のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

チルドレン/伊坂幸太郎

2008年08月15日 01時20分37秒 | 読書歴
56.チルドレン/伊坂幸太郎
■ストーリ
 「俺たちは奇跡を起こすんだ」
 独特の正義感を持ち、いつも周囲を自分のペースに巻き込むが、
 なぜか憎めない男、陣内。彼を中心にして起こる不思議な事件の数々。
 何気ない日常に起こった5つの物語がひとつになったとき、
 予想もしない奇跡が降り注ぐ。

■感想 ☆☆☆☆☆
 1年ぶりの再読。
 前回、読んだ時は、陣内に魅力を感じながらも、こんな人が
 実際にいたら困るだろうな、と思った。その思いは変わらない。
 おそらく、私の仕事場にこんな人がいたら困る。ものすごく
 エネルギーを吸い取られると思う。

 けれども、改めて再読して、こんな人がいてほしいと思った。
 こんな大人になりたい、と思った。
 彼は、「誰かのために」なんて思わない。「誰かのために」
 行動もしない。「誰か(自分以外の他人)」と「自分」に
 優劣をつけないし、比較もしない。彼は自分と周囲に
 差をつけない。だから、彼が「自分のために」行動することが
 巡り巡って、周囲の人の心をほんの少し暖かくすることもある。
 そして、彼が「自分のために」行動することが巡り巡って
 周囲の人を混乱に陥らせることもある。困ったことに、
 後者のほうが頻繁に起こる。
 けれども、陣内はどこか憎めない。
むしろ、不思議なくらい、彼をいとしく思えてくる。
 彼のまっすぐな物言い。無邪気で困った性質。それらを見ていると
 本当に奇跡が起きるような気になってくる。奇跡を信じたくなる。
 そんな暖かい物語だった。


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