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のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

リューンノールの庭 / 松本祐子

2006年05月27日 10時42分38秒 | 読書歴
■ストーリ
 中学1年の未散(みちる)は、あこがれの児童文学作家から
 招待状をもらいます。しかしその作家は一度も会ったことがない
 叔母、沙那子だった。夏休みに訪ねた叔母の家で起こる
 不思議な毎日を過ごすことに。未散と魔法の花シリーズ第1弾。

■感想 ☆☆☆☆
 読み始めてすぐに引き込まれ、あっという間に読み終えてしまった。
 勿論、児童書なので文章も難しくなくさくさく読めるのが
 もっとも大きな原因。
 けれども、そういう当たり前の理由だけではなく、
 作品自体の魅力の大きさもさくさく読めた理由だと思う。

 ぶっきらぼうで子供は嫌いと言い放つ不思議な言動の叔母。
 自分の意志で動いているように見える龍のロボットDD。
 魔法の匂いがぷんぷんする庭の花々。
 
 叔母の言動に腹をたてながらも、同時にその魅力に惹きつけられ
 彼女の出す課題に取り組む未散。未散は「魔女へのレッスン」と
 思っているが、沙那子が魔法を使う場面はない。
 また、未散がすることもごくごく普通のことばかり。
 庭の草花の効能を勉強して、夕食の買い物に出て、掃除をして
 洗濯をして、ごみ出しをして・・・・。
 それは「魔女へのレッスン」というよりは
 「自立した大人へのレッスン」。

 それでも、毎日の中には隠しきれない「魔法」の匂いが
 そこかしこから湧き上がっている。
 庭に人を襲う花があったり
 枯れたはずの花がよみがえったり。
 
 徐々にたくましくなっていく未散が魅力的。
 「魔法」は特別な能力。普通の人が使うことができない能力を
 使うためには、普通の人以上に大人であることが求められる。
 普通の人以上の精神力や自立心が必要とされる。

 沙那子さんのぶっきらぼうな言動からそういったことが
 きちんと伝わってくる。少し甘えん坊の母親よりも大人として
 未散を正しい方向に導く「正しい大人」として、魅力的だ。

 けれども、この作品の中でもっとも愛しいのはドラゴンロボットDD。
 無機質なロボットのはずなのにもっとも感情豊か。
 未散に無言で甘えてくる様子が本当にかわいらしい。

 物語はまだまだ始まったばかり。
 続きが待ち遠しいという感覚を久々に味わっている。


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