登場させるための序章だったんじゃないか、とすら思える引っ張り方。

来週からでも第2期を始めてください、と思ってしまいます(笑)。

個人的にはラストで宇宙を漂うエクシアと刹那をみつつ、刹那のモノローグが入るシーンが好きでした。

第24話で刹那はフェルトから手紙を出す相手がいるか?と問われ、居ない、と答えた。
フェルト曰く、(そういう相手がいないのは)寂しいね、ということだったんだけれども、そういう刹那にも手紙を送る相手がいた、というのは一つ救いだったかも。

第2期の舞台は4年後。

タイトルにあるダブルオーガンダムの登場を半年間、待ちたいと思います。


■アレハンドロ・コーナー

前回自らモビルアーマー?を駆って出たアレハンドロ・コーナー。
これは予想通りラスボスポジション陥落で、さらにまさかアレハンドロもここで退場とは思いませんでした。
リボンズの台頭はもう少し引っ張るかな、と思ったんですが、逆にリボンズがアレハンドロに補正をかけた感じに。

ここに来て一気にデフレ(小者化)したアレハンドロさんですが、個人的にさらに悲惨に思ったのは、イオリアの計画を「歪めた」張本人だったにも関わらず、意義的な部分での「歪み」は、その後登場したグラハムさんに持っていかれてしまったところ。

この人、最期に何もかも失ってしまったんですね……。

■グラハム・エーカー

そのアレハンドロさんとの死闘を制した刹那に襲い掛かるのは、GNフラッグを駆るグラハム・エーカー。

相変わらずその「熱い?」台詞は刹那もビックリするくらい最高なんだけれども、彼がこんどは「歪み」の象徴に。
何気にその辺にこのダブルオーの真意が見え隠れしたのかもしれない、なんて思ってしまいました。

ここまで騎士っぽく描かれたきたグラハムさん、GN-Xを手渡されてもあくまでフラッグにこだわった、第1期の作中良識派として描かれた人。

それがGNフラッグを手にし、刹那と戦うところに際して「歪んで」しまったのは個人的に衝撃的でもありました。

軍人だから、というのは言い訳で、その後の台詞なんかはかなり「力に酔ってしまった」感がありありと出ていて、ああ、グラハムさんがGNドライブ(有りすぎる力)を手に入れたことで歪んじゃったよ、と思ったんですよね。
#だから余計にアレハンドロは美味しいところを持っていかれてしまったわけなんですが。

GNドライブを手にするまでは決してそういうことは言わず、良識的なグラハムさんでしたが、最初にガンダムをみたときにその圧倒的な性能=力に既に魅せられていて、それが結果的に自分がそれに比肩する力(擬似GNドライブ)を手にしたことによって、その欲望に負けてしまう(それがグラハムさんの言う「そうしたのは君だ!」になっている)、ただ単純に戦いたかったから、世界などどうでもイイと言ってしまう、そしてそれを今度は「世界の声だ」とも言ってしまう。

刹那が自分の意思で戦う、と言ったのは紛争根絶のため。

しかしここでグラハムさんが「自分の意思」で、と言ったのは単純に力に魅入られてしまって、その力を手にしたことでそれを使って倒したかっただけなんですよね。

グラハムさんだって世界の一部である、という刹那に、じゃあ、自分が世界の声だ、とも。
あのグラハムさんがこんなに思い上がってしまうなんて…(それが刹那が言った「貴様のエゴ」)。

ガンダムマイスターは強い自制心が必要。
それは強い力を扱うものだから。

というのはかなり最初に語られたことでしたね。

つまりそういうことだったんですね。

「歪んでしまう」ものの正体、ここに少しだけ見えたのかもしれません。

そして第2期ではなんとこの人が仮面?の人に?
あの禍々しい感じからして、やはりこれまでの騎士っぽいグラハムさんではなく「歪んだ」グラハムさんとして登場しそうな気配です。


■刹那の手紙

マリナ・イスマイール

貴女がこれを読んでいるとき 俺はもうこの世に……

武力による戦争の根絶

ソレスタルビーイングが

戦うことしかできない俺に 戦う意味を教えてくれた

あの時のガンダムのように

俺は知りたかった

何故、世界はこうも歪んでいるのか?

