48.花も嵐も―女優・田中絹代の生涯
■内容
『愛染かつら』『西鶴一代女』『雨月物語』など数々の名作に出演、
「大女優」の名をほしいままにした銀幕のスター・田中絹代。
清純派から演技派へと脱皮し、後には老いと戦いながらも死ぬまで
演じ続けた絹代の凄絶な生涯は、激動の昭和史そのものだった。
独身をつらぬき「映画と結婚した」絹代の生涯を精緻に描いた
評伝小説の労作。
■感想 ☆☆☆☆*
身近なテレビタレントが親しまれている現代とは対照的に
銀幕のスタアが庶民に夢を与えていた時代。
「庶民的」な芸能人に人気が集まる現代でさえ、テレビや雑誌で
活躍している芸能人たちと「一般人」の間には隔たりがあるように
感じる。隔たりがあるから、芸能人に憧れるのだろう。
しかし、映画草創期。
女優や役者は憧れられ、庶民に夢を与えながらも、
かたぎの仕事ではないと蔑まれていた。
そして、映画の栄光期。
女優や役者は名実共に「スタア」となり、庶民の憧れとなる。
その時代を映画と共に生き、映画に人生を捧げた田中絹代という
生き様に魅せられた。
すべてをかけて、ガムシャラに生き、女優として多くの男性や女性に
愛された田中絹代。お嬢さん女優と言われながら「美人ではないが」
という修飾詞をつけられ続けた田中絹代。名実共に「演技派女優」と
なり、海外の映画賞を多く受賞した田中絹代。一転、週刊誌や
映画界に総すかんをくらい、「老いぼれ」と批判された田中絹代。
家族の愛情に飢え、家族にすべてを捧げ、死ぬまで兄弟姉妹を
支え続けた田中絹代。
「田中絹代」という女優の名前は知っていたが、
彼女の出演している映画も彼女の演技も見たことがなかった。
何が代表作なのかも知らなかった。それでも名前を知っている。
それほど、名が残っている偉大な女優。映画界への貢献者。
スタアと呼ばれた人たちがいかに多くの犠牲を払っていたか
スタアであり続けるために、どれほどの努力を捧げていたのか
スタアと呼ばれ、多くの人に羨ましがられながらも、どれだけ
孤独と戦っていたのか、そういったことがつぶさに描かれている
評伝だった。人生はプラスマイナスゼロ。プラスが大きければ
大きいほど、マイナスも大きい。結局のところ、人生の終始決算は
みな平等、という私の常日頃の思いを裏づけするような内容だった。
毅然とした態度で、自分の仕事に誇りを持ち、そして役者という仕事に
人生を賭けるほどの魅力を感じていた田中絹代。「お嬢さん女優」と
言われていた彼女の男らしい生き様は、時代を感じさせないかっこよさ
がある。だからこそ、彼女は今も名をとどめているのだろうと思った。
■内容
『愛染かつら』『西鶴一代女』『雨月物語』など数々の名作に出演、
「大女優」の名をほしいままにした銀幕のスター・田中絹代。
清純派から演技派へと脱皮し、後には老いと戦いながらも死ぬまで
演じ続けた絹代の凄絶な生涯は、激動の昭和史そのものだった。
独身をつらぬき「映画と結婚した」絹代の生涯を精緻に描いた
評伝小説の労作。
■感想 ☆☆☆☆*
身近なテレビタレントが親しまれている現代とは対照的に
銀幕のスタアが庶民に夢を与えていた時代。
「庶民的」な芸能人に人気が集まる現代でさえ、テレビや雑誌で
活躍している芸能人たちと「一般人」の間には隔たりがあるように
感じる。隔たりがあるから、芸能人に憧れるのだろう。
しかし、映画草創期。
女優や役者は憧れられ、庶民に夢を与えながらも、
かたぎの仕事ではないと蔑まれていた。
そして、映画の栄光期。
女優や役者は名実共に「スタア」となり、庶民の憧れとなる。
その時代を映画と共に生き、映画に人生を捧げた田中絹代という
生き様に魅せられた。
すべてをかけて、ガムシャラに生き、女優として多くの男性や女性に
愛された田中絹代。お嬢さん女優と言われながら「美人ではないが」
という修飾詞をつけられ続けた田中絹代。名実共に「演技派女優」と
なり、海外の映画賞を多く受賞した田中絹代。一転、週刊誌や
映画界に総すかんをくらい、「老いぼれ」と批判された田中絹代。
家族の愛情に飢え、家族にすべてを捧げ、死ぬまで兄弟姉妹を
支え続けた田中絹代。
「田中絹代」という女優の名前は知っていたが、
彼女の出演している映画も彼女の演技も見たことがなかった。
何が代表作なのかも知らなかった。それでも名前を知っている。
それほど、名が残っている偉大な女優。映画界への貢献者。
スタアと呼ばれた人たちがいかに多くの犠牲を払っていたか
スタアであり続けるために、どれほどの努力を捧げていたのか
スタアと呼ばれ、多くの人に羨ましがられながらも、どれだけ
孤独と戦っていたのか、そういったことがつぶさに描かれている
評伝だった。人生はプラスマイナスゼロ。プラスが大きければ
大きいほど、マイナスも大きい。結局のところ、人生の終始決算は
みな平等、という私の常日頃の思いを裏づけするような内容だった。
毅然とした態度で、自分の仕事に誇りを持ち、そして役者という仕事に
人生を賭けるほどの魅力を感じていた田中絹代。「お嬢さん女優」と
言われていた彼女の男らしい生き様は、時代を感じさせないかっこよさ
がある。だからこそ、彼女は今も名をとどめているのだろうと思った。
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