10月1日(日)茶道のお仲間が喜寿のお祝い会を計画してくださり、夫ともどもお招きにあずかりました。
皆さんがお稽古にいらして下さるときは夫も庭や玄関の掃除、蹲の準備など手伝ってくれますので、お言葉に甘えて二人で参加させていただくことにしました。
今年の12月の誕生日で数えの77歳になりますので、満年齢ではまだ75歳なのですが、今年5月に表千家同門会の京都での喜寿のお祝い会に参加させていただいたので、お仲間が気を使ってくださったのです。
いつもは月に2回、土曜日または日曜日の午後にお稽古をしているのですが、皆さんお忙しい方たちばかりなので、今回は午前中にお稽古を済ませ、お昼に会食という日程にさせていただきました。
参加者はNさん、Aさんご夫妻、Sさん、Tさん、大学生のSさんです。
午前中のお稽古では今回初めて「長板の二つ飾り」を稽古しました。真塗りの長板の上に道安風炉と水指を飾るしつらえです。
席入りの後、最初に大学生のSさんに軸飾りを稽古してもらいました。
「掛物は客が茶席に通る前に床に掛けるのが通例ですが、御宸翰とか名物とか、由緒ある掛物などを尊んで、巻いたまま床に置いて、客を茶席に通し、客より拝見の所望がありますと、これを床に掛けて、客の所望に応じます。」「習い事十三箇条」より。
この掛物を巻くときには一定の法があり、軸飾りにも一定の作法があり、「おゆるし」が無ければ稽古することができません。大学生のSさんはこの夏に表千家への「入門」と「習い事」のおゆるしを頂いたので、いくつかある習い事のお稽古を始めています。手取り足取り私と一緒にお軸を床に掛けて飾ることができました。
正客は掛物を拝見し、亭主に掛け軸の由緒などを尋ねます。懐石などがある茶事の場合はお料理の湯気などで掛物を傷めるといけないので「どうぞお巻き上げ下さい」と述べますが、今回は掛けたままにしました。
次に花を入れるお稽古をTさんにしていただきました。花台に花をどっさり入れて持ち出し、花台の上で花を組み合わせて小刀で長いものの茎を切ったり葉を落としたりして形を整えて花入れに入れます。その後、水を八分目ほど入れておいた花入れに水注ぎで水を注ぎます。花入は下座三分の一に置きます。
今回の花入は宗全籠です。秋も終わりに近づくと「名残のお茶」ということで花をたっぷりいれます。宗全籠はそのような席にふさわしい、花がたくさん入る籠です。尾花とSさんがお持ちくださったと秋明菊、庭に一輪だけ咲いていた野ぼたん・ホトトギス・金水引の5種類を入れていただきました。
次に炭点前をSさんにしていただきました。初炭ですが、前回盆香合の稽古ではお茶巾を緩く絞って水注ぎやかんにのせ、やかんでお釜に水を注いだ後、お茶巾で釜の蓋と釜の肩をぬぐうことを忘れてしまったので、今回確認のため後炭でも行う「釜に水を注いだ後、茶巾で釜の蓋と肩を拭く」所作をして頂きました。
次にAさんに濃茶をして頂きました。長板の場合、蓋置は長板の上でなく長板の前左奥に置き、茶入の仕覆もその右横に置きます。その稽古を初めてしていただきました。また、紫交趾の蓋のはじきが出っ張っていて左に置くのは不安定なので、右に置く所作もしていただきました。
次に「武蔵野の月」という銘の平棗でNさんとM.Aさんに薄茶を点てていただきました。
女子の場合は斜め前に仮置きしてから体を斜めにしてお茶を出しますが、男子は居前のままお茶を出します。
男子と女子では微妙にお点前の所作が異なりますので、M.Aさんがいらして下さると良い勉強になります。
最後に集合写真を撮ってお稽古は終了しました。
火の始末だけ済ませて、会食の会場・片瀬の「隠れ家 わたなべ」に向かいました。ここは初釜でも利用させていただいている懐石料理のお店です。
喜寿の祝いと幹事のAさんが伝えてくださっていたので「喜寿の祝 お献立」として 先付は小松菜・菊花・とんぶりの胡麻和え 椀は枝豆しんじょう つくりはひらめのうすづくり 焼き物は八寸でホタテガイの塩やき 昆布籠 銀杏さつま芋 紅葉麩衣揚げ マイタケ衣揚げ ドングリ卵 栗の甘露煮 サーモンてまり寿司 菊花蕪
など季節感あふれる手作りの品々にいつも感心する八寸です。
この後も煮物、若布とイカの辛子酢味噌 松茸ご飯 香の物 味噌汁 アイスクリーム 珈琲と大ご馳走でした。
そして皆さんから素敵な記念品を頂きました。上品な白とローズ色の帯締めです。着付けの先生をしているNさんが選んでくださったのでしょう。白地の帯締めは持っていなかったし、とてもうれしい記念品でした。
わたなべの女将からもバラをプレゼントされました。
ITに堪能なTさんが軸飾りの動画やM.Aさんの乾杯の挨拶、夫の御礼の言葉、Nさんの締めの言葉なども撮ってくださって、それを再生すると和やかな雰囲気が伝わって来て幸せな気持ちになります。
未熟な上に間違いの多い私を皆さんが支えてくださって楽しくお稽古ができることは本当に幸せなことだと思います。貴重な時間を割いてお稽古に来てくださるのですから一人一人が充実した時間となるよう「一期一会」を心掛けていきたいと改めて感じた会でした。