私的図書館

本好き人の365日

富安陽子『シノダ! チビ竜と魔法の実』

2012-02-02 21:21:11 | 児童文学

小さい頃の刷り込みってなかなか抜けないですね。

夜中に口笛を吹くと蛇が出るよってよく親に言われていたので、未だに何かのはずみで、夜中つい口笛が出てしまった時なんか、「まさか」と頭ではわかっていても体がビクッとしてしまいます。

田舎なのでヘビがしょっちゅう出るんですよ。

子供時代を過ごした家は山奥のオンボロ木造平屋建てだったので、天井をネズミが走るなんてしょっちゅう。
たまに寝ている時に天井が運動会みたいに騒がしくなる時があったのですが、私と妹が興味しんしんで目を輝かせている隣で「ヘビでも入りこんだんだろう」と両親は関心なさげに布団をかぶっていました。

家の周りにいたのがマムシ。
祖母がこれを素手で捕まえてよくマムシ焼酎を作っていました。
切り傷、虫刺されに効くとかいって、ガーゼにしめらせて傷口にあてるのですが、これが強烈な臭いがするんです。

タヌキやキツネもよく出たし、雪が降ればウサギの足跡がよく残っていました。
父親の山仕事について行くと、カモシカのかじったあとを教えてもらったり、イノシシの解体を見せてもらったり。

幼い頃から山はどこか近寄りがたく、たくさんの命がいる神聖な場所でした。

「ユイにとって、じぶんのママが本当はキツネだということは、それほど大きな問題ではなかった。」

富安陽子さんの「シノダ!」シリーズ。
その文庫本第1弾。

『チビ竜と魔法の実』(新潮文庫)

を読みました☆

現代のマンションに暮らす、ごく普通の小学校5年生、信田結(ユイ)。
小学校3年生の弟と、まだ3才の妹、そして両親の5人家族だが、ちょっと普通と違うのは、ママが本当はキツネだってこと。
でも、そんなことは全然気にならない。そんなことより大変なのは、いつも信田家に問題を持ち込む親戚の方!!

突然キツネの姿でソファーの上に現れる、時代劇が大好きな鬼丸おじいちゃん。
変身が得意なママの妹、スーちゃん。
そしてキツネ一族の問題児、ママのお兄さんの夜叉丸おじさん。
その他にも、不吉な予言を告げるのが趣味のおばさんがいたりして、信田家はいつもおかしな事件に巻き込まれます!

小学校低学年から読める内容で、カラスの森や、ヘビの宝物、不思議な木の実など、ワクワクする小道具も満載♪

シリーズはすでに6巻まで出ているみたいですが、大人が読んでも面白かったです!

キツネのママと、人間のパパの間に生まれた子供たちは、キツネ一族の不思議な力も受け継いでいて…

このお話は「信田妻」という伝説から生まれました。
歌舞伎や文楽の演目にもなっていますね。
その昔、人間と結婚したキツネが正体がバレて森に帰っていく。
その時生まれた男の子が、かの陰陽師、安倍晴明だといわれています。

ドタバタだけれど、明るく面白い。
続きも読んでみたくなりました☆