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ウジンはこれまでたった一人で生きて来ました。
だから、年齢以上に人生経験をしていると言えます。
考えが違うと線を引き、バカにして見下す、ひどくけなす。利己主義と二分法的思考で味方じゃなければ敵になる。白と黒しかない世界に生きている人の如何に多い事か。
そんな蔑視と嫌悪に満ちた環境で、ウジンは人に何の期待も希望も抱けなくなっていたようです。
それは、ウンジュも同じでした。
しかし、今、キム・サブという存在が彼らの人生に忽然と姿を現したわけです。これまでに出会った事の無い、別タイプの人間が。
突然、ト理事長の命令で国防長官の主治医としてパク医師たちがやって来ました。
ウジンは激怒しました。
執刀医の許可が無ければ、担当を変わることは出来ないと、譲りませんでした。
勿論、チャン・ギテやオ看護師長、ナム医師たちも、憤りました。
対抗策を・・・と言いあっている時、長官の容体が急変したと言う連絡が入ったのです。
キム・サブたちが駆け付けた時、ウジンが心臓マッサージをし続けていました。
キム・サブに状況報告をしたウジン。
パク医師は、これからは私たちが・・・と、キム・サブを遮りました。
が、キム・サブは次々に治療の指示を出します。
「万が一の事があったら責任を取れますか」
と、怒鳴ったパク医師。
患者を救えますかと、直後に怒鳴ったキム・サブ。
まずそう聞くべきじゃ?・・・とね。
一本取られた格好のパク医師。キム・サブに場所を空けるしかありませんでした。
心停止と言う緊急事態に、キム・サブはその場で傷口を開き、自らの手で直接心臓のマッサージを始めました。
その場でいた皆が驚き言葉も出ませんでした。
随行員の一人が、ただちに止めさせてくださいと、叫びました。
しかし、チャン・ギテは言いました。キム・サブは最善を尽くしていると。必ず助けるので、信じてくれと。
息を飲んで見つめる皆。
そして、心臓が再び動き始めたのです。
皆がほっと息をつきました。
パク医師は圧倒された表情です。
よく頑張ったな・・・と、ナム医師がウジンに声をかけました。
オ看護師長もウジンを褒めました。キム・サブが来るまで患者を守ったことを・・・です。
ウジンは自分が本当に緊張し、疲れ切っていることを直後に感じました。
しかしそれは決して悪い感じじゃなかったようです。満足できる仕事をしたという達成感のせいだと思います。
初めてウジンの笑顔が見えました。
パク医師はキム・サブに言いました。流石です、感動しました・・・と。
「開胸マッサージが成功したのを初めて見ました。」
運が良かっただけだと、キム・サブ。
しかし、猶更、パク医師にはキム・サブが何故こんな田舎の名も無い病院にいるのか、理解出来なくなったようです。人並外れた実力を持っているのに・・・。
「患者がいるからです。」
と、キム・サブ。
それでもやはりパク医師はそれは本心だとは思えなかったようです。
ずっと気になっていて、会いたかった・・・とパク医師。
「会ってみて分かりました。変わり者か、或いはとんでもない嘘つきか。」
パク医師には、代償のない善意は信じられないのです。経験が無いから。
翌朝、トルダム病院の前に集まっていたマスコミに対して、パク医師は国防長官の容体についての会見を開きました。まるで自分たちが手術を成功させたかのように・・・です。
スタッフたちは、激怒。
特にオ看護師長は怒りを抑えることが出来ません。
ウジンも、激怒してキム・サブに何とかしろと詰め寄りました。
が、キム・サブは放っておけと言うだけ。
傍にいたパク看護師に同意を求めたウジン。
気持ちは分かります・・・とパク看護師。
「でも、キム・サブ先生の意思ですから。意見を言えないのではなく、尊重してるから従うんです。」
尊重・・・そんな言葉、きっとこれまでの人生でウジンは聞いたことが無かったのでしょう。心が動いたようです。
それにしても、ウジンの表情から、暗さが少し消えた気がします。
普通の青年になりつつあります。
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