のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

家庭小説

2009年03月29日 09時39分53秒 | 読書歴
2008年読了
111.昔気質の一少女(上)(下)/オルコット
113.リンバストロの乙女(上)(下)/

■ストーリ
 ・昔気質の一少女
  田舎育ちのポリーは、愛情豊かな母に厳しくしつけられた昔気質の
  少女であった。そんなポリーに都会で裕福な生活を送る友人
  ファンからの招待が来た。一冬をファンの家で過ごすことになった
  ポリーは、初めての都会や上流社会の生活に戸惑う。
  しかし、次第にポリーの思いやり深いふるまいがファンの家族に
  大切なことを気付かせる。
 ・リンバロストの乙女
  父をリンバストロの沼で失ったエルノラは、母とふたりで森の傍に
  暮らしていた。たったひとりの母親はエルノラに冷たく、彼女の
  「学校へ行きたい」という夢を無視する。しかし、エルノラは
  夢を諦めず、植物の標本などを売り、自力で学校に通うのだった。

■感想 ☆☆☆☆
 「若草物語」や「秘密の花園」のジャンルは「家庭小説」と
 言うらしい。「古き良き時代」の少女の模範となるべき小説。
 そのジャンルを「家庭小説」と呼ぶあたりこそ、時代を感じさせる
 ように思う。

 「少女はこうあるべき」「こう育つべき」といった教訓盛り沢山の小説で、
 ヒロインはひたすら「良い子」。そして、良い子故に周囲の人に愛される。
 たまに虫の居所が悪くて、ちょっとした散財をしたり、
 失敗をしたりもするけれど、その失敗は「枠内」での失敗であり、
 ただちに反省もする。
 つまるところ、「大人」から子供たちに対する「期待」がたくさん
 詰まった小説なのだと思う。

 と、書いていると、「家庭小説」に苦手意識を抱いているように
 思われてしまうかもしれないが、実際にはその逆で、家庭小説大好きだ。
 なかでも「昔気質の一少女」「リンバロストロの乙女」
 「ローズの幸福」「若草物語」「秘密の花園」はお気に入り具合で
 優劣をつけられないぐらい大好き。
 素直で可愛らしい少女と、その少女を穏やかに暖かく見守る大人の存在、
 という構図が私を安心させ、心おきなくその世界に没頭させてくれる
 のだと思う。

 家庭小説が女性に特化した小説なのだと実感させられるのは
 話の流れに関係なく、食事や衣装が細かく描写される場面だ。
 時には、食事や衣装がまるまるストーリの中心に据えられ
 食べること、おしゃれをすることの楽しさやそれらが与えてくれる
 幸福感を疑似体験させてくれる。
 「昔気質の一少女」では「衣装」に関しての
 「リンバストロの乙女」では「食事」に関しての描写が特に多く、
 作者のこだわりを感じさせる。
 その時代特有の形態であり、今の私たちとはまったく違う部分も
 多いため、よく分からない言葉も多いのだが、
 それでも読んでいるだけでうきうきした気持ちにさせられるのは、
 私が女性だからなのだと思う。きっと、これらの描写の面白さは、
 男性には伝わりにくいのではないかと思うのだ。

 ラストは、やはり「女性視点」の王道であるロマンスで
 締めくくられるのも家庭小説の王道。
 ほんのりと品のよいロマンスが私をあたたかい気持ちにさせてくれた。
 この「めでたし、めでたし」の感覚が嬉しくて
 私は定期的に家庭小説を手に取りたくなるのだと思う。
 村岡花子先生、お世話になっています。


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