goo

「富士日記」 34 (旧)八月四日(つづき)

(城北公園のハナゾノツクバネウツギ)

午後、駿河古文書会で、静岡へ行く。城北公園の生垣にハナゾノツクバネウツギの花を見つけた。よく見かける花なのだが、名前を調べて認知したのは初めてである。

夜、岡山のYさんからぶどうが届く。同窓会の時、「四国お遍路まんだら ふたたび」を進呈したが、そのお礼のようだ。ぶどうの産地から、高価なものをと、恐縮した。面白く読んで頂いたというから、初回の「四国お遍路まんだら」も送ろうかと思う。

******************

「富士日記」の解読を続ける。

さて、茂実には懇(ねもご)ろに語らい置きて、元克の跡に付いて、石森というに詣でて見れば、いと高き岡なりけり。この岡は、四方(よも)の山を離るゝ事、遥かにして、野中に怪しき巌(いわお)(そば)立ち、奇しき石(たた)なわりて、誠に名に違わず、目を驚かす所なり。
※ 石森(いしもり)- 現、山梨岡神社のこと。山梨県山梨市の神社。鎮座地は「石森山」、「石森丘」と呼ばれる平地の中の小丘で、境内は狭いながらも、松などの大樹や奇岩、怪石が密集し、古く文人墨客から愛好された。伊弉冉尊、事解男命、速玉男命、国常立尊、大国主命、少彦名命の6柱を祀る。
※ 畳なわる(たたなわる)- 幾重にも重なる。


祀れる神は、国立明神と、熊野明神とを合せ祀れりとぞ。その傍らに、小さき水晶出るとて、土を少し掘りて、元克拾いて得させつ。かかる珍しき所も、世には有りけるよと、返す返すおかし。思うに、昔、湖有りし時の島なるべし。

   あし曳きの 山路隔てゝ あし引きの
        山成す千々の 石森の宮

※ あしびきの -「山」および「山」を含む語「山田」「山鳥」などにかかる枕詞。

やゝ日も西に傾(かたぶ)き、雨も降り出ぬべき気色なれば、急ぎて元克が家に、黄昏(たそがれ)ばかり、ひじがさ(肘笠)して帰りぬ。
※ 肘笠(ひじがさ)- 肘を頭の上にあげ、袖を笠の代わりにして雨を防ぐこと。
(原注 古今六帖 妹が門 過ぎ行きかねつ 肘笠の 雨も降らなん 雨隠れせん
  催馬楽 妹が門せなりかと 行き過ぎかねて やわか行かば肘笠の 雨もふらなん、云々
  源氏物語 須磨の巻に、肘笠雨とか降りて、いと慌ただし)

※ 古今六帖(こきんろくじょう)- 平安時代に編纂された私撰和歌集。全六帖からなる。
※ 催馬楽(さいばら)- 日本の雅楽の種目の一つ。平安時代に貴族の間で盛んに歌われた声楽曲。アジア大陸から伝来した唐楽、高麗楽(こまがく)風の旋律に、日本の民謡や童謡の歌詞を当てはめたものが多い。
※ やわか - それでもなお。


読書:「夢三夜 新酔いどれ小籐次 8」佐伯泰英 著
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )