お二人さまの老後

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古都に春を呼ぶ東大寺お水取り

2016-03-08 18:17:11 | 旅行記
東大寺二月堂で行われる修二会(お水取り)を見学し、奈良ホテルに泊まる3月2日~3日のツアーに夫と参加しました。お水取りも奈良ホテルも初めて。いつか行ってみたいと願っていたものでしたので、一月に大人の休日倶楽部の旅行案内が届いて即申し込みました。
3月2日京都駅に12時に集合です。小田原に止まるひかりは8時8分発で京都10時11分着なので1時間半余りの時間で東寺を見学することにしました。京都八条口を出ても以前のように東寺の五重塔は高い建物に遮られて見えません。西のほうに適当に歩いていき交差点で地元の人に尋ねると一つ南の次の信号を渡ると分かりやすいと教えてくれました。それが東寺通りで突き当りが東寺の東門でした。



東寺を見学するのは初めてです。昨年の秋に高野山に参詣しましたので、同じく弘法大師が開いたお寺というので関心がありました。東門を入って奥に見えるのは食堂。その南側に講堂があります。
お寺のパンフレットによると講堂は825年弘法大師によって着工され、835年には完成したが1486年一揆による戦火で焼失し、現在の講堂は1491年に再興された建物で重要文化財とのこと。堂内には大日如来を中心に五つの如来像(いずれも重要文化財)、その右側に五つの菩薩像(いずれも国宝)、左側に不動明王を中心に五つの明王(いずれも国宝)が並び、周囲に帝釈天・梵天と四天王の六つの仏像(いずれも国宝)が並んでいます。これらは弘法大師の密教の教えを表現する立体曼荼羅(密教浄土の世界)とのことです。
講堂の南に金堂(国宝)があり、本尊の薬師如来坐像と日光・月光菩薩、周囲に十二神将(いずれも重要文化財)が配置されていました。

五重塔は南大門から入れば右側、境内の南東の角にあります。五重塔も弘法大師の創建・着手に始まりますが雷火などによって焼失すること4回。現在の塔は徳川家光の寄進で竣工した総高55mの国内で最も高い五重の塔で国宝になっています。創建以来地震で倒壊したという記録はなく、これは塔身が各層ごとに独立した心柱を積み上げる柔構造のため地震のエネルギーが接合部で吸収され、上層へ伝わるにつれ弱くなるため地震に強いと考えられるとのこと。

境内はすっかり春の陽気でした。

毎月21日、大師の命日に催される「弘法さん」は京の風物詩で、境内には千件以上の露店が並び、20万人の人出で賑わうそうです。東寺は人々にとって身近なお寺なのだと感じました。
昼食はバスの中で済ませることにし、京都駅に戻る途中コンビニでおにぎりや海苔巻き・お茶などを買って集合場所にいきました。
『東大寺長老「春の食談」と「お水取り」「奈良ホテル」の七草フランセーズ』と銘打った今回のツアーの参加者は少なく12名でした。
奈良交通の貸し切りバスに乗り込み一路奈良に向かいました。
奈良坂にゆらりと春の大仏殿
東大寺の駐車場に着いたのは13時40分頃でした。

大仏殿を見学した後、修二会(お水取り)が行われる二月堂に向かいました。
堂に上がると内部では僧たちがすでに昼の行をしていて、下駄を打ち鳴らしていました。
水取や沓音響く昼の行
北側の石段を下りていくとお松明に使われる奉納した人の名前入りの太く長い青竹がたくさん並んでいました。
奉納の青竹並ぶ二月堂

お松明のかごの部分を作っている人たち(職人さん?)もいました。
次の写真は若狭から送られたお水を取る井戸の建物です。
14時40分頃バスに戻り、奈良ホテルに向かいました。部屋に荷物を置き、広間で15時から東大寺長老森本老師による修二会講座をうかがいました。以下はその概略です。
東大寺修二会(お水取り)は大仏が完成した落慶の時752年に第1回目が行われ、今年は1265回目となる伝統ある行法で、その主旨は「十一面悔過法」で、悪業は①貪りの心②妬ましく思う心③何が真実か知らない ために生じたものである。国家にも権力をめぐる大きな過ちがある。これらすべての悪業をわれみな懺悔する。最後には祈りしかない。その役目を僧侶が担う。
目的は国家・万民の世界平和・人類幸福・経済発展・病気平癒・家内安全などである。
祈りの対象・本尊は観音菩薩・薬師如来・吉祥天
菩薩は布施(持っているものを分け与える)により、愛語(優しい言葉をかける)により、利行(その人の立場に立ってその人のためになることをする。寄り添う)により衆生を収めて救おうとする。・・・華厳経の一節より
修二会は仏教の役割を形で示したもの。主体は導師により指名された11名の練行衆が2月20日から28日まで別火、お祓い、受戒という行で心身の浄化に努める。本業は3月1日から14日までで、六時(日中・日没・初夜・半夜・後夜・晨朝の六回)の行法を行う。
方法は⑴声明 ⑵導師祈願 ⑶付加儀礼(1神明帳・2過去帳・3数取り懺悔・4走り・5達陀(だったん) ⑷荘厳がある。19時からのお水取りの行は付加儀礼の中の4走りと5達陀を見学することになるようだ。
映像による紹介などもあり1時間ほどで修二会講座は終了。
この後場所を移して早めの夕食「七草フランセーズ」になった。
赤ワインを注文する。ソフトで味わい深いワインだ。
前菜は「サヨリとラングスティーヌのデュエット《ハコベラ》とともに ヴィネグレットソース」とても新鮮で彩りよく上品な味わい。
次のスープは「オマール海老のビスクスープ《スズナ》を添えて」
魚料理は「鯛の《スズナ》蒸しバルサミコ風味の赤ワインソース」


シャーベットで口直しした後は「国産フィレ肉《芹》いりのポテトガレットと《スズシロ》のグラッセとともに フランス産マスタードソース」


デザートはイチゴ・キウイ・オレンジなどのフルーツとケーキなどの盛り合わせ

「なら七草フランセーズ」を堪能しました。
お水取りの開始は19時からですが、17時半頃バスで二月堂に向かいました。修二会が良く見える場所を確保するためです。案内図を渡され、見学する場所は各自自由とのこと。
堂廊の下、少し離れたところに陣取り、紙を敷いて堂を背にして座って待つこと1時間余り。やがて境内の灯りが消され、北の石段を青竹の先につるされた松明が上がってきました。

そして堂廊に上がり北西の角に松明が突き出されるとパラパラと火の粉が落ちてきました。


その後、南西の端まで勢いよく走っていく。すごい迫力です。

今度は南西の角の欄干に松明が突き出される。大きな火の粉の塊が落ち、下に陣取っていた小学生の一段の歓声が上がる。10人の練行衆により同じことが10回繰り返され、その迫力を体感しました。最終日の3月14日には11人全員の練行衆により同じ行が行われるとのことです。

煩悩を焼き尽くす火や僧走る

あおによし奈良の都の夜は深み修二会の炎堂廊走る

雪降りし大津波の日浮かび来て修二会の火の粉浴びつつ祈る

20時頃終了し、東大寺の駐車場まで歩いて戻りました。

鹿眠る星空残し修二会終ふ

以上の俳句と短歌は夫の作です。