お二人さまの老後

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穏やかで心温まる令和二年の初釜

2020-01-14 15:03:01 | 日記・エッセイ・コラム

 ここ3か月ほどは忙しく、ブログを更新する余裕がない状況で、訪れてくださった方には申し訳ありませんでした。

 きょうは令和2年の初釜の様子を報告します。

 初釜は12日(日)の9時半に開始予定。いつものお稽古と同様、夫は庭に水をまいたり、蹲に新しい水を入れ沸かした湯を加えて温かくするなど働いてくれていました。いつも通りNさんが1時間前に来てくださって、私が2階で着物を着ている間に次々にほかの皆さんも見えたようです。お稽古ではいつもお仲間が準備や後始末を手伝って下さっているお陰で、お稽古が続けられているのですが、さすがに初釜は設えも独特なので、年末から時間をかけて準備しました。

 次の写真は初釜を始める前の茶室のしつらえです。

 茶室の入り口に円覚慈雲老師の色紙と蝋梅・羽子板の香合を飾り、床には円覚慈雲筆「蓬莱五彩雲」と結び柳

                               (結び柳は今年は貧弱でしたね)

         

 輪島塗の扇面の蒔絵の炉縁に高橋敬典作の阿弥陀堂釜    紹鷗棚にブリブリの香合と犬鷲の羽を飾りました。

                

 予定通り9時半に初釜を開始できました。お客は蹲で手を浄めた後、席入りして床の掛物や炉・棚などを拝見した後、席に着きます。一番の年長者が正客を務めます。本日の正客はNさん。茶道口に控えていた亭主は障子をあけ、皆さんと新年のあいさつをします。

 続いてSさんに炭点前をしていただきました。 初釜での炭斗は檜製の炭台に奉書を敷いて炭を入れます。

      

  炭がつぎ終わり、お香を炊くと正客は香合の拝見を乞います。ブリブリは昔、宮中で子どもが引っ張って

  遊んだもので、松竹梅や翁などのおめでたい絵柄の蒔絵が描かれたお正月らしい華やかなものです。

      

 炭点前の後は本来は懐石になりますが、わが社中では懐石は初釜が終わってから外で頂くことにしていますので、嶋台の濃茶になります。嶋台は内側が銀色の大きな赤楽茶碗と内側が金色のやや小さい茶碗を重ねて持ち出し、大勢の人に濃茶を点てるお正月独特のものです。今年はAさんにお点前をお願いしました。

 下左は濃茶の最初の設えで、膳所焼のねじり梅の平水指を半分だけ紹鷗棚から出し、中央に茶入を飾っておきます。

 お客はお点前が始まる前に、縁高に入ったお菓子を頂きます。縁高は重箱のようなもので、三段の縁高の一番下に正客用に一個だけお菓子を入れます。今日はお客が7人なので二段目・三段目には3個ずつ入れ、一番上に人数分の黒文字を置いて供します。正客は一番下の縁高に一個お菓子が入っているのを確かめて黒文字を一本中に入れ、上二段の縁高を次客に回します。次客は入っているお菓子の数を確かめ、同数の黒文字を入れて(下三番目の写真)、上の縁高を次に送ります。

 今年のお菓子は西鎌倉の和菓子店「茶の子」の「若竹」。白餡を求肥で包み、若竹色の羊羹でくるんだもので、美しいばかりでなく美味しく、とても好評でした。

      

  7人のお客に対し、金色の茶碗で3人分点て、銀色の茶碗で4人分点てていただきました。

             

 濃茶点前が終わり仕舞いにかかると、正客は茶入・茶杓・仕覆の拝見を乞います。茶入は薩摩焼15代沈壽官作の黒薩摩で、茶杓は喝堂作「千年翠」、仕覆は二重蔓牡丹金襴です

     

 炭台による炭点前も嶋台の濃茶点前も見取り稽古も含め、年に一度しかお稽古できないのですが、Sさん・Aさんともよくできました。

 最後にM.Aさんに薄茶を立てていただきました。 茶碗は祥堂作・仁清写梅紋     棗は春斎作「磯の松」です。

 薄茶には干菓子を用いますが、Tさんがお持ちくださった和三盆とNさんが下さった仙台の「霜柱」をつかわせていただきました。ともに口に入れるとさっと溶けて上品で繊細なお菓子です。

       

 M.A.さんはお仕事が忙しく久しぶりのお稽古でしたが、とても楽しい方で、笑いの絶えない楽しい席になりました。

 12時半には終了し「かくれ家わたなべ」に向かい、本格的な懐石料理を頂きました。写真はその懐石の一部です。

       

 

            

          

             

 夫も同席させていただき、楽しい会食になりました。心配された雨もほとんど降らず、素晴らしい初釜でした。

 令和2年も「一期一会」で、皆さんとのお稽古を大事にしたいと思いました。