片瀬公民館が「片瀬だより」という広報誌を年に4回、季刊で発行しています。令和3年の3月25日発行の「片瀬だより」が第125号ですから、歴史と実績のある広報誌といえます。
平成25年(2013年)9月25日発行の片瀬だより95号から、片瀬生まれ、片瀬育ちの夫が「ふるさと片瀬~今昔あれこれ~」と題して、片瀬の懐かしい思い出をエッセイに綴っていて、その挿絵に私の描いた絵をつかってもらっています。
私は横浜生まれ、横須賀育ちですが、片瀬に住んで50年。片瀬は住みやすく私にとっても大好きな故郷になっています。
片瀬には江の島やヨットハーバー、江ノ電、弁天橋や西浜からの富士山、龍口寺、江の島神社など、絵になる風景が沢山あります。
長年、年賀状には夫の俳句と私の絵を組み合わせて作成してきました。その絵が溜まっていて、挿絵にはその中から選んだり、また、エッセイの内容に合わせて絵を描いたりしてきました。
10日ほど前の5月24日(月)に、その公民館の企画で「ふるさと片瀬・今昔あれこれ~こぼれ話」と題して、夫が話をし、参加者の皆さんと語り合う会がありました。コロナ禍でソーシャルディスタンスを保つため、定員は30人。藤沢市の広報で知らせたほか、片瀬町内には回覧でちらしが回りましたが、募集から2~3日で定員いっぱいになってしまったとのこと。
公民館の担当者に周到な準備をしていただき、資料として「片瀬今昔あれこれ」の第1回から第31回までを冊子にして参加者に配布していただくとともに、講演中はパワーポイントで関連した映像を映して頂きました。
また、挿絵に用いた絵を額装して後ろの壁に展示していただき、思いがけず私の絵の展覧会にもなりました。
片瀬だよりの絵はモノクロですが、片瀬公民館のホームページにはカラーで掲載されると聞いてから水彩で描くようにしていて、それを皆さんにもご披露できてうれしかったです。次の写真は打ち合わせのため、開始30分前に会場入りした時に撮って頂きました。
講演の内容について、レジメの項目と簡単に説明を加え、以下に載せます。
【 ふるさと片瀬・今昔あれこれ ~こぼれ話~ 】
一、我が家の年賀状
平成十九年の年賀状は江ノ電・江ノ島駅を線描きで描いたものに重ねて、神奈川新聞の俳壇に掲載された新年、春、夏、秋の
句をプリントしたことを紹介。
「妻の絵に夫が句を添え年賀状」 「下萌えや江ノ電線路くねくねと」
「切り通し抜けて鎌倉五月なり」 「吾亦紅外輪山はのびやかに」
長く続いているこの年賀状の形が、片瀬だよりの「片瀬今昔」につながっていることを話しました。
二、【最初の質問】に導かれて
「今日、あなたは空を見上げましたか」
🔹『最初の質問』 長田弘 (講談社の創作絵本) から、夫が尊敬する長田弘さんの「最初の質問」を紹介し、
その長田弘さんの質問のいくつかに答える形で話を進めていきました。
三、片瀬川のある暮らし
「このまえ、川を見つめたのはいつでしたか」
子どもの頃、片瀬山から流れる、弁慶ガニなどを取って遊んだ小川は、今は暗渠になって境川(片瀬川)に注いでいる。
四、洲鼻通りの思い出
「あなたにとって、【わたしたち】というのは、誰ですか」
洲鼻通りの懐かしい思い出。夏の夜、夕涼みがてら家族で歩いた洲鼻通りは楽しかった。アイスキャンデイは1本5円だった。
ボットル落としや射的、スマートボールも家族で楽しんだ。暮らしは貧しかったが、家族の絆は確かだった。
五、地域の先人達の残した「ことば」
「時代は言葉をないがしろにしている・・・あなたは言葉を信じていますか」
・小学校時代のサイン帳から
「少年の日の夢を正しくのばせ」 校長 鈴木匡雄先生
「独往」 丸山一雄先生
片瀬小学校の卒業時に先生方が贈る言葉をサイン帳に毛筆で書いてくださった。
・「川口小学校同窓会誌」から 川口小学校は片瀬小学校の前身。地域の人が同窓会誌に俳句を載せていた。
六、私の俳句・短歌づくり
・神奈川新聞俳壇・歌壇で遊ぶ
「西瓜割るぽんと飛び出す雲ひとつ」
夫は1時間の講演の口頭原稿を用意し、ゆったり話を進めていて、味わい深い講演だったと思います。
途中で挿絵を描いた私が挨拶する時間も取ってくれました。
講演の後、参加者から感想を言って頂きましたが、「洲鼻通りの思い出など、幼い頃のことを思い出し、懐かしく涙が出た」
「自分の言葉で語っておられる」「子どもの頃のことをよく覚えておられることに感心した」などの感想をいただきました。
藤沢市の広報で知った夫のかつての仕事仲間も数人来てくださって、旧交を温めていました。
個人的には5月27日が私たちの結婚五十年の金婚に当たりますので、とても良い記念になったと感謝しています。
退職までは横浜で仕事をしていて、地元に貢献できていなかったのですが、数年前から「片瀬だより」の編集の
お手伝いもさせて頂いていて、ちょっぴり片瀬に役立つことができているのかなとうれしく思っています。