東日本大震災の惨状を自分の目で確かめたいと思っていたところ、7月9日からJR東日本パス(1万円で新幹線も一日乗り降り自由)が売り出されたので、みどりの窓口で前日に切符を購入し、夫と二人で石巻まで行ってみることにしました。
仙台までは東北新幹線で、仙台から松島海岸までは仙石線で、そこから石巻まではJRの代行バスで行く計画です。
家を6時半に出て、東京駅で東北新幹線の「はやぶさ」か「はやて」に乗りたいと思い、東京駅で指定席券を求めようとしたのですが、既に売り切れで自由席は無いとのこと。
焦ってホームで乗務員に尋ねると、「やまびこ」なら自由席があると聞き、安堵しました。
8時8分発の「Maxやまびこ」があることがわかり並びました。ホームは人であふれかえっていましたが、仙台行きのやまびこは比較的空いていて、幸い2階席を確保できました。
間もなく発車。停車駅は大宮・宇都宮・福島・白石蔵王で、終点の仙台到着は10時21分の予定です。車内販売のサンドイッチとコーヒーで腹ごしらえをし、車窓を眺めていました。
しかし、福島を出て間もなく、10時頃、突然新幹線が止まりました。
そして「宮城県沖を震源とする地震が発生し、停電しているので停車しています」とのアナウンス。冷房も切れてしまい、だんだん暑くなる車内。考えれば当然起こりうる事態です。
退屈でしたので甥のRくんにメールで石巻に向かっていること、新幹線が地震で止まってしまったことを知らせました。
幸い25分ほどして復旧し、仙台には10時45分頃到着。仙石線の快速に乗り換えました。
車窓から見える瓦屋根にはブルーシートの掛かった家が多く見られました。4ヶ月経っても修理が回らない状況なのでしょう。
春の甲子園に出場し話題となった東北高校の校舎やグランドなども眺められました。
松島海岸には35分ほどで到着。しかし、先ほどの地震で津波注意報が出ているので代行バスはしばらく運転を見合わせるとのこと。仕方がありません。
日本三景の松島は小さな島が沢山点在しているので、津波の被害が少なかったようで、観光客を誘致していて、島巡りの遊覧船に向かう人たちもいました。
幸い、間もなく津波注意報も解除され、11時45分発の代行バスは7分遅れで出発。
松島あたりは緑の稲田が眺められましたが、陸前大塚あたりからは何も植えられていない田が続きます。塩害で植えられないのでしょう。
野蒜あたりは津波で線路も流され、家は壊れ、松は赤く枯れて、道路の信号や街灯も倒れています。
やがて美しい川・鳴瀬川に出ました。何事もなかったかのように静かに流れています。
鳴瀬川沿いに北上し、鳴瀬大橋を渡って、谷本駅を経て、石巻に着いたのは13時10分頃。仙台もそうでしたが石巻もものすごい暑さでした。
駅前はシャッターが下りたところが多く、バスの中から見つけた、11時から14時半まで営業という看板の出ていた店で石巻焼きそばを食べました。目玉焼きがのったさっぱりした焼きそば(450円也)でした。
この暑さでは歩くのは無理と、タクシーに乗って被害の大きかった海沿いを走ってもらうことにしました。
津波被害の惨状は想像以上でした。
小学校が3階の窓ガラスまで全て壊れ、無惨な姿をさらしていました。元気な子供達の声があふれていたであろう小学校の姿に言葉もありません。
石巻市民病院も人影はありませんでした。
流された車が一カ所に集められ積み上がっていました。
缶詰工場の巨大なドラム缶の看板が転がっています。
ここ一帯はまだ電気も水道も通じていなくて、ゴーストタウン状態でした。
この後、日和山公園に上がってもらい、山の上から今走った海岸一帯を眺めました。
山の上からの景色は美しく、でも本当に復興できるのは何時になるのだろうかと案じられました。
この後、石巻駅に戻り、14時55分発の代行バスで往きと同じルートで帰りました。
仙台駅着は17時8分。仙台駅ビルの牛タン通りで牛タン定食と生ビールで一息つきました。知らせてあった、兄弟に牛タンのお土産を買い、家には海宝漬けとずんだ餅を買いました。
18時44分発のMaxやまびこに乗りましたが混雑していてやっと1階席を確保できました。
帰宅は22時を回っていました。
甥のRくんが心配して途中で電話をくれました。心配を掛けたようです。
でも、思い切って出かけて良かったです。