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パットお嬢さん/モンゴメリ

2009年03月29日 09時51分32秒 | 読書歴
2008年読了本
115.パットお嬢さん/モンゴメリ

■ストーリ
 美しい「銀の森」の女主人として、変化を嫌い、その自然と安らぎを
 保持しようと心をくだくパット。すばらしいユーモアを持ち、話好きの
 ジュディばあやと、頭の良い妹ピー子の三人、それに猫たちと
 幸福に満ちた世界で過ごしている。しかし、そこにも徐々に変化が
 訪れて・・・。

■感想 ☆☆☆☆
 モンゴメリと言えば、「赤毛のアン」だが、
 私はアンよりも断然、パットと仲良く過ごしてきた。
 自分の住む村や自分の仲間たちが大好きで、
 「大人」になるための変化を受け入れられないパット。
 大事なものを守るために、かたくなに大人になることを拒否する彼女は、
 「大事なもの」の中に含まれている「大切な人」からの求婚さえ
 受け入れられずにすごしている。

 「パットお嬢さん」は、そんなパットの様子を
 パットが大事にしている村での生活を丹念に描くことで
 彼女のこだわりに説得力を持たせている。
 そして、次第に彼女が何を一番大切にしていたのか、彼女がこの村に
 こだわっていた理由がなんだったのかに気付かされる姿を追う。
 全体的に話の展開はとてもスローテンポで冗長。
 けれど、その冗長さがパットの人となりを表しているのだと思う。
 色々、考えすぎて、すぐには行動できない不器用なパットがいとしい。

 終盤、パット自身が変わるつもりはないにも関わらず
 周囲の大切な人たちにはどんどん変化が訪れ、その変化が
 パットにプレッシャーと孤独、寂寥感や焦りを与える。
 そのあたりの描写は、今の私だからこそ感じる共感もあって
 なんというか、何度も読み返したにも関わらず
 今まで感じたことのない読後感を味わえた気がする。
 当たり前だけれど、年とともに本との付き合い方は変わっていく。
 本全体との付き合い方も、一冊の本との付き合い方も。
 久々の「パットお嬢さん」はそういったことを実感させてくれる
 読書だった。


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