平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「富士日記」 30 (旧)八月三日(つづき)
土手にはこんな草が色々生えている。名前を調べれば、ひとかどの名前がある。ただ、見分けが難しく、区別はなかなか困難である。
******************
「富士日記」の解読を続ける。
やがて、神主飯田正房出で来たりて、拝殿を開けて、人々を登せ据えたり。先ず、
千萬(ちよろず)の 東の夷(あずまのえみし) 向けませし
神の御威稜(みいづ)を 仰がざらめや
※ 千萬(ちよろず)- 数の限りなく多いこと。
※ 御威稜(みいつ)- 天皇や神などの威光。
とて、奉りたるに、いざや人々も珍しき団居(まとい)なれば、一首づゝ詠みて奉らむとて、社頭秋風と云う趣にて、詠めりければ、
※ 団居(まとい)- 人々が輪になって座ること。車座。
夏過ぎて 幾夜か寝つる 神垣の
松に涼しき 秋風の声
※ 神垣(かみがき)- 神域を他と区別するための垣。神社の周囲の垣。
正辺
木綿四手(ゆふしで)の 靡くも涼し 千早振る
神の斎垣(いがき)の 秋の夕風
※ 木綿四手(ゆうしで)- 木綿(ゆう)で作った四手。
※ 四手(しで)- 玉串や注連縄などに下げる紙。古くは木綿(ゆう)を用いた。
※ 千早振る(ちはやふる)-(勢いが激しい意で、)「神」、また、地名「宇治(うぢ)」にかかる枕詞。
※ 斎垣(いがき)- 神社など、神聖な場所に巡らした垣。
式穀
幾秋か 森の松ヶ枝 枝古りて
神垣清く そよぐ夕風
徴信
吹くとなき 夕べの風の 調べさえ
秋に澄みゆく 神垣の松
正房
手向くべき 紅葉はまだき 神垣の
御垣の松に 通う秋風
好道
立ならぶ 木々の梢も 神さびて
秋風涼し 坂(酒)折の宮
※ 神さびる(かみさびる)- 古びて神々しく見える。
かくて、日の暮るる頃、こゝを出て、徴信、式穀には別れ、正辺の家に、今宵は泊りねと、わりなくいざなえば、好道とゝもに、ま多国玉に行きて、夜もすがら物語りし、短冊(たにざく)、懐帋(かいし)など、主の乞うに任せて、書きて送りつ。
※ わりなし - 無理やりに。
※ 懐帋(かいし)- 懐紙。和歌・連歌・俳諧などを正式に書きしるす時に用いる紙。
読書:「夢のれん 小料理のどか屋人情帖8」倉阪鬼一郎 著
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )