お二人さまの老後

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天然忌・且坐のお稽古

2016-10-01 20:49:10 | 日記・エッセイ・コラム

 9月22日(木)秋分の日に天然忌・且坐のお稽古をしました。

 天然忌は表千家中興の祖といわれる七代・如心斎(1705~51)を忍んでお茶を供え遺徳をしのぶ行事です。

「如心斎は、千家の伝統に従って、茶の湯は究極において禅に通ずる、と考えた。彼にとって、稽古は単に芸ごとの習練ではなく、悟りに達する自己鍛錬の道であった。(中略)如心斎も愛弟子の川上不白も、ほぼ三年の間は、毎日のように大徳寺へ座禅に通いつめたという。」(「千宗左著 茶の湯 表千家」より)

 如心斎は9月に亡くなったので9月のお稽古では天然忌を行い、その後、如心斎が工夫し制定された七事式の内の且坐(さざ)のお稽古をするのが習いになっています。

 如心斎は自分の肖像画を掛けることを禁じたので、天然忌では代わりに円相のお掛物を掛けます。また花は如心斎の好きだった白い芙蓉を飾り、台天目でお茶を供えます。我が家には白い芙蓉がないのでピンク色の芙蓉を入れました。   

 最初にSちゃんに供茶の点前をしてもらいました。正客に点てるお茶椀で茶筅通しをした後、茶筌を入れたまま茶碗は建水の向こうに移し、お棚から天目茶碗を台ごと下ろし、お湯を少し入れて茶碗を温めてから建水に湯を捨て、再び湯を入れて抹茶を1杓半入れます。お供茶では茶筅でお茶を点てることはしません。

 台ごと正面が向こうになるように「丸前・角向こう」の手つきで回していつもの場所に出します。そのお茶を正客が床に運び、花の左横に供え一同礼をします。  

 その後、正客だけがお薄をお相伴して、且坐の稽古に移りました。

 且坐は正客、次客、三客、東(亭主)、半東の5人で行う稽古です。正客が花を入れ、次客が炭点前をし、三客が香を焚き、東が濃茶を点て、半東が薄茶を点てます。半東はその下準備をすべて行うので一番大変です。

 天然忌の円相のお掛物や花・天目茶碗などは下げ、「掬水月在手」を掛け、花入れは水を八分目ほど入れた籠を置きました。お菓子は且坐の始まる前に全員が裏でいただきます。

 半東が茶道口でたくさんの花を入れた花台を前に一礼し、客・東とも総礼することから始まります。

 半東が床の上に花台を運び、茶道口に下がると東は正客に「お花をお願いいたします」

 今回は男性のAさんがお花を生けたいという希望でしたので正客をお願いしました。Sさんが自宅からシュウメイギクや紫式部・ススキなどを持ってきてくださり、義妹もお花を届けてくれたのでお花は盛りだくさんでしたがその中から5~7種類の花を組み合わせて上手に入れてくれました。      

   

 半東が炭斗を棚前に運び、床の花を拝見し花台を下げると東は次客に「お炭をおねがいします」

 次客はSちゃんでしたが炭点前もAさんにして稽古して頂きました。且坐の炭点前では香を入れないことがいつもと異なります。三客が香を焚くからです。

 正客・三客は釜の前に行って炭を拝見します。

 次に半東は且坐盆を三客の前に運びます。且坐盆は桑の長盆を用い、左側に聞香炉、右側に重香合を置き、香箸と銀葉挟を添えます。東は三客に「お香をお願いいたします」

この香盆の準備や点前は回数を重ねないとなかなか身に付きません。下の写真は正客・次客・東の後に三客自ら香を聞いているところと香盆を片付けているところです。

  

 この後、半東は水指をお棚の下に運び、濃茶茶碗を運び出し、棚の茶入れを下ろし茶碗と置きあわせ、蓋置と柄杓を組んだ建水を運び出し、踏み込み畳の上座寄りに置きます。茶道口の近くまで右左右と下がり、通い畳の方に向きを変えて、半東の座に着座します。東は立って点前座に座り濃茶を立てます。半東は東の席に移動します。

 東をお稽古する予定だったAさんが体調不良で急遽欠席だったので私が東を務めましたが昨年12月以来膝を痛めて正座ができず情けない思いをしました。

 半東は四方盆に果物を入れた「見菓子」を正客に運んでから薄茶を点てます。今回はNさんから「風の盆」観光のお土産の加賀の素敵な干菓子を頂いたので、皆さんに味わっていただきましたが、本来は且坐では席でお菓子は頂きません。   

 半東は正客・次客・三客・東に薄茶を点てますが、正客に点てた後、茶器の入れ替え、次客に点てた後、茶巾を絞ります。

 拝見は茶入れ・茶杓・仕覆だけで薄器は拝見に出しません。七事式では足の運びも三足引きなどいつもと異なりとても神経を使うお稽古ですが、如心斎がお稽古のマンネリを防ぐために考え出した七事式はとても勉強になります。

 最後に全員の集合写真を撮ってお稽古を終了しました。