その歪みはどこから来ているのか?

何故、人には無意識の悪意というものがあるのか?

何故、その悪意に気付こうとしないのか?

何故、人生すら狂わせる存在があるのか?

何故、人は支配し、支配されるのか?

何故、傷つけあうのか?

なのに何故……人はこうも生きようとするのか?

俺は求めていた

あなたに会えば答えてくれると考えた

俺と違う道で 同じものを求める貴女なら

人と人とが分かり合える道を

その答えを

俺は求め続けていたんだ

ガンダムとともに

ガンダムと……ともに……




第24話でフェルトから手紙を書く相手がいないのは寂しいね、と言われた刹那ですが、あの時の一瞬の間、というのはこれのことだったのかもしれないですね。
実は書いていて、やはりその相手はマリナ・イスマイールさんだった、と。

刹那にも手紙を託したい相手がいたんだ、というのは素直にこのシーンを観て嬉しかったですね。

けれどもこの手紙は、このガンダムダブルオーの第1期を象徴するかのような、もしかしたらそれを意図的に凝縮させたような位置づけだったのかもしれません。

刹那はこの物語が始まったときから、意味をずっと捜し求めていたんですね。
何故、世界が歪んでしまうのか?と。

その中で、映像的にも意味を持たせていて、

無意識の悪意、というとこにはネーナを(つまりネーナは無意識の悪意の象徴として描かれた)

人生すら狂わせる存在、というのにはイオリア・シュヘンベルグの柩の前に立つリボンズを

支配についてはその象徴たる軍人を(マネキンさんとかね、でもその憔悴した表情もまた印象的なんだけれども)

傷つけあう、についてはその犠牲者となったルイスと沙慈くんを

そして、なのに何故人はこうも生きようとするのか、についてはセルゲイさんとソーマを。
#セルゲイさんがソーマのことを少尉ではなく、ソーマと呼んだシーン。
#そしてソーマがセルゲイさんを救出するシーンは、今回の唯一とも言える救いのシーン。
#つまり作中における救いのシーン。
#やっぱり答えは「愛」しかないな……。

この手紙はここまで、作中のテーマを凝縮して問いかけてきたものになってるんですよね。
つまりそれが刹那が捜し求めているものなんですよね。

けれども、その答えを「まだ」マリナさんは持ち合わせていない。

あの時、刹那に答えることができなかった。

これが第1期が出した答え、結末、だったわけです。

そう、まだ答えは出ないんだ、ということ。


人と人とが分かり合える道


それはどこにあるのか、と。


武力による紛争根絶の矛盾については刹那も認識していて、それがマリナさんが夢に出てきたシーンにも現われていたんだけれども、しかしながら力の無いマリナさんにもまた何もできない、というのもこの第1期が突きつけた現実。

とことんマリナさん、落とされまくってます。
#しかも4年後にシーリン、いなくなったっぽいし、ますます独りに。
#どうなるんだ。

刹那が


俺が、俺たちがガンダムだ


と言ったのは、やはりこうやって「歪んでいく」世界の中で、純粋に利権も宗教も関係ない、ただ純粋に世界の抑止力となる存在が必要だ、ということだったのかもしれない。

そしてそれだけでは世界の「歪み」は根絶できず、だからこそ刹那はマリナさんにある意味の「救い」を求めたのかもしれない。

個人的にはそんな風に感じましたね。

だからこの手紙の最後にあるように、捜し求めていたんだ、というのがこの第1期のテーマそのものだったんじゃないかな、そう思います。

それらを残して、そして第2期へ、という感じ。
この手紙の答え、それが第2期に描かれることを大いに期待しています。


■アレルヤとハレルヤ

今回はこの二人の鏡を使った演出に唸りました。
上手い、と。

アレルヤとハレルヤの違いは、どちらの眼が隠されているか、によって描き分けがされてきたわけですが、今回はアレルヤとハレルヤの対話を、コクピットに映る姿=鏡を利用して演出したってのが上手かったですね。

