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ウンはユミの問いに答えませんでした。
ウンは、恥ずかしいと言う気持ちを正直に話そうかとも思いました。誤解されたくないから。
でも、ウンの優先順位は、ユミは二位であり、これまでずっと一位はウン自身でした。言える筈無いですよね。自分のプライドを傷つけるような事は。
結局、気まずいまま、ウンはユミの部屋を出ていきました。
きちんと掃除、整理整頓をして。
その時、ユミは会社で仕事中でした。
このところのユミの様子が違うのを、ボビーは敏感に感じ取っていました。
ユミは、一生懸命に平静を装っていましたが。
ウンは、ユミの部屋の切れかけてる電球まで交換しました。
ところが、踏み台代わりに使ったテーブルを壊しちゃった。
ユミが帰宅して見たのは、テープで簡易修理してあるテーブル。空になったタンスの引き出し。消えた歯ブラシ・・・等々。
そして、壊した経緯を書いたメモ。
そのテーブルですが、既にアフターフォローの期間が過ぎてて、もう買い換えるしかありませんでした。
ユミが大枚をはたいて買った大切なモノだと知ってるウンは、何としても買おうと思ったのですが、今のウンには手が出せない金額でした。
気は進みませんでしたが、ルイや友人からお金を借り、注文しました。
来月の収入が入ればどうにかなる額でしたが、それまで待ってとユミに言うのも、ウンにとってはプライドが傷つく事でした。
分かる気がします
元々一人暮らしだったのに、ウンがいない部屋はとても広く寂しい感じがするユミでした。
そこにウンが。
壊れたテーブルの回収をするために、業者とやって来たのです。
食事を勧めたユミでしたが、仕事があるからと、ウンは帰っていきました。
ユミがガックリしたのは、それだけじゃなく、新しいテーブルの代金をウンが直後にユミの口座に振り込んだことでした。
ユミが支払わなくて良いと、払ったら怒るとまで言ったにも関わらず。
ユミとすると、手切れ金のように感じたのかもしれません。
出ていくと言うだけで、別れると言ったわけじゃないのですが。
ユミの愛細胞に異変が起こりました。
気力が急に衰え、上手く飛べなくなってしまいました。
ウンが友人の結婚式に行くと言うので、ユミも同行することにしました。
そのあと、デートしようと考えたのです。
結婚式会場で、新郎の手伝いをしてくるとウンが言いまして。
ユミは、ルイと先に食事をすることになりました。
席についたユミに、周囲の人たちの話が聞こえてきました。
そばにウンの恋人ユミがいるなんて知る筈もない友人たちは、学生時代の話をしました。そのなかに、ウンとセイの話も出てきました。
友人は、ウンが昔はセイが好きだったと言いました。
ユミ、席を立ちました。
とてもそのまま話を聞いていられなかったのです。次にどんな話が出て来るのか、怖かったのでしょう。
ウンは、ユミを見つけると、式場から出て、デートしようと言いました。
屈託のない表情です。
ふいにユミが聞きました。私のどこが好き?と。
突然の話に、ウンは戸惑いはぐらかしました。決して答えられなかったからじゃありません。特に重要な質問だとは思えなかったんだと私は思います。
それに、どこが好きかなんて、ウンは選べませんでした。
ユミと初めて会った時から、理由もなく好きになってしまったんですから。
あの時も、あの瞬間も、ウンにとっては愛すべきユミでしたから。
ウンとの恋愛が始まった日、愛細胞は村に大きなくす玉を立てました。
ウンに不満がある時は、そのくす玉に向かって玉を投げてと愛細胞は言いました。
ユミが幸せだった時は、玉を投げる細胞は一人もいませんでした。
最初に投げたのは、感性細胞。セイとのことでウンが気を遣って嘘をついた時。
その後は、不満が出るたびに細胞たちは玉を投げました。
でも、割れる気配はありませんでした。
今回、ウンが答えをはぐらかした時、ヒステリウス細胞が、玉を連射。
それでも、割れませんでした。
愛が大きいから割れないんだ・・・と細胞たちは思いました。
細胞たちの不満が出るということは、ユミの中にちょっとした解決されない“もやもや”が生まれていると言う事です。
ウンとの考え方の違いを感じ始めたってことですよね。
例えば、デートの感想をユミが長文でメールした返信が、たった一言だったってことも。
大した事じゃないのに、何故か心に引っ掛かったのです。何故か、腹が立ったのです。
1人の細胞が、くす玉に向かって玉を蹴りました。
たった一言の返信だなんて、最近のウンは礼儀がなってないわって。
そしたら、なんと、くす玉が
割れちゃった
中から出て来た垂れ幕に書かれていたのは、『別れて』と言う文字。
くす玉が割れたことで、愛細胞の力が弱まりました。
『別れカード』を使う時が来たと、愛細胞が言いました。
流石に感性細胞も、理性細胞も、落ち着けと愛細胞に言いました。
でも、このままではユミがストレスで参ってしまうと、愛細胞は言いました。
くす玉が割れたら、見切りをつけるのも、自分の仕事だと。
初めてユミの中に“別れ”の言葉が生まれました。
ウンに連絡しました。話があると。
決心してウンに会いに行ったユミですが、なかなか言葉が出ません。
愛細胞も、別れカードを投げられないでいました。
ウンは、いつもと変わらない明るい表情で微笑みました。
食事をし、並んで散歩しました。
ウンと最初に会った時からの思い出が蘇りました。
幸せでした。
でも、言いました。
「私たち、考える時間が必要だと思う。」
ウンも鈍い人間じゃありません。
実は、ユミの暗い電話の声や最近の事を思い起こすと、嫌な予感がしていました。
別れを告げられる予感がしていたのです。
原因を考えました。
何も思い浮かびません。気のせいかもしれないと思いました。
そして少し腹が立ちました。
が、会いに来たユミの表情を見た時、自分にも非があると思いました。ユミだけを責められないと思いました。自分も自分の話をする方じゃないと自覚していますから。
この瞬間、ウンの中で優先順位が変わりました。
生まれてこのかた、一位を守り続けていたウンが二位に転落。ユミが堂々の一位になったのです
ウンは、別れを直感した瞬間、忘れていたことを思いだしました。
自分の最も大切な一位が誰なのかを。
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