アレルヤが前に出ているとき、側面のディスプレイに映る顔は髪型が逆になる。
だから、二人があたかも会話しているように見えるわけです。

そして、二人を同時に出すには、その隠していた髪を上げる、というなるほど分かりやすい演出です。
#エア・ギアのアギトとアキトみたいに。

ここでシングルCPUからCore 2 Duo(つまり2CPU)になることで、演算処理能力があがって、ソーマの反射対応じゃなく、思考で捉えるというレベルまで上がった、ということになった、というわけですか。

これが超兵の本当の進化の姿だ、と言わんばかりに。
#ここは冲方丁さんのマルドゥック・スクランブルのクライマックスでバロットとウフコックが4つの脳を駆使して進化していくシーンを思い出しましたよ。

そしてラスト。

アレルヤ?が怪我をした顔は、ハレルヤの側の顔なんですよね。
だから、ひょっとしたらハレルヤという存在は消滅してしまったのかもしれない……。
#精神体だからショックを引き受けて眠っただけかもしれない。

これもまた上手い演出だと思いましたね。

で、ソーマがマリーという実は知り合いだった、みたいな。
ここもこの伏線を残して第2期へ。

ソーマを巡る三角関係(セルゲイさん含む)、否、四角関係(ハレルヤ含む)です(笑)

■ライバルズ

セルゲイさんやソーマは生き残りましたが、やはりアリーも生きてましたね。
そしてグラハムさんも(仮面付きで)。
なんか人格も変わってそうだな。
歪みグラハムさんで。

そしてそして、何よりビックリしたのはしれっとコーラサワーくんが生きていたことです!!
あきれた不死身っぷりです。
オレンジばりです。

すげー。

■ルイスとかシーリンさんとか

ルイス、髪を切って再登場。
結構似合ってます。

けれどもその表情はかなり浮かない表情。

ルイスとかシーリンさんとか、ソレスタルビーイングに入りました、とかいう展開があっても面白いなぁ。

ルイスなんかはまだまだ波乱がありそうですね。

沙慈くん、頑張れ。

■王留美とダブルオーガンダム

ネーナを保護して、オリジナルソレスタルビーイングのメンバーで生存が確実なメンバーはまだガンダムの開発を続けていたって感じでしたね。
ネーナはティエリアと同じ眼をしていたので、開発チームとして参加したのかも。

ここにきて、タイトルにもなっているダブルオーガンダム、初登場。

第1期はここをやるためにあったんじゃないのか?というくらいの序章っぷり。

エクシアは回収されたっぽいので、やはり刹那もいるんだろうか?

太陽炉と機体の相性もあるっぽいですね。
#F.S.SのMHみたいだね。

ソレスタルビーイングが引いたトリガーは、世界に地球連邦平和維持軍という形で武力の一元化を進めることとなったけれども、リボンズの「イノベーター」にしても、王留美が継続しているガンダムの開発も、この世界にまだ満足していない、という感じが満々にしますよね。

では、さらに何を求めるのか?

それは刹那が手紙の中で捜し求めるものと合致するのか?

第2期、まずはこの辺から追ってみたいと思います。

でも、半年後って長いなー。

■リジェネ・レジェッタとティエリア

エンドクレジットみて気になってたんだけどリジェネ・レジェッタ(朴ろ美さん)って誰だ?
あるとしたら、最後にルイスといっしょにいたティエリアのそっくりさん(髪型はロックオン?)しかないんだけれども……。

リジェネも、リ・ジェネレイト=再生成とか再構築?という感じなのかな?

ティエリアには最期に絶望した!(by絶望先生)と言って欲しかった(嘘)。

■おまけ

最終回だけあって、凄い原画マンの数でした。
気合入れて作ったんだろうなー。

で、エンドクレジット観てたら原画にグレンラガンの監督の今石洋之さんの名前が。
DVDの最終巻みた直後だけにちょっと嬉しかったりして(つかガンダムもやってたのね)。


というわけで、半年間続いたガンダムダブルオー。
第1期自体は序章っぽくなって、問題提起、謎、山積みのまま、第2期へ。

期待して待っております。

ガンダムOO DVD第3巻


ガンダムOO DVD第4